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雨宮処凛がゆく! 必要とされる「終活ワンストップサービス」、国の「身寄りなき老後」支援の新制度に思うこと。

2024年05月16日 | 生活

マガジン9 2024年5月15日

 マガジン9 (maga9.jp)

 「一家に一冊、というより一人に一冊」

 「老後への漠然とした不安が激減した」

 「どういう準備をし、どこに連絡をし、どんな制度を使えばいいか具体的なこ

 とがわかった」

 「これで生き延びられる」

 これらの言葉は、2月に出版した『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書)に寄せられた感想である。

 本書は発売2ヶ月で早くも5刷。書いた本人である私が一番驚いている。物書きになってから24年、これほどの勢いで売れているのは初めての経験だ。私の不安ってみんなと同じものだったんだ。そんな思いをひしひしと噛みしめている。

 そんな折、ある報道を目にした。

 それは5月7日の朝日新聞に掲載された「身寄りなき老後 国が支援制度 日常生活から死後対応まで 試行へ」というものだ。

 記事によると、今後増えていく「頼れる身寄りのいない高齢者」が直面する課題を解決しようと、政府が新制度の検討を始めているという。その内容は、行政手続きの代行など生きている間のことから葬儀・納骨といった死後の対応まで。

 「入院時に頼れる親族がいない」「認知症になったときのお金の管理が心配」「遺言を残したい」「葬儀や納骨をしてくれる人がいない」「死後の家財の処分はどうすれば」などなどの困りごとへの対応ということで、これってまさに『死なないノウハウ』で書いたことじゃん! と叫びそうになった。

 「お金」や「仕事」「健康」など6章からなる『死なないノウハウ』だが、反響が大きいのは親の介護や自らの終活・死について触れた章。特に「民間の終活団体」「一種の家族代行業」として注目を集めている「一般社団法人LMN」のサービスには大きな関心が寄せられている。

 LMNとは、Life(生活)、Medical(医療)、Nursing(介護)の組み合わせ。公式サイトには「医療・介護の場面はもちろん、QOL(生活の質)の維持や誰もが必ず迎える終末期の準備まで、クライアント様のあらゆるニーズに関わる方々との『つなぎ役』となることを目的としております」という言葉がある。

 そんなLMNが提供するのは、施設選びから納骨までの仲介サービス。墓じまい、実家じまいにも対応している。ちなみに依頼者の9割が、「親の介護ができない」という子ども世代。40〜50代がメインで、そうなると親は70〜80代が中心だ。親が毒親で関わりたくないということもあれば、働き盛りの現役世代ゆえ、なかなか対応できないというケースもある。

 そんな中でも歓迎されているサービスは、親が入る施設からの第一連絡先になってくれること。ちなみに施設によっては関西の施設から東京の子どもに「トイレットペーパーがなくなったから持ってきて」というような連絡が入ることもあるそうで(勘弁してほしい……)、そのような「施設ガチャ」にも詳しいからこそ、施設選びから関わるサービスを提供しているという。

 一方、本書では親や自分が口から栄養が取れなくなった場合の際の注意点にも言及している。

 このような場合、胃ろうや経鼻経管栄養、CVカテーテルなどの選択肢があるわけだが、何を選ぶかによって、今いる施設にいられなくなる可能性もあるのだという。

 それは非常に困る、という人が大半だろう。多くの場合、「看取りまで」ということで高いお金を払って入る施設だ。そこを追い出されてしまうなんてたまらないが、その理由は、夜は看護師がおらず、医療行為ができない施設が多いから。が、施設によっては「うちは胃ろうならできますよ」「CVカテーテールならOK」ということがある。そうなると、必然的に施設で対応しているものが選択肢となるわけだ。そうすれば、安心して施設にいられることになる。

 高齢者施設を選ぶ際、多くの人は何を基準にしていいのか、そこからもうわからないわけだが、必要なのはこのような「情報」ではないだろうか。「お金がないから有料サービスなど使えない」という人でも、こういう情報があれば、施設選びの参考にできる。本書には、このように知っていて損はないもろもろを盛り込んだ。

 ちなみに私は、知人の付き添いで高齢者施設についての説明を受けたことがある。知人の親が施設に入るかもということで同行したのだが、その際、情報として出てきたのは食事のメニューや「こういう楽しいイベント、レクリエーションがあります」というものばかり。それはそれで重要だが、もっと医療的なことや「いざという時」のことこそ必要だと、今になってしみじみ思う。ただ、その時の私は、「何を確認すべきか」ということさえもまったくわかっていなかった。

 さて、それではこれから制度化が目指される国の支援はどういうものなのだろう? 厚労省は、ふたつのモデル事業を始めるという。

 ひとつは市町村や社会福祉協議会などに相談窓口を設け、「コーディネーター」を配置するもの。日常の困りごとや終活、死後の遺品整理などの相談に乗る。法律相談や終活支援をする専門職、葬儀・納骨や遺品整理をできる業者などとつないで契約手続きを支援するそうだ。

 非常にいい取り組みだと思うが、もっとわかりやすい「終活ワンストップサービス」みたいなものが無料、もしくは低額で受けられたら……と思ったところ、ふたつ目が方向性としてはそれに近いようだ。

 内容はというと、市町村の委託、補助を受けた社会福祉協議会などが、介護保険の手続き代行から金銭管理、緊急連絡先としての受託、死後対応などをパッケージで提供、とのこと。またお金については「国による補助で少額でも利用できるようにする」という。

 記事によると、国に先立ち、すでに独自の事業を始めている自治体もあるそうだ。

 東京都豊島区の「終活あんしんセンター」では「任意後見」や「死後事務委任」の契約を支援。また愛知県名古屋市では、資産や所得が一定以下で、子や孫がいない独居の65歳以上に、見守り・安否確認、葬儀や納骨、家財処分などのサービスを提供しているという。

 ちなみに私は単身・子なしゆえ、「この先」の不安から取材を重ねて『死なないノウハウ』を書き上げたわけだが、単身世帯は今や4割近くで2.5世帯に一人。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、65歳以上の単身世帯は20年には738万世帯だが、30年には887万世帯に、そして2050年には1084万世帯と1000万を超える予定。65歳以上の「独居率」は50年には男性で26.1%、女性で29.3%に達する見込みだという。

 2050年、私は75歳。ということは、ロスジェネがとうとう後期高齢者になるわけだ。

 その時までに、無料もしくは安く使える「終活ワンストップサービス」が充実していてくれれば、みんなどれほど安心して老後を迎えられるだろう。

 そんな制度づくりの参考になるのは、民間の有料サービスだ。なぜならそれは、お金を払ってでも必要とされる、現場の切実なニーズから生まれたものだからだ。

 『死なないノウハウ』にて、民間の有料サービスについてはLMNだけでなく、「相談室ぱどる」も紹介した。私自身がさまざまなトラブルに見舞われたり、既存の公的制度では対応できないケースの相談を受けた際、またどう考えても警察沙汰なのに警察が動いてくれない時などにお世話になってきた相談室である。

 行政書士、精神保健福祉士、社会福祉士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士などなどの資格を持つ原昌平さんが立ち上げた「ぱどる」のパンフレットには、以下のような言葉がある。

 「生きていく安心から、相続・死後の備えまで」

 「社会保障+福祉+法律+医療+お金+住宅」。

 「総合的に相談に乗り、生活の設計と支援をおこないます。公的機関で対応しづらいサービスを有料で提供します。国家資格をもつ専門職が、家族の代わりになります」

 このようなサービスが生まれたきっかけは、この国の「縦割り行政」の中で制度の狭間に落ちるようにしてセーフティネットから漏れてしまう人が生み出されるのを見てきたからだという。

 例えば、福祉職の人は福祉に詳しくても、法律や税金についてはわからない。一方、弁護士や司法書士は福祉や社会保障制度のことをあまり知らない。行政の人は、自分の窓口のことはわかっても、違う分野のことは知らない。また、困りごとがある時、私たちはそもそもどこに行けばいいのかわからないことが多々ある。市役所なのか、保健所なのか、労基署なのか、ハローワークなのか、年金事務所なのか。だからこそ、ナビゲート役が必要ということで開設されたのが「ぱどる」だ。

 そんな「ぱどる」が得意とするのは、社会保障をフル活用するノウハウや暮らしのサポート、相続、遺言、終活サポートなどなど。中には「継続的な生活支援サービス」もあり、「緊急時連絡カードの作成」や「カギの預かり」、また「パソコン・スマホ・通信の設定補助(基本的なもの)」というのもある。今すぐ高齢の親戚なんかに勧めたいし、なんなら私も使いたい。

 と、少し触れただけでも「国の支援」が新しく作られるなら、ぜひ参考にしてほしいことが盛りだくさんではないだろうか。

 一方、身寄りのない高齢者への新制度が充実したものになれば、高齢者が亡くなった後に放置される空き家問題や、増え続ける孤独死などにも対応できるだろう。「終活ワンストップ」という横串を刺すことで、解決できる問題はたくさんある。そもそも老後2000万とかほとんどの人にとっては不可能なんだから、安心できる制度をみんなで知恵を絞って作って生き延びるしかないのだ。

 ということで、この新制度、どんなものになるのか見守っていきたいし、自分のために、さらに情報を集めてきたいと思っている。

 最後に。『死なないノウハウ』をまだ読んでない人はぜひ、立ち読みでもしてほしい。「ラーメン一杯の値段(990円)で無敵になれた」という嬉しい声も多数頂いている。


園のようす。


教員不足 少人数学級に影

2024年05月15日 | 教育・学校

35人以下 やっと実現したのに弾力運用で40人

「しんぶん赤旗」2024年5月15日

 教員の長時間労働や志願者減少の影響を受け、教員不足に年々拍車がかかっています。今年度もすでに各地で深刻な不足が生じています。川崎市では4月の教員不足が市基準で131・5人となり、少人数学級が後退する学校まで出ています。(佐久間亮、島田勇登)

川崎、過去最多迫る

 川崎市の昨年4月の教員不足数は61・5人でした。年度途中に産育休や病気などによる離・休職者が出たことで今年2月には過去最多の146・5人を記録。今年度は4月からこの過去最多に迫る状況です。

 現在法律上の学級編成の標準は小学1~5年生まで35人以下です。川崎市では教員不足のため4学校5学級で標準を上回る36~40人編成としています。市教育委員会は、教員の志願者減少などを要因に挙げます。

 一方、川崎市教職員連絡会の大前博事務局次長は「少子化で教員が余るといって正規教員の採用を抑制してきたことが最大の原因だ」と批判。教員不足が学校の長時間労働に拍車をかけ、産休取得を同僚に謝らなければならないような職場環境の悪化をもたらし、さらに志願者が減る悪循環になっていると語ります。

千葉県、異例の通知

 千葉県では2月に県教委が、小学5年生以下でも実情に応じ36~40人編成にする「弾力的な運用」が可能だとする通知を市町村教委あてに出しました。2学級を1学級にし36~40人編成にした場合、教員を2人配置することなどが条件です。

 表向きは教員不足対策とは異なるものの、文部科学省が「例外的に許容」とする対応をわざわざ抜き出して通知にするのは異例。弾力運用を口実に35人以下学級を見直し、年度途中の休職者に備える自治体が出てくるのではと懸念の声があがります。

 同県教委は、1校で何人も教員が不足すれば弾力運用の複数教員配置に影響が及ぶ可能性もあるとしつつ「そうした事態は考えにくい」としています。

 全教千葉教職員組合の浅野涼平書記長は、年度途中に3人が産育休に入るのに代替教員のめどが1人もついていない学校もあるとし、県教委の見通しの甘さを指摘します。

 弾力運用で小学校低学年の35人以下学級が40人ぎりぎりの編成に見直されたある学校のベテラン教員は、この学校が現在抱える困難を考えるとやむを得ない面もあるとしつつ、こう語ります。

 「学校に余裕があれば弾力運用は必要ない。コロナ危機をへてやっと35人以下学級が実現したのに、また狭い教室に押し込められる。子どもたちが一番の被害者です」

これでは学校がもたない

残業代不支給を継続

 教員不足の要因の一つが、各地で過労死の悲劇を生みだしている異常な長時間労働です。文部科学省の2022年の調査では、小中学校とも持ち帰り残業も含めた1日の労働時間の平均は約11時間半に上り、中学校では4割近い教員が過労死認定ラインの月80時間を超える時間外労働をしていました。

 精神疾患による休職者数も過去最多を更新し続け、22年度は6539人です。

 文科省は昨年6月に中央教育審議会(文科相の諮問機関)に長時間労働解消に向け特別部会を設置。同部会は1年近い議論を経て13日に「審議まとめ」を策定しました。しかし審議まとめを見た教員からは「『このままでは学校がもたない』という現状をいっそう深刻化させかねない」との声が上がります。

 労働基準法は1日の労働時間を8時間と定めています。時間外労働には割増賃金を払わなければならず、違反した雇い主には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

 しかし、公立学校の教員は「教職給与特別法」で例外扱いとされ、月給の4%を教職調整額として一律に支給される代わりに、残業代は出ません。時間外労働は「自主的な活動」とされ、行政は残業代を負担せず、管理職が刑罰に問われることもありません。

 自民党は、特別部会の設置直前に提言を発表し、議論前から残業代支給を「選択肢とは言えない」と否定。その代わり教職調整額を10%以上に引き上げるとしました。

 残業代支給をめぐって特別部会では▽自主的な活動と労働時間の切り分けが困難▽残業を指示する管理職の負担が増える▽給与の負担は都道府県、服務監督は市町村教委と分かれているので残業代による労働時間抑制効果がない―などの意見が出る一方、教職員組合や全国高等学校PTA連合会は残業代支給を求める意見書を提出しました。

 教育研究者有志20人が呼びかけた残業代支給などを求める署名に18万人超の賛同が集まるなか、審議まとめに書き込まれたのは、残業代不支給制度の維持と教職調整額の10%以上への引き上げ。書きぶりも自民党の提言を引き写したかのようです。

低い教育予算を放置

 中教審は19年にも長時間労働解消をうたう答申を出しています。このときも残業代不支給制度に手を付けず、教職員定数の改善目標もなし。その結果、教員不足が深刻化し、文科省の21年4月の調査でも全国で2086人の教員が未配置となっていました。

 首都圏の小学校のある中堅教員は、教育委員会から業務改善の指示は盛んにくるが、労働時間が短くなった実感は全くないと断言。「在校時間を短くするため学校は午後8時に閉まるようになったが、みんなパソコンを持ち帰り、家で仕事をしている」といいます。

 この学校では、学級担任を受け持つはずだった新卒教員が着任早々職場を去りました。理由は分からないものの「年度初めは業務量が非常に多く、全員遅くまで学校に残っていた。イメージと違ったのでは」と推測。現在は教頭や専科教員で回しているものの「来年度まで担任が未配置の可能性もある」と声を落とします。

 19年の答申を取りまとめた小川正人東大名誉教授は当時、残業代支給には「1年間で9千億円から1兆数千億円が必要です。しかし、財源のめどはありません」(「朝日」18年12月24日付)と語っています。一方、盛山正仁文科相は5月14日の会見で、教職調整額を10%にした場合の国費負担は約720億円増となると語っています。地方負担分を合わせても約2160億円増です。

 前出の中堅教員の場合、月間時間外労働は平均50時間程度だといいます。4%が10%になると教職調整額は1万5千円から3万8千円に増えます。ただし残業代なら4・5倍の約17万円です。さらに時間外労働が80時間になれば残業代は30万円近くに増えますが、教職調整額なら3万8千円のままです。

 残業代不支給制度の継続は、国際的に見ても低い日本の公的教育予算を増やさず、教職調整額のわずかな増額と引き換えに「定額働かせ放題」を温存するものです。

 全国知事会などは、教職員の配置基準を定めた「義務教育標準法」の見直しによる定数改善を求めていました。審議まとめは、標準法見直しで増えるのは活用目的を限定しない基礎定数なので、教員の負担軽減につながらない可能性があると主張。政府の政策目的に沿って教員を配置する加配定数の改善を優先するとしました。

 教員が受け持つ授業時数に上限を設けることで長時間労働を抑止する案も、管理職の裁量を縛るとして採用しませんでした。

 

命と健康守る仕組みこそ

三坂彰彦弁護士に聞く

 日本弁護士連合会は2021年の意見書で、教員に労働基準法の労働時間規制を適用するよう求めています。意見書作成に関わった三坂彰彦弁護士に聞きました。

 労基法は憲法27条に基づき労働条件の最低基準を定めた法律です。時間外労働に割増賃金の支払いや罰則を科すのは労働者の生命と健康を守るためです。多くの教員が過労死や精神疾患に追い込まれるもとで、労基法の労働時間規制の適用は不可欠になっています。

 教員は高度な専門性があり裁量が大きく残業代支給になじまないとの指摘があります。しかし、そもそも労働時間が過労死ラインに達しているような職場で高度な専門性の発揮は困難です。私立や国立学校の教員には労基法が適用されていますし、医師のうち勤務医も労基法の残業規制の適用対象です。

    残業承認で管理職の負担が増えるとの指摘もありますが、これは現在の管理職数を前提とした場合の話です。また、民間企業でも定型的な業務は包括的な承認で対応しています。

 残業代支払いを義務化しても労働時間抑制の効果は期待できないとの指摘もありますが、県教委は教職員の人事権を持つなど市町村教委と緊密な連携関係にあり、市町村が県の給与負担を考慮しないことは考えられません。

 残業代は賃金の25~50%が割り増しされるので教員を増やす強い動機になります。一方で基本給の一定割合で定められる教職調整額には労働時間抑制の効果はありません。

 教員の時間外労働の最大の原因は1人当たりの業務量が多すぎることです。業務量削減には持ち授業時数の削減と少人数学級の推進、そしてそのための教員の抜本的増員が必要です。労働時間規制の適用は、その方向を動機付ける最も効果的な手段と言えます。


スケスケで向こうまで丸見えだった景色も緑が多くなりました。


地域主権ネット 社会を変える「起点」に

2024年05月14日 | 社会・経済

「東京新聞」社説 2024年5月14日 

 地方自治体への国の指示権限を拡大する地方自治法改正案に対し「地域主権」を目指す自治体首長ら地方自治の現場から異議が相次いでいる。中央集権的な日本の統治機構を改め、地方分権を推進してきた流れに逆行するからだ。
 異議申し立ては、地域主権主義に根差した政治を目指す首長らでつくる「ローカル・イニシアティブ・ネットワーク(LIN-Net)」などが主体。地域に芽生えた活動を起点に、私たちの社会を変える輪を広げていきたい。
 LIN-Netは東京都の保坂展人世田谷区長、岸本聡子杉並区長、多摩市の阿部裕行市長、政治学者の中島岳志氏らが地域主権実現や市民参画の街づくりを掲げて2022年11月に発足した。
 これまでに7回の集会のほか、政府提出の地方自治法改正案を巡り、他団体や国会議員とも連携して反対集会を国会内で開くなど、地方自治に関わる問題について意見の交換や表明をしている。
 同改正案は、災害対策基本法や感染症法など個別法に規定がある場合に可能とされる国による地方自治体への指示を、大規模災害や感染症まん延などの非常事態時には、規定がなくても人命保護に必要な措置の実施を指示できるようにする内容だ。
 保坂氏らは新型コロナを巡る国の対策遅れを例に「国がいつも正しいとは限らない」と問題点や、非常時に自治体が国の指示待ちとなる改正法の弊害を指摘した。
 2000年施行の地方分権一括法で国と地方の関係は「上下・主従」から「対等・協力」となり、それまで国の事務を代行するだけの「3割自治」と揶揄(やゆ)された自治体の在り方は大きく変わった。
 そうした地方分権改革を推進したのは、後に首相になった熊本県の細川護熙、三重県の北川正恭、岩手県の増田寛也各氏ら改革派知事であり、地域から声を上げれば許認可権を握る国も重い腰を上げざるを得ない証左だろう。
 保坂氏は、地域主権主義の成果として、世田谷、渋谷両区が9年前に始めた「同性カップル認証制度」や、事業者のジェンダーバランスなどを考慮する区の入札評価方式などの事例を挙げている。
 成功例を積み上げれば地域主権が必要とされる説得材料となり、住民の支持も広がる。私たちが暮らす地域を起点に、少しずつでも社会の在り方を変えていきたい。

天気が良いと帰るのが遅くなる。
まだ朝方の最低気温が10℃に達していないので開けたまま帰るわけにもいかず、ある程度落ち着いてから閉めて帰らなければならない。
朝もゆっくりとしていられない。
 

食への権利:食の戦争体制が進む中で

2024年05月13日 | 自然・農業・環境問題

印鑰智哉ブログ 2024/05/11

 

 食料・農業・農村基本法改正案、そして食料供給困難事態対策法案の最大の問題点はここまで日本の食・農をダメにしてきた政策を変えずに「これまでのビジネスをそのままやらせろ」というのが基本になっていて、そんなことをすれば確実にやってくる食料危機に強権使って対応するというセットになってしまっていることだ。

 今、気候危機、生物絶滅危機などの多重危機の進行は予想を超えて進んでおり、このままでは世界全体で危機的な事態に陥る。その中でもっとも脆弱な部類の日本はさらに厳しい状況に追い込まれるから、もっとも機敏に対応しなければならないのだけれども、現在の政権の下ではそれは期待できない。官僚がマイクのスイッチを一度切ってしまったら、オンに戻させることすらできない大臣が構成する政権では無理だろう。

 必要なことは可能な限り外部からのインプットを減らす、アグロエコロジー的転換を大規模に行うこと。そのためにはタネから変えていく必要がある。政治的な力がなければ到底、必要な規模での転換は不可能だ。環境負荷を減らしつつ、そうした農業を支えるための予算をつぎ込む。

 でも単なる政権交代だけでは実現できない。というのも、産官学の癒着構造ができあがっていて、それは現在の政府だって把握していないだろう。だから政権だけ変えても、その変化は実働部隊までに及ばない。政府の外に民間企業が主体となって外郭団体が作られ、それに補助金や委託事業などで公的資金が使われている。民間企業の、民間企業による、民間企業のための施策が公金で行われている。市民の生活が苦しくなるのも当たり前だ。私たちはますます食べられなくなっていく。

 しかし、政権交代が第一歩となって、その下で実働部隊の実態を明らかにして、解体していくしかない。もし、このままの方向を変えられなければ近い将来、かなり恐ろしい事態になることは避けらなくなるだろう。どう変えるべきか、その提言の基盤となる記事をまとめている。完成はまだ先。

 食への権利が国連で宣言されたのは1996年¹。日本では2024年になっても食への権利は法制化されず、食料安全保障にすり替え、強権的な体制に押し込もうとしている。

 一方、メキシコは今年3月7日、適切かつ持続可能な食料への権利を定めた画期的な法律を制定した²。適切かつ持続可能な食料というのは栄養価が高く、十分な量があり、質が高く、安全で、文化的に適切という意味である。これこそ日本が食料・農業・農村基本法で取り入れるべき観点ではなかったか? 食とは基本的人権なのだから。

 日本では権利なき食と農の憲法が現在、参議院で審議中³。

 戦時食料法というべき食料供給困難事態対策法は衆議院で審議中⁴。

 気候危機・食料危機対策として、早急なシステム転換が必要なのに、そのシステム転換を不可能にしてしまおうという動きが進んでいる。本当に世も末的状況だ。


園のようす。
先日の霜害で・・

 

ウドが出てこないと思ったら、やられていました。

こちらは🍓いちご。中央部分が黒くなっています。


増加する認知症 暮らしの安心支えたい

2024年05月12日 | 健康・病気

「東京新聞」社説 2024年5月11日 

 認知症の人は2025年に全国で471万人、60年には645万人に上るとの推計を政府が公表した。超高齢社会を迎えて認知症の人が増えても、それぞれが住み慣れた地域で、安心して暮らせるような社会の仕組みづくりを急がねばならない。

 15年に公表された前回推計に比べて25年、60年ともに認知症の人は約200万人減ったが、今回初めて公表された認知症の前段階に当たる軽度認知障害(MCI)の推計は60年に632万人に上る。MCIと認知症の合計は1300万人に迫り、高齢者のおよそ3人に1人が認知機能に障害がある計算になる。

 認知症の人が前回推計より減少したのは認知症の発症リスクとの関連が指摘される喫煙率の減少や食生活改善、生活習慣病の予防意識の高まりなどが考えられる。

 MCIの人も生活習慣の改善である程度、正常に戻る可能性があるとされる。改善効果を検証・周知して認知症予防に役立てたい。

 長寿化に伴い、高齢者に占める認知症の人の割合は上昇し、1人暮らしの高齢者も増える。こうした高齢者の暮らしを支えるには、介護保険制度の財源と介護人材の確保に知恵を絞り、持続可能なものにするだけでなく、医療をはじめとする幅広い分野での支援が必要となる

 認知症対策を進めるため、政府は1月に施行された認知症基本法に基づき、対策の目標などを盛り込んだ基本計画を今秋にもまとめる。計画策定にあたっては、本人やその家族の意見も幅広く取り入れて、実効性のある計画を策定せねばならない。

 忘れてはならないのは、健康の維持に努力しても認知症になる人はいることだ。認知症になっても、その人の尊厳を守り、地域で穏やかに暮らせるような環境を整えたい。そのためには認知症に対する国民の理解を深め、「見守り役」の隣人を増やさねばならない。

 地域の支え手となる「認知症サポーター」の養成が全国で1500万人を超えたことは心強い。認知症の人を支える地域社会の輪をさらに広げたい。


今朝からミニトマト苗の定植作業を開始。
まだ少し早い感じなので急ぐこともない。
午前のお茶タイムを終えて、菜の花を見ながら丸加高原の「そらぷち キッズ キャンプ」へ行ってきた。難病を抱える子どもたちが利用するキャンプ場だ。

「もりのおんがくさい」なるものをやっていたので小学生のコーラスだけ聞いてきた。とてもいいコーラスだった。
駐車場から送迎カートが・・・
楽しい。

「高原」なので少し寒い。


「なぜ日本政府は、国民の声に耳を貸さないのだ」 読売、時事、朝日の世論調査が映し出す政府との認識のずれ 猿田佐世

2024年05月11日 | 社会・経済

AERA dot.5/8(水)

 アメリカを訪問した岸田文雄首相の米議会の上下両院合同会議での演説は、かつてないほど好評で、拍手でもって支持された。それは、安全保障において「米国と共にある」「日本も責任を担う」と力強く宣言したことが大きい。だが、安全保障については、日本国民と、政府の認識との間には大きなギャップがあるようだ。この点について、シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」代表で、弁護士(日本・ニューヨーク州)の猿田佐世さんが寄稿した。

*  *  *

     4月、岸田文雄首相はワシントンを訪問し、日米首脳会談を行い米議会で演説した。共同声明では日米で自衛隊と米軍の作戦・能力統合のため指揮統制の連携強化を発表。議会演説においては、岸田首相は、ここ数年の日本の急速な防衛力強化をアピールし、日本は米国と共にあると訴え、日米は地域に限られないグローバルなパートナーであり、日本も責任を担うと宣言した。

 幾つもの米メディアが、日本は平和主義から脱却した、真の意味で米国との防衛パートナーになろうとしている、などと報じている。確かに、この岸田首相の演説を聞けば、日本は、増強した軍事力を手に、日本から遠い地域の出来事に米国と共に関わることもいとわないのだ、と捉えるだろう。

 戦後長らく日本は、平和憲法の下、「専守防衛」を安全保障の基本方針とし、自衛のための必要最小限度の実力しか有さないとの防衛政策を取ってきた。しかし、近年、拡張主義的な中国や北朝鮮の核・ミサイル実験など不安定な地域の安保環境に鑑み、急速に防衛力強化が図られてきた。2014年には集団的自衛権の行使を認め、2022年には安保関連3文書を改定して敵基地攻撃能力の保有や防衛予算の倍増を決定するなど、「歴史的な大転換」と報じられる政策変更を何度も行ってきた。

 もっとも、日本国民の多くは、「平和国家」であることを国のアイデンティティとしてきた。「米国との防衛パートナーとしてグローバルな責任を担う」という政策は、つい10年前の日本の安保政策とは激しく異なるものである。国民はこれを受け入れているのだろうか。

  この4月に発表された読売新聞の世論調査の結果を見てとても驚いた。

 例えば、2015年に政府は集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法を成立させているが、これについて、この世論調査では評価する人が49%、評価しない人が48%と結果が拮抗していたのである。既に、2015年から約10年が経っており、その間、政府は、この安保関連法に加えてさらに多くの防衛力拡大の政策変更を繰り返し行って今に至っているにもかかわらず、である。しかも、読売新聞は、歴代首相の中でも保守色の強い安倍晋三首相(当時)が、自分の考え方を知るには読売新聞を熟読してほしいと国会で言った通り、保守を代表する新聞である。一般的に世論調査の結果は質問次第で大きく変わるとされており、読売新聞の世論調査の結果は保守政権である政府寄りに出ることが多いとされている。その読売新聞の世論調査において、いまだ回答者の半数が安保関連法に「反対」と答えているのは衝撃である。

  他にも、この世論調査では、反撃能力や防衛予算の倍増を決めた2022年の安保三文書の改定を評価する人(どちらかといえばを含む)が50%、評価しない人(同)が48%で拮抗、今年3月の防衛装備移転の輸出制限の緩和についても評価しない人は49%、評価する人が47%で、これまた拮抗していた。「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則については、今後も守るべきとする人(同)が73%に上っている。

 質問が異なるために他の世論調査と単純比較はできないが、他の例を挙げれば、中道といってよいであろう時事通信の調査(2023年)では、殺傷能力のある武器輸出の緩和については反対が60.4%、賛成が16.5%だったし、新聞通信調査会(同年)による世論調査[6]では防衛費増額については反対(同)が55.5%、賛成(同)が42.8%であった。また同調査では、台湾有事の際に「自衛隊が米軍とともに中国軍と戦う」とする人は13.3%にすぎなかった。

  また、例えば、安保環境の悪化が叫ばれる中、防衛力の強化自体を支持する国民が多くなっているのは、社を問わず一般的な世論調査の傾向であるが、先の読売新聞の世論調査で「防衛力強化のため、政府は、どのようなことに重点的に取り組むべきか(複数回答)」との質問において、政府がこの間前面に打ち出している「長射程ミサイルの開発」については26%、「次期戦闘機の開発」については13%の支持しかなく、12ある選択肢のうち40%以上の賛成を得たのは、上位から順に、「同盟国や友好国との連携(58%)」、「ミサイル防衛システムの強化(53%)」「人工衛星の活用(40%)」の3点のみであり、皆、「防衛」の印象が強く、他国へ介入するイメージを与えないものであったのも驚きであった

 先月、米国政府の日本担当者から、「この5年で日本は大きく変わった。防衛力拡大の議論にも反対意見がほとんど起きない。米国としてはとてもやりやすい」との発言を聞いた。

 しかし、実は、国民世論は、上記した通り、今の日本政府の前のめりの姿勢とは大きく異なりとても慎重である。自国を守るために必要な手段の拡大については支持するが、あくまで、相当程度厳格な意味での「専守防衛」に限る、という意識が強いのがいまだ日本国民の多数であると言えるだろう。

 この間の安保政策の変更に際して、政府が、国会の審議を意識的に避け、閣議決定のみで変更を決定していることから、国民が十分に情報を得て意見を形成する機会や、反対意見を表明する機会を奪われているという現実があることも指摘しておかなければならない。

 政府は憲法改正も実現しようとしているが、憲法についても改正賛成派が増えてはいるものの、自民党が一番のターゲットとする平和条項の9条に関しては、改正に向けた世論は強くない。5月3日の憲法記念日に発表された世論調査でも、読売新聞においては、「9条を今後どうすればよいと思うか」との問いについて、改正せずに「解釈で対応」「厳密に守る」の合計が「改正する」を8ポイント上回っていたし、リベラルとされる朝日新聞では9条改正反対は61%で、改正賛成のほぼ倍であった。

  憲法記念日には、全国各地で大規模な憲法集会が行われた。東京では予定の人数を超える3万2000人(主催者発表)が集まり、平和憲法をこれからも生かしていく、と声を上げた。

 日米政府間で語られている「日本」と、実際の日本社会は、こと安全保障に関しては大きく乖離している。

 このような日本の世論調査を、ワシントンで会った元ホワイトハウス高官に見せた際の彼の言葉が忘れられない。

「なぜ日本政府は、国民の声に耳を貸さないのだ」

猿田佐世


園のようす。
エンレイソウ

ヤマブキ


雨宮処凛がゆく! ギャンブル依存症が背景にあった「池袋通り魔殺人事件」

2024年05月10日 | 社会・経済

マガジン9  2024年5月8日

 マガジン9 (maga9.jp)

 

 「水原一平さんは仲間です」

 4月27日、そんなキャッチコピーを掲げた「こわれ者の祭典」に出演した。

 さまざまな病や障害や生きづらさを抱える人たちのパフォーマンスイベントである「こわれ者の祭典」については前回の原稿で書いた通りだ。この日、こわれ者メンバーたちは閉鎖病棟に入院していた時期や強烈な自殺願望を持っていた時期を振り返る渾身のパフォーマンスを披露。会場を爆笑と涙と共感の渦に包んでいた。

 そんなイベントでのトークで、話題はやはりギャンブル依存症のことに。

 ちなみに私が依存症について詳しく知ったのも「こわれ者の祭典」がきっかけだった。ちょうど田代まさし氏が何度目かの逮捕をされた頃に開催された「こわれ者の祭典」でその話題になったのだが、当時の世間は田代氏にドン引きムード。そのことに触れた月乃光司さんは、そうやって社会的信用を失って孤立していくことこそが依存症の症状で、それを責めるのは一番意味がないという内容のことを力説。その手の話を始めて聞いた私は深く納得したのだった。

 さて、では今回、ギャンブル依存症問題について話したことを改めて書きたいと思う。

 私が話したのは、ギャンブル依存症がきっかけとなって起きたある事件について。

 犯人は、私と同じ1975年生まれ。23歳で事件を起こし、2007年、死刑が確定。今は死刑執行を待つ身である。

 その人の名は、造田博。99年に起きた「池袋通り魔殺人事件」の犯人だ。

 事件が起きたのは9月8日の午前11時半頃。造田は池袋の繁華街で包丁と金槌を手に、「むかついた、ぶっ殺す!」と叫び、次々と通行人に襲いかかる。死者2名、負傷者9名。白昼の大惨事だった。

 犯行当時、東京の新聞販売所に住み込みで働いていた造田だが、出身は岡山県。ここで『池袋通り魔との往復書簡』を参考に彼の生い立ちを振り返ると、大工の父とミシンの内職をする母のもとに生まれ、幼少期は安定した暮らしぶりだったようだ。

 そんな生活が一変したのは、80年頃、同居していた祖父母が他界したことによる。遺産が入った父親はパチンコや競艇などのギャンブルにハマり、ついで母親も同じような状態になってしまうのだ。

 が、そんな中でも造田は目標に向かって努力していた。中学3年生で猛勉強を始め、県内有数の進学校に合格。学者か医者になりたいという夢を持ち、大学進学を目指していた。

 しかし、そんな彼の夢は両親の借金によって奪われる。ギャンブルに明け暮れた両親が消費者金融や知人から重ねた借金総額は5000万円。借金取りが押し寄せる家に両親は寄り付かなくなり、深夜、造田に食費だけ渡すと姿をくらます生活が一年ほど続き、彼が17歳の頃、ついに失踪してしまうのだ。

 「うちの両親、どこに行ったか知りませんか?」と近所の家に慌てて駆け込んだ彼は、事件後も両親の失踪について、「思い出すと今でも悲しくなり涙が出る」と供述している。

 そうしてギャンブルによって両親が消えた17歳から事件を起こすまでの6年間、彼は嫌というほど辛酸を舐め尽くす。

  猛勉強して入った進学校は学費が払えず、すでに退学になっていた。親戚を頼ろうにも、両親が借金をしているので頼れない。兄を頼って広島県福山市に行きパチンコ屋でバイトを始めたのを皮切りに、彼は全国を、職と住む場所を求めて漂流していく。ついた仕事はビルの清掃や自動車下請け工場、土木作業員、船の塗装、機械工場など。どれも住み込みだ。そうして仕事のない時期は駅や公園でホームレス生活。「ネットカフェ難民」などまだ存在しない90年代なかば、20歳そこそこの若きホームレスを、この国の誰一人として助けなかった。

 そうして両親の失踪から6年後、事件は起きる。

 彼がしたことは決して許されることではない。一方、ギャンブル依存という視点から見てみると、造田も一人の被害者ではないだろうか。

 もし、両親がギャンブルにハマらなければ。造田の未来が潰されることはなく、よって事件で二人の命が奪われることもなかっただろう。あるいは、もし両親がギャンブル依存症の治療を受けられていたら。しかし、当時の日本では依存症に対する理解もなく、つながれる場も絶望的に少なかったことが予想される。

 そうしてこのたび、世界的に有名な野球選手の通訳の違法賭博という形でギャンブル依存症が大きな注目を集めた。

 水原氏の事件を受けた報道を見ていると、ギャンブル依存症への理解は以前より深まりつつあるように思える。決して本人の「甘え」などではなく、精神論云々ではどうにもならないものであるという情報が広まりつつあるのを感じる。それはいいことだが、そんな報道を見ていて、ふと25年前の悲劇を思い出したのだ。

 もし、両親のギャンブルによって人生が激変しなければ。もう50歳近い造田博は死刑執行を待つ身ではなく、今頃、優秀な学者か医者になっていたかもしれない。

 殺害された人たちも、それぞれの夢を叶えたり、自らの道を進むなりしていただろう。

 四半世紀前、そんな悲劇が起きたこの国で、今、大阪でカジノ開業に向けた準備が進められている。

 このことに、大きな疑問を感じているのは私だけではないはずだ。


霜にやられたアジサイの葉と元気を取り戻したチューリップ。

ツツジは大丈夫。

 


堤 未果 災害地震ショックドクトリン――危険な閣議決定はこっそりと

2024年05月09日 | 社会・経済

「総理、原発について質問させてください」岸田首相が会見で記者の質問を無視…能登半島地震発生後、政府が行った“奇妙な対応”

堤 未果『国民の違和感は9割正しい』より 

文春オンライン2024.05.08

 災害対策や防衛費の強化、経済・農業政策など、私たちの暮らしに大きく関わる課題について、政府が中心となって日々対応している。しかし、その対応方法について、違和感を抱いている人も少なくないのでは?

 ここでは、その違和感の裏側を徹底的に取材した国際ジャーナリスト・堤未果氏の著書『国民の違和感は9割正しい』(PHP新書)より一部を抜粋。政府の災害対策の裏側について紹介する。(全2回の2回目)

◆◆◆

災害地震ショックドクトリン――危険な閣議決定はこっそりと

 2024年1月17日。

 政府が月末に始まる国会に出す、ある法案の中身が公表されました。

 その名も、「地方自治法改正案」。

 政府が「緊急事態」と判断したら、「閣議決定」1つで、地方自治体から主権を奪い、速やかに国の指揮下に置くというルールです。

 都道府県は、国の指示に従わなければならず、方針が決められる際には、必要資料なども出さなければなりません。

 今回の地震で、〈初動が遅い〉〈ボランティアに来るなと県が過剰に拒否したことで、被災地に物資が十分届いていない〉〈知事の動きがとても悪い〉など、政府の対応に国民の不満とストレスが最高潮に高まったタイミングを見計らって、出てきたような法改正でした。

本当に緊急時のための法改正なのか

「緊急時に、国の統制力をしっかり強め、行政の混乱を防ぐために改正しました」

 知り合いの経営者にこの話をすると、彼はこういいました。

「政府の判断はやむないね。あんなに初動が遅いと、助かるものも助からないんだから。いまだに被災者が体育館に雑魚寝している映像を見ると気の毒でならない。維新にべったりのあの知事は、万博で頭がいっぱいだそうじゃないか。次また他の地域で地震が起きたら、国が指揮をとってすぐ対応できるようにしておくしかないだろう」

 本当にそうでしょうか?

たしかに国連の報告書によると、日本は地震の規模、発生率ともに世界4位の災害大国です。

 日本に住んでいる限り、能登の惨事は他人事ではありません。

 でもここで、一旦立ち止まってみましょう。

災害のどさくさに便乗し、権力を中央に集中させる作戦では

 政府が急に〈法改正〉を言い出した時は、まず、今の法律がどうなっているかをチェックしてみて下さい。

 案の定、〈災害対策基本法〉 第108条の3に、国は緊急事態の時、国民に協力を要求できる、とちゃんと書いてあるではないですか。

 わざわざ今このタイミングで、「緊急事態に国からの指示に従う」ことを義務化する必要は、ありません。

 なのにあえて、それをやる。

「違和感」のアラームが鳴りはじめます。

 次に〈地方自治法〉の方を見てみると、第245条の2に、「法律がなければ、国または都道府県は自治体に関与できない」と書いてありますから、国と地方は、そもそも上下ではなく、対等な関係のはずですね。

「能登半島地震」のどさくさに便乗し、閣議決定1つだけで、地方自治体に政府のいうことを聞かせる法改正をするのは、一体何のためでしょう?

 これはまさに、岸田総理の悲願である、「憲法改正」の中の「緊急事態条項」の地ならし、地方から外堀を埋めてゆく作戦に他なりません。

 権力を中央に集中させ、憲法92条が定める地方自治の柱を根底から揺るがし、日本という国のあり方を変えてしまう危険な法改正です。

国民にとって重要な法律ほど、知らないうちに通されてしまう

 ちなみに閣議決定というのは、内閣が「基本的な方針」を会議で決めるだけ、野党から反対意見が出るわけでもなく、とっても手軽で簡単です。

 えっ、そんな重要なルール変更なら、なぜ誰も騒がないの?

 答えは、国会審議をしていないからです。

 そのせいで、中継もされず、話題にもならず、国民のほとんどが気がついていません。

 思い出して下さい。

 パンデミックやウクライナ紛争など衝撃的なニュースの陰で、いくつもの重要法案が静かに通過していたように、私たち国民にとって重要な法律ほど、知らないうちに通されてしまう、この国のパターンを。

ここまで読んで、あっ、と気がついた読者もいるでしょう。

 地方自治法改正の中身が公表された日、テレビのコメンテーターもSNSも国民感情も、ある別なニュースにジャックされ、それどころではなかったことに。

「緊急事態条項」は一体誰の悲願だったのか

 パーティ券の売り上げをキックバックされた安倍派幹部議員7人が、不起訴にされたというビッグニュースに、国民は激怒していたからです。

 ワイドショーは検察への批判コメントで盛り上がり、スポーツ紙の見出しもこれ一色。

 さらにこの日に『週刊文春』が、『ダウンタウン松本人志の性加害スキャンダル』第3砲を公開しており、地方自治法改正など、ネットの話題にすらなりませんでした。

 今国会で設置予定の「憲法改正条文案起草機関」で創設される「緊急事態条項」は、一体誰の悲願だったでしょうか?

 1月30日に行なった通常国会の施政方針演説で、総理はしっかりと顔をあげ、自分の言葉で力強くこう訴えていたのです。

「自分の総裁任期中に、憲法改正を実現したい」

 そしてその1か月後、改正地方自治法が閣議決定されたのでした。今後、緊急事態条項、そして憲法改正への道筋がどうつくられていくのか、注視していかなければなりません。

以下省略 


8日、近くの丸加山(305m)に雪が降った様子が車の運転をしていて分かった。
今日9日は最低気温が氷点下まで下がり、霜が降りた。

シダが黒くなってしまい、チューリップが頭を下げている。
アジサイの葉も一部黒くなっている。

巴旦杏の花。

さくらんぼ・梨は見かけ状は何でもないが・・・
ハウス内気温、ストーブ2台で1.1℃。
2重トンネル内は6℃でした。
これから暑くなるようです。

菜の花情報。

 


「裏金で汚れた手で憲法に触るな!」改憲に猛反発で岸田政権狙う「プチ緊急事態条項」が危ない!

2024年05月08日 | 社会・経済

2024/05/07

『女性自身』編集部

 

「憲法改正がますます先送りのできない重要な課題となるなかにあって、国民のみなさまに選択肢を示すことは政治の責任です」

“任期中の憲法改正”を目指している岸田文雄首相。5月3日の憲法記念日に行われた右派団体「日本会議」の憲法改正を求める集会に、自由民主党総裁としてこんなビデオメッセージをおくった。

 ネット上などではこんな反発が広がっている。

《裏金で汚れた手で憲法を触るな》

自らの不祥事で改憲への反発を強めたのは自業自得だが、いま自民党は論点を限定したうえで、“一点突破”の改憲を狙っているようだ。

「ここ数年、衆参の憲法審査会の開催頻度は高まっているところであり、特に緊急事態条項については、各党の考えを含めて論点整理が進むなど、与野党の枠を超えて、活発にご議論いただいてきたものと認識しています」

前述のビデオメッセージで、こうも述べていた岸田首相。

緊急事態条項”とは、大災害や新型コロナのようなパンデミックが起きて内閣が“緊急事態”と判断すれば、一次的に権限を政府に集中させたり、国会議員の任期を延長させたりできるというもの。

現在、衆議院の憲法審査会で、自民党は条文案の起草委員会を立ち上げるよう主張している。それに公明党や日本維新の会などの一部野党が同調する一方、立憲民主党と日本共産党は難色を示している。

■憲法改正は難しいから、まずは法律から

一方、岸田政権は緊急事態条項の“尖兵”というべき法案を3月1日に閣議決定し、国会に提出した。大規模災害や感染症の蔓延のような非常時に、国が法律を変えることなく自治体に指示権を発動できる“地方自治法改正案”だ。今国会で可決し法律の成立を目指すという。

「この法案は、緊急事態条項を憲法に入れずして、緊急事態条項と同じ効力を地方自治体に適用しようとするものです。これは大変な暴挙です」

そう危機感を募らせるのは、法学者で自民党の改憲草案に詳しい慶應義塾大学名誉教授の小林節さんだ。

「自民党はかねてより憲法改正の機会を狙っていました。しかし、今、憲法改正の発議を行っても、国民投票で過半数を得られる可能性は低い。それで岸田政権は、新型コロナや能登半島地震を口実に、とりあえず地方自治法改正を狙っているのではないでしょうか」

憲法改正による「緊急事態条項」の創設は難しいので、とりあえず法改正による“プチ緊急事態条項”を実現しようという腹積もりのようだ。

岸田首相は、新型コロナのようなパンデミックや大規模災害などが起きた際を想定しての地方自治法改正だ、と主張しているが……。果たして必要なのか。

「日本の行政府は、とても緻密に法律を張り巡らしています。すでに、災害対策基本法や感染症対策基本法、国民保護法などの法律群があり、阪神淡路大震災や東日本大震災、新型コロナの際にも、これらの法律で対応してきました。不十分な点については、すでに改正を重ねてきたのです」(小林さん)

■法の不備ではなく、政治能力の欠如

むしろ問題は、法律はあっても適切に運用できていない政府の側にあるという。

「今回の能登半島地震でも露呈したことですが、首相や知事が災害規模を見誤ったために初動が遅れ、結果的に被害が拡大してしまいました。気象庁のネットワークを駆使すれば、翌朝には能登半島の被害状況を正確に把握できたはず。その情報がきちんと岸田首相に伝わっていれば、もっと迅速に、大規模の自衛隊員を出動させられたのではないか 」(小林さん)

岸田首相は1月4日、非常災害対策本部で「総力を挙げて一人でも多くの方を救命、救助できるよう全力で取り組んでほしい」と述べたものの、実際には発災から2日目に1000人、3日目に2000人、5日目に5000人と自衛隊員を逐次投入。熊本地震では3日に1万4000人余を投入していたことから、“初動の遅れ”が批判されていた。

「能登半島のアクセスの悪さや、道路が寸断されている等の諸事情はあったとしても、自衛隊なら小型のヘリで近づくこともできます。地震で岸壁が隆起していても、岸壁から離れた場所に大型船を止めて、小型の船で近づくなど、なんらかの対処はできたはず。

馳県知事が出動要請を出さなくても、自衛隊の最高司令官は岸田首相ですから、やろうと思えばできたんです」(小林さん)

■原発事故すら隠蔽されるおそれ

政府の“後手”は、災害に限らない。新型コロナのパンデミックの際も、政府より自治体主導で対策が進んでいったことは記憶に新しい。

いち早く、区でPCR検査場を立ち上げて、1日に2000〜3000件の検査を可能にした“世田谷モデル”の立役者、保坂展人世田谷区長も3月9日、YouTube番組『デモクラシー・タイムズ』で、こう地方自治法改正案を批判している。

〈経験から言えば、安倍政権も菅政権も世田谷区の提案をかなり取り入れたりしています。自治体がいろいろ研究して意欲的にやってみようと言った案を、厚労省が少し遅れて取り入れて、総力戦で取り組んだ結果だと思うんですね。もし、全部国がハンドリングしていたら、『PCR検査は無理ですよ、増やしませんよ』ということがずっと続いていたかもしれません〉

つまり、法案成立後にパンデミックが起き、政府が不要と判断したら、“世田谷モデル”のような自治体独自の対策も不可能になるかもしれない。小林さんは、「問題はパンデミックだけではない」と、こう続ける。

「今度、原発事故が起きたら、情報を隠したい時の首相が〈原発内部や5km圏内には誰も立ち入るな〉という命令を自治体に下す可能性もあります。その結果、原発の制御が不能となり、福島第一原子力発電所以上の大事故につながる可能性もあるのです」

地方自治法の改正についてだけでも、これだけの懸案がある。憲法改正ともなれば、より緻密な議論が必要だが、岸田首相は自分の任期中の改憲を目指すという。


寒い寒い、8℃にも届かず、明朝は氷点下の予報。
ハウス内に2台のポータブル石油ストーブを点けて帰ってきた。
明日は晴れの予報。
寝坊はできない。

梨の花であるが、明朝の霜害が氣になる。
🍒さくらんぼも。


政治考 独立と平和の礎 安保廃棄の党の存在意義

2024年05月07日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2024年5月7日

 4月の日米首脳会談では日米軍事同盟の歴史的大変質が打ち出されました。共同声明では「過去3年間を経て、日米同盟は前例のない高みに到達した」「グローバルなパートナーシップの中核である日米安保条約に基づく安全保障協力は、かつてなく強固」と宣言。強化された日米同盟体制の中核に日米安保条約があることを確認しています。こうした中でいま、同盟強化の表れに反対するとともに、その基礎にある安保条約そのものに反対し、その廃棄と日米友好協力条約への転換を求める日本共産党の主張に対し、「非現実的」「野党共闘の障害」などとして安保廃棄の主張を投げ捨てるよう求める言説、激しいバッシングが強まっています。安保条約廃棄を求めるたたかいの意義について考えます。

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、「米国の戦略に沿って進められるミサイル配備、今回の日米会談で確認された司令部の統合などで、日本が中国や北朝鮮を撃てば、日本は反撃を受け遥かに大きな被害を受ける。軍事的にも合理性はない。この意味で、日本の安全にとって非現実的な主張をしているのは日米同盟強化派の方だ」と語ります。

 同時に孫崎氏は「キッシンジャーをはじめアメリカの指導者たちは、安保条約によってではなく、米国の利益になる場合に米国は日本を守ると繰り返し言明している。日米安保が日本を守るというのは幻想だ」と指摘します。現に在日米軍は、海兵遠征軍・空母打撃群・遠征打撃群・航空宇宙遠征軍という四つの殴り込み部隊で構成されており、いずれの部隊にも日本防衛の任務はありません。孫崎氏は、「この意味でも『安保で日本が守られる』という主張にはそもそも現実性がない」とします。

 政府・自民党にも近い安全保障問題の専門家の一人は「今回の日米首脳会談の最大の問題は、自衛隊が米軍の指揮下に入ることだ。安保条約は、もともと主権国同士の条約というより米国の属国として条約に入ったもの。その状況がずっと続きついにここまで来た。中国と自衛隊が戦闘に入れば米軍は遅れて来て日本の“後方支援”をする。冗談のようだが最も危険なシナリオだ」と警告。「専門家はわかっているが誰も言わない。言えば飯が食えなくなり、ターゲットにされる」と述べます。

 安保体制と国民の矛盾は極限に達しています。米中覇権争いの最前線での戦争の危機、事故機・オスプレイは十分な検証もないままわが物顔に日本の空を飛びまわり、沖縄の民意を踏みにじって辺野古新基地建設を強行しています。

 安保条約と正面対決する日本共産党がいなければ、日本の平和と独立のたたかいの礎を失うことになります。

支配勢力の戦争政策と激突

体制にとって一番怖い相手

 「日米同盟には二つの軸がある。一つは在日米軍基地をどう使うかという問題。もう一つは米国の戦略に沿って海外で自衛隊をどう使うかという問題だ」

 孫崎氏はこう指摘します。

 そのうえで自衛隊を米国の戦争でいかに使うかは、基本的には安保条約の枠を超えた問題だとし「非常に重要なポイントは、国会を通さず、日米2プラス2(日米安全保障協議委員会、防衛相・外相会談)やガイドライン協議の中で合意していることだ」と強調。「2プラス2協議に従って、日本は米国に合わせた共通の体制をつくる。それがいま非常に危険な段階にある」と語ります。

 集団的自衛権行使の体制、敵基地攻撃能力の保有という危険な実戦装備、そして日米の司令部統合など、安保条約を超え、憲法を超えた体制の変革です。条約改定も憲法改定も経ず、日米安保条約は基地条約から公然たる攻守同盟条約への変貌を遂げています。

 孫崎氏は「その根本にあるのが安保条約とそれによって形成されてきた日本の異常な対米従属の体制だ」と指摘。「この意味で共産党が安保廃棄を主張するのは特殊なイデオロギーではない。特殊どころか世界に目をやれば、日米安保のように国土のどこにでも、好きな時に好きなだけ基地をつくり、外国軍隊が活動できる国はもはやなくなっている。安保はいわば占領状態の継続だ。世界の流れからいえば、そういう隷属状態からの自立をめざす安保廃棄の主張はすう勢だ」と語ります。

 奥野恒久龍谷大学教授(憲法学)は「日本国憲法の立場から言えば、憲法はすべての国の人々に平和的生存権を保障しているのに対し、軍事同盟は仮想敵をつくり軍事力で抑え込むもの。そもそも根底のところで安保と憲法の理念とは矛盾する」と語ります。

 共同通信元編集委員で『戦後政治に揺れた憲法九条』『世界覇権と日本の現実』(新著)の著書がある中村明氏は、「米国は日本の自衛隊を使って中国と戦端を開き、中国を疲弊させる狙いだ。日本は捨て石になる危険が大きい」と警告。「経済や金融面での米国への従属も強まっている。この動きの背景にあるのが安保条約であり、長い記者生活の中で、米国の軍人や官僚がいかに横暴なふるまいを続けてきたか、その実態を外務省や財務省の役人から聞いてきた」と述べます。そのうえで「私は保守でもリベラルでもなく愛国の立場から日米安保に反対する。そうした愛国の立場から唯一、日米安保に反対してきたのが共産党だ。日本の独立自尊を訴える共産党がなくなったら日本は終わりだ」と語ります。

共闘におびえ

 一方で孫崎氏は「ミサイル配備や集団的自衛権行使容認など、緊急の課題で協力を強めることは当然だ」と強調。「共産党は安保廃棄という綱領の課題を脇に置くと言っている。それなのに『安保廃棄の党と一緒にやるのは野合だ』というのは共闘分断の口実に過ぎない」と批判します。

 日本共産党は、安保条約を容認する党とも立憲主義回復・安保法制廃止を旗印に共闘を進め、党主導で新たな政界の民主的改革に挑戦してきました。

 支配勢力は、市民の声を背景に進む安保法制廃止の共闘の動きに脅威を感じ、共闘分断と共産党攻撃を強めてきました。

 奥野教授は、「最終目標は違うが、危険な現実を少しでも憲法に近づけるため途中まで一緒に進むのが共闘だ。緊急課題の根本にある条約の危険性を訴えることは、両立するし相互に追求すべき課題であり、ここにくさびを打ち込むのが今の攻撃だ」と強調します。安保条約廃棄の不動の立場と、安保法制廃止など緊急課題での共闘を主導する共産党の二重の取り組みが、米国はじめ支配勢力の戦争政策と激突しています。

リベラル潰し

 外務省の国際情報局長として米国の対外工作の歴史も見てきた孫崎氏。「米国はまずリベラル勢力を潰しに来る。米国の工作で一番重要なのは野党だ。公明党や社会党も全部、安保容認の方向に取り込んで行った」と指摘します。

 実際、1970年代前半には社会党、公明党なども安保廃棄を掲げていました。それが78年に公明党が安保容認にかじを切り、80年には「社公合意」で社会党も安保容認と共産党排除に路線転換していったのです。

 孫崎氏は「こうしてリベラル系から崩されていく。米国はこうした圧力を共産党にはかけられないと思っている。だから日本の政治で共産党はものすごく重要な役割を果たしている。共産党をはじめ日米安保の問題性を主張する勢力が、その火を消さないことはどんなに貴重なことか」と述べます。

 奥野教授は「共産党は草の根の組織を持ち他の政党にない強さをもっている。全国の支持率が5%だとしても、その人たちは政治に関心を持ち、必要があれば自ら歩き、署名も集める人たちだ。体制側からすれば一番怖い相手。だからこそ『共産党の主張は非現実的だ』とバッシングして抑え込もうとする」と述べます。

 そのうえで「もし共産党が安保廃棄を投げ出し、日本の政治から安保廃棄の勢力がなくなったら、日本の外交・安保政策で安保に代わる9条に基づく平和外交の選択肢と構想が出せなくなってしまう」と語ります。

 日本共産党は安保廃棄の主張と同時に、東アジアの平和構築のために外交提言を示しています。東南アジア諸国連合(ASEAN)とも協力し北東アジアに包摂的な対話の枠組みをつくること、日中間の対話の促進をはじめ北東アジアに固有の外交諸懸案について独自の取り組みを強めることを提起し、政府間の取り組みと同時に、市民運動をアジア規模で広げようと呼びかけています。

 (中祖寅一)


今日も一日雨。
雨はいいのだが9日の最低気温予報が氷点下。
雨であまり歩き回ることも出来ず、身近の花をup。


田中優子さんに聞いた-政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…

2024年05月06日 | 社会・経済

日刊ゲンダイDIGITAL 2024/05/06

  田中優子(法政大前総長)

 昨年発足した市民グループ「テレビ輝け!市民ネットワーク」がテレビ朝日ホールディングスに株主提案を行い、話題を集めている。権力による報道介入を防ぐため、定款変更を求めるというもの。過去10年間に圧力を受けたり、放送番組審議会が機能不全に陥っている場合などには、独立した第三者委員会を設立して調査・公表する▽番組審議会委員らの任期に上限を設ける▽共同代表を務める元文科次官の前川喜平氏を社外取締役に就ける──とする議案を出した。なぜ今、こうした手法で問題提起をしたのか。勝算はあるのか。前川氏と共に共同代表を担う法政大前総長に聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 ──在京キー局を抱える持ち株会社は5社あります。どうしてテレ朝なのですか。

 テレビ朝日の報道姿勢は、ある時を境に大きく変わってしまった。政権に対する忖度が露骨になった。そうした認識を私たちが共有しているからです。

 ──「ある時」というのは?

「報道ステーション」のコメンテーターだった(元経産官僚の)古賀茂明さんが降板した2015年です。(過激派組織)イスラム国による日本人人質事件をめぐり、古賀さんは政府の対応を「I am not ABE」という言葉で批判したため、2カ月後に番組から降ろされてしまった。チーフプロデューサーも異動を命じられた。官邸がテレビ朝日側に圧力をかけたと古賀さんらからも聞き、とんでもないことが起きていると危機感を抱き始めました。

 ──安倍首相が中東歴訪中に「ISIL(イスラム国)と戦う周辺各国に総額2億ドル程度、支援をお約束します」と発言。反発したイスラム国が人質殺害を警告する事態となり、古賀発言につながっていきました。

■耐えがたかった卒業生殺害

 拉致された末に殺害されたフリージャーナリストの後藤健二さんは、法政大学の卒業生なんですね。私は総長として、悲しく耐えがたい出来事を特に卒業生たちに報告しなければならなかった。とても、とてもつらいことでした。ですから、古賀さんの発言の真意はよく分かりましたし、深く共感していた。後藤さんを救出したい一心のご家族は、水面下で必死の交渉を続けていたんです。にもかかわらず、安倍政権が待ったをかけた。なぜあんな結末を招いてしまったのか。政府の対応は疑問だらけだし、テレ朝の動きもおかしい。そうした疑念を裏付けたのが、(昨年明るみに出た)総務省の内部文書でした。

 ──総務省文書には、放送法が定める「政治的公平性」の解釈変更をめぐり、2014年から15年にかけて官邸が総務省側に圧力を強めていった記録が克明に記されています。

 やり玉に挙げられていたのが、テレビ朝日とTBSでした。(TBSの)「サンデーモーニング」には私自身が出演していましたが、特に変化はなかった。(司会の)関口宏さんが3月末にお辞めになったのは、世代交代が理由でした。それはそうなのでしょう。だけれども、テレビ朝日で明らかに大問題が起きた以上、番組の質を注視していく必要はあると思っています。

大手ほどやらない調査報道

 ──テレビ朝日HDの株主総会は6月。市民ネットワークは昨年9月末までに48人で計4万株(400単元=約6000万円分)を購入し、会社法に基づく議題提案権行使に必要な「300単元以上の議決権を6カ月継続保有」をクリア。他の株主に提案を開示させる道筋をつけたほか、株主名簿の閲覧謄写も請求できるそうですね。

 提案できる態勢を整えたのは、すごく大事なこと。テレビの影響力はまだまだ強い。信頼しているがゆえにしっかりしてほしい。資金もマンパワーもある大手メディアこそ調査報道に力を入れるべきなのに、大手ほどやらない。おかしいでしょう。私たちは批判するのではなく、励ますための提案をしているんです。

 ──前川氏は官僚時代、安倍官邸から強い圧力を受けました。社外取締役への推薦は、テレビ朝日に果たし状を突きつけたように見えます。

 前川さんはふさわしい人物だと思います。社外取締役は取締役会などを通じて経営に助言したり、監督する立場。テレビ朝日HDの大株主である朝日新聞を含む報道機関としての経営のあり方、政権との関係をちゃんと見ておくことが必要なのであって、「公正にやってください」と言っているに等しい。番組制作の現場に直接口を挟めるわけではありません。取締役会の決定を覆すこともまずできないので、果たし状でも何でもない。それでも、テレビ朝日は私たちの提案にはなかなか応じないでしょうね。

 ──議決権比率の問題ですか。

 そのあたりは事務局の阪口徳雄弁護士が詳しいのですが、米国では株主の10%以上が賛成した提案について、会社は何らかの対応をしなければならない。相当な発言力を得られるんですよね。私たちもそこを目指したいのですが、とても遠い。さらに200倍を超える資金を投じなければならなくて。

 ──200倍! テレビ朝日HDの時価総額は2190億円超に上ります。いかに賛同を広げるかが今後の展開を左右しますね。

 この運動は今年限りのものではありません。これを機に「そういう方法があったのか」と知っていただき、来年に向けて多くの方が「一緒に株を買いましょう」となれば、大きなうねりになる可能性はあります。政府は22年末、閣議決定で安全保障関連3文書を改定しましたよね。安保政策を大転換し、大軍拡に舵を切った。それを受けて23年1月に「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」を立ち上げ、一連の動きを俯瞰したいと思って年表を作ったんです。自民党は野党時代の12年4月に改憲草案を発表し、12月に政権復帰。13年に特定秘密保護法、15年に安保法制、17年にいわゆる共謀罪法が成立した。第2次安倍政権以降の10年あまりで軍拡の流れは確固としたものになり、その間にマスコミに対する圧力を次第に強めていったのではないか。そうした思いを強めました。

■「◯◯政権」と呼ぶ意味がない

 ──確かに、深掘り報道がグッと減りました。

 沖縄に関する情報は本土では全然報じられない。自衛隊の南西シフトに対し、沖縄の人々はどう反応しているのか。メディアが伝えなければ、一般市民は正確な情報を知る術がないでしょう。それともうひとつ、企業の存在も大きい。提供(広告)を通じてテレビ局に影響を及ぼしています。軍拡に関与している企業は少なくありません。一方で、企業は消費者の声やプレッシャーを無視することはできない。そうした関係を踏まえながら、報道を望ましい方向へ持っていくアプローチを始めたということなのです。

 ──タカ派の安倍政権、菅政権の9年。当初はハト派と目された岸田政権は、3年を待たずに馬脚を現しました。

 状況はどんどんひどくなっている。首相の名前を取って「◯◯政権」と呼びますけれど、私は全く意味がないと思っているんです。自民党政権は首相が誰であっても中身は同じですから。米国の傀儡であり、抱き込まれるままなのが既定路線。訪米した岸田首相は米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化で合意しました。その先に主権制限があるのは明白ですが、それも自民党政権は織り込み済みなのでしょう。

 ──主権の一部を切り離す方針は米軍の公式文書に明記されています。

 民主主義を担保するのは選挙です。それなのに、投票行動の前提となる情報が圧倒的に足りない。政府が、自民党が何をしようとしているのかが判然としない。だから、私たちはちゃんとした報道を求めているんです。

(聞き手=坂本千晶/日刊ゲンダイ)

田中優子(たなか・ゆうこ) 1952年、横浜市生まれ。江戸文化研究者。法政大文学部日本文学科卒、法大大学院人文科学研究科博士課程満期退学。法大社会学部教授、社会学部長、第19代総長を歴任し、現在は名誉教授。著書「江戸の想像力」で芸術選奨文部大臣新人賞、「江戸百夢」で芸術選奨文部科学大臣賞とサントリー学芸賞を受賞。2005年に紫綬褒章受章。


ポストキシダをうんぬんするより、ポスト自公政権を実現させましょう。
不買運動もバカにはなりません。

TBS NEWS2024.05.06より

イスラム教徒の多いマレーシアでは、“イスラエルへの反発”としてアメリカ企業に対する不買運動が広がっています。

マレーシアの首都近郊にあるケンタッキーフライドチキンの店舗には4日、臨時休業を知らせる貼り紙がありました。現地メディアによりますと、先月末までに国内で100店舗以上が休業したということです。

その要因とされているのが市民による「不買運動」です。

イスラム教徒が6割以上を占めるマレーシアでは、ガザに侵攻したイスラエルへの批判が高まり、イスラエルを支持するアメリカを象徴する企業に対してのボイコットに発展しました。

市民

「(ガザの)状況は悪化していくばかりですが、どうすることもできません。最低限できることはイスラエルへの支援につながらないようボイコットすることです」

また、スターバックスやマクドナルドも去年10月以降、売り上げが低迷。不買運動は、東南アジアや中東のイスラム圏で広がっています。

園のようす。
ようやく咲きましたムラサキツツジ?


明日も一日雨の予報です。

子どもの日、子どもを守って‼

2024年05月05日 | 社会・経済

「動物のエサ」を食べて飢えをしのぐ。子どもが餓死…。ガザで広がる「壊滅的飢餓」。日本政府も緊急食料支援

「ガザの人々は動物の飼料を食べ、物乞いをし、食べ物を買う現金を得るために持ち物を売り払うなど、全ての手段を尽くしています。飢えで命を落としている人もいます」
 

現地で支援を続ける国連機関が警鐘を鳴らしている。

緊急で食料支援が必要な状況の中、日本政府もガザ地区南部で食料キットを配布した。
ガザ地区南部・ラファで、人道支援団体による炊き出しに並ぶ子どもたち。一家族につき、ボウルや鍋一杯が支給された。

ガザ地区南部・ラファで、人道支援団体による炊き出しに並ぶ子どもたち。一家族につき、ボウルや鍋一杯が支給された。Anadolu via Anadolu via Getty Images

ガザで「壊滅的な飢餓」広がる。飢えで死者も

国連は4月24日、ガザ地区での危機的な食糧難について指摘。現地で食料支援をする国連世界食糧計画(国連WFP)は「ガザの人々は飢えで命を落としている」とした。

「人々は動物の飼料を食べ、物乞いをし、食べ物を買う現金を得るために持ち物を売り払うなど、全ての手段を尽くしています。飢えで命を落としている人もいます」

現在、2歳未満の子どもの30%が急性栄養失調か衰弱状態にあると推定している。

母親も食べるものがないため、乳児にも母乳があげられなくなっている。

ガザ地区では、人道支援を行う人々への攻撃が起きており、4月には食糧支援NPO「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」のスタッフ7人が殺害された

7人は、海路で搬入された100トン以上の食料をガザ中部デイルアルバラの倉庫に届けた後、空爆を受けて亡くなった。装甲車の屋根にはWCKのロゴが描かれており「非紛争地帯」を走っていたほか、輸送経路を事前にイスラエル軍に伝えていた。

JICA、食料キット3780箱を緊急で支援

ガザ地区に届けられた、JICAによる食料キット

日本政府も緊急人道支援を行なっており、独立行政法人国際協力機構(JICA)は食料キット3780箱を送った。

中身は、鶏肉・豆類・フムス(ひよこ豆のペースト)・ツナ・イワシの缶詰、オリーブオイル、高エネルギービスケットやハルヴァ(練り菓子)、イチジク、アプリコット、レーズンのドライフルーツなど。

JICAがガザ地区に届けた食料キット

JICAがガザ地区に届けた食料キット JICA

今回のJICAからの緊急支援は3回目で、初回はテントや毛布、2回目は医療用消耗品を届けていた。

2024年4月30日現在、死者は3万4500人を超え、約193万人がガザ南部に避難している。

ガザ地区の他、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区にも人々が逃れており、日本政府は緊急のニーズに対応するため、国連児童基金(UNICEF)の2つの支援事業に対して、計約950万米ドルの資金協力を実施した。


きっこのメルマガ-立憲民主党は政権交代の目玉政策「消費税減税」を決断するか?

2024年05月04日 | 社会・経済

無党派層5000万人が「そろそろ狩るか…」自民下野に動く日

Mag2 2024.05.02

   by 『きっこのメルマガ』

立憲民主党の候補が、3選挙区すべてで“ゼロ打ち”当選した先月28日の衆院補欠選挙。自民党が「完敗」したのは事実だが、立民が「完勝」したと捉えるのは間違っていると釘を刺すのは、『きっこのメルマガ』著者で人気ブロガーのきっこ氏だ。今回の投票率はいずれも過去最低を更新、約5000万人の無党派層が動いておらず、これでは政権交代などおぼつかないというのがその理由。きっこ氏は、立憲民主党が野党共闘で「時限的消費税減税」を掲げないかぎり、政治的無関心層を動かして政権交代を実現するのは難しいと予測する。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:補選から解散総選挙へ

 自民党「全敗」は当然の結果、衆院補選

4月28日(日)に投開票が行なわれた衆院補選は、島根1区は亀井亜紀子氏が当選、長崎3区は山田勝彦氏が当選、東京15区は酒井菜摘氏が当選と、3選挙区すべてで立憲民主党が勝利しました。それも、開票が始まった20時ちょうどに3人揃って当確が出るという、いわゆる「ゼロ打ち」でした。

この結果を受けて、新聞各紙は「自民全敗」と報じましたが、自民党支持者の中には「自民党は3選挙区のうち1カ所しか候補を擁立しなかったのに『全敗』と報じるのはおかしい」と言っている人もいます。

 しかし、この3選挙区は、もともと自民党の議席だったのです。つまり、自民党は3選挙区に候補を擁立して全勝して、ようやくトントンだったのです。

それが、保守王国である島根1区で惨敗しただけでなく、長崎3区と東京15区には候補を擁立することすらできなかったのです。これは、政権与党として「敵前逃亡」と同じくらい恥ずかしいことであり、自民党は選挙の前からすでに負けていたのです。

そして、この結果は多くの人たちが予想していたことであり、何なら自民党内部にも「全敗」を覚悟していた人が数多くいました。

だが立憲民主党の「完全勝利」ではない。選挙結果分析

それでは、まずは3選挙区のすべての候補の得票数と得票率を見てみましょう。

(省略)

得票数と得票率だけ見れば、3選挙区ともに立憲民主党の圧勝と言えます。また東京15区に関して言えば、日本共産党が阿吽の呼吸で候補擁立を見送ったことが、この結果につながったと思います。

そして、れいわ新選組の山本太郎代表が応援に駆けつけた無所属の須藤元気氏も、立派に善戦したと思います。

その一方で、前原誠司氏率いる教育無償化を実現する会が推薦した日本維新の会の金澤結衣氏、日本保守党の飯山陽氏、都民ファーストの会と国民民主党が推薦した自称無所属の乙武洋匡氏などの「ネオ保守」たちは、自民党の受け皿になり切れず、逆に自民票を奪い合う形で自滅したように見えます。

 個人的には、鳴り物入りで出馬した乙武洋匡氏が、小池百合子都知事や国民民主党の玉木雄一郎代表などの応援を受けながら、5位に惨敗したことが意外でした。

 一時は自民党も乙武氏を推薦しようとしていたので、この点だけは推薦を見送った自民党の判断が正しかったようです。もしも自民党が乙武氏を推薦していたら、自民党のダメージはさらに拡大していたでしょう。

 選挙結果からきこえる、無党派層の声なきメッセージ

今回の結果から読み取れることは「有権者は決して保守系の政治を望んでいるわけではない」ということです。

確かに「ネオ保守」の候補らも一定数の得票は得ていますが、現実的には「イデオロギーより生活」「防衛より社会保障」「軍拡より子育て」と思っている国民のほうが多数だったのです。

しかし、それなら今回は立憲民主党の完全勝利なのかと言えば、そうとは言えません。

今回の投票率を見ると、島根1区だけは54.62%と何とか過半数を守りましたが、それでも3年前より6ポイントも減らして過去最低。東京15区は40.70%と3年前より13ポイントも減らし、長崎3区に至っては35.45%と3年前より16ポイントも減らし、いずれも過去最低を更新しました。

かつて日本の無党派層は約30%でした。しかし、第2次安倍政権以降、安倍晋三元首相による「モリカケ桜」などの数々の疑惑が原因で国民の間に政治不信が広がり、無党派層が急増したのです。

2023年7月の最新データでは、ついに無党派層が約50%に達しました。この数字と今回の投票率を照らし合わせると「無党派層の大半が投票に行かなかった」という現実が見えてくるのです。

立憲民主党の政策や主張が評価され、有権者から期待され、ふだんは投票に行かない無党派層の何割かが投票所へ足を運び、その結果、前回より投票率が増加し、そのぶん立憲民主党の候補の得票数も増加し、それで当選したというのなら「完全勝利」と言えます。

しかし実際には、3選挙区ともに前回より投票率を下げた中での当選です。

SNSなどでは「立憲民主党が勝ったというより相手が自滅したという感じ」という声も多いです。

投開票日の翌日、4月29日(月)のTBSラジオ『生島ヒロシのおはよう一直線』に電話出演した森永卓郎さんも、次のように述べていました。

森永卓郎さん:立憲民主の政策が評価されたというよりは、自民党に政治とカネの問題でとてつもない逆風が吹いていたことが、今回の結果をもたらしたと思います。直す直すと言っていても、政治資金規正法の自民党案を見れば、直す気などまったくないことが世間には分かってしまっているので、自民党に投票できるような政治環境じゃなかったんです。

生島ヒロシさん:こうなって来ると、立民も今後はしっかりと共闘戦略とか考えて行くんじゃないですかね?

森永卓郎さん:今回は明確な選挙協力はなかったですが、東京15区では共産党が候補を立てないという少し距離をおいた選挙協力をしたことが功を奏したと思います。やっぱり野党はこれからまとまって行く方向になると思います。ただ、立憲は前回の総選挙で消費税の引き下げを掲げたんですけど、今はその看板を下ろしちゃってるので、そこをどうするかがこれから大きな問題になって来ると思います。

あたしも森永卓郎さんと同じことを考えていました。

一部の商品だけが少しずつ値上げされているような状況であれば、岸田首相が描いているファンタジー小説のように、労働者の賃上げが物価高騰に追いつくかもしれません。

しかし、現在のように何千品目もの食料品や日用品が一斉に値上がりし続けている上に、ガソリンなどの燃料も値上げが止まらない状況では、「給付金」や「減税」などの即効性のある政策でしか国民を救えません。

この流れで岸田首相が会期末に解散総選挙を強行した場合、最も有権者に訴えかける力のある政策は「減税」です。

与党の自民党も野党の「ネオ保守」の政党も右へならえで五十歩百歩の政策を掲げる中、野党第1党である立憲民主党が大躍進するためには、国民目線の減税政策で野党共闘を実現するしか方法はありません。

日本共産党や社民党やれいわ新選組と足並みを揃えて「時限的消費税減税」を掲げ、国民が「暮らしが良くなった」と実感できる政治を目指せば、ふだんは投票に行かない約5000万人の無党派層の何割かは重い腰を上げると思います。

岸田政権下で行なわれた前回2021年の衆院選では、自民党の比例票は約2000万票、立憲民主党の比例票は約1150万票でした。

つまり、投票に行かない約5000万人の無党派層の2割弱が「投票に行こう」と思うような政策である「時限的消費税減税」を掲げれば、立憲民主党は比例で自民党を上回れる可能性があるのです。

しかし、どんなに素晴らしい政策でも、実現能力が伴わなければ「絵に描いた餅」であり、有権者、特に無党派層からは見向きもされません。

そのために不可欠なのが、政権交代を視野に入れた野党共闘なのです。

保身に走った岸田首相が自滅の道を歩み始め、日本維新の会が大阪万博の強行で一時の勢いを完全に失い、似たような「ネオ保守」の政党や政治団体が乱立して自民党から離れた票を奪い合っている今こそ、国民目線の政策を掲げたリベラル勢力が大躍進できるチャンスだと思います。


立憲民主党、政権交代を望んでいるのか疑わしい「野党共闘」への対応です。
しっかりと国民目線でやってほしいものです。

園のようす。
散りゆく桜を眺め至福の一服。

チューリップ・ボケが咲きました。


憲法施行77周年にあたって

2024年05月03日 | 生活

日本共産党幹部会委員長 田村智子

「しんぶん赤旗」2024年5月3日

 一、私たちは、今年の憲法記念日を、憲法を蹂躙(じゅうりん)する「戦争国家」づくりの暴走と、平和と人権を求め「憲法を守り生かそう」という国民的世論とが、激しくぶつかり合うもとで迎えています。

 集団的自衛権行使、安保法制を具体化する「安保3文書」の閣議決定から2年、岸田政権は、敵基地攻撃能力の保有、軍事費倍増、殺傷兵器の輸出解禁など、歴代自民党政権が憲法にもとづく「平和国家の理念」としてきたものをことごとく投げ捨てる暴挙を重ねています。

 4月の日米首脳会談では、米軍と自衛隊の指揮統制のかつてない連携強化に踏み切りました。この道を進めば、自衛隊は、情報・装備とも圧倒的に優位な米軍の事実上の指揮統制のもとに置かれることになります。とくに、米軍は、「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」の基本方針に「同盟国とのシームレスな統合」を明記し、米軍の公式文書では、そのために「主権の一部を切り離させる」ことまで明記しています。これは、日米軍事同盟の歴史的な大変質であり、日本国憲法を根本から蹂躙し、「日本を守る」どころか、日本の主権も国民の命と安全も脅かす危険極まりない道と言わなければなりません。

 憲法の平和原則を根底から覆す歴史的暴挙を断じて許すことはできません。立場の違いをこえて、「憲法壊すな・憲法守れ」の国民的な共同をひろげることを心からよびかけます。

 一、いま日本に求められるのは、軍事ブロックによる対抗と果てしない軍拡競争で戦争の危険を増大させることではなく、憲法9条を生かした粘り強い外交によって、東アジアを戦争の心配のない地域へと変えていくことです。

 日本共産党は、(1)ASEANと協力して東アジア規模での平和の地域協力の枠組みを発展させる、(2)北東アジアの諸問題の外交的解決をはかり、東アジア平和共同体をめざす、(3)ガザ危機とウクライナ侵略は国連憲章・国際法にもとづく解決を求める――という「東アジアの平和構築への提言――ASEANと協力して」を発表し、東アジアの平和構築という大事業をすすめるために、各国政府、政党、市民社会が共同したとりくみをよびかけています。

 平和を希求する国内外のみなさんと手を携えて、日本と東アジアの平和構築のために奮闘する決意です。

 一、岸田政権がすすめる大軍拡は、社会保障や教育など暮らしの予算を抑え込み、幸福追求権(13条)、生存権(25条)、教育を受ける権利(26条)などを脅かしています。また、安全保障上の脅威をあおり、経済活動や学術研究への統制・監視を強めることは、思想信条の自由(19条)、学問の自由(23条)を踏みにじるものです。選択的夫婦別姓や同性婚、ジェンダー平等の実現に背を向ける政治は、法の下の平等(14条)や両性の本質的平等(24条)へと日本社会が進むことを阻んでいます。沖縄・米軍辺野古新基地建設は、繰り返し示された民意を無視し、憲法の大原則である地方自治を踏みにじっています。

 こうした憲法を蹂躙する政治は、平和もくらしも脅かし、日本経済の持続可能な発展を妨げ、多くの人が生きづらさを抱える社会の要因ともなっています。

 いま自民党政治への怒りは、裏金事件を契機として全国で沸騰し、新しい政治を求める声となっています。立憲主義を土台とする市民と野党の共闘で、自民党政治を終わらせ、憲法を生かした希望ある政治へと変えるため、日本共産党は全力をつくします。


今日は「花見」を敢行。
強い風に桜が吹き飛んでゆく様を眺めながら・・・
ジンギスカン鍋に舌鼓。
外で、自然の中で食べるのはまた格別。
畑から長ネギ、シイタケ。
野からはクレソン、ヤチブキ、行者ニンニク。

園のようす。

ベニバナイチヤクソウが蕾を持ちました。


第95回中央メーデー 田村委員長のあいさつ

2024年05月02日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2024年5月2日

 おはようございます。(「おはようございます」の声)。第95回メーデーに、日本共産党を代表して連帯のあいさつを送ります。(拍手)

 4月28日の衆議院補欠選挙、裏金事件をはじめ自民党への国民の怒りがはっきりと示されましたね。いま、政治を変えてほしい、暮らしや経済のゆきづまりをなんとかしてほしいと多くの市民のみなさんが願っている、そういう情勢ではないでしょうか。

たたかう労組“ここにあり”

 そのもとでの希望が、「たたかう労働組合」です。

 全労連・国民春闘共闘委員会は、「ストライキを構えて、物価高騰を上回る大幅賃上げを」と、昨年よりさらに多くのストライキを決行し、27年ぶりの高い賃上げ回答を得ているとお聞きしました。

 もちろん要求額からは大きな開きがあり、たたかいはこれからですが、「たたかってこそ賃上げは実現できる」と、労働者の団結権を高々と掲げ、日本にストライキの復権をもたらしています。心からの敬意を表するものです。

 メディアでも、「物言う労働組合」(『日経ビジネス』2月26日号)などの特集が組まれ、「若者たちが、自ら声を上げ始めている」「みんなで声を上げ、働くルールをつくる労働組合。…世界ではいま息を吹き返し、再評価されている」(「朝日」1月7日付)と報道されています。世界でも日本でも「たたかう労働組合ここにあり」ではないでしょうか。(拍手)

 アメリカ三大自動車メーカーの主力工場でストライキを決行し、25%の賃上げを実現した全米自動車労組のショーン・フェイン会長から、全労連との連帯を「誇りに思う」「企業経営者に目にもの見せてやりましょう」とメッセージが寄せられている、とてもうれしいことです。

 「一致する要求での行動の統一」「資本からの独立」を掲げる全労連運動をさらに発展させて、物価高騰から暮らしを守る大幅賃上げを、ともに勝ちとっていこうではありませんか。(拍手)

大幅賃上げへ政治変えよう

 職場でのたたかいとともに、政治を変えるたたかいが、大幅賃上げに不可欠です。

 岸田首相は、4月27日の連合メーデーで、「長年染みついたデフレ心理の払拭」と、あいさつしました。賃金が上がらないのは私たちの心持ちのせいだとでもいうのでしょうか。人件費コストカットの旗をふり、非正規雇用を増やし、中小企業への賃上げ直接助成も行わず、社会保障予算を削って医療、介護分野の賃上げを困難にし、そのうえ、インボイス増税まで強行した――これら、日本を賃金が上がらない国にした政治の責任をどう考えているのでしょうか。

 一方で、大企業の内部留保が国内総生産(GDP)に匹敵するほどに膨張したことを、自民党も問題視せざるをえなくなっています。ならば、内部留保の一部に課税し、中小企業の賃上げ助成で、最低賃金1500円をただちに実現しようではありませんか。非正規ワーカー待遇改善法をつくって、無法な雇い止めも差別もなくし、同一価値労働同一賃金を実現しようではありませんか。男女賃金格差の公表から、格差是正へと政策を大きく前に進めようではありませんか。政治の責任で大幅賃上げを――みなさんと一緒に全力でとりくんでまいります。(拍手)

「戦争国家」を許さない

 最後に、憲法破壊の「戦争国家」づくりをともに止めましょう。「教え子を再び戦場に送らない」「二度と赤紙は配らない」「白衣を戦場の血で汚さない」など、「憲法9条守れ」の旗は労働組合運動の原点です。

 集団的自衛権の行使容認、敵基地攻撃能力の保有、武器輸出など、憲法9条のもとでできないとされてきたことが、次々と覆されています。

 いま日本がやるべきは、大軍拡で軍事対軍事の対立をあおることではなく、憲法9条を生かした粘り強い外交で、戦争の心配のない東アジアをつくることです。

 平和でも暮らしでも、自民党政治を終わらせる、裏金事件への怒りも爆発させる、国民的な大運動を巻き起こそうではありませんか。第95回メーデー万歳。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)


 こんな崩壊政権を横から助け船の「連合」に働く者の「代表」を名乗る資格などないのは明白です。芳野会長の辞任を要求いたします。

園のようす。
今朝も霜が降りました。
明日の予報は7℃ということで、ハウス内トンネルは一重で帰ってきました。

直売、旗揚げしました。
GW後半、お客さんは来るでしょうか?

桜も見ごろ。
明日は「花見」です。
「団子」の方ですけど。