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生物多様性会議 「30by30」への道筋を

2022年12月07日 | 自然・農業・環境問題

「東京新聞」社説2022年12月7日 

 乱獲や乱開発などによる生き物の消失に歯止めをかけ、結果として人類がその恵みを享受し続ける−。カナダのモントリオールで日本時間の八日始まる国連生物多様性条約第十五回締約国会議(COP15)は、そのために必要な新たな国際目標の採択が焦点になる。

 生き物の消失は加速し続けている。世界自然保護基金(WWF)によると、生物多様性の指標となる野生生物の個体群(ある地域にすむ同種の個体の集まり)は、一九七〇年から二〇一八年までに約七割減少した。

 世界経済フォーラムの報告によると、世界各国の国内総生産(GDP)の総計の半分超に当たる四十四兆ドル(約六千兆円)が自然の恵みに依拠して生み出されているという。農業や漁業をはじめ、経済活動への影響も大きくなる。

 このような状況に歯止めをかけるため、一〇年に名古屋市で開催されたCOP10で、二〇年までに達成すべき二十項目の「愛知目標」が採択された。ところが、国連の条約事務局による最終評価報告では、完全に達成されたものはゼロ。一部達成が六項目という厳しい評価がくだされた。

 今回採択を目指す「ポスト二〇二〇枠組み」と呼ばれる三〇年までの目標は二十二項目からなる。

 中でも注目されるのは、陸域と海域の30%以上を保護区や国立公園などとして保全する「30by30(サーティーバイサーティー)」と呼ばれる項目だ。琉球大などの研究によると、これにより、日本国内で野生生物の絶滅リスクを七割は減らす効果があるという。

 愛知目標が掲げた「陸域17%、海域10%の保全」が未達成だったことを思えば高いハードルだ。

 「『30by30』は美しい冠のようなもの。今回採択されたとしても国だけでは達成できないゾーンに入る」と東京大大学院農学生命科学研究科の香坂玲教授は言う。

 例えば、地域で管理する里山や、企業が所有する緑地といった「OECM(国の保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)」を拡大するなど、民間との連携によって保全地域を広げるための仕組みが必要になる。

 新型コロナのような感染症が流行するのは、自然破壊の影響で野生生物との接触機会が増えたからだとの指摘もある。生物多様性の危機は、人間社会の危機でもある。より高い目標に挑む意欲と実現への道筋を示してもらいたい。


「美しい冠」で終わりそうな予感が・・・・・

散歩道(雪の高速道)