里の家ファーム

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ゲーム障害

2019年06月08日 | うつ・ひきこもり

<心を取り戻せ ゲーム障害との闘い> (上)少ない支援、孤立する親たち

コラージュは上から時計回りに、ゲームに熱中する若者=中国で(ゲッティ・共同)。ゲーム障害の治療に取り組む久里浜医療センター。送検される元農林水産省次官の熊沢英昭容疑者

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 白いシャツを着ているのが、真面目そうに見える理由だろうか。その容疑者の表情は淡々としていて、とても無防備に思えた。

 長男(44)を刺殺したとして逮捕された元農林水産省次官の熊沢英昭(76)。送検される映像をテレビで見た時、大原みゆき(50)=仮名=は胸を突かれた。

 「あれは、将来の私かもしれない」

 みゆきの息子、中学三年の哲也(15)=同=は、二年前からオンラインゲームにのめり込んでいる。学校を休み、家族に暴言を吐いたり、時に暴力を振るう。

 「刺さなければ、自分が殺されていた」と供述したという熊沢。殺害された長男は働いておらず、ゲームに没頭していたという。自宅に引きこもりがちで、熊沢らに暴力を振るったとみられている。

 その人物像が、みゆきには哲也と重なる。息子を殺(あや)めたとしたら、とんでもないことだ。しかし、そこに至る苦しみを想像できる気がする。「追い詰められていたと思うんです。うちみたいに」 (敬称略)

◆カプセルの中の「地獄」

 「昼夜の生活が逆転してしまった」「三週間風呂に入らず、着替えもしていない」

 五月上旬、ゲーム障害の子どもを持つ親の集いが、国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)であった。関東、中部、北陸、関西…。各地から訪れた十数人が、深刻な実態を打ち明けた。

 ゲーム障害の当事者は主に十代の男の子。オンラインゲームにのめり込み、食事や勉強には見向きもしない。ゲームを取り上げようとすると、暴言や暴力に訴える。

 「こんなにも皆が同じ症状になるのか…」。大原みゆき(50)=仮名=は驚いた。中学三年の息子、哲也(15)=同=の不登校が始まって二年になる。

 毎日十時間以上、ゲーム漬け。まばたきもしないで画面に向かう。話し掛けると、「うざい、くそばばあ」。母親のみゆきに向ける目つきは、まるで刃のようだ。

 夫がゲームを取り上げようとすると、つかみ合いになった。テレビのリモコン、コップ…。手近な物を投げ付け、みゆきも足蹴(あしげ)にされた。「ゲームに触ったら殺す」とまで口にする。

 耐えきれず、警察を呼んだこともある。

 「毎日が地獄です」

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 みゆきはここ数年、息子を何とかしようと奔走してきた。スクールカウンセラーに教育相談所、消費者相談センター。窓口で助言は受けられても、ゲームをやめさせるための直接的な支援には程遠かった。

 「もう病院しかない」と精神科のクリニックに何軒も問い合わせたが、「高校生以上でないと治療に向かない」「ゲーム依存は扱っていない」と門前払いが続いた。

 やっとの思いで、診察してくれる医師を見つけても、予約した日に哲也を家から連れ出すのが難しい。「本人が来ない限り、治療はできない」と突き放され、「落ちる所まで落ちるよ」と脅された。

 国内にゲーム障害の人がどのくらいいるのか。病気の歴史が浅く、はっきりした統計もない。全国に先駆けて二〇一一年にインターネット依存専門外来を設けた久里浜医療センターでは、予約の受付日に、用意した枠の何倍もの電話が殺到し、対応できないのが現実だという。

 困り果てた親たちが、あちこちに存在する。しかし、その家庭は「カプセル」のように閉ざされ、医療や行政から切り離されていると考えられる。

     ■

 みゆきは時々、駐車場の車にこもって一人で涙を流す。「体が心配。受験も控え、将来どうなるのか…。何もかも、どうしていいか分からない」。「死」さえ頭に浮かぶという。

 小学生時代、哲也は真っ暗になるまで公園でサッカーボールを蹴っていた。リーダーシップもあり、同級生や先生から頼りにされる存在だった。あの子は一体どこへ行ったのか。

 確かめるように、古い手帳を開くと、小さな紙切れがはってある。鉛筆書きの文字が見える。

 「皿洗い券」

 みゆきを「ママ」と呼んでいた頃、小学二年だった哲也が、プレゼントしてくれた宝物だ。「肩たたき券」「ごみ出し券」「スーパーの重いもの持つ券」…。どれも、もったいなくて使ったことがない。

 優しい子だった。

 「今はゲームの殻の中に閉じ込められているけど、それを剥いだら、本当のあなたがいるのよね」

 その場にいない息子に言葉を届けるように、つぶやいた。 (敬称略)

<ゲーム障害> オンラインゲームやテレビゲームをしたい衝動が抑えられなくなり、日常生活に支障が出たり、健康を害したりする依存症。世界保健機関(WHO)が5月、新たな依存症として正式に認定した。WHOの基準では、家族や社会、学業、仕事に著しい障害が起き、症状が少なくとも12カ月続く場合に診断できる。2017年の厚生労働省研究班の調査では、インターネット依存の中高生は93万人(推計)で、この一部がゲーム障害と考えられる。


(中)過酷な現実 安らぎ求め
2019年6月9日付朝刊


木村亮平さん(仮名)の右手首は、ゲームで長年酷使したせいで瘤ができている=神奈川県内で(一部画像処理)

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 大きさは、サクランボの実くらい。木村亮平(27)=仮名、神奈川県=の右手首には瘤(こぶ)がある。

 医学的には「ガングリオン」と呼ばれる。亮平の場合は、世界で三百五十万人が登録するオンラインゲームで、国内二位になるまで手を酷使した結果だ。

 「僕の勲章です」。色白の手首を見せながら、亮平は言った。

 お気に入りは、自分の選んだキャラクターが敵を次々に倒し、それに伴ってキャラクターのレベルが上がるロールプレーイングゲーム。中学一年で始め、高校時代は一日に二十時間も没頭した。食事は二日に一度。二十代前半の二年間は一歩も外出しなかった。

 「ゲーム依存は社会で『廃人』扱い。でも、僕はゲーム仲間から『廃神』と尊敬されている」

     ■

 亮平は東北地方の山あいに生まれた。父親を早くに亡くし、母親は早朝から深夜まで働きに出ていた。幼い頃から、ゲームが遊び相手だった。

 勉強も運動も苦手で、十一人の同級生中、いつも十番か十一番。忘れ物も多く、「集中していない」と毎日のように教師に殴られ、母親にぶたれた。

 高校を出て建築の仕事に就いたが「物覚えが悪い」と殴られ、長続きしなかった。身を寄せた兄の家からも追い出された。

 自分が発達障害だと知ったのは最近のことだ。

 複数の医療関係者によると、ゲーム障害の患者の中には発達障害を併せ持っている人がいる。興味のある事柄には人一倍の集中力を発揮する一方、読み書きや計算など特定の不得意分野があったり、対人関係が苦手だったりする。このため、周囲の理解が何より大切だとされる。

     ■

 ゲーム障害の治療のため、病院を訪れたのは二年前。ゲームをやめた禁断症状で体の震えが止まらず、「これ以上、禁止するなら全員殺してやる」と叫んでいた。夜は、自分が殺される悪夢にうなされた。

 「僕は現実の世界で誰からも必要とされていない」「つらいことばかりなのに、どうして生きなければいけないの」

 両手で自分の首を強く絞め、何度も自殺しようとした。でも、死にきれなかった。

 それは、ゲームがあったから。

 全国二位の亮平を慕い、やりとりを交わしてくれるプレーヤーが五百人もいる。ゲームのこつ。励ましの言葉…。もちろん話題はゲームが中心だが、うそ偽りのない近況、心の内を語り合う相手もいる。

 現実の世界で縁遠かった人の愛情。それを実感し、安らげる唯一の場だ。「僕は仲間のために生きればいい」。そう決めた。

 今、亮平は一人暮らしをしながら、就職を目指して行政の就労支援サービスを受けている。ゲームをする時間は少しずつ減らし、一日に二、三時間だが、仲間とのチャットや電話は欠かさない。

 病院では「ゲーム以外に夢中になれるものを見つけよう」と助言を受ける。

 「見つけたいです。僕を裏切らない何かを」 (文中敬称略)

<発達障害> 自閉症やアスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害、学習障害などの総称。他人とのコミュニケーションが苦手だったり、興味の偏りがみられたり、落ち着きのなさや不注意さが目立ったり、読み書きや計算など特定の分野だけが不得意だったりと、症状は多様。能力を生かして社会的に成功している人も多いとされ、厚生労働省はサイトで「生まれつきの特性で、病気とは異なります」と紹介。周囲の理解や、本人に合った環境が重要だとされる。


(下)依存ない「楽園ネズミ」
2019年6月11日付朝刊


久里浜医療センター院長の樋口進さん

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 「われわれはさまざまな依存症を診察する責任がある。ゲーム障害の人々への適切な措置を求めたい」

 スイスで開かれた五月の世界保健機関(WHO)総会を前に、こんな要望書がWHO事務局へ届いた。その数、約八十通-。世界精神医学会や日本小児科学会など、各国の医療関係者からだった。

 その要望書の「仕掛け人」が、日本の医師である。国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の院長、樋口進。国内初のインターネット依存専門外来を設けたパイオニアとして、国内外の学会に働き掛けた。

 「WHOが依存症だと正式に認めれば、対策は進むはずだ」

 樋口の狙い通り、ゲーム障害が国際的な病気の分類に加えられることが、WHO総会で決まった。

     ■

 依存症の治療では通常、患者から依存の対象物を無理に取り上げることはしない。再び入手すれば元のもくあみなので、最終的には患者自身がやめようと思わなければならない。

 ゲーム障害で難しいのはそこだ。「大人は『酒に溺れては将来まずい』と頭では理解できる。でも、理性が発達途上の子どもに『ゲームを続けたら良くない』と納得してもらうのは大変」と樋口は語る。

 このため久里浜医療センターでは、患者同士のディスカッションやスポーツ、高原でのキャンプ体験などを組み合わせ、ゲーム以外の喜びを感じてもらいながら「ゲームをやめる決断」を促している。

周愛荒川メンタルクリニックの八木眞佐彦さん

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 一方、周愛荒川メンタルクリニック(東京都荒川区)の精神保健福祉士、八木眞佐彦は、あらゆる依存症の根っこにある「生きにくさ」に目を向ける。

 父親の不在に母親の過干渉、いじめ…。ゲーム障害の子どもは家庭や学校に問題を抱えているという。「個性や能力を無視した受験や習い事、叱責(しっせき)や否定ばかりでは、心に大きな苦痛を抱える」と指摘する。

     ■

 国の統計によると、昨年の中高生の自殺は三百六十二人。ほぼ毎日一人が命を絶っている計算だ。「ゲームで心の苦痛を忘れられるのなら、ゲームは自殺を防ぐ『心の杖(つえ)』になっているんです」

 しかし、それが度を越すとゲーム障害という新たな問題を抱えるだけ。どうしたら良いのか-。

 八木が紹介するのが、カナダの大学でのネズミの実験。依存性の非常に強い薬物「モルヒネ」を水に薄め、二カ月間与える。

 一つは、狭苦しい檻(おり)に一匹ずつ飼育した「植民地ネズミ」。もう一つは、広くて居心地の良い環境に複数の雄と雌を一緒に飼育した「楽園ネズミ」。

 植民地ネズミはモルヒネ水を飲み続けたが、楽園ネズミは普通の水を選び、依存にならなかった。そこにヒントがあるという。

 「孤立の病」といわれる依存症。何より必要なのは疎外感、心の苦痛を取り除くこと。「親が子どもの『批判者』ではなく『協力者』となり、寄り添うことです」と八木は言う。

 「しかし、現実には親自身が孤立し苦しんでいる。まず、親が家族の集まりなどに参加し、人とのつながりを実感するところから始めてほしい」 (文中敬称略)

 =この連載は臼井康兆が担当しました。

<世界保健機関(WHO)とゲーム障害> WHOは5月の総会で、病気や死因の分類に関する国際的な基準である「国際疾病分類」にゲーム障害を盛り込むことを決め、新たな依存症として正式に認定した。アルコールやギャンブルへの依存と同じ扱いとなる。これにより、ゲーム障害の医学的な研究が進んだり、行政の対策が進んだりすることが期待されている。

 江部乙では今日も夕方から大粒の雨となったが長続きしない。畑をある程度は潤してくれた。

もうすこし早く来てくれればよかったのだが・・・

植え付けた苗に水をやらなければ消えてしまう。現に結構な数で株が消えている。余計な仕事が増えている。

なかなか定植作業も進まない。今日で終わらせようと思ったが、明日に伸びた。ところで、定植穴は鉢よりもやや大きく余裕を持った方がいい。というのは根が伸びてポットにぶつかり、巻いている。そこからすんなり外に向かって根を伸ばそうとするときに柔らかい、根を伸ばせる土が必要なのです。

仮植えしてあったイチゴが赤くなってます。まず1個食べました。甘いです。

沼があるせいで、トンボがたくさんいます。今日は沼の水が少なくなったせいで蛍の幼虫が上がってくるのを観察できました。

遊びに来る子供のために、虫取り網も用意しました。無料で貸し出します。