ルノワール展
東京メトロ千代田線
乃木坂駅を降りると
美術館につながる通路に
展覧会の広告があります
国立新美術館
ルノワール展は2016年4月27日(水)から
8月22日(月)まで開催されています
黒川紀章氏設計の美術館
2006年(平成18年)6月14日 竣工
美術館が開館したのは2007年1月21日です
美術館の内部
黒川氏は数多くの美術館を設計していますが
ここは黒川氏が設計した美術館としては
最後の作品です
館内にあるルノワール展の案内図
ルノワール展のパンフレット
今回の展覧会の目玉はなんと言っても
初来日となる『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』
描いたのはフランスの印象派の画家
ピエール=オーギュスト・ルノワール
(Pierre-Auguste Renoir)
(1841年2月25日 - 1919年12月3日)
印象派の最高傑作とも言われるこの作品が
ようやく日本にやってきたのです
ムーラン・ド・ラ・ギャレット(Moulin de la galette)
ムーランは風車
ギャレットは小麦粉でつくる焼き菓子のこと
パリのモンマルトルの丘に現在も残っている風車です
このあたりが一面のぶどう畑だったころ
高台を利用して小麦を挽く風車小屋が
たくさん点在していたそうです
しかし近代化が進むにつれ
風車小屋はしだいに使われなくなりました
起業家のドブレ家がムーラン・ラデと
ムーラン・ブリュットファンという
使われなくなった2つの風車付きの土地を購入し
1840年代以降に屋内と野外のダンスホール
パリを一望出来るムーラン・ブリュットファンからの眺望
ビリヤード、カフェ、食堂、ブランコを設置して
『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』という
一大レジャー施設を築き上げたのでした
ギャレット(小麦粉で作る焼き菓子)や
ザクロのシロップ入りのお酒に舌鼓をうち
日曜日の午後と祝日には舞踏会が開かれていました
この時の風車は広告塔代わりだったようです
ルノワールが描いたムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会は
ここの野外のダンスホールが舞台となっています
フレンチレストラン『Le Moulin de la Galette』
ダンスホールは20世紀の初頭まで賑わっていましたが
さらなる近代化が進むにつれ当時の賑わいは薄れ
ついにはその姿を消してしまいます
現在は改装工事が行われ
かつてダンスホールがあった場所では
同じ名前のフレンチレストランが営業されています
レストランの上にあるのがラデの風車
昔はこのあたりに30基ほどあった風車は
現在はこのムーラン・ド・ラ・ギャレットの2基のみです
レストランの内部
5年前にフランスを訪れた時
真っ先に向かったのがこのレストランです
レストランのホームページから
フランス語で予約をしていました
Googleで翻訳したフランス語だったので
どれだけ合っていたかわかりませんが
当日は問題なく入店する事が出来ました
そして入店後に25ユーロのランチコースと
シャンパンを注文
前菜
野菜とお肉のテリーヌ
魚料理
アカヒメジのムニエル
デザート
マルメロとみかんのタルト
チョコレートアイス添え
気取らないカジュアルなレストランで
美味しい料理とお酒とともに
とても幸せな時を過ごす事が出来ました
店員さんもすごく親切でしたし
他のテーブルのお客さんも
日本から来た珍しい客に興味津々で
ニコニコ笑いながら話しかけてくれたのが
とても印象的でした
ルノワールが描いた当時のダンスホールも
庶民的な人気の酒場だったようです
パリのセーヌ川に面したオルセー美術館
『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』が
常設展示されている美術館
我々が訪れた時は残念ながら
ドイツのフォルクヴァング美術館に貸し出し中でした
PARIS-ORLEANS
オルセー美術館の建物は1900年のパリ万博に合わせて
オルレアン鉄道が建設したオルセー駅の駅舎でした
19世紀後半から20世紀初頭にかけての美術品を集め
この時代の美の全てがあるとも言われています
中心となるのは西洋絵画に革命をもたらした
印象派のコレクション
『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』を
ここで見る事は出来ませんでしたが
その他のルノワールの作品や大好きなゴッホの作品など
数多くの名画を観賞する事が出来ました
そして念願かなって今回観賞する事が出来た
『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』
1876年 131.5×176.5cm オルセー美術館所蔵
今から140年前に描かれた、ルノワール35歳の時の作品です
時代背景を調べてみると
ナポレオン三世の命によりパリ改造計画が行われたのが1853年
狭い路地がひしめいていたパリの街は一掃されることになりました
そして街にいた貧困層も同時に街を追われることになったのです
街を追われた貧困層を受け入れたのが
高台の為に改造が及ばなかったモンマルトルでした
当時のモンマルトルは農民や孤児、貧しい芸術家など
社会の底辺で生きる人々が寄り添うように暮らす場所だったのです
ルノワールはモンマルトルの貧しい娘たちや
何気ない庶民の日常に崇高な美を見出したのです
汗を流し働き詰めの毎日の中でようやく迎えた休日に
精一杯のおめかしをしてダンスに興じる姿が
当時のムーラン・ド・ラ・ギャレットにあったのです
そこで完成させたのがこの作品
大勢の人物がいるにも関わらず
綿密に計画された構図のおかげで繁雑には見えず
印象派の技法により明るく柔らかな色彩が生み出す豊かな表情
特に細心の注意が払われたポーズや目線により
彼らの笑い声やおしゃべりまでもが聴こえてくるようです
構図、色彩、明暗、全てにおいて傑出した
歴史的名作と言われています
中央に描かれた二人の女性
モデルとなったのはお針子姉妹
黒い服を着た女性が姉のジャンヌ
その下の女性が妹のエステル
姉のジャンヌはこの作品以外にも
ルノワールの作品に描かれています
『ぶらんこ』
1876年 92×73cm オルセー美術館所蔵
ぶらんこに乗る女性が姉のジャンヌです
この作品も今回同時に来日しています
そして左側の奥でダンスをするカップル
男性はルノワールの画家仲間
そして女性はモデルだったマルグリット・ルグラン
彼女はマルゴと呼ばれていて
ルノワールのお気に入りでした
マルゴを描いた作品のうちの1つが
今回同時に来日しています
それが『読書する少女』
1874年-1876年 46.5×38.5cm オルセー美術館所蔵
ルノワールが特に気に入り
彼の恋人でもあったマルグリット・ルグラン
しかし、彼女は3年後の1879年に腸チフスにかかり
ルノワールに看取られながら、若くして亡くなりました
『都会のダンス』
1883年 179.7×89.1cm オルセー美術館所蔵
『田舎のダンス』
1883年 180.3×90cm オルセー美術館所蔵
45年ぶりに揃って来日したこの2つの作品は
今回の展覧会でのもう1つの目玉となっています
『都会のダンス』の女性はのちに画家となり
ユトリロの母でもあるシュザンヌ・ヴァラドン
『田舎のダンス』の女性は
のちにルノワールの妻となるアリーヌ・シャリゴ
どちらのモデルもルノワールの恋人でしたが
ルノワールが選んだのは自分を心地よく包み込んでくれる
田舎出で純真なアリーヌだったのです
この2つの作品はオルセー美術館でも左右に並べて展示されています
ダンスの作品はもう1つ存在しており
これらはダンス3部作と呼ばれています
もう1つの作品はアメリカのボストン美術館が所蔵する『ブージヴァルのダンス』
モデルは『都会のダンス』で描かれた
シュザンヌ・ヴァラドンですが
近年の研究により顔がシュザンヌ、体型がアリーヌで
ルノワールが理想の女性像を表現した作品という
説があるようです
『ブージヴァルのダンス』は現在
名古屋ボストン美術館に来日しています
場所は異なりますがダンス3部作が
今、日本でまとめて見れるのです
『道化師(ココの肖像)』
1909年 120×77cm オランジュリー美術館所蔵
モデルは、ココの愛称で知られる
ルノワールとアリーヌの三男クロード
『田舎のダンス』に描かれている
母のアリーヌと顔が似ています
ルノワールがアリーヌと知りあったのは1879年頃
ルノワールは38歳、アリーヌは20歳でした
しかし正式に結婚したのは1890年、ルノワール49歳
三男クロードが産まれたのは1901年
ルノワールなんと60歳の時です
ココことクロードは
ルノワールのお気に入りのモデルとなり
この他にも多くの作品が残されています
5年前に訪れたオランジュリー美術館
『道化師(ココの肖像)』は
オルセー美術館のすぐ近くにある
オランジュリー美術館の所蔵で
5年前に訪れた時もこの作品は展示されていました
『ピアノを弾く少女たち』
1892年 116×90cm オルセー美術館所蔵
ほぼ同サイズで同じモチーフの作品が6枚描かれており
そのうちの1枚が5年前に訪れたオランジュリー美術館にありました
オランジュリー美術館の『ピアノを弾く少女たち』
1892年 116×81cm オランジュリー美術館所蔵
5年前に訪れた時に撮影したものです
オランジュリー美術館とルーブル美術館は
館内撮影可だったのです
オルセー美術館は残念ながら撮影不可でした
『ジュリー・マネ』あるいは『猫を抱く子ども』
1887年 65.5×53.5cm オルセー美術館所蔵
マネの絵画のモデルとして知られている
ベルト・モリゾとその夫のウジェーヌ・マネ
(マネの弟)との間に産まれた
ジュリー・マネの9歳の時の肖像画です
夫妻がルノワールに依頼して描かれました
ジュリー・マネに抱かれている猫が笑っているようです
『ジュリー・マネ』に抱かれている猫がぬいぐるみになって登場
その笑顔に誰もが癒されます
ストラップ付きなので
かばんに付けてどこにでも連れて行けます
展覧会の売店で販売されていました
国立新美術館で開催されているルノワール展のレポートでした