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イスラミック・ブルー

スペイン、エジプト、イラン、トルコ、チュニジアへ、イスラミックな旅へ。
スペイン/地中海レストランガイド

大変!大変!

2010-11-08 22:35:03 | ないしょ ないしょ
しみはつづく…

一抱えの小さなスペイン。
花真っ盛りの時期を終え、秋の到来。

まだまだ楽しい日々。
根っこが出てくるこはいるかな?
ちょっと変わったケイトウの花は、たくさんの種をプレゼントしてくれた。
春になったら蒔いてみよう。

あれれ?
まだ誰かを種を落としている子がいるかな…
ガラスの周りに小さなつぶつぶ。
と、思ったら!!
ちっちゃくて、くねくねする元気のいい子が1匹、2匹…ずいぶんいるじゃありませんか。
ホントに、ホントに、お山からやってきたのね。

私にかけられる言葉で多い言葉の一つが
「大変ねえ」

大変とは、大きく変わると書きますねえ。
大きく変わること、そうそうないでしょう。
振り返ってみたら、「ああ、あの時転機だったかも」と思っても、
年中、ビックリしている事もないでしょう。

私は一度はじめた事を、あんまりやめない。
細く、細く、切れ切れにでも、続けていると、やることは確かにいっぱい。
でもね、こうして、小さな楽しみを、楽しむ時間を持っている。

忙しくても、大変でも、
毎日、一瞬でも、
お茶を一杯飲む時間、この子たちを見ている余裕があるから、
私は、私でいるのです。



いや、何が大変って、あなた…
毎朝この子たちを食卓に並べて、朝ごはんの間眺めて、
出勤前にまた高い所に隠して…
寝る前のひと時、またこの子たちを、食卓に並べて、お茶をいただいて。
そして、また何でも捨ててしまうお婆の見えないところへ隠す。
大変で急がしそうよね?
でもこれが私の毎日。
大きく変わったことも、
心を失った忙しさも、そこには見えないと思いませんか?


小さなスペインを抱きしめて

2010-11-02 19:00:00 | ないしょ ないしょ
 恋しくて
 恋しくて、
 ただ、恋しくて、

 そんな私を、「本当はスペインに還りたいエジプトの人」と、
 ますます涙の出そうな紹介をされる、今日この頃。

 それはまさに、聖地エジプトを目指し、アンダルシアから、ジブラルタルを渡り、
 マグレブ、チュニスから、沙漠を歩んだスペイン生まれのいにしえの人々にだぶる。

 赤い土地。
 灰色がかったオリーブの木々。
 深い緑と茶色のよどみ。泉。
 静かな川。
 山の中。
 住宅からすぐに山に入ってしまう、くっきりとした境界線。
 山の中。
 山の中。
 足元にも、頭の上にも、目の前にも、
 あふれんばかりの宝の山。
 木漏れ日が、宝の輝きを押しとどめる様に、
 上から差し込んでくる。

 海の向こうの山に、思いをはせて、
 目をつむり、耳に手を当てて、植物たちの声を聞こうとする。

 鉄のように重たい瞼が、軽くなった。
 スペインの山の匂いがする。
 一抱えもある、秋の花、たわわに実る赤い実、薔薇の実…

 ずっしりとした重みに、安心する。

 小さなスペインを、ありがとう。
 

私の背中の白くかぐわしい花

2010-10-28 00:17:23 | ないしょ ないしょ

マグノリアの咲く家に生まれた。

大人ばかりの家で、
赤ちゃん言葉も、子ども扱いもされず、
存在すらを忘れられ、
誰も、長時間私を見ていないことに不安を覚えない。

「パンツが木の上に飛んでいますよ!」と、
通りすがりの人がわざわざ、声をかけるほど大きな花。
「あれは、花なんです」と答えると
「ええ!!?」と、目を凝らして見上げるほどの、大輪の花。

マグノリア。
花びら一枚が、幼い私の両手よりも大きかった。

いつも、いつも、
マグノリアは私を見ていた。
生まれたときからずっと、ずっと私を見ていた。

3つになると、ひとりで遊んでいるときは、
いつもマグノリアの根元にいた。

家族の誰もが、自分のことに忙しく、
新しい赤ん坊に忙しく、
病に倒れた祖父に忙しく、
私は、家族みんながふと私を忘れた瞬間、
いつも、マグノリアの根っこの上に立ち、
大きな幹に寄りかかっていた。

「あっちゃんは?」という声が家の中から聞こえてくるまで、
いつも私は、マグノリアに抱かれていた。

マグノリアの後ろに咲く、
誕生の記念に植えられた、赤い薔薇を見ながら、
いい匂いに包まれていた。

人が怖い。
人が怖い人は、知らない人が後ろに立つのは、恐ろしい。
刃物を持った人が立つのは尚、恐ろしい。
だから、私は誰にも私の髪を切らせなかった。
ずるずると、いつの日か、
その髪をつたって、どこか自由の国へ降りてこうかと、
囚われの姫君ぶって、
伸ばして、伸ばしていた髪。

その人は、
いつも、さりげなく、手を差し伸べる。
細やかさは、木漏れ日のようで、
誰しも寄りかかりたくなるような雰囲気を持っている。

ああ、なんと、お名前がマグノリアですもの。
私は安心して、背を向け、髪をあずけた。

私の背にあるのは、いつもマグノリア。



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私の髪をばっさりと切った、マグノリア氏のお店はこちら
私と泰山木(マグノリア)のお話は
こちら

実録美容院体験(2010/10/23「断髪とマクベス」の巻)はこちら

心の落とし物

2010-10-19 18:00:00 | ないしょ ないしょ
 「忙しい、忙しい」を連発する人に、
 親友が静かに言った。
 「みんな忙しいわよ。
  今までに本当に忙しい人と言っていい人にはほとんど会った事がない。
  ここにそう言っていい人が一人いるけど、本人は忙し過ぎて、判らないようだけどね」
 と、私の方を見た。
 
 私?

 私はこのライオンのように、番をしつつ、惰眠をむさぼっているような、
 のんき者である。
 ぼんやりしているうちに、明日になっている。
 
 「ぼんやり!聞いてあきれるね!」と、親友が言った。
 
 その昔、祖父が言っていた。
 「忙しいという字は心が亡くなると書くんだよ。心を失ってはいけないよ」
 
 忙しがって失うものは計り知れない。

 物理的忙しさに、翻弄され、
 肉体的にどんなに忙しくても、
 分刻みのスケジュールをこなしていても、
 自分の為に、自分の大事な何かの為に、心があれば手を差し伸べられる。

 心がなければ、ただ疲れて、病を得るだけである。
 
 「宅急便で~す」と、誕生日プレゼントを届けたり、
 興味のありそうな情報を見つけたら、メールを送ったり、
 ちょっと寄り道、移動時間にメール…
 楽しいばっかり。
 楽しいことを考えられる時間を持てる喜び。
 
 誰かの為じゃなくて、自分の為にすることは、
 どんなことも忙しく思わない。
 結果的に、一緒に喜んでもえらえる人がいれば、
 もっと嬉しくなって、幸せな気持ちは心を大きくする。
 
 心をどこかに落としてきちゃった?
 落としたことにも気が付いていない?

 どんなに走り回っていても、私の心の中はいつでもこのライオンのよう
 地中海を目の前に、頭上にたわわに実るオレンジを、鳥にさらわれているのも気がつかず…

                                               phot:Sidi Bou Said in Tunisia

干からびたレモンと私の心

2010-09-02 22:38:42 | ないしょ ないしょ
ルクソールの家のお勝手から出た、たたきに
レモンの皮がひとつ
しゃがんで見つめていると
子どもが怪訝な顔をしている
「ヘルワ」(綺麗ね)と言うと、向こうへ行ってしまった

からっからにかわいた
レモンの皮

高村光太郎のレモンの詩は、
みずみずしいレモンのしぶきが、きらめき、
まぶたの裏に、ほとばしるレモンの水滴が見えるというのに、

このレモンが、
ついさっきまで
そんなきらめくレモンであったことなど
どこにも記憶していないような姿が
潔くて

一瞬にしてかわいてしまったからか
それとも、この土地がそうさせるのか

空っぽであることの美しさに見とれる

私の心はかわいている

そう言って、泣いている、湿った私の心は
まだ
救いようがあるのか

それとも

潔く、このレモンみたいになりたい


心は、まだ、お勝手の裏でしゃがみこんで
レモンの皮を見続けているところで止まっている

ラマダーンの日に

2010-08-24 21:22:55 | ないしょ ないしょ
                      
                         


祈りを捧げるとき
いつのころからか、心が空っぽになるようになった
神様に、お願い事はするものではないという
日々の感謝の気持ちが、
くりかえし、くりかえし、幸せをもたらすと

時に、愚痴をこぼしてしまうことも
そして、必死の願いを、強く訴えてしまうことも
もちろんあれど、

最後には、
真っ白な心で祈っている自分がいる

祈りの場所があるとは、
なんと幸せなことか

祈りの時間があるとは、
なんと幸せなことか

愚痴でも、お願いでも、祈ろうとする時をもてること
その小さな余裕を与えられたことを
神様に感謝する

おそらく、
その事に気がついた時から、
祈りの時、
無限に広がりを見せる、まっさらな、真っ白な、祈りの時に、酩酊

祈りに酔いしれる

ラマダーン月の今
イスラームの人々は断食し、その辛さを体感することで、
日々の糧のありがたさを、神に感謝する。

満たされているはずの日々
満たされていない時も、
祈りの時は常に空っぽになる

真実の酩酊




phot:Sidi Bou Said in Tunisia





熱帯夜に

2010-08-13 19:00:00 | ないしょ ないしょ
 なかなか寝付けない、真夏の夜
 それでもいくらか、うつらうつらとしている

 耳にさわる、蚊の羽音によびもどされ、
 汗ばんだ髪をかきあげると、一しずくの汗が伝う
 その道に、涙をのせて、
 けだるさをかなしみに変えて、
 うつつと夢の境目で、寝返りを打つ。
 
 いつの間にか這い出した蚊帳の中にもどり、
 耳障りな音よりも、汗か、涙かわからない、しずくを選ぶ。
 蚊帳の中は暑い。
 明け方の冷たい風を夢見て、
 また、うつらうつらと眠りゆく





phot:Sidi Bou Said in Tunisia

美味しい秘密

2010-07-25 22:45:23 | ないしょ ないしょ

 Under the rose…
 黙して語らず。

 その花に魅せられ、
 赤く染まる、乳白色の乙女の指先を思わせる棘に釘づけになり、
 語りかけてくるのをただ、ひたすらに待ち続けた。

 Under the rose…
 その名にふさわしく、凛として、閉ざしている。

 毎日、毎夜、
 Under the roseに、
 「ねえ、聞かせて」と、甘い声をかけるも、
 返事はない。

 

 花に見とれ、
 私は、足元に気がつかなかった。
 ある日、びっしりと鈴なりの青い玉を見つけた。
 つややかな、翡翠の実は、青い匂いを放っていた。
 Under the rose…
 真実、秘密は、永遠に、
 でも
作り出したその人の遊び心をどこかに潜ませ
 少しばかり披露してくれた、
 罪のない、かわいらしい内緒を、私に教えてくれた。

 真っ赤なトマトが実るころ、
 実に心奪われている私をよそに、
 Under the roseは、また、新たな秘密をその花に封じ込める。


 


薔薇の渓谷で

2010-07-06 17:50:18 | ないしょ ないしょ
 ないしょ話はこっそりと
 開かれた、広い広い処で
 誰も不思議に思わない
 人々が行き交うところで、
 ないしょ話とは
 夢にも思わない
 
 薔薇の渓谷が、
 薔薇色に染まる時刻
 ハートの木の下で、
 駆け落ちの相談

 誰も気がつかない
 ちょっと遠慮して、遠回りしてくれる
 用があれば、遠くから呼びかけてくれる

 秘中の秘
 深く、重たい、秘密ほど、
 広い広い処で

 ないしょの計画
 壮大な、先の見えない秘密こそ、
 開かれた場所で語るに限る

 わが一族に伝わる
 ないしょ話の方法
 
 隠すから見たくなる
 声をひそめるから聞きたくなる

 二人だけの秘密は
 薔薇の渓谷で
 薔薇色に染まる時刻
 ハートの木の下で

 
                                    foto/ Rose Valley Kappadokya

秘密の館

2010-06-04 17:57:32 | ないしょ ないしょ
 苔むした塀の向こう
 咲き乱れる花々と、伸び放題の草葉の奥の奥
 ひっそりと佇む屋敷には、
 秘密がいっぱい
 
 アラバスターの杯に注がれる
 真っ赤な葡萄酒
 待ち人が来るまでの一人遊びのチェス盤
 そして、今日の内緒話は…
 一輪のベラドンナがお相手します

 今日の内緒話は、
 たわいもない
 初夏の昼下がりのつぶやき

 我が家で初めて咲いたベラドンナ
 小さなな秘密を花弁にまとい
 大きな木へと背を伸ばす
 

ないしょの庭

2010-05-30 23:33:08 | ないしょ ないしょ
ないしょ、ないしょ
ないしょの庭に咲きほこる
花の数々あまたあれ
薔薇の莟の誘惑に、
風に揺られし花弁の手まねき
目をつむり、夢幻か、うつしよか、
のばして触れた指先に小さな棘が毒を盛る

お前の秘密は私の秘密

ベラドンナの低い、素っ気ない声が、耳たぶに触れる

語らずによし


お前の秘密は私の秘密

ベラドンナは私を見ない
風に身を任せながらも、
凛として花を魅せ
甘い色の莟で、引き寄せる

お前の秘密は私の秘密


人混みで
誰もいないあばら家の裏庭で
ベラドンナは
視線をあわせず、
声を寄せる




※写真の薔薇が今年発売された"ベラドンナ"


薔薇窓

2010-05-19 23:53:29 | ないしょ ないしょ
 ないしょ、ないしょ、ないしょのはなしは
 いつでも、薔薇の向こう側。 
  いつ、どこで…?  だれと?  

 ないしょ、ないしょ 
 薔薇窓をみつけたら、 
 いつでも、扉はひらかれる。  

 ないしょ、ないしょ 
 薔薇の匂いは、足を向かせる。  

 ないしょ、ないしょ 薔薇の下では、 
 固いつぼみも、鋭い棘も、 
 甘い匂いに誘われて、花開き、道をあける。  

 天から下がる、薔薇 
 それは秘密のしるし  

 薔薇の中の薔薇 
 秘密の秘密  


 私の秘密を知る薔薇は…