鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

この夏に見た虫 その2

2011-10-01 15:59:32 | 日記
 



9月の半ば、今年も生田緑地のジュズダマを見に行ったら、
いたいた、クロコノマチョウの幼虫。
まだ3センチくらい。


 去年は大量に発生していたので、採集して飼育し、
羽化させたのですが、
今年はここのジュズダマがほとんど刈られてしまったので、
去年ほどたくさんはいなかった・・・・・・。
どうしてジュズダマを刈っちゃうんだろう?
生田緑地のこの地域はホタルがウリなので
ホタルを見るのに邪魔だから?


 目がイッッチャッテルかんじのヤマトシジミ。

翅の縁のお花もようが、なんてったってかわいいの。


  
 バッタかな?
大きなエサをとらえたジョロウグモのメス。

糸疣のあたりが赤くなっている成熟したメス。
これだけ大きなエサを食べれば、きっと立派な卵が産めるでしょう。


 白いはちまきをきりっとしめて、アナタはいつも真剣なまなざし。

全身に力がはいってるマミジロハエトリのオス。ちょっと肩もんであげたい。


 このクールな色合いの8ミリほどのカメムシは、メンガタメクラガメといいます。

メンガタという名前は、前胸背にみえる2つの目玉もように由来するらしい。



 そして、同じく9月半ばの裏高尾の林道。
山の中は、気温がぐっと低めで快適。

 このところ沢の水が増水している。


 7月以来、高尾に来るたびに見かけるツマジロカメムシ。

黒紫色に紺色の強い光沢のある、ていねいに磨き上げたようなほんとにきれいなカメムシ。




いろんな方向からためつすがめつ。
光の加減でどんどん色が変わる。


ひゃっ!
クスサン?

残念なことに負傷してひっくり返っていた。

 でもこのモコモコの肢、すごくないですか。

ほとんど六本脚のケモノみたいにみえる。


 
 千切れそうな極細ウエストのハチ。

これで正常なの?って思うくらい、ぎりぎりまで細い。
調べてもどうしてもわからなくて
大阪市立自然史博物館の、ハチの専門家 松本さんに教えていただきました。
ムモンホソアシナガバチというのだそうです。
1.8センチほどの小さめのハチですが、刺すそうです。

「どうしてここまで細い胴体をしているんですか?」という私の疑問に
松本さんがていねいに応えてくださいました。
それによると、
このように腰が細くなることで腹部を素早く,思った方向に向けることができるように
なり,行動の幅(特に針で刺すことー寄主に針を刺して卵を送り込
んだり,獲物を刺して麻酔したり,外敵に対して針で攻撃した
り...)を広げることができるから、なのだそうです。
このくびれは、素早く刺すためだったのか!
おそろし。


 
これはマルボシヒラタハナバエというハナバエ。


 
これもハエの一種?

 
これはアブで、キゴシハナアブ。

 
 ひゃー!
ド派手な色合いが葉っぱのかげから現れたと思ったら
アオバセセリの幼虫ですよー!

黒と黄色の横縞に、てんてんと蛍光を帯びた青い紋、頭部はオレンジ色。
『イモムシ ハンドブック』の表紙にも登場している、これはもう童話世界の生きもののよう。


しぐさも・・・・・どこかファンタジック!
糸を吐いて、アワブキの葉で巣をつくろうとしているようでした。

 

 アオバセセリに興奮していたら
ミズヒキの葉の上に、さらにすごいものを見つけました。
2.3センチもある、大型のカメムシ、トホシカメムシです!

うぉーっ、って吠えたいくらい興奮した。

きれいな茶色の濃淡の曲線が描く体型が、どこかヴァイオリンを連想させる。

トホシカメムシはナナカマドの赤い実によく訪れるというから、今頃の季節に見られるカメムシなのかもしれない。
キンカメ類のようなピカピカ系のあでやかさはないけれど、
どっしりとと落ち着いた存在感のあるカメムシ。
 こんなすごい虫に出会えて、ドーパミンとかセロトニンとかがドバーっと出たらしく、
その幸福感の記憶が脳のなかに植え付けられ
またまた虫さがしがしたくなる気持ちになったのでした。


 きょうは10月1日。
いつもの虫目歩きから生まれた『バニャーニャ物語』の
月一回の更新の日です。

 バニャーニャも、もう秋。
モーデカイが国境の街の卵専門店「タマゴ・バザール」で不思議な卵を見つけたらしい・・・・。

『バニャーニャ物語』へは、ココからどうぞ。