一期一会

日々是好日な身辺雑記

消費増税再延期!

2016年06月03日 | 雑記

一昨日6/1(水)18:00からの総理記者会見で消費増税の再延期が発表された。
❗️マークを付けたが、これは再延期に驚いたというびっくりマークではない。
どちらかというと怒マークという感じだ。
この消費増税延期に関する政府の動きは、年初から一昨日の記者会見まで
見え透いた出来の悪いシナリオの映画を見ているようだ。

3月にアメリカの経済学者スティグリッツやクルーグマンを招いて、
国際金融経済分析会合なるものを開き、消費増税の景気に与える影響を聴いた。
消費増税分は社会保障に使うという従来の主張と、それをアメリカの経済学者から
景気への影響という観点から意見を聴く事に違和感を覚えた。

G7サミットを終え、世界経済がリーマンショック級の景気後退のリスクがあるので、
消費増税を再延期するというレトリックには驚いたというか呆れた。
この世界経済認識とリンクさせての消費増税延期の発表には、
海外のメディアから散々の評価だった。

TIMEは(国内事情の説明にサミットの場を使った)と辛辣な評価だった。
ウォールストリートジャーナルは記者会見での(アベノミックスのエンジンをふかす)
に対し(エンジンが壊れているのでは)との見出しを付けた。
この(エンジンをふかす)という表現に経済的な危うさを感じる。
過去の自民党の(財政出動で景気浮揚を)に成功の印象がなく、
それが現在のGDPの200%となる政府債務に繋がっているのだろうと思う。

そしてG7の場で原油価格等の商品価格下落のデータを用いて、
リーマンショック級とアピールしたらしいが、それは正しいのだろうかと思った。
コモディティの価格は実需だけで決まるのではなく、投機商品なのでその価格は
実態経済の状況を全て反映するものではないだろう。
このところ原油価格は上がっているし、昨日のOPECで産油制限を決められなかったが、
原油価格は落ち着いている。下げ過ぎたものは上がるという道理だ。

一昨日の記者会見はCMの入らないNHKで1時間近く見ていたが、
アベノミクスの成功を有効求人倍率などの例をひいて話していたが、
そんなに成功していると言うなら、景気後退の心配もないし消費増税をしたら!
と思った。論理矛盾だ。
この記者会見を見ていて一番感じたのは、(物は言いようだな)という事。
(新しい判断)(参院選で信を問う)明らかに変で詭弁だ。

一昨日、昨日とBSフジの「プライムニュース」を見ていた。
この番組は20:00〜22:00までの政治経済討論番組で、自民党と民進党から
議員が一人づつ出席し討論するのだが、どちらの党も消費増税延期を言ってるので
白熱した議論にならなかった。民進党はアベノミクスの失敗を、自民党は
それに反論という具合で、消費増税延期の是非という議論にならなかった。
昨日のこの番組に出演していた元日本銀行理事で現富士通総研 エグゼグティブフェロー
の早川氏は終始、今回の消費増税延期に批判的で(日本は財政破綻に近づいた)と言い、
G7サミットでリーマンショック級のリスクとプレゼンした事に
(恥ずかしい)と断じた。

三党合意の当事者である民進党には、消費増税実施の旗を掲げてほしかったが、
世論調査の結果から腰が引けたのだろうか。
2014年の選挙の時には、消費増税を掲げて戦うべきと現岡田代表が言っていて、
骨のある政治家だと評価していたのだが。

政策論としての消費増税延期の是非は置いといて、選挙の戦術論としては
民進党の消費増税延期提案は大きな間違いだろう。
消費増税に関する世論調査の60%反対、30%賛成という数字は投票場に
行って投じる数字とはイコールではない。
賛成派の方が投票場に行くのではないかと思う。
それに現在の政党支持率が自民党が40%台、民進党7%くらいなので、
消費増税実施の旗を掲げ参院選を戦い、消費増税賛成派の支持を得た方が
選挙戦略上良いだろうと思う。

もう一つ、参院選獲得議席目標を聞かれて、岡田代表は(それは言わない)と
答えていたが、これも大きな間違いだ。
(憲法改正発議が出来る2/3以上の議席獲得の阻止)と明確に言い、
憲法改正の是非で戦った方が選挙戦術的に良いのだろう。
アベノミクスの失敗だけ言って選挙を戦っても、単なる批判野党との
そしりは免れないだろう。

安倍総理は記者会見で(参院選で信を問う)とか、(今度の選挙はアベノミックスを
進めるか、後退させるかの戦いだ)と、筋の通らない話をしているのだから、
その記者会見で一切触れなかった憲法改正を争点として議論した方が良い。

今回の消費増税延期に関して、日本商工会議所 三村会頭、経済同友会 小林代表幹事は
批判的な意見を述べていた。経団連の榊原会長は(決定を尊重)と述べたが、
それに対して批判的意見も上がっている。
米倉前会長のように、政府に苦言を呈するという事がなく、政治献金も再開した。

株式市場は消費増税延期は既に折り込み済みだったので、何の反応もなかった。
それより今夜発表されるアメリカの雇用統計の方が重要だ。
この結果により6/16のFOMCでの利上げの可能性が出てくるだろう。
ドル高円安での相場上昇を期待しているが、6/23の英国のEU離脱賛否投票前だし
どうなるか予想がつかない。

今朝の日経朝刊2面の(迫真)というコラムで、(決断 増税先送り)の見出しと、
(次の世代より次の選挙)の大見出しが載った。
その記事の中で自民党重鎮の言葉として、(今の政治は与党も野党も、
次の世代より次の選挙しか考えていない)と締めくった。

全くその通りだ。