日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

知財立国が危ない。。全く日本は。。

2015-05-02 | 日本・日系企業
知財立国が危ない
クリエーター情報なし

日本経済新聞出版社

 馬場先生からいただいた本です。

 知財というのは正直私の強い分野ではありません。2005年に一度日本に帰り技術開発型ベンチャーのCFOを短期間勤めていた時に若干学んだのですが、その会社は技術や社長がアメリカに移民した方で、基本特許などをアメリカで押さえており、訴訟するならアメリカベースの方が良いという程度の認識しか持っていませんでした。

 

 日本の産業が成熟化し、第二次産業では中国などの低コスト生産国に対抗できなくなってきた事から、知財立国という言葉がもてはやされていた時期がありますが、2000年代初頭だったのですね。最初の方に当時の日系ビジネスに掲載された知財関連のデータと、2011年実績が掲載されていますがノーベル賞受賞者数、大学初のベンチャー企業や特許件数はほぼ予測どおりに増え、特許使用料もそれに近いペースで増えたにもかかわらず、大学教授の年収と特許訴訟件数が逆に当時よりも減っている。。不思議だ。。

 

 で、驚いたの。。。本当に。特許侵害訴訟の損害賠償金額トップ10が、日米中掲載されているのですが。。まぁアメリカより大幅に低いのは想定済み。アメリカってこういうの滅茶苦茶高いですからね。が。。中国と日本って対して変わらない。。中国の1位は突出しておりかつ被告がドイツ企業、2位も被告が日系資本。3位もサムソン系列っぽいなんですが、中国企業同士でも8位の2億円から4位が5億円。7位ではドイツ企業が中国企業に対し4億円勝訴。日本は1.4位が何とパチスロメーカー、2位が原告スミスクライン、6位のIHI対日立で4億円。10位で3億円弱。

 そう。。。中国と日本そんなに変わらないの。。あのコピーだらけで通常日本企業が勝つことは無いあの国で。まぁこの国の場合所掌で勝ってもかならずしもその賠償金が取れるわけではないのですが。。

 またさらに驚かされるのは、アップル対サムソン。アップル勝訴でアメリカではサムソンは840億円支払い、いびつな愛国心の高い韓国でさえ280万円支払い、しかし日本ではゼロ。。。ギャラクシーってそれなりには売れていましたよね。。

 

 行政面でも秘密特許というものの存在ははじめて知りました。また仮出願制度が韓国にはできたの日本には無い。特許庁長官の人気が1年、弁理士制度や企業内知財関連部門の課題。まぁこの辺はそうだろうとは思います。日本は物造り意外はアジアレベル以下でしかないというのが個人的見解なので。私自身も文系なので偉そうにいえませんけど、日本のよさと強みは「絶対にミスを起こさずに確実に」というところに全ての労力が集約されていて、それがスピード感の無さ、臨機応変性の無さ、改革の遅さ、非効率の多さに繋がっていると思っていますから。。

 

 中国に関してもさらっと触れられておりますが、個人的には日本企業のリストラにより中国企業に雇用された日本人が既に大量に居る事、資本の力で欲しければ日本の中堅メーカー等何時でも買収できる事を考えると、今後ますます対中国は厳しいでしょうね。幸い中国側は、まだ研究開発や製造に関連する認識がコピーすればよいやという傾向が一般的なので動きは遅いですけど、早晩そういう時代が来ることは避けられないでしょう。

 

 農業が知財の宝庫というのは面白かったです。知人にIT経営者から農業経営者に転進した子が居るのですが、ここまで踏まえているのかな。ただ農業の場合は、日本のノウハウを海外現地にどう応用するかというワンステップが必要だろうとは思います。日本の農業制度の下で日本から生産物を輸出するというだけでは、おそらく縮小する日本市場だけを相手にする商売にとどまり、それ以上の発展はできないでしょうから。

 

 医療、コンテンツはどうかな。医療は山中教授の研究は素晴らしいが、日本では人体実験〔治験と言い換えるべきですが〕が容易ではないので、基礎研究分野が良くても製品化はどこか他の国で行わないといけないと思うんですよね。基礎研究分野のこういう素晴らしい成果は総沢山出てくるわけではないですから。コンテンツもしかり。確かに一定のニーズは世界中にある。詩化しますとして狙えるのは似たような感性を持つアジア諸国が数的には最大の市場。でもそこは知財無視の世界。どのようにマネタイズするのか。知財だけではない要素が含まれます。

 

 日本において知的財産をいかに活用するのか、以下に保護するかの問題提起の本で、とても面白かったです。でも企業人としてみた場合、

 「エー日本ってこんな状態なのかよー」

 というのが本音で、日本の体制が変わる時間軸はとてもビジネスには使えないので、知財辛味で何かする場合、当然アメリカをベースにするとかって考えになるでしょうね。まぁでも怖いのは、山中教授は日本で研究されていらっしゃったのでしょうが、今後アメリカに移住する研究者がどんどん増えるんじゃないだろうか。いや、下手したらシンガポールとか他のアジアの国とかにも。。

 

 日本の知財訴訟の賠償金の低さ=日本は突出した個の才能を中々認めない。スポーツや芸能の世界位ではないでしょうか。

 日本の集団主義は強みではありますが、成熟した社会になってしまうと金太郎飴しか生き残れない社会は、窮屈で才能の有る人にとっては馬鹿馬鹿しい物になるのではないだろうか。経営の世界でも同じことが言えると思うのです。台湾のハイテク企業では基本給与もそれほど安くないけどインセンティブは株。中国でもストックオプションのようなものが好まれる。頑張って成果を出したらそれに見合う対価が欲しいという人間の本能に忠実なんですよね。それを拝金主義と非難することは容易ですけど、怠けている人も頑張っている人も、大差が出ない日本の体質は、もう駄目なんじゃないかな。本書で指摘する知財分野における課題もそこにあると思うのです。知財訴訟における賠償金がアメリカ並み=現状の100倍になるのであれば、そこに付随するスタッフたち、弁護士・弁理士の所得の大幅な向上に繋がるはず。どこからお金を分捕るか次第ですが、雇用増加にも繋がりますよね。

 

 自分はともかく子供を育てるべき場所という意味で、またまた考えさせられるよなぁ。。。

 

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