Monkey-ATAX

北米に生息する伝説の獣人 ビッグフット を追い求め、いろいろ活動しています。

屍者の帝国

2013-05-30 22:26:07 | 

19世紀末―かのヴィクター・フランケンシュタインによるクリーチャー創造から約100年、その技術は全欧に拡散し、いまや「屍者」たちは労働用から軍事用まで幅広く活用されていた。英国諜報員ジョン・ワトソンは密命を受け軍医としてボンベイに渡り、アフガニスタン奥地へ向かう。目指すは、「屍者の王国」―日本SF大賞作家×芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしエンタテインメント長編。早逝の天才・伊藤計劃の未完の絶筆が、盟友・円城塔に引き継がれ遂に完成。

 

「わたしたちの目の前で死者が甦った。

再び命ある者になったのではない、それはあくまでインストールされた擬似霊素に従って動く死体に過ぎない。

インストールした制御系は、ごく標準的な汎用ケンブリッジ・エンジンだ。

実際にフランケンを社会で運用するときは、更にこの上に状況に応じたプラグインをインストールする。」

 

2013年度フィクション部門YAYA的ランキング暫定1位!

なんといっても舞台が19世紀末で 主人公がyou know who の相棒のワトソン君で...実は彼はイギリスのスパイだったなんて設定ですから ♪

ヒロインがyou know who の愛人のハダリーですから ♪

他にも...

ヴァン・ヘルシング、ヴィクターフランケンシュタイン、カラマーゾフ兄弟 等々の濃い目のキャラたち ♪

 

プログラムをインストールしてフランケン化した屍者を兵器としたアフガニスタンでの静謐で美しい戦場シーン ♪

デファレンス・エンジンにも登場するポール・バニヤン、グラン・ナポレオン等 世界8機の解析機関との演算リンクによるニューロマンサーな世界 ♪

虐殺器官、ハーモニーで表現された 「自分は生きているんだけど、周囲の人たちが全て死んでいる。もしくは生きているのか死んでいるのかわからない...(円城塔様)」そんな世界感の究極系 ♪

 

たぶん日本SF史上最強のコラボ作品!

 

伊藤計劃様は2007年に作家デビューしてからわずか2年ほどで早逝しましたが、その作品はゼロ世代の日本SFのベストに挙げられています。(ウィキペディア)

なので 死から3年後に発刊された本作は、大きな注目を得ました。

ちょっと前から大きな本屋さんには伊藤計劃様特別コーナーがあったりします ♪

 

そんな伊藤計劃様を初めて読んだのは...

2年に満たない作家生活の中で、彼はエンターテインメント小説の在り方を変えた。SFマガジン発表の中篇2作「The Indifference Engine」「From the Nothing,With Love.」ほかの創作から、敬愛する小島秀夫監督、『ディファレンス・エンジン』についてのエッセイ・解説、盟友・円城塔との対談やインタビュー、そして未完長篇『屍者の帝国』までを集成。

たまたま ディファレンス・エンジン からみで読んだこの本ですが...

収録されているオリジナルな未完成版 屍者の帝国 には、けっこう衝撃受けました。

それが いまになって完成版で読めるなんて...

 

屍者の帝国読んだ、当然の結果として伊藤計劃様の作品を読みまくり中です。

2007年6月のデビュー作

9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう…彼の目的とはいったいなにか?大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?

 

「脳のなかにあらかじめ備わった、言葉を生み出す器官...その器官が発する虐殺の予兆...」

ヒトのもつ血みどろで特異なアプリ...それを起動させる ある言葉...まるで音楽のような...

愛と殺戮の二重奏

 

21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は医療経済を核にした福祉厚生社会を実現していた。病気はほぼ消滅し、人々は健康を第一とする価値観による社会を形成したのだ。そんな優しさと倫理が真綿で首を絞めるような世界に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した―。それから13年後、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、かつて自殺を試みて死ねなかった少女、現在は世界保健機構の生命監察機関に所属する霧慧トァンは、あのときの自殺の試みで唯ひとり死んだはずの友人の影を見る。日本SF大賞受賞作!

 

「その瞬間、世界各地で同時に叫び声があがっている。  なぜならその時刻、方法は様々であれ、世界の至る所で6582人もの人間が同時に自らの命を絶とうと試みたからだった。」

『虐殺器官』の数十年後が舞台の 美しくもおぞましい...そんな デストピアな世界 ♪

 

あと やはり欠かせないのが 盟友 円城塔様の作品。

無活用ラテン語で記された小説『猫の下で読むに限る』。正体不明の作家を追って、言葉は世界中を飛びまわる。帽子をすりぬける蝶が飛行機の中を舞うとき、「言葉」の網が振りかざされる。希代の多言語作家「友幸友幸」と、資産家A・A・エイブラムスの、言語をめぐって連環してゆく物語。第146回芥川賞受賞作。

 

本作は 芥川賞作ですが...なんかすごくシュール...

もう SF といっても良いほど。

「言葉」の威力...伊藤計劃様のテーマとけっこうシンクロしているようにも感じます。

「屍者の帝国」 発刊後のSFマガジンでのインタビューにもありましたが、二人は友達というよりも  

なんか似たもの同士だったのかも...な感じも うけます。

 

 



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