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トランス脂肪酸

2015年06月30日 | 健康・病気

 日刊ゲンダイ2015.6.30

米国では、3年後に禁止されるトランス脂肪酸だが、厚労省は「規制は考えていない」という。しかし、トランス脂肪酸の規制は世界の流れ。本当に食べ続けて、大丈夫なのか。

 横浜創英大名誉教授・則岡孝子氏(栄養学)が言う。

「WHOは、トランス脂肪酸の摂取量を1日の総エネルギーの1%未満に抑えるよう勧めていて、日本はその範囲内に収まっていますが、米国は2・2倍。その差が日本の規制が甘い最大の根拠です。しかし、クリニックでの食事指導などの経験から、データは必ずしも実態を反映していないように思います。食生活によっては、米国並みに摂取している人が相当数いるはずです」

 トランス脂肪酸の恐ろしさは、米国で04年に公開された映画「スーパーサイズ・ミー」で大注目された。その米国版DVDの特典映像が、2カ月常温で放置されながら腐らなかったポテトフライだ。トランス脂肪酸は、別名“プラスチック油脂”といわれ、添加された食品は劣化しにくくなる。
それが悪玉のLDLコレステロールを上昇させて、血管の内側にヘドロみたいにたまり、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす。ぜんそくや鼻炎、皮膚炎などアレルギーの原因にもなるという。33歳の主人公は30日間、3食ファストフードを食べ続けた結果、体重は11キロ増の95キロ、体脂肪率は8ポイント増の19%に上昇した。

 そのすべてがトランス脂肪酸の“仕業”とはいわないが、ニューヨーク市は映画公開の翌年、トランス脂肪酸の規制を打ち出している。

「デンマークが03年にトランス脂肪酸の含有量を油脂100グラム当たり2グラムを超えないように決定。同様の含有量規制はスイス、オーストリア、カナダ、シンガポールなども導入しています。韓国や台湾、香港のほか、食料不安が根強い中国でさえ含有量の表示義務があるのです」

■重ねて摂らない、食材は厳選

実は、トランス脂肪酸は肉をはじめ天然の脂肪にもわずかに含まれるが、加工品に圧倒的に多い。典型的な“トランス食品”をチョイスしたのが上の表だ。知らず知らずのうちに口にしている人も多いだろう。

 朝起きたら、コーヒーフレッシュ(一般にミルクというが実は油)を入れたコーヒーを飲みながら、マーガリンを塗ったパンを1枚。昼は時間がなく、マヨネーズを使ったハムサンドで軽く済まし、一段落しておやつにドーナツ1個。夜は冷凍食品の空揚げをつまみに晩酌……。

「トランス脂肪酸の含有量は、マーガリンが最大13%と突出していますが、菓子類やインスタント食品、冷凍食品なども侮れません。たとえば、パイは最大7%、カレーやシチューのルーは最大4%。トランス脂肪酸を避けるには、重ねて取らないのがコツ。たとえば、カレーはインスタントではなく、インド料理店など専門店で買う。甘いものがほしければ、ケーキやパイをやめて和菓子にする。含有量1%を超えるマヨネーズはなるべくつけず、チキン南蛮より普通の空揚げに。安い飲食店やインスタント食品ではラード(最大1%)が多用されますが、そういうのは控えて、食材を厳選した店にするといった具合です」

“目に見えない敵”は周りにあふれている。気をつけなければ、映画の主人公みたいになってしまうのだ。