ヘルズ・エンジェルズ
世界で一番有名なオートバイのクラブです。
オートバイ乗りでなくても、彼らを知っている人は多いと思います。
背中に有名な”羽の付いた髑髏”のカラーをつけ、必要最小限のパーツ以外を取り外し、軽量化した”チョッパー・ハーレー”を乗り回すバイカーのスタイルは彼らが元祖であり、世界中にそのスタイルを広めました。
日本でも、そのスタイルで走るバイカーは大勢います。
”キリン”というバイク乗りのバイブル的な漫画にも”バーン・ストーム・トループ”や”ガルーダ”などのクラブが登場します。
ちなみにヘルズはHells と綴ります。
Hell's ではありません。
地獄はひとつではなく、どういう人間でどういう場所にいるか次第で、いろいろ存在するというのが公式見解なのであります。
最近 彼らに関する本が出版されましたので読んでみました。
YAYAも一応バイク乗りなので...
まずはこれ。
書名 :ヘルズ・エンジェルズ
副書名 :地獄の天使たち異様で恐ろしいサガ
著者名 :ハンター・S.トンプソン/著 , 飯田隆昭/訳
出版者 :国書刊行会
出版年 :2010.6
要旨(BOOK):アメリカの伝説的バイカー集団「ヘルズ・エンジェルズ」に単身乗り込み、18か月に渡り密着取材したルポルタージュ文学のクラシック。
1966年に出版されたヘルズ・エンジェルズ(以下HA)については超有名な作品ですが、なぜか2110年まで翻訳されませんでした。
有名な1947年のホリスター暴動(注1)からはじまるワンパーセンターズ(注2)と呼ばれるアウトローバイカーの歴史や
HAが何故あれほど有名になったかの経過(注3)などが詳細に書いてあります。
でも、HAのクラブラン(キャンプ・ツーリング)の同行記が後半のメインと、ちょっと地味な印象が...
さらにHAのボス ラルフ・サニー・バージャーによると...
”クズ同然の本だった。
最悪だったのは、その本の一部が法執行機関向けに書かれていたことだ。
誇張が山ほどあったし、筆者の勝手な思い込みやドラッグに誘発されたエピソードもあった。
それに約束したはずのビール2樽をけっきょくよこさなかった。まったくケチな野郎だ。”
とかなり手厳しい...
注1. AMA(アメリカン・モーターサイクル連合)主催のレース会場がピストオフ・バスターズやブーズ・ファイターのような初期のアウトローバイカーズたちが酔っ払って騒ぎを起こし、町の通りでレースをはじめ、赤信号を突っ走ったりした。
会場は大荒れになり、多くのバイカーが逮捕された。
注2.AMAが”バイク乗りの99%はまともだが、残りの1%はごろつきバイク乗りだ”と言ったことを起源とするアウトローバイカーの呼び名。
注3.60年代にカリフォルニア州の検事総長トーマス・C・リンチがまとめたバイカーに関する報告書(生彩を放って興味深いが、偏見が多く加わり、警告ばかり発している。)にタイムズなどの大手メディアが飛びついたなどなど。
書名 :ノー・エンジェル
副書名 :ヘルズ・エンジェルズ潜入捜査官
著者名 :ジェイ・ドビンズ/著 , ニルス・ジョンソン=シェルトン/著 , 島田陽子/訳
出版者 :メディア総合研究所
出版年 :2010.10
要旨(BOOK):世界最大のアウトロー・バイカー集団とともに過ごした2年間!自らバイカーに扮し、時に危険に身をさらし、時には家族との軋轢に耐えながら、その中枢に迫った潜入捜査官の手記。
ATF (Alcohol,Tabacco,and Firearms)つまりアルコール・煙草・火器取締局の潜入捜査官の書いたノンフィクション!
リアルなHAの描写が迫力です!
彼の任務はHAをRICO法 (Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Act :威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法)で起訴可能だと証明すること。
しかし、彼らと過ごすうちにHAのメンバーであることに心酔してしまい...
”何ごとも常にきれいに割り切れるものではない。深く入り込んだ私はヘルズ・エンジェルズが完全な悪ではないことを知った。そして自分が完全な前とはいえないことを。”
などとちょっと危なくなるあたりが怖くてナイスでした。
次は2001年出版と少し古いですが HAのボス ラルフ・“サニー”・バージャー が書いた本です。
書名 :ヘルズ・エンジェル
副書名 :サニー・バージャーとヘルズ・エンジェルズ・モーターサイクル・クラブの時代
著者名 :ラルフ・“サニー”・バージャー/著 , キース・ツィンママン/著 , ケント・ツィンママン/著 , 小林宏明/訳
出版者 :無名舎
出版年 :2001.03
Ride to live live to ride
ラルフ・“サニー”・バージャー は、このかっこいい言葉をいった方です。
HAといえばアウトローのイメージがかなりありますが、この本読むと実はかなりの走り屋であることがわかります。
ハーレーをチョッパーに改造したのも軽量化し早く走るためであり、常によりパワーのある最新型に乗り換えたり...
ほとんどの時間をガレージと道路上ですごしたり...
まさに
”生きるためにバイクにのり、バイクに乗るために生きる。”
な方々でした。
でも...
”集団が道路を並走し時速130~140キロでかっ飛ぶさまは圧巻だ。集団走行しているときは、完全に異次元の世界にはいる。”
”前科のないメンバーは重武装していた。チョッキを着ていたシスコは、ポケットにスムス&ウェッソンのセミ・オートマチック、M59を2挺これみよがしに見せていた。ヘルメットの着用義務もなかったが、ディーコンは中世の戦闘用の網状の兜をかぶっていた。背中にしょっていた剣とよく似合っていた。”
やっぱり怖い...
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