里の家ファーム

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人間の可能性を信じて

2016年09月10日 | 社会・経済

人の可能性伝える 相模原殺傷「命を感じて」 

    毎日新聞2016年9月8日

  【リオデジャネイロ飯山太郎】7日開幕したリオデジャネイロ・パラリンピックに、身体障害者競泳女子で過去にメダルを量産してきた「水の女王」、成田真由美(46)=横浜サクラ=が2大会ぶりに出場する。7月、相模原市の障害者施設殺傷事件の現場を訪れた。「身体と知的の差はあるが同じ障害者。亡くなられた人の命を感じながら、しっかり結果を残さないと」とレースに臨む。

 「水の女王」2大会ぶり出場の成田真由美

  事件発生5日後の7月31日の朝、成田は事件現場の「津久井やまゆり園」にいた。中学生の時に脊髄(せきずい)の病気で車いす生活となった。手足にまひなどがあり、自宅のある川崎市から園まで車の運転は自信がなかったが、友人が車を出してくれた。

    障害者の存在そのものを否定するような事件が、障害者スポーツの祭典の前に起きた。「リオに行く前に行きたかった」という成田は、献花台に花を手向け、犠牲となった19人の冥福を祈った。

  1996年アトランタから2008年北京まで4大会連続で出場し、金メダル計15個を獲得した。北京大会で運動機能障害のクラスをそれまでより軽く判定された影響でメダルゼロに終わってからは、第一線を退いた。

  13年9月に20年東京パラリンピックの開催が決まり、それに向けて障害者スポーツの認知度を上げるためには、自分は泳ぐしかないと考えた。昨年9月に競技に本格復帰し、今年3月の代表選考会でリオ切符を手にした。

  障害者アスリートの立場から東京大会組織委員会の理事も務める。さらに「障害者の環境など改善しないといけない点が多々ある」と思い、頼まれれば行政機関の委員なども務めてきた。

  それだけに相模原の事件は大きなショックだった。「年を取れば誰だって階段を上がるのがつらくなる。障害はみんなに関わる問題。それなのに、動けない障害者が次々と刺されていくなんて理解できない」。競技を通じ障害者の可能性を示してきた自らの努力を無にするような事件に言葉を詰まらせた。

  成田はパラリンピックの意義を「人間が持てる能力を最大限に発揮するということ」と言う。障害があっても残された能力を生かし、できなかったことを、できることに変えていく。人間の可能性を引き出すことが大会の魅力と感じている。

  40代後半になっても自己ベストを更新し続ける大ベテランは、リオの目標を「自己ベストを出し、決勝に進むこと」と話す。8年ぶりの大舞台は、まず過去の自分を乗り越えることで、人間の可能性の素晴らしさを見る人に感じてもらいたいと考えている。