日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

中国M&Aの難しさ ネット人材紹介

2009-07-09 | M&A
外資系企業の中国企業の買収に関しては、成功事例は極めて限られています。私自身もネット企業の買収の失敗案件に巻き込まれましたし、ネット関連に関しては、アメリカ企業、日本企業を問わず上手く行っている事例は聞いた事がありません。

 たまたま、人材紹介サイトの買収に関しての中国語の記事を見つけたのですが、この分野ではリクルートが中国No1の人材紹介サイト51Jobへ出資した事例が有名でしょうか。51Jobについては、その後も中国国内でのシェアは落としているものの、依然としてNo1の位置を保っていますので、そういう意味では失敗安間ではないですね。マイノリティ出資から初めて、増資できるオプションを持つという契約だったそうですがそれが良かったのかもしれません。Enジャパンも投資をしていたのですね。10億円すってしまったようですけど。。

 中華英才網: モンスタードットコムが買収。営業、トラフィック量共に指して増加せずZhaopin.comにはるかに及ばない。経済危機の元経営陣の交換、リストラクチャリング後にサイトの改革をしたが効果が出ていない。

 尚竜グループ: 5つの人材紹介サイトを買収。統一的な管理制度を導入するために、地方の人材紹介サイトに力をいれられず、2008年にはトラフィック量も下落した。

 Enjapan: 英才網に1千万ドル投資し合作を目指し、1度は明るい未来を抱いたが全く効果が無く、すでにひっそりと停止した。

 香港才庫グループ: 20006年10月に1500万元(2億円)出資して精英招聘を設立。網易と共同して人材紹介サイトを設立が、わずか1年半経過後の2007年12月には新聞による紹介業務を停止、ネット業務は継続したが撤退することになった。

 104人材銀行は、業界の期待を背負って進出したが、サイト集客数が2007年10月の140万人から、2008年12月には4万人まで下落した。

 人材分野に限らないのですが、外資系企業の失敗する理由として

・盲目的な投資: 市場規模や成長性のみを見て投資をするが、文化や戦略を理解しようとしない。

・市場調査不足と時期の誤り: 人材紹介サイトの場合、将来の状況が重要であり現在流行っているものが重要なのではない。中国市場の成熟度に対する無知。

・適当なCEOの不足: 中国大陸のプロフェッショナル・マネジメント人材の深刻な不足、中国の国情を熟知し、かつ外資の信用をえる人材は雀の涙しかいない。外資は、香港、台湾などから適当な人材を選ぶことしかできないが、大陸の環境は香港台湾とは大きく異なる。

・中国の経営に対する不信感から、管理コストの上昇、コミュニケーション不足、市場環境の変化への対応の遅れを招く。これはサイトの改定から事務商品の購入にまで及び、中国側の自主的な判断ができない事からもたらされる。意思決定には数ヶ月を要する事があり、変化の激しいネット市場では致命的になる。

・中国側の主動性不足: 決定権の不足から、中国側はただ言われた事を実行する機械になる。慣れてくるとは変化に対する主動性を失い最後は市場競争に淘汰される。

・中国のユーザーに対する見識不足: 「ユーザーが王様」というのはインターネットのいかなる分野でもいえるが、人材紹介サイトも1千もあり激烈な競争にさらされている。顧客満足度が極めて重要にもかかわらず、外資は中国のユーザーを深くは理解できず、外国の経験を提案する事しかできない。外国のユーザーと中国のユーザーの格差は大きい。

 研究開発、広告の失敗: 外資は利益に応じて開発やプロモーション等を行うが、事実として中国のユーザーの好みに合わない為に効果が出ない。

⇒前いた会社ではコンテンツ配信会社でしたが、日本では課金できるコンテンツが中国では海賊版を含む知財管理がないことから課金できないという悩みがありました。今、JETROが積極的に日本のコンテンツの配信を促進していますが、当面の間一般的なコンテンツはお金にはなりません。この国は数年前の話ですが、テレビの調査等とリンクしたショートメッセージに対する課金以外に、出会い系やエロサイトへの課金サービスが携帯コンテンツ業界の主な収入だったのですが、それを上手く隠してNASDAQに株式公開した企業が数社あります。

 価格面もそうかもしれません。私の処がここ数ヶ月売上があまり伸びていません。3-4月の税関対応、5-6月は事務所開設、倉庫閉鎖、自宅引越し、在庫管理のシステム化準備等で終われていたのと、プロダクトミックスを利鞘の低い物から高い物へシフトしている事で特に気にしていなかったのですが、先月から急激に売上の落ちたオムツ関係で新たな競合が極めて薄利で販売している事がわかりました。

 税関が検査を厳しくしている事から、従来からマークしていた大手の売り手の日本商品が減っているために、特に競合を調べていなかったのと、小売そのものは今後それほど拡大する気がない事からほっといておいたのですが、この国はスピードが速いなと思わされます。ミルクやオムツは必需品の為に、あれば値段次第で売れます。特にオムツの場合は口に入れるものではないだけに、単純に価格競争に陥りやすく量で利鞘を稼ぐモデルになってしまうのでしょう。

 資金制約もありますので利鞘の高い物の比率を増やすという方針ですが、売上の増加を求める場合は、やはり差別化できる商品を除き低価格競争に巻き込まれる事は避けられないですね。そして、低価格競争に耐えるには低コストオペレーションを進めざるを得ません。戦略や管理にコストをかける、日本を含む先進国型モデルは、なかなか通用しない面があると考えさせられます。

 多分コモデティは薄利、低コストオペレーション。それ以外は商品の確保と有料顧客の囲い込みが必要だと痛感します。具体的にどう進めていくかが鍵ですね。コモデティに成らないように商品をどう扱うかも大きな課題です。日中間で部ランディングを変え価格帯も変えている商品もあるのですが、この辺は早い段階で限界が来てしまうでしょう。

 最近、日本では中国ばやりで中国企業の投資の話とが増えているそうです。何社被害を受けるのでしょうかね?

 そう、最大の課題は買収した中国企業の経営者なんです。中国人でそれができる人、かつ日本語ができる人。居れば、既に自分で日本向けの事業を自分でやっているはずです。有る程度のお金を稼ぐのは、それほど難しくは無い世界ですから。だから、そういう人間がいないという前提で組み立てないとあかんですよね。でも、その仕組は欧米企業に比べ日本企業はきわめて弱い。 
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