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入管法改定案は廃案に

2023年04月14日 | 生活

抜本的な民主的改革こそ 志位氏

2023年4月14日

 日本共産党の志位和夫委員長は13日、国会内で記者会見し、同日審議入りした入管法改定案について「断固反対であり、廃案を目指して頑張りぬきたい。国際水準に立った入管制度の抜本的な民主的改革を求めてたたかいたい」と表明しました。

 同改定案について志位氏は、2021年に「外国人の人権無視」との批判にさらされ廃案となった法案と同じ中身だとして「政府のあまりにひどい無責任、傲慢(ごうまん)さを示している」と批判しました。

 志位氏は、改定案の「最大の問題点」として▽在留資格を失った外国人を全て収容する「全件収容主義」▽裁判所の審査もなく入管の裁量で収容を執行する―という二つの根本問題に手をつけていないことを指摘。この根本問題が、名古屋入管でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなる痛ましい事態を招いたとのべました。

 現行の入管法は、戦前に植民地出身者を取り締まった制度を引き継いでおり、国会でのまともな議論も経ず今日に至っているとして「大本からたださなくてはならない」と主張しました。

 その上で、改定案で導入する監理措置制度は、裁判所の審査もなく入管が収容の必要性を判断する根本問題を変えるものになっていないと指摘。支援者や弁護士らに外国人を監視させる役割を強いる制度であり「新たな矛盾をつくり出す」と批判しました。

 難民認定申請中は送還が停止される規定に例外を設け、3回目以降は送還が可能となっていることも大問題だとして「迫害の危険のある国に送還してはならないという国際法上の原則に違反している」と指摘しました。

 日本に対し国連自由権規約委員会から繰り返し是正の勧告がされているとして「外国人の人権が尊重されない国は日本国民の人権も尊重されない国になる。国際的にも恥ずべき状況を直視し、廃案にしたうえで、民主的改革にとりくむべきだ」と述べました。

 

ウィシュマさん映像めぐり斎藤法相また暴言

辞任すべきだ ウィシュマさんの遺族の代理人弁護士・高橋済氏の話

 「原告が勝手に編集して公開した」というのは、単なる事実経過ではなく国による個別事件への一定の評価、介入です。過去に法相自身がこの種のビデオ公開について、他の弁護団に抗議したことは一度もありません。本件は法案審議が始まる中で政治的に障害になるため、あえて不当介入したもので、弁護団への政治的な圧力です。

 次に情報公開の不開示事由にあたるとの発言は、今回情報公開法の申請をしてはいないのでそもそも話が違います。仮に申請していたとしても、裁判所に対して、職員の顔など国側が編集して提出しています。つまり、公開しなければならないという判断を前提に、勧告指導が出されたものです。まったく関係のない情報公開法を持ち出して、違法であるかのような発言を上乗せしているのは、不当な政治的圧力です。

 遺族感情や本人感情になり替わっての発言は、遺族からすれば二次被害に他なりません。もし、家族が犯罪被害によって殺害されたときに、犯罪加害者の側から亡くなった本人の気持ちを考えてみろと言われたらどうでしょうか。遺族が公開したいという気持ちを、亡くなった本人の気持ちに沿っていないなどと加害者側から言われているもので、非常に醜悪な言動です。

 遺族に対して、きわめて暴力性が高い言動を行った斎藤法相は責任者として発言の撤回ではなく即時に辞任すべきで、政府としても解任すべき発言です。

 (聞き手・田中智己)

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「教室に行ってみんなの前で連れて行きますよ」入管職員の「脅し」で、小学5年生の世界は変わった

「東京新聞」2023年4月14日

<連載 この国で生まれ育って 「入管法改正」の陰で>③

 高校2年生の優菜さん(16)=仮名=が、日本の在留資格がないと知ったのは小学校5年生の時だった。

 母親と一緒に出入国在留管理庁(入管庁)の施設に行き職員と向き合っていた時。職員が優菜さんを向いて言ったという。

 「あなたも早くペルーに帰りなさい。そうしないと教室に行ってみんなの前で連れて行きますよ」

 入管庁の役割すらよく知らなかった優菜さんが驚いて泣きだすと、職員は「泣いたって変わらないよ」。

 優菜さんは、ペルーから来た非正規滞在者の両親の下、日本で生まれた。その後、母が定住資格を持つブラジル出身の日系3世の今の父と再婚した後も、母や兄とともに在留資格が与えられない。優菜さんは知らなかったが、小2の時に退去命令が出され、いつの間にか就職も自由な移動も禁じられる「仮放免」になっていた。

 職員の言葉で、優菜さんの世界は変わった。

 「私は日本にいてはいけない人間だ」。知られたら友達も離れると思い、在留資格がないことは秘密にしようと決めた。県外に遊びに行こうと誘われてもうその理由で断った。「うそのたびに心が重くなり、生きるのが苦しくなりました」

 中3になり、教室に入ろうとすると一歩も足が進まなくなった。「教室で連行されるイメージが浮かび怖くなりました」。1年間は別室で自習して過ごした。

◆「子どもの最善の利益」どこへ…入管庁の対応

 日本も批准する「子どもの権利条約」は、国籍を問わず子どもの人権尊重を義務付ける。にもかかわらず、入管行政の現場では心ない言動が横行するとの指摘は少なくない。「就職できないのだから努力しても無駄と言われ、やる気を失った」と本紙に証言する人も。

 入管庁は「子どもに直接帰国を促すことは避けているはず」(審判課)と説明する。だが、現場に詳しい丸山由紀弁護士は「退去を促そうと脅しじみた言動が放置されている。特に子どもには心の傷になりやすく、第三者のチェック態勢が必要だ」と話す。

 同条約は、在留資格を与える判断でも「子どもの最善の利益」尊重を規定。入管庁のガイドラインも日本で生まれた子が10歳以上になった場合は「(親子ともに)在留許可を与える方向で検討する」とする。

 しかし、鈴木江理子国士舘大教授は「近年はガイドラインに該当しても認められない傾向が強まっている」と指摘する。優菜さんの家庭もそのケース。最近、入管職員は優菜さん親子に母がペルーに帰るなら子どもには在留資格を許可する可能性があると言うようになった。だが、優菜さんは「ママを犠牲に在留資格をもらうなんて考えられない」ときっぱり話す。

 「うちはお金がなく晩ご飯のおかずが卵焼きだけの時もあります。それでも家族で食べると楽しいのです。こんな毎日が続くことも許されないのでしょうか」

  ◇

<連載>この国で生まれ育って 「入管法改正」の陰で

「檻のない監獄」を生きる中2女子「私たちに死んでほしいの・・・」 仮放免、生活保護もない子どもたち
「働く権利がない」大学4年生…就職内定した同級生を横目に涙 「社会に貢献」望むのに
【解説】「『帰らない』のではなく『帰れない』」日本の入管庁、仮放免、難民認定を巡る課題とは

 在留資格のない外国人の強制送還を促進する入管難民法改正案の国会審議が13日から始まった。その陰で、日本で生まれ育ちながら在留資格がなく「仮放免」という立場に置かれた外国人の子どもたちの過酷な実態が置き去りになっている。小さな苦悩の声を4回にわたり緊急報告する。(池尾伸一)


人権感覚がない日本政府。
何とか救ってあげたいが・・・。
やっぱり声を上げることしかできないけれど。

今日はエゾノリュウキンカが咲きました。

午前中は氣持ちのいい日よりでした。
予報は1日良い天気だったのですが、昼から雲が出て時折パラパラと。
陽がなくなると寒さがこたえます。
数が少ない黄色のクロッカスも咲きだしました。

これは何かな?

始め福寿草かと思いましたが形状が違います。
キクザキイチゲ?
こんな色あったかなぁ。

シイタケが出ました。


高齢者施設 マイナカードで受診に不安 「管理できず」94% 保団連が調査

2023年04月13日 | 生活

2023年「しんぶん赤旗」2023年4月13日

 全国保険医団体連合会は12日、会見を開き、全国1219の高齢者施設からのアンケート結果を公表しました。回答からは、来年秋に健康保険証が廃止された場合、受診に必要なマイナンバーカードの管理について介護現場に深刻な影響が出ることが明らかになりました。

 医療機関での受診をマイナンバーカードに一本化し、今の健康保険証を廃止する法案は衆議院で14日からの審議入りが狙われています。

 保団連は42都道府県8980の高齢者施設や介護施設にアンケートを送付。1219施設(13・6%)から回答を得ました。

 回答では、利用者・入所者の健康保険証を施設で管理しているところが83・6%でした。いまの健康保険証が廃止され、受診がマイナンバーカードだけとなった場合、管理できるか尋ねたところ、「できる」が6%、「できない」が94%でした。

 管理できない理由については「カード・暗証番号の紛失時の責任が重い」が91%、「カード・暗証番号の管理が困難」が83%、「不正利用、情報漏洩(ろうえい)への懸念」が73%となっています。

 会見した保団連の本並省吾事務局次長は「多くの回答があり、現場に怒りが渦巻いている」と指摘。住江憲勇会長は「回答には『こういう調査はこれが初めて』というものがあった。本来なら厚生労働省が法案提出前に行うべきものを一切せず、結局、混乱を現場任せにしている」とのべました。

 

保険証廃止は非現実的

保団連調査 高齢者施設 入居者も職員も負担大

 高齢者施設利用者のマイナンバーカードについて、施設の94%が管理できず、約93%が代理申請に対応できない―。健康保険証を廃止し、マイナンバーカードで受診することについて全国保険医団体連合会(住江憲勇会長)の12日の会見では、現場の実態が紹介されました。

 「マイナンバーカードと暗証番号を施設長の私のみが管理するのは現実的でない。受診に付き添う職員に渡し暗証番号を教えることになるが、この管理責任はとても負えない」

 会見で、こう語ったのは京都府内の特別養護老人ホーム施設長の介山篤さんです。入居者が116人の介山さんの施設では、健康保険証をカギつきロッカーで預かっています。マイナンバーカードを持っているのは2人のみ。そのうち1人はカード作成に必要な本人写真を施設内で撮影しましたが、「入居者・職員にとっても時間も負担も非常に大きかった」といいます。

 アンケートの回答にも「わからないことがあれば、コールセンターへと説明するが(電話がつながらず)健常者ですらうんざりする」(京都・障害者支援施設)、「施設相談員等の業務量は年々増え続けており、これ以上の負担は厳しい。離職につながっている」(埼玉・特養)といった回答が寄せられました。

 「認知症の人と家族の会」の鈴木森夫代表理事は会見で、会員の事例を報告。この会員は認知症の母親の写真を役所に持っていったところ「背景が無地でないからダメ」と受け付けてもらえませんでした。撮り直したものの「目線が正面を向いていない」と再び受け付けてもらえず、断念したといいます。

 岐阜県でクリニックを営む保団連の竹田智雄副会長は「マイナンバーカードのみでの受診となれば、資格確認のための顔認証に行列ができるし機械の故障も頻発している。本当に医療を必要とする人たちが受診から阻害される間違った事態になっている。国民皆保険制度を守るために健康保険証を残してほしい」と訴えました。


 朝、雪が降ってきたのにビックリ。週間天気予報を見ると最低気温氷点下が何日か復活していました。
 今日は寒く風も強く、仕事にも身が入らず・・・。
ヒヤシンスが咲きそうですが、暖かいお日様が必要。

ボート出しました。風が強かったので、まだ乗ってません。


内田樹「間違った教育行政には『それは違う』と立ち上がる勇気が必要」

2023年04月12日 | 教育・学校

AERAdot 2023/04/12

 小学校の先生たちが来訪して、教育現場について生々しい話を伺った。「教育崩壊」の一歩手前まで来ているということだった。教員不足が深刻な事態になっている。仕事は増え続け、自由裁量の幅は狭められ、管理職に細かく査定され、保護者からのクレームには頭を下げ……という現状では教員志望者が減少して当然ですと言われた。そうだろうと思う。

 今はどこでも教員たちは「組織マネジメント」によって統制されている。この組織マネジメントなるものは「どうやったら教員たちは毎日上機嫌で働くようになるか」ではなく、「どうやったら生産性の低い教員、上位者の命令に従わない教員に罰を与えるか」を優先しているように私には見える。しかし、市民たちはこの「教員いじめ」に特段の関心を寄せていない。この種の統制は教育活動を質的に向上させる上では有害無益なことだと私は思う。現にそのせいで「教員のなり手がいない」という事態を迎えることになっているのである。

 教員数はぎりぎりで、70歳過ぎの退職者にまで出講を依頼しているが、それでも誰かがバーンアウトして離職すると、もう補充がきかない。「1人の教師が2クラス、3クラスをオンラインで教える」という事態が到来するのも時間の問題だという。「子どもたちと顔を合わせることができないなら、それはもう教育とは言えません」と教員が訴えても、「だったら、教え上手の先生のビデオ授業を配信して、子どもたちにはそれを見せておけばいい」と言い放つ教育関係者もいると聞いた。もはや末期的光景である。

「どうしたらいいでしょう」と問われたので、「戦いなさい」と答えた。今の教育行政は間違っている。いくら教員の心身を痛めつけても、子どもたちの市民的成熟に資するところはない。

 上からの命令でも筋の通らないことについてはきっぱり「ノー」を告げるべきだ。そのために必要なのは「勇気」だと申し上げた。マジョリティーが一方向に向かっている時、ただ一人で「それは違う」と立ち上がるためには勇気が要る。そして、日本の学校教育が久しく子どもたちに教えようとしなかったのは「勇気を持つこと」だった。

内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい 内田樹の大市民講座』『アジア辺境論 これが日本の生きる道』など多数

※AERA 2023年4月17日号


 教員いじめがまかり通る学校で児童のいじめ・不登校・じさつを減らすことはできない。加害者に寄り添う学校「管理者」を排除しなければならない。多くの先生が精神を病むような「学校」であってはならない。「個性」のない子どもたちを「作る」学校であってはならない。クレームも必要だろうが励ましももっと必要だ。


旧統一教会系団体が学術会議を「反体制的」「解散せよ」と痛烈批判 その背景とは

2023年04月11日 | 社会・経済

2023年4月11日 

1985年の「思想新聞」のコピー

1985年の「思想新聞」のコピー

 日本学術会議法の改定案が今国会にも提案される。人選の方法を改めようとする現首相の岸田文雄氏、一つ前の菅義偉氏は学術会議のあり方を疑問視し、時に「目の敵」にしたようにも見える。背景は一体、何なのか。そんな問題意識から取材を進めると、「お家芸」のように古くから学術会議を痛烈に批判した組織が浮かび上がった。この「接点」をどう考えるべきか。(木原育子、中山岳)

◆改定案は「あからさまな介入」

 5日にあった内閣府と日本学術会議の面談。会議側から批判が続出した。「不透明でブラックボックス」「監視のための法改正だ」
 内閣府から説明を受けたのが現政権が新設を目指す「選考諮問委員会(仮称)」。学術会議の会員選考に関わる「第三者組織」だ。
 国主導で人事制度が変わりかねない状況に対し、長く学術会議の会員や連携会員を務めてきた宗教学者の島薗進氏は「あからさまな介入。政府や財界などが委員任命に関与しようとすれば、政府や与党、特定のグループの意向に従うような組織になる」と危ぶむ。
 今は学術会議側が会員候補を選考した上、推薦を受けた首相が任命している。諮問委が新設されると、そのメンバーは学術会議の会長が選ぶ一方、会員候補の選考時に諮問委の意見を聞き、その意見を「尊重しなければならない」とする。
 内閣府の児玉泰明参事官は「学術会議は国費でまかなう国の機関。選考過程の透明化は必要だ」と語る。
 一つ前の菅政権も学術会議の人事に「介入」した。
 2020年9月、学術会議から推薦を受けた会員候補6人の任命を拒否した。過去の国会では、政府側が「推薦された者をそのまま会員として任命する」と答弁したにもかかわらずだ。
 ただ、近年の政権の思惑はいまひとつ分からない。菅氏に至っては真意を問われても「総合的、俯瞰ふかん的活動を確保する観点から」と曖昧な言葉を繰り返した。

◆面白くない存在 右派結束の引き金

 そんな中で、気になる動きを見せていたのが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体、国際勝共連合だ。
 機関紙「思想新聞」の1985年8月25日付では「むしばまれる『日本学術会議』」「反体制的」と記し、「早くつぶしてしまうことが肝要だ」という関係者コメントも掲載。同年9月1日付では「こんなにある! 学術会議の左向き勧告等」と伝えた。
 近年でも菅氏の任命拒否が表沙汰になると、サイト上で「『白い巨塔』ばり不透明な会員推薦」(2020年10月19日付)、「解散せよ」(21年1月18日付)とたたみかけた。
 痛烈な批判の背景について、ジャーナリストの鈴木エイト氏は「教団側は世界平和教授アカデミーという組織で文化人を取り込んだが、なびかなかったのが学術会議の人たち。面白くない存在だった」と推し量り「菅さんの任命拒否と連動する形で、歩調を合わせたのだろう」と続ける。
 学術会議批判にどれだけ力を注いだか、最近の政権にどう影響したか。勝共連合に尋ねたが、10日夕までに回答が得られなかった。
 これらの点に関しては、慎重な見方もある。前出の島薗氏は「教団側の政治活動のテーマは60〜80年代は反共。冷戦崩壊後、伝統的家族観に政治工作の軸足は移ってきた」と語る。
 一方で「日本社会は今も反共、反左翼の思想が根強く、何か引き金があると右派系団体も含めて結束しやすい。その一角として教団側の存在感は小さくなかった」と指摘する。

◆自民党 半世紀も前からの「お家芸」

 過去の文書をたどると、学術会議に痛烈な批判をしてきた別の組織も浮かぶ。それは自民党だ。
 国会の議事録によると、冷戦下の1960年には科学技術庁長官だった中曽根康弘氏の姿勢が問題視された。岡良一衆院議員(日本社会党)は、日本とソ連の科学技術交流を要望している学術会議の科学者を中曽根氏が「アカ呼ばわり」したとして追及した。66年には一部の自民議員が学術会議を「左翼に偏向」と見ているとして、別の野党議員がただした。
1971年の「自由新報」のコピー

1971年の「自由新報」のコピー

 「学術会議たたき」がより鮮明だったのは、自民党機関紙「自由新報」(現自由民主)。71年4月27日付の1面トップでは「科学なき”赤い巨塔”学術会議」との見出しで批判記事を載せた。69年に大学紛争の沈静化を狙った関連法が成立した際、学術会議が大学の自主性尊重を訴えたことに触れて「反体制、反政府の姿勢から、事あるごとに”反対声明”をつづけてきた」と主張。日本共産党シンパの会員が増えているとし、「名ばかりの政治集団」「イデオロギー一辺倒」「”存在価値ない”」と報じた。
 自民が機関紙で大々的な批判を展開した背景について、政治ジャーナリストの野上忠興氏は「自民を支持する岩盤保守層を意識しているからだ」と説く。
 学術会議は49年の発足時から「戦争非協力」を掲げ、軍事目的の研究からは距離を置いた。原子力分野では54年、平和利用に徹するとして「公開・民主・自主」の三原則を唱えた。
 折に触れて出す提言には、自民党政権の痛いところをついたものも少なくないと野上氏は指摘。「自民にとっては、何かと異論を挟む目障りな存在という感覚もあるのではないか」

◆軍事研究に距離 気に入らず

 学術会議を煙たがり「異論封じ」を唱えるような論調は、その後も出てくる。
 80年、自民の中山太郎参院議員は自著で「左翼的なイデオロギーに偏向した会員に牛耳られている」などとし、「この体質的欠陥はすべて、その会員公選制、つまり選挙方法に起因している」と書いた。
 中山氏は同年7月に総理府(現内閣府)総務長官に就任。翌81年に学術会議の運営をやり玉にあげた。国際会議に会員外の研究者を多く派遣しているとし、会員選考を含めた「改革」を唱えた。83年11月には、日本学術会議法の改定法案が成立。公選制から推薦制になった。
 こうした経緯について、東北大の井原聡名誉教授(科学技術史)は「自民党政権は学術会議を何とかコントロールしようと画策してきた。推薦制の会員選考でも近年は、政権が選びやすいように多くの候補を学術会議に求め、水面下で駆け引きしてきている」と見解を語る。
 
 そもそも自民党には、軍事研究を含めて産業に活用できる科学技術政策を進める意向が根強いという。
 「すぐ役立たない研究は気に入らず、協力しない姿勢を左翼的だと攻撃するのは、自民党内で文化のように醸成されてきた」
 最近の菅氏、岸田氏の動きも、学術会議をできるだけ意に沿わせたいという自民の「お家芸」だとして、警鐘を鳴らす。
 「学術会議が目指すのは真理の探究と、その成果が人類の福祉に役立つことだ。政府の言いなりになることではない。世界的に見ても科学者が集まるアカデミーは、政府から独立性を保つことが重要とされる。学術会議の人選に諮問委を導入すれば、批判的精神が細り、科学の正しい発展を阻害しかねない。時の自民党政権がたびたび介入しようとした歴史も踏まえ、慎重に考えるべきだ」

◆デスクメモ

 自民の機関紙が学術会議を「科学なき”赤い巨塔”」と評したのが1971年。約50年後、勝共連合が「『白い巨塔』ばり」と記した。似た表現は書き手の世代的なものからか。「知る人ぞ知る批判」を踏襲したからか。時を超えた共鳴を思わせる状況。こちらも気になって仕方ない。(榊)

 一斉地方選後半であるが、こんな「宗教団体」に牛耳られる「関係者」候補は落選させましょう。
「ヤシの実作戦」などご参照ください。
ユサユサ落としましょう。


今日は水仙が咲きました。


東京新聞 <ぎろんの森>「正しいしつこさ」を貫く

2023年04月10日 | 社会・経済

2023年4月8日 

 「防衛力強化資金」を新設する特別措置法案が衆院で審議入りしました。国内総生産(GDP)比1%程度で推移してきた防衛予算を、関連予算を含めて2%程度に倍増させるための法案です。

 東京新聞は七日の社説「軍拡財源法案 『専守』堅持という詭弁(きべん)」で「倍増する軍拡予算は、長射程の巡航ミサイルなど他国を直接攻撃できる『敵基地攻撃能力(反撃能力)』の整備などに充てられる。岸田文雄首相は『非核三原則や専守防衛の堅持、平和主義としての歩みを変えるものではない』と説明するが、詭弁ではないのか」と指摘しました。

 岸田政権が昨年十二月、国家安全保障戦略を改定して盛り込んだ「軍拡路線」を推し進め、憲法九条に基づく専守防衛を形骸化させる法案で、その起点は安倍晋三政権が二〇一五年に成立を強行した安保関連法にあります。

 本紙は同法施行から七年に当たる三月二十九日にも長文社説「『茶色の朝』迎えぬために」で、安保法の危うい兆候を見逃してはならない、と指摘し、先週の本欄では同法の成立日と施行日にちなむ長文社説を毎年書き続けていることをお伝えしました。

 安保法を巡る一連の社説に対し、読者から「東京新聞らしい正しいしつこさ」との感想をいただきました。

 「正しいしつこさ」はとてもいい表現です。権力におもねらず、かといって決して独善に陥らず、議論を重ねて正しいと信ずることを継続して主張する。言論機関として私たちが忘れてはならない姿勢を言い当てています。

 六日の木曜日から「春の新聞週間」が始まりました。新聞・通信・放送各社が加盟する日本新聞協会の行事である新聞週間は毎年春と秋の二回あり、秋は一九四八年、春は二〇〇三年に始まりました。春の週間では進級や就職などの機会をとらえて、新聞購読を呼びかけています。

 秋の週間では毎年、新聞の在り方を示す標語を一般から募集して発表しています。昨秋の二二年度代表標語は「無関心 やめると決めた 今日の記事」でした。

 読者の皆さんが社会への関心を失うことがないよう報道や論説に努め、権力には「正しいしつこさ」で迫る。そうした新聞の役割を再確認する春の新聞週間です。 (と)


 他紙、多媒体の状況を見ると「東京新聞」だけが頑張っているように見える。今回の統一地方選挙の結果を見てもマスコミの果たしてこなかった「役割」を再確認してもらわなければ存在そのものが危ぶまれるだろう。

 それにしてもこの選挙の結果を受け、暗澹たる氣持ちだ。予想はしていたものの、ここまで行くとは・・・
まだ後半があるが、より身近な選挙になるわけだが「国民」はどのように進もうとしているのか?

 昨夜から氷点下。
週間天気予報を見るとこれから氷点下はない。とはいってもアメダス地点と現場の違いはある。些細なことは言わず、要は週間天気予報から氷点下の日が消えたということです。
福寿草に続きクロッカス。


統一地方選、9日が投票日です 切実な現場を知る3人に聞く1票への思い 

2023年04月09日 | 生活

「東京新聞」2023年4月9日

 統一地方選の前半戦は9日、投開票される。候補者たちは選挙戦最終日となった8日も支持拡大へ声をからしたが、多くの有権者と接する貴重な機会に、切実な声を吸い上げることはできただろうか。投開票日を前に、困窮者支援や中小企業、高齢者福祉の各分野の現場を知り尽くす3人に、訴えたいことや投じる1票への思いを聞いた。

◆「十分でない公助」「地方の選択が国に影響」 困窮者支援団体「のじれん」の活動に携わる東洋大の木村正人教授

 新型コロナウイルス禍の3年間に、保健所の体制や困窮して助けを求める福祉の窓口、地域の感染対策、罹患りかんした場合の対応など、地方行政こそ暮らしに直結した命綱だということを、誰もが思い知らされた。

 こうした中、生活保護の申請件数が3年連続で増加し、弱いものから命がないがしろにされている。「公助」は十分ではなく、家がある人や小さな子どもを抱えた人、学生までが、路上生活者向けの炊き出し支援に並ぶ。コロナ禍で増えた利用者は高止まりしたまま、先行きは見えない。

 地方の選択はこの国の針路にも確実に影響する。国政はもはやコロナ対応はおしまいで、今度は防衛だと、予備費の残額を湯水のように軍事ビジネスに費やそうとしている。

 地域の議会こそ、自分たちが選ぶ代表だ。今必要なことは何なのか、声を票にして届けたい。(山下葉月)

◆「コスト高で揺らぐ中小」「連携できる協議体づくりを」 東京中小企業家同友会・事務局長の林隆史さん(54)

 原燃料などのコスト高が中小企業の足元を揺るがしている。販売価格の引き上げはそう何度もできず、コスト高に対応が追いつかないなど、取引先との交渉でコスト増加分を全て価格に転嫁(上乗せ)するのは困難だ。多くの中小は既にコロナ禍で痛めつけられており、高齢化する経営者の中には「今後10年はもう頑張れない」と、会社を畳むなど廃業する例もでている。

 雇用の7割を占める中小は地域社会を支える有力な存在だ。ある企業はコロナ感染を防ぐ防護服をつくるなど中小が社会や地域の課題に応えたケースは多い。

 一方、経営体力はコロナ禍や物価高で弱っており、単独ではチャレンジに踏み出しにくいのも現状だ。地方行政や金融機関との連携は不可欠で、自治体には補助金などお金の用意だけでなく、中小が地域で横断的に連携できるような協議体づくりを求めたい。(大島宏一郎)

◆「質は置き去りの高齢者施設」「地方から変化を生む人に投票」 介護事業所を運営する加藤忠相ただすけさん(48)

 高齢者施設の数は増えているが、質は置き去りだ。介護保険法は「要介護状態の軽減または悪化の防止」に資する介護を定めているのに、多くの施設が余裕を失い、職員配置や施設の基準を満たすだけで精いっぱい。高齢者を管理するような介護しかできず、本人ができることを奪っていく。介護職員の処遇を公務員並みにするか、一部の業務を行政が引き受けるべきだ。

 高齢化が進むと、いずれは認知症や要介護の人が多数派になる。一人暮らしが増え、高齢者が身近にいない子どもたちが将来、そんな社会を受容できるのか。

 だから、私が運営する施設では、地域との垣根をなくし、地元の子どもが自由に出入りする。利用者が食事作りや地域活動にも積極的に取り組む。今回の選挙は、地域の未来を本気で考えていない国政に厳しい姿勢で臨み、地方から変化を生み出す人に投票したい。 (大野暢子)

 地方選 憲法93条は「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」と定めている。地方自治体は、首相を国会議員の中から指名する議院内閣制と異なり、首長と議会をそれぞれ住民の直接選挙によって決める二元代表制で、住民の意思をより直接的に反映させることが期待されている。


結局選ぶのは一人一人の国民である。
まだ投票していない方、棄権することなく意思を示してほしい。

不安定な天気が続く。
晴れたり曇ったり、雨も降ってきた。
風が強く冷たい。
雪割もこれで最後か?

雪の下からチューリップの芽が。


マイナ保険証の闇 保険証がなくなる 医療情報が流出する【荻原博子のこんなことが!】

2023年04月08日 | 生活

今日はこれだけにしておきます。
「もう、後の祭りだよ」とおっしゃらず、「自公政権」のアホさを納得ください。
明日は投票日です。決して「自公政権」よりアホにはならないよう、お願い申し上げます。

マイナ保険証の闇 保険証がなくなる 医療情報が流出する【荻原博子のこんなことが!】


世界のリーダー気取りで陶酔の危うさ 岸田首相に広島サミットをやらせるな

2023年04月07日 | 社会・経済

「日刊ゲンダイ」2023/04/06

 新年度予算があっさりと成立し、後半国会では「防衛増税」が大きなテーマになりそうだ。

 防衛費の増額に必要な財源確保法案が6日の本会議で審議入り。これに対し、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の野党3党は「安易な増税に反対」の方針で一致しているが、財源論の話で済ませていいのか。それが問題の核心ではないはずだ。

 戦後日本の平和主義を投げ捨て、やにわに軍国化を進める岸田政権を続けさせればどうなるか。憲法も国是も踏みにじられようとしている今こそが日本の分岐点だったと、後から悔やむことになりかねない。

 岸田首相が心待ちにしている来月のG7広島サミットの議長はただの持ち回りなのだが、世界のリーダー気取りで高揚する岸田の暴走によって、わが国は極めて危険な領域に足を踏み入れつつある。

 支持率上昇に気をよくしたのか、岸田政権は矢継ぎ早に軍事立国政策を繰り出し始めた。

 4日の衆院本会議でようやく、昨年末に改定した国家安全保障戦略など3文書について報告したと思ったら、5日は「同志国」の軍を直接支援する新たな枠組みの創設を決定。国家安全保障会議(NSC)の9大臣会合を持ち回りで開いて決めたという。

 従来の政府開発援助(ODA)では他国の軍への支援はできない。それで、「政府安全保障能力強化支援(OSA)」なる枠組みを創設するというのだ。

「同志国」とは何なのか、いつそんな概念ができたのかと思うが、政府によれば価値観を共有する国のことで、第1弾としてフィリピンやマレーシア、バングラデシュ、フィジーなどへの支援を想定。インド太平洋地域における中国の覇権主義を念頭に抑止力を高める狙いで、警戒監視用レーダーなどの資機材を供与するという。

■平和主義からの大転換を閣議で決定

「岸田首相は、安保3文書の改定でも『専守防衛の考え方は堅持』と口では言いますが、やっていることはアベコベです。安保3文書には『敵基地攻撃能力』の保有も明記した。先制攻撃ができるようにするということです。さらには他国の軍への支援もできるようにするなど、次々と制約を取り払って、なし崩し的に憲法9条を葬り去ろうとしている。主権者・国民への十分な説明もないまま、戦後の平和主義からの大転換を閣議で決めて、国権の最高機関であるはずの国会は内閣の決定を与党の数の力で承認する場になってしまっています。これでは、どこぞの軍事独裁政権と変わりません」(立正大名誉教授の金子勝氏=憲法)

 政府は他国軍へのOSAについても、「防衛装備移転三原則」の範囲内で行い、国際紛争に直接関わらない分野に限定すると説明しているが、これもマヤカシだ。

 武器輸出を全面禁止する「武器輸出三原則」を国是としてきた日本は、2014年に「防衛装備移転三原則」を閣議決定して海外輸出の道筋をつけたが、それでも輸出できる装備品は「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5つに限っている。岸田はその歯止めさえ取っ払おうとしているのだ。

 統一地方選と衆参5補選が終わる今月23日以降、自民党と公明党による「防衛装備移転三原則」の運用見直し議論が始まる。選挙が終わるのを待って実務者協議をスタートとは、いかにも姑息だが、これがいつものやり口だ。

 協議の焦点は、殺傷能力のある武器の輸出解禁。防衛装備という呼び名で、「殺す武器」の輸出解禁が既定路線になりつつある。しかも、それは近日中に現実になる。岸田が夢想しているのは、G7広島サミットの議長国として、華々しくウクライナ支援を主導することだからだ。

G7でウクライナへの武器支援をブチ上げたい浅慮

 OSAの枠組みを使い、「防衛装備移転三原則」の制約も外して、殺傷能力のある武器輸出を解禁すれば、ウクライナに戦闘機などの攻撃兵器を供与する道が開かれる。

 G7でウクライナを訪問していない唯一の首脳だったことを気にしていた岸田は、サミット前になんとか訪問できて安堵したものの、欧米各国は戦車など武器の供与を拡大。岸田も足並みをそろえて、ウクライナへの武器供与をブチ上げてG7でいい顔をしたいのだ。

 そのお先棒を担ぐように、政府・与党内では、日本も戦闘機や護衛艦などの提供を可能にするべきだという声が日ごとに大きくなっている。

 岸田派の小野寺元防衛相も5日、都内で行った講演で、殺傷能力のある武器のウクライナへの輸出を認めるべきだと主張。これまで日本はウクライナに防弾チョッキやヘルメットを送っているが、小野寺は「装備や弾薬が足りない時に『防弾チョッキとヘルメットをください』と頼むか?」などと気勢を上げた。「外交はギブ・アンド・テイクだ。他国から支援を受けたいなら日本はどうあるべきか」というのだ。

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。 

「ある国に軍事支援をすれば、その国の敵対勢力から日本に対する反発を招くのは必然です。ウクライナに武器を供与すれば、反発するのはロシアです。ロシアは日本の隣国であり、軍事大国だということを忘れてはいけません。将来的にずっとロシアが黙っている保証はないのです。他国軍への支援は、間接的に紛争を助長することにもつながります。ロシア・中国と敵対する米国の戦略に乗っかるだけでは、岸田首相がG7サミットでいい顔をしたいという目先の利益のために、国益を損ないかねません」

■安保3文書を支援する大メディア

 ウクライナ支援のためと言えば、多くの国民は武器供与にも反対しないのではないか。そこが危ういし、岸田の狙いでもある。

「防衛装備移転三原則」の範囲内で、国際紛争に直接関わらない分野に限定するという名目で創設するOSAは、三原則を見直してしまえば、あれよあれよで紛争当事国に武器を供与する枠組みになってしまう。

「サミットで脚光を浴び、米国から褒められるために、ロシアによる侵略行為も利用して“異次元の軍国化”を推し進めているのが岸田首相です。そのうち核保有も言い出しかねない。こんな首相に広島サミットなんて、本当はやらせてはいけないのです。しかし問題は、国会でも軍拡に本気で反対する野党勢力がいないこと。防衛増税反対でお茶を濁そうとしていますが、軍拡そのものには反対しないから、岸田首相を引きずり降ろす勢力が存在しない。国民が刮目して声を上げなければ、日本はまた戦争推進の過ちを繰り返しかねない剣呑な状況なのですが、この危機感を大メディアが伝えないから、国民もノンキなもので、内閣支持率は上昇している。戦後の新聞は戦争翼賛の反省からスタートしたはずなのに、大メディアは安保3文書の改定に加わり、軍事立国を支援する側に回ったのだから、どうしようもありません」(金子勝氏=前出)

 安保3文書改定に先立つ「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」には読売新聞グループ本社の山口社長、日経新聞社の喜多顧問、元朝日新聞主筆の船橋洋一氏がメンバーに名を連ねた。公開された議事録によれば、読売の山口氏は最後の会合で「メディアも防衛力強化の必要性について理解が広がるようにする責任がある」と、決意表明していた。

 新聞社はどこも本業の経営が苦しい。朝日は5日付朝刊で購読料の値上げと東海3県の夕刊休止を発表。まさか、戦時報道でひと儲けした「夢よ、もう一度」というわけではないと思いたいが、岸田が喜々として進める軍拡を猛批判する機運は皆無だ。OSA創設の意図も、殺傷兵器輸出の危うさも、まったく国民に伝わっていない。

 平和国家としての知見をもって国際社会に貢献するのではなく、軍事支援でG7諸国から褒められることを国民は本当に望んでいるのか? その先には、日本が戦争当事国になる覚悟も求められる。

 国会で安保議論が深まらないまま、岸田はわれわれをどこに連れて行こうとしているのか。浮かれた宰相ほど危険なものはない。


神奈川新聞 

 地域医療機能推進機構(JCHO)からの積立金324億円の返納先を年金特別会計ではなく国庫に変更し、防衛費増額に充当する特別措置法案を巡り、共産党の田村貴昭氏は6日の衆院本会議で「年金の軍拡への流用だ」と批判した。立憲民主党の末松義規氏も「防衛費への流用そのもの」と指弾。

病院経営などを通し地方での新型コロナウイルス禍対策を担うJCHOの返納先は本来、法律で年金特別会計と定められている。

 すでに「独裁体制」。何とかここでくい止めたいが、いまいち国民にはその危機感がない。幾人かのブロガーの記事を読んで愕然とした。「期日前」で自民候補に入れたとあった。

 


内田樹の研究室 岸田政権は何をしようとしているのか

2023年04月05日 | 社会・経済

2023-04-02 dimanche

ある媒体からインタビューのオファーがあった。岸田政権の新年度予算成立を受けて、「なぜ政権はこれほど性急に防衛予算の拡大に進むのか」について訊かれたので、次のように答えた。     

 今回の防衛費増額の背景にあるのは岸田政権の支持基盤の弱さだと思う。

 彼にとって喫緊の課題は二つだけである。一つは国内の自民党の鉄板の支持層の期待を裏切らないこと。一つは米国に徹底的に追随すること。日本の将来についての自前のビジョンは彼にはない。

 今回の防衛予算や防衛費をGDP比2%に積み上げるのも、米国が北大西洋条約機構(NATO)に求める水準に足並みをそろえるためであって、日本の発意ではない。日本が自国の安全保障戦略について熟慮して、必要経費を積算した結果、「この数字しかない」と言ってでてきた数字ではない。アメリカから言われた数字をそのまま腹話術の人形のように繰り返しているだけである。

 国民がこの大きな増額にそれほど違和感を覚えないで、ぼんやり傍観しているのは、安全保障戦略について考えるのは日本人の仕事ではないと思っているからである。

 安全保障戦略は米国が起案する。日本政府はそれを弱々しく押し戻すか、丸呑みする。戦後80年、それしかしてこなかった。その点では日本政府の態度は戦後80年一貫しており、岸田政権は別に安全保障政策の「大転換」したわけではない。政権によって米の要求に従うときの「おもねりかた」の度合いが多少違うだけであり、そこにはアナログ的な変化しかない。だから、国民は誰も驚かないのである。

 岸田首相の党内の政権基盤は決して堅牢なものではない。だから、長期政権をめざすなら、米国からの「承認」がその政治権力の生命線となる。ホワイトハウスから「米国にとってつごうのよい統治者」とみなされれば政権の安定が保証されるし、少しでも「米国に盾突く 」そぶりを示せば、たちまち「次」に取って替わられ、政権は短命に終わる。

 岸田政権にはとりわけ実現したい政策があるわけではない。最優先するのは「政権の延命」だけである。喩えて言えば、船長が目的地を知らない船のようなものである。自公連立政権という「船」を沈めないことだけが目下の急務であり、岩礁や氷山が目の前にきたら必死に舵を切って逃げる。だが、どこに向かっているのかは船長自身も知らない。

「国民の声を聴く」とか「個性と多様性を尊重する」とか「新しい資本主義」とか公約を掲げていた時は、首相になれば少しはこのシステムをいじれると思っていたのだろうが、実際に船長になってみたら「お前が動かしてよい舵輪の角度はここからここまで」と言われ、ほとんど政策選択の自由がないことを思い知らされた。

 今回の防衛予算の積み上げも、まず米国からの要求があり、それに合うように予算が組まれ、さらにその予算枠に合うように、「中国や北朝鮮の脅威」なる「現実」が想定されている。

 ふつうの国なら、まず現実認識があり、それに基づいて国防戦略が立てられ、それに基づいて必要経費が計上されるのだが、今の日本はみごとにそれが逆立しているのである。

 日本政府が購入を決めたトマホークにしても、その前に「爆買い」したF35戦闘機にしても、米国内でははっきりと「使い物にならないほど時代遅れ(レガシー・プログラム)」の兵器とされている。

 中国との競争において、米国はAI軍拡で後れを取っている。もう大型固定基地や空母や戦闘機の時代ではない。AIに優先的に予算を投じるべきなのである。しかし、米国には軍産複合体という巨大な圧力団体があって、国防戦略に強い影響を及ぼしている。兵器産業にいま大量の在庫が残されている以上、それを処理しなければならない。だから、それを日本に売りつけるのである。日本に不良在庫を売りつけ、それで浮いた金を軍のヴァージョンアップに投じる。そういう「合理的な」メカニズムである。

 不良在庫を言い値で買ってくれるのだから、米国にしてみたら日本の自公連立政権ほど「使い勝手のよい」政権はない。だから、この政権が半永久的に続いてくれることを米国が願うのは当然なのである。

 日本国民は属国身分にすっかり慣れ切っているので、自国の政権の正統性の根拠を第一に「米国から承認されていること」だと思い込んでいる。「国民のための政治を行っていること」ではないのである。

 米国に気に入られている政権であることが何よりも重要だと日本国民自身が思い込んでいる以上、日本人が岸田政権に不満を持つはずがない。

 だから、岸田政権が防衛増税を進めても、インボイス制度やマイナンバーカードなどで、国民の負担を増大させても、国民はデモもストライキもしない。それは国民自身が「政府というのは、国民の生活のために政策を実施するものではない」という倒錯に慣れ切ってしまっているからである。

「政府はアメリカと、国内の鉄板支持層の方を向いて、彼らの利益を計るために政治をしている」ということを国民は知っている。でも、「政治というのは、そういうものだ」と諦めている。そうやって政府に対する国民の期待を下げれば下げるほど、棄権率は高まり、結果的に20%の鉄板支持層を持つ自民党が選挙には勝ち続けることができる。実際に、これからも自民党は選挙に勝ち続けるだろう。コアな自民支持層があり、浮動層の半数が「自民党以外に選択肢はない」と思っている以上、政治が変わるはずがない。

 問題は「政治はこれからもまったく変わらない」という諦念が広がると、国民の中から、このシステムを主権国家としてのあるべき姿に生き返らせることよりも、この不出来なシステムをどう利用するかをまず考える人たちが出てくることである。このシステムにはさまざまな「穴」がある。それを利用すれば、公権力を私的目的に用い、公共財を私財に付け替えることで自己利益を最大化することができる。今の日本がろくでもない国であることは自分にもよくわかっている。でも、そのろくでもない国のシステムのさまざまな欠陥を利用すれば簡単に自己利益を増すことができる。それなら、システムを復元するよりも、システムの「穴」を活用する方がいい。

 彼らはシステムを「ハック(hack)」する。死にかけた獣に食らいつくハイエナのように。彼らはこの獣がまた甦って立ち上がることを全く望んでいない。できるだけ長く死にかけたままでいることが彼らの利益を最大化するからである。今の日本では、そういう人たちが政権周りに集まり、メディアで世論を導いている。

 一方にはそれとは違う考え方をする人たちもいる。このシステムの内側で生きることを止めて、「システムの外」に出ようとする人たちである。地方移住者や海外移住者はその一つの現れである。彼らもまたもうこのシステムを変えることはできないと諦めている。そしてシステムの外に「逃げ出す(run)」ことを選んだ。

 若い人はいま二者択一を迫られている。hack or run。その選択がいま日本の若者に突きつけられている。そして、ここには、「システムの内側に踏みとどまって、システムをよりよきものに補正する」という選択肢だけが欠落している。

(3月29日)


なんとも虚しい話だ。

明日は雨の予報。
札幌へ行ってきます。


古賀茂明 銃乱射多発の米国と日本の価値観

2023年04月04日 | 事件

政官財の罪と罰

古賀茂明

AERAdot 2023/04/04

 

「米銃乱射今年に入り130件、死者9999人、うち子供404人」。

 3月29日朝のNHKワールドニュースで放送された英BBCニュースで見た数字だ。

 米テネシー州ナッシュビルの小学校で児童ら6人が死亡した3月27日の銃乱射事件を伝える報道の関連で紹介された。

 米国の銃乱射事件の数が多いのは有名だが、具体的数字を見るとあらためてその異常さに驚く。この数字は、「今年に入って」のものだ。計算すると、4人以上が死傷する銃乱射事件が毎日1件以上起きて、毎日銃で110人が殺され、18歳未満の子供が毎日4人以上亡くなっていることになる。別のBBCニュースによれば、学校で起きた銃乱射はナッシュビルが今年13件目だった。

 数字自体驚きだが、銃規制をどの程度強化するかという議論に明け暮れているうちにまた次の乱射事件が起きるのが常態化しているのを見るとさらに驚く。

 バイデン大統領は、「assault rifle」を禁止する法案の可決を議会に求めたそうだが、これは軍事用の自動小銃または半自動式ライフルのことだ。銃を持つことが憲法上認められた権利だからこんなものまで許されているそうだ。

 つまり、自分の身を守るためには、相手を殺すぞと威嚇して良いと考える国なのだ。その是非はともかく、少なくとも私はそんな「価値観」は共有できない。ましてや、全米ライフル協会によるロビーイングで銃規制強化ができないと聞けば、なおさらだ。

 日本政府は二言目には、「日米は価値観を共有する同盟国だ」と強調する。だが、米国の安全保障の考え方は、銃の所持を権利だと認める考え方と共通している。自らを守るためには、相手の攻撃を止めさせるに足る威嚇が必要、故に高い殺傷力を持つ武器を持つべきだと発展して行く抑止力の考え方だ。日本も中国を脅すのに十分な敵基地攻撃能力を持つ必要があり、それは自衛権の範囲だという考え方になる。

 これは、個人が殺傷力の高い武器を所有する権利があるという考え方と瓜二つではないか。その権利を認める代償として、毎日多くの犠牲者が出ても仕方ないとする米国の考え方は、自衛権の先にある戦争で、多大な犠牲者が出ても仕方ないという考え方につながる。さらに、銃規制にはライフル協会が障害となり、軍拡と戦争の抑止には、武器産業という巨大な利権産業が立ちはだかるという構造も良く似ている。

 私は、平和主義を至高の価値と掲げる日本が、武器の呪縛から逃れられない米国と「価値観を共有する」ことはあり得ないと考える。共有するのは、「民主主義」「法の支配」「自由」などだというが、「平和」や「人の命」について全く異なる考え方を持った国と安易に「価値観を共有する」と言ってはならない。外交上の「リップサービス」ならまだしも、自民党は、「心の底から」米国と一心同体の考え方のように見える。それは、極めて危険な思想だ。

 他国と共有すべき価値観とは、「平和」と「国民、さらには世界市民の幸福最優先」ではないのか。幸福度ランキング上位の北欧諸国などとはそうした価値観を共有できるだろうが、米国はそうした価値観を持つとは到底思えない。皆さんはどうお考えだろうか。

 ※週刊朝日  2023年4月14日号


 自民党も公明党も「人殺し」の政党になり果てた感がある。
アメリカとの「価値観」が同じになったということだ。
しかし、I am not jiminntouだ。


国保“無保険”大量に 保険証廃止の愚 マイナカードとの一本化 滞納者いきなり全額負担

2023年04月03日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2023年4月3日

 岸田政権が2024年秋に狙う健康保険証の廃止とマイナンバーカードとの一本化に伴い、国民健康保険料(税)の滞納者がいきなり受診時の医療費を全額自己負担にされたり、役所での申請が難しい人が“無保険”状態になったりする事態が懸念されています。これでは安心して医療にかかれません。どういうことでしょうか。(松田大地)

 国保は、加入者の大半を非正規雇用の労働者や年金生活者など低所得者が占めます。他の医療保険と比べ、同じ年収の4人家族で保険料が2倍にのぼるなど、高すぎる保険料が問題になっています。

 保険料を支払いきれない滞納者に対し、徴収業務を担う市区町村は有効期間を1カ月や6カ月に限る「短期被保険者証」(短期証)を交付できます。短期証の人は全国で47万6千世帯(21年6月現在)です。さらに、1年以上滞納し「特別な事情」が無いと判断された場合は、保険証を返還させ、受診時の医療費をいったん全額負担させて、7~9割の給付分は後日に払い戻しとなる「資格証明書」に切り替えることになっています。

短期証廃止で

 岸田政権はマイナンバーカードの普及ありきで、保険証の廃止に躍起です。今国会に出した関連法改定案では、保険証を廃止し、カードを取得していない人らに医療保険の「資格確認書」を設けることを盛り込みました。保険証の廃止に連動し、短期証の仕組みも廃止。資格証明書もなくなりますが、保険料滞納者に「全額負担」をさせる制裁は残します。

 この短期証の廃止により、今後は滞納が1年未満でも、自治体の裁量で「全額負担」の制裁が科されることへの危惧の声があがっています。

 厚生労働省の担当者は「(全額負担に)一律になることはない」と説明。自治体に「機械的運用」は行わず保険料の納付相談や「特別な事情」の有無の把握を行うよう周知する予定だといいます。しかし、自公政権が自治体に保険料徴収を競わせてきた結果、現場では職員による高圧的で乱暴な“相談”や、滞納者のなけなしの預貯金・家財道具を問答無用で差し押さえるケースが起きています。

 「厚労省の説明では、これまでの運動で培ってきたものが担保されるかが非常に不明確です」。こう語るのは全国生活と健康を守る会連合会(全生連)の西野武事務局長です。「保険証の取り上げをやめさせ、医療を受ける権利を守ろうと運動を続け、いきなり全額負担にはせず滞納理由を親身に聞く場を設けさせたり、少額でも分割払いを認めさせたりしてきました。全額負担となる手前にあった短期証がなくなり、いきなり全額負担にされれば、滞納者の受診控えが深刻化するのは明らかです」

申請には“壁”

 危惧されるのは、これだけではありません。マイナンバーカードの未取得者らが「資格確認書」を持つには、自分で申請しなければなりません。

 現行の国保は、有効期間が切れれば加入者に新しい保険証を自動送付します。短期証も、初めての人には滞納分の支払いを促す手紙を送った上で自動送付する市区町村が大半です。しかし2回目以降は、多くが役所に呼び出して「納付相談」をしてから手渡します。

 「実情を無視して強硬に納付を迫るなど、対応がきつい自治体では『窓口に行きたくない』と言う人も多い」と西野さん。そうしたなか、制度上は無保険ではないのに事実上、自身の子どもも含めて“無保険”状態になる事例が相次いできました。

 保険料を払えない状況にある人にとって、資格確認書の申請にも高い“壁”があるのは容易に想像が付きます。

 滞納していなくても、高齢者や障害のある人など、資格確認書を申請し取得に出向くのが困難な人は多くいます。確認書の有効期間は最長でも1年で、期限が切れれば再度の申請をしないといけません。

 そうした事情に配慮せず保険証の廃止を強行すれば、カードも資格確認書もないという“無保険”状態の人が大量に生まれるのは明白です。現に、厚労省の担当者は、日本共産党の田村智子参院議員事務所による聞き取りの際、「申請が困難な人の、医療を受ける権利を守れるのか」という問いに、「それらの人に積極的に資格確認書を出す制度にはなっていない」と認めています。

 加入者がカードも資格確認書もない状態かどうか、自治体が把握する必要がありますが、膨大な業務負担で混乱するのは必至です。

皆保険を破壊

 西野さんは言います。「資格確認書が交付されず無保険になる人を生む仕組みは公的医療サービスを後退させ、国民皆保険制度を壊すことになります。従来の保険証は今後も使えるようにすべきです」

 そもそも、個人情報の漏えいなどが不安でカードを取得したくないという人に対しても、資格確認書の発行申請を毎年させるとなれば、カード未取得への“嫌がらせ”としか言えません。あくまで任意であるカード取得を押し付けるやり方は許されません。保険証の廃止はやめるべきです。


「いらない命など一つもない」
「自公政権」が続くと、更に全年齢層での「じさつ」が増えそうです。
小学生の「じさつ」が過去最高とか、80代の超高齢者の「じさつ」とか、聞きたくないニュースばかりです。
これは「さつじん」ではないでしょうか!
「統一地方選挙」まともな選択を自・公・維新支持の国民にお願いしたい。


「対応できず閉院決めた」例も…医療機関を追い込む「マイナ保険証」 システム整備義務化、できなければ制裁

2023年04月02日 | 生活

こちら特報部

「東京新聞」2023年4月2日

 2024年秋に健康保険証が廃止され、マイナンバーカードと一体化されるのを前に、医療機関による「マイナ保険証」への対応が1日、義務化された。医療機関には、カードの保険証情報を読み取るオンライン資格確認のシステム整備が求められるが、作業の遅れや機器のトラブルが起き、不満の声が広がる。導入への負担から閉院を決意したケースも出ている。(山田祐一郎)

◆顔の認証がうまくいかないトラブルも…今後大丈夫?

 「マスクを取って顔認証を試してみますね」。3月下旬、東京都江戸川区の「松江歯科医院」の受付に設置したカードリーダーに、扇山隆院長(57)が自身のマイナカードを差し込んだ。ところが、顔を近づけるとエラーを意味する赤色のライトが点灯。「角度が悪いのかな」。何度かカメラに向かう位置をずらした末、本人だと認識された。

 同院では、昨年12月に設備を導入。設置には国から補助金が出るが、光回線を新たに整備したため自己負担分が出た。「患者が新型コロナ前の8割ほどしか戻っておらず、経営は厳しい」と扇山さん。受け付けも1人でこなすため「患者が受け付けするたびにエラーが出て対応するのでは診察にならない」と懸念する。

 「マイナ保険証の運用が本格化した時、トラブルに対応できるか不安だ。環境が整っていないのに、国はなぜ、システム義務化や保険証廃止を急ぐのか」

 厚生労働省によると、3月19日現在、システムを運用している医療機関は57.6%にとどまる。カードリーダーの申込率は92.3%だが、回線整備の遅れなどが発生している。政府は機器の契約後も整備が未完了の場合、9月末まで猶予を設けるなど、医療機関向けの経過措置を示している。

 システムを導入しない場合、保険医療機関の指定が取り消される可能性がある。厚労省の担当者は「丁寧に説明し、指導していく」と話す。

◆「義務化は憲法違反」医師ら274人が国を提訴

 全国保険医団体連合会(保団連)のアンケートには、オンライン資格確認の義務化を機に、高齢の医師・歯科医師らを中心に閉院や廃院を検討しているとの声が寄せられている。

 京都市の医院と診療所で診察する男性医師(70)もその1人。回線が整備できず、診療所は経過措置後の9月末で閉院することを決めた。「高齢のため、システムやプライバシー保護への対応に自信がない。診療所の患者には紹介状を作成した」と明かす。医院のほうは回線工事を依頼しているが、「設置はいつになるか分からない。経過措置期間内にできればいいが」と不安を口にする。

 保険証廃止は、政府が3月に国会提出したマイナンバー法など関連法改正案に盛り込まれた。これに対し、保団連は厚労省に法案撤回を要請。国会内での集会では、保団連の住江憲勇会長が「オンライン資格確認はメリットが少ない上、顔認証自体がプライバシーの侵害。国家による個人の統制・監視につながる」と訴えた。

 一方、オンライン資格確認の義務化自体は厚労省の省令改正でなされた。これに対し、医師と歯科医師計274人が2月、義務がないことの確認などを国に求める訴訟を東京地裁に起こした。国会での立法措置に基づかず、省令改正で義務化したのは憲法違反だと主張している

 医療法務に詳しい井上清成弁護士も「省令改正だけで拘束力を持たせるのは行き過ぎだ。十分な協議や手続きを経ておらず、無理がある」と問題視する。「法的根拠が弱い中、義務化に従わなかった医療機関に制裁を加えるのはバランスを欠いている。保険証廃止の結論ありきで、政策の進め方として課題を残す」と苦言を呈した。


 どうせ「取得」しなければならないものなら今のうちに「2万円」もらっておこう。こうして「申請」はピークを迎え対処できないほどになっているようだ。わたしは、何が何でも「反対」という立場ではない。「一人も取り残さない」という「原理」を貫いてほしい。あまりにも拙速な感じが否めない。


安保法の違憲性問い続ける

2023年04月01日 | 社会・経済

「東京新聞」<ぎろんの森> 2023年4月1日

 三月二十九日は二〇一六年に安全保障関連法が施行された日でした。あれから七年。東京新聞は今年も、同法の違憲性を問い掛ける社説を掲載しました。

 安保法は歴代内閣が憲法違反としてきた「集団的自衛権の行使」を容認するなど、戦後日本の安保政策を抜本的に転換するもので、安倍晋三政権が成立を強行しました。

 その後も憲法九条に基づく専守防衛を形骸化する動きは止まらず、岸田文雄政権は昨年十二月の国家安全保障戦略改定で、射程の長いミサイルなど他国を直接攻撃できる敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を認めるに至ります。

 今年の社説「『茶色の朝』迎えぬために」では、フランスの作家による寓話(ぐうわ)「茶色の朝」(邦訳は大月書店刊)を題材に「危うい兆候があるにもかかわらず、不自由を感じないという『事なかれ主義』で思考停止に陥り、声を上げずにいると自由な言論は封殺され、全体主義の台頭を許すに至る」と指摘しました。

 当初は反対が多かった安保法ですが、国民の多数派は時がたつにつれてその存在に慣れ、気にも留めなくなった現状を憂う内容です。

 読者からは「安保法が暴走して日本が戦争に向かわぬよう、国民はしっかりと政治の行方を見つめる必要がある」「安保法施行後、日本人は一つの方向に向かい、反対する者は攻撃されるように変わってきた」などの意見が寄せられました。読者の皆さんと問題意識を共有できたことをうれしく思います。

 本紙は毎年、安保法が成立した九月十九日と施行された三月二十九日にちなみ、その危うさを訴える長文の社説を書き続けてきました。安保法の違憲性を問い続ける決意の表れにほかなりません。

 施行七年に合わせて安保法に関する社説を掲載した在京紙はほかにありませんので、本紙の特長と受け取っていただければ幸いです。

 安保法の成立強行は安保政策にとどまらず、原発回帰や政権に批判的な学者を日本学術会議から排除するなど、その後の日本政治の在り方にも影を落としています。

 自由のない「茶色の朝」を迎えぬよう、政権の危険な兆候を見逃さず、声を上げる。読者とともに考え、共感を得られる社説を書き続けたいと考えています。 (と)


「え!そんな?」「そんなばかな!」「うそだろ?」
こんな言葉が常態化してしまった。
「エイプリール・フール」の意味あいはすでに無くなっている。

今日は1日中霧雨状の天気。カモさんも6羽いました。