泰山木の花が大きな蕾をつけると、私を呼ぶ。庭の真中にある大きな大木の根元に私はいつも寄りかかっていた。木は、私を送り出す。新しい友達のところへ。学校へ。新たなところに踏み出す勇気をくれた。 「さあ、行ってごらん」と。
東京の泰山木は、耐えている。葉は硬く、器のように丸まり、朽ちることすらしない。それは「東京に骨を埋めたくないんだ」と言っているようだ。南国のプライド高き木は、雪が降るとその寒さと重さに耐えられず、大きな音をたてて、折れる。
あるとき、木が倒される日がきた。
木は私に訴えかけた。「私の祖国に行って、仲間に伝えて欲しい。はるか東方の国でも、仲間は生きていると、そして私の花や葉の本当の姿を君に見て欲しい」
幹が引き裂かれるとき、悲鳴のようなそんな叫びが聞こえた。
東京で泰山木の花が咲くと、私は空を見上げる。
この大きな白い花が映える空は、こんな灰色がかった空ではない。
真っ青な空を求めて大きく開いた花にささやく。
「還ろう。あなたのふるさとに」
スペインのアランフェスで、咲き乱れる泰山木を見た。柔らかく平らで艶やかな葉。そして青い空に生える白い花。
この木が赤い実をつけることを、私はスペインで初めて知った。
香しい花びらに想いをのせて、春になると青い空と海を持つ国へ私は旅立つ。
東京の泰山木は、耐えている。葉は硬く、器のように丸まり、朽ちることすらしない。それは「東京に骨を埋めたくないんだ」と言っているようだ。南国のプライド高き木は、雪が降るとその寒さと重さに耐えられず、大きな音をたてて、折れる。
あるとき、木が倒される日がきた。
木は私に訴えかけた。「私の祖国に行って、仲間に伝えて欲しい。はるか東方の国でも、仲間は生きていると、そして私の花や葉の本当の姿を君に見て欲しい」
幹が引き裂かれるとき、悲鳴のようなそんな叫びが聞こえた。
東京で泰山木の花が咲くと、私は空を見上げる。
この大きな白い花が映える空は、こんな灰色がかった空ではない。
真っ青な空を求めて大きく開いた花にささやく。
「還ろう。あなたのふるさとに」
スペインのアランフェスで、咲き乱れる泰山木を見た。柔らかく平らで艶やかな葉。そして青い空に生える白い花。
この木が赤い実をつけることを、私はスペインで初めて知った。
香しい花びらに想いをのせて、春になると青い空と海を持つ国へ私は旅立つ。
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