一期一会

日々是好日な身辺雑記

お花見

2019年03月31日 | 日記


先週21日に靖国神社の桜の開花宣言が出された。毎年この時期になると桜の名所をあちこち花見に出かける。
開花宣言から1週間で満開と予想して、27日(水)に千鳥ヶ淵の桜見物に出かけた。
この日は外資コンピュータ会社時代の仕事仲間と靖国神社の拝殿の前で15時に待ち合わせ、千鳥ヶ淵をブラリ歩きで見て回った。
満開かと思っていた桜は7分咲きくらいだったが、北の丸公園や千鳥ヶ淵の歩道は中国からの花見客などで大賑わいだった。
千鳥ヶ淵から番町まで歩いたところで、待ち合わせ前に大学のキャンパスがあった神楽坂辺りを歩いてきたという彼から、
歩き疲れのお茶休憩の声がかかりドトールで1時間ほどのお喋り。
フェイスブックをやっているという彼から、外資コンピュータ会社のグループ?があり、1,000人くらいが登録メンバーで、
最近の投稿にボストン郊外のNatickにあった本社ビルが取り壊されとあり、懐かしい本社ビルの写真を見せてくれた。
出張で行った本社ビルの辺りは社名にParkを付けた地名で、何本ものビルが建っていた。
お茶の後は麹町でマーケティングの会社をやっている仕事仲間2人の会社に行き、居酒屋で一杯やった。
この2人とは3ヶ月毎の大学病院の検査の日に、ランチか夜の一杯で会っているが、4人で飲むのは1年半ぶりで昔話に花を咲かせたが、
(あの人は今)話になるとその名前が思い出せないのが歳月の流れだ。

(靖国神社の桜)


千鳥ヶ淵がそんな7分咲きの桜だったので、翌日から多摩湖、狭山・境緑道、航空公園とジョギングで廻った。
多摩湖の土手から見る都立狭山公園の桜は5分咲きくらいだったが、そこからジョギングした狭山・境緑道は木によっては満開のものもあり、
蕾のままの木もあり、古木ほど満開に遠いと思ったが、どうなんだろう。
そして今日、カミさんと小金井公園に花見に行こうと思っていたが、あいにくの雨で中止となり、満開の桜は来週に持ち越しとなった。

(3/29 狭山・境緑道の桜)







(3/30 航空公園の菜の花と桜)



桜とは全く関係ないが、一昨日のPBSニュースで昨年亡くなった「ソウルの女王」アレサ・フランクリンの事を放送しており、
それを見てYouTubeを検索したら下のURLに感動的な動画がアップされていた。

YouTube/ アレサ・フラクリン(Natural Woman)

この動画は2015年にシンガーソングライターのキャロル・キングが「ケネディ・センター名誉賞」を受賞した時のもので、
この賞は毎年アメリカで優れた芸術家に贈られるもので、その授賞式はホワイトハウスで大統領夫妻から贈呈されるが、
2017年、2018年とトランプは欠席したらしい。
まぁ、大統領祝賀会に多くの歌手から断られたのでその気にならなかったのか、小さな男だ。

それは置いといて、何が感動的かと言うと、この動画は受賞後にジョン・F・ケネディセンター歌劇場で行われる祝賀公演のもので、
オバマ夫妻も礼装で出席してキャロル・キングが作詞作曲し、アレサ・フラクリンが歌ってヒットした(Natural Woman)を
サプライズゲストで披露した時の反応だ。

73歳のアレサ・フラクリンの変わらぬソウルフルな歌声と、彼女の登場に驚き喜ぶキャロル・キングの
姿、涙を拭うオバマ、ミシェル夫人の興奮、スタンディングオベーションをする礼装姿の観客など感動もの動画だ。
そして(I'ts Too Late) や(You've Got A Friend)を聴いていたキャロル・キングの懐かしさと歳月を感じさせる姿だ。

YouTubeにはレッドツェッペリンが受賞し、ハート演奏の(天国への階段)がアップされており、この動画も何回も見ているが、
著作権の関係からかよく削除されるが、今日現在は見れる。

THE MUELLER REPORT

2019年03月26日 | 日記


一昨日、昨日と好天にも関わらず日課のジョギングも止め、食料品の買い物以外は外出せず殆ど引きこもり状態だった。
その理由は日曜日から読み始めた宮部みゆきの「小暮写真館」に読みふけっていたのと、土曜日のNYダウが460ドル安と大幅な下げだったので、
それを受けての週明けの東京市場の株価が気になっていた。
「小暮写真館」は713ページと分厚い長編小説なので、日曜日には半分までしか読み進まず、昨日起きて直ぐに読み始めたら、
スマホの着信音が2度鳴り日経電子版の速報で、ロシア疑惑についてバー司法長官が捜査報告書の概要を議会に提出した事と、
ロシアとの共謀疑惑、捜査妨害についても立証されずというものだった。

株価はNYダウの大幅下げと経済指標の悪化、金利と為替から日経平均は全面安の650円安となり、21,000円を割ってしまい、
保有株も評価損が大きくなり、戻り歩調も止まってしまった。
そしてロシア疑惑についてはNHK BS16:00からABCニュースでジョージ・ステファノポロスの30分の特集番組をやっていた。
既に日本の新聞でも報じられているが、これから捜査報告書の全文の公開や、議会へのバー司法長官、モラー特別検察官の召喚を
民主党は要求していくのだろうが、一縷の望みを抱いていた弾劾の可能性は無くなったのだろう。
今日のPBSニュースを見ていたら民主党大統領候補も週末の遊説では、この件については触れてないようだが、
議会が捜査報告書の完全公開を求めて攻め、大統領候補は政策で争うという事だろう。
来年の大統領選はバイデン元副大統領やバーニー・サンダースでトランプに勝てるのだろうか。
カマラ・ハリス大統領、ベト・オルーク副大統領という組合せなら、間違いなくトランプに勝てる。

今回の捜査報告書概要(あくまで4ページの概要)でトランプは完全勝利とご満悦の様だが、少し甘いのではないか。
そしてあのサンダース報道官はコートに手を突っ込みながら報道陣の質問に答えていたが、傲慢な人間に仕えていると、
それが感染るのだろうか、顔付きも悪くなっている気がする。
これは(坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い)の類いだろうか、そしてこの例えは正しいのか?
まぁ彼女もオーナーが民主党支持派のレストランだったのか、食事を断られた事があったらしく、バカ殿に仕える身としての苦労はあるのだろう。
それにしてもこの男とまだ来年の11月まで付き合わないといけないのか、勘弁してほしいものだ。
それからあと4年は無いと思っているが、アメリカ国民は何が悲しくてこんな愚かな男を大統領に選び、
今もって50%近い人間が支持しているのか分らない。



宮部みゆきの本は時代小説を除いては大体読んでいるが、どの本も外れがなく、一気に読ませる。
「小暮写真館」は心霊写真を一つの材料として話が展開するが、特にオカルト的という事もなく、男子高校生の主人公、歳の離れた小学2年生の弟、
栄一を取り巻く同級生、両親などの大人が登場人物として四話構成で描かれている。
この人の本は「模倣犯」のような推理小説でも筋立てで読ませるのではなく、一人一人の深く掘り下げた人物描写が特長だと思うが、この本でもそれを強く感じる。
そして地の文(会話文以外の部分)が高校生の言葉で語られるが、これが面白く思わずニヤッとしてしまう文章が随所に出てくる。
58歳の宮部みゆきが、よく今風の高校生の言葉や感性でユーモラスに語られるものだと、その筆力に感心させられる。
四話構成のこの本は、心霊写真に関わる話が一話二話で、トリック写真が三話という構成で話が展開するが、最後の四話になると弟や両親、
傲岸不遜に描かれていた年上女性の心の闇が明らかになり、切なくなってくる。この構成が絶妙だが、最後がハッピーエンドになるので、何故かホッとする。



引きこもり状態で読み耽ったこの本も9時頃には読み終え、手元に読むべき本がなくなったので、図書館に返却し次の予約本が来るまでの繋ぎとして
藤巻健史の「国家は破綻する」を借りてきた。筆者は10年以上前からハイパーインフレによる国家破綻を言っており、幸いにもその予想は的中してないが、
この人の黒田日銀の異次元緩和批判には同感する部分もあるので読んでみよう。

そしてこの一両日中に届く予約本が宮部みゆきの「希望荘」で、「ペテロの葬列」「名もなき毒」の杉村三郎シリーズたが、ようやく手元に届く。
同じシリーズの「昨日がなければ明日もない」は232人待ちとなっている。
その楽しみからしたら買っても安いものだが断捨離モードなので、本は処分することがあっても増やすことはない。

引きこもり要因の一つ、株価の方は日経平均で451円高となり保有株も上昇したが、これは配当権利確定日からの買いだろう。
明日の相場で今年前半の値動きの予想がつくだろう。

Preトレイルラン

2019年03月14日 | 日記


昨日は春到来を思わせる陽気で、絶好の山里歩き日和となったので、4月に出場するトレイルランの練習に山里を走ってきた。
コースは西武秩父線の吾野駅をスタートし顔振峠まで上り、そこから黒山三滝へ下り、梅が満開の越生梅林に廻り、
東武線の越生駅までというもので、前にもこのコースを走った事がある。
前日にも野火止用水・玉川上水のジョギングコースを14km走ったが、今週の予定と梅の満開時期を考えると昨日しかなかった。

7時前には家を出て、駅ナカのコンビニでサンドイッチと野菜ジュース、水を買い、7:05発の電車に乗り飯能へ。
そこで西武秩父線に乗り換えるのだが、待ち時間が30分くらいあり、ホームのベンチで北欧ミステリー「赤い夏の日」を読みながら電車を待つ。
西武秩父線は高麗川を過ぎると電車の両側に山が迫り、のんびりした山里の風景になり、吾野駅に8:15に着く。
サンドイッチ、水が入ったランニング用のバックパックのベルトを締めて、走り始める。

(秩父街道 吾野宿)の看板が立つており、山里で街道や宿(しゅく)の字を見ると、何故か江戸時代にタイムスリップしたような気分になる。
顔振峠までは(関東ふれあいの道)で林道や沢の道だが、上り一方でその道の状態で走ったり、歩いたりして9:05頃に着く。
顔振峠からは4/15に出場する名栗トレイルランで走る蕎麦粒山や有間山が見え、頂上が白く見えるのは雪だろうか。





顔振峠から黒山三滝へは下りの林道で、石や岩も少なかったので、スピードが出過ぎるくらいで、躓かないように足元を気をつけながら走る。
県道61に出て側道を走ると、道路脇に(渋沢平九郎自決之地)の石碑が建っている。
渋沢平九郎は、(日本資本主義の父)とも言われ明治から大正初期の実業家渋沢栄一の妻千代弟で、養子になったが、
渋沢栄一の渡欧中に維新戦争に参じ飯能で官軍と戦い、最後は黒山の里で刀を交え自決した。
享年22歳だったが、首は越生の高札場に晒されたが、その壮絶な最期を讃え、黒山の人達がお寺に葬った。







そこから黒山三滝まで県道を走り9:55に到着。滝見物をして越生梅林まで走り着いたのが11:00。
入園料300円を支払って満開の梅の花を見物し、サンドイッチと野菜ジュースでの昼食を取る。
越生梅林から越生駅まではバスが1時間に1本走っているが、それに乗ってはトレーニングにならないし、
ただ一度止めた脚は、また走り出す気にはなれず、歩いて50分と聞いた駅への道を速足で歩いたら12:00に着く。
歩数計で確認したら吾野駅から22.5kmとなっていたが、スマホアプリのGPSとは違いその精度は分からない。





一夜明けて、今日の午前中にテニスをしたが、太腿が痛みいつもの球際の強さが発揮出来なかった。
ただ筋肉痛は2日から3日後が酷くなるので、今週は走れないだろう。

トレイルランは4/14(日)の名栗トレイルランに出場する。最初は4/21(日)の奥武蔵もろやまトレイルランを走ろうと思い、
エントリーしたら締め切り期日前だったが、900人の応募人数に達してたらしく、エントリー出来なかった。
このトレイルランは2012年に走った事があり、昨年もエントリーしていたが、雨が降り2日後が山陰旅行だったので、出走を取り止めた。
名栗トレイルランは初めて走るが、制限時間が7時間半の25.9kmでカッコ書きで(時間内完走にはフルマラソンサブ5の走力が必要です)とあった。
この大会要項を見たのは、エントリーして参加料7.200円をクレジット決済した後だった。
このカッコ書きに不安になり、この大会のブログを検索したら、脚がつったとかという文が載っていた。
フルマラソンのサブ5(5時間以内)の走力があるかどうかは、フルマラソンの経験がないので、
青梅マラソン30kmの3時間15分〜30分を参考にするしかない。

2012年の奥武蔵もろやまトレイルラン21kmは4時間8分で、総合順位で423位だったが、なにせ7年前の記録だ。
まぁ、サブ5の走力は別として、新緑の山中を走るのは気持ちが良いだろうからファンランに徹して楽しんで走ろうと思っている。

トランプとバノン

2019年03月10日 | 雑記


今週5日(火)、6日(水)とトランプ政権の元戦略主席補佐官スティーブ・バノンが来日していてBSフジの(プライムニュース)と
BS TBSの(報道1930)に出演していたので録画しておいて、雨降りの7日(木)にまとめて見た。
どちらの番組もタイトルがトランプ大統領の側近、懐刀との紹介で、両番組とも冒頭での質問は今でもトランプとコンタクトがあるのか、
というもので本人は私人なのでとか弁護士を介してとかの回答だったが、同席していた自民党の代議士河井克行氏が
今でもコンタクトがあると思うし、トランプの政策に影響力を及ぼしていると思うと言ってたが、なんかヨイショ的発言だった。
この河井氏は衆議院議員7期当選で自民党総裁外交特別補佐という立場で、今回のバノン来日の招聘元らしく両番組に出演しており、
(スティーブ)とファーストネームを連発していたが、どうも日本人政治家が外国の政治家をファーストネームで呼ぶのは違和感を覚え、
安倍総理がドナルド(トランプ)、ウラジミール(プーチン)と言うの聞くのと同じく気恥ずかしくなる。

どちらも1時間半、2時間という番組だが、バノンの話が長く、早口なので同時通訳がついていけない感じで、
明らかに誤訳だと思われる話もあったが、中国脅威論以外はバノン独自の政策というのは分からなかった。
ただ興味深かったのは28歳の民主党下院議員オカシオコルテスに対して評価が高かった事で、
右と左の違いはあっても政策での対象とする層が同じなのだろう。
(報道1930)と(プライムニュース)はその時のテーマによって見ているが、TBSとフジの政治的立ち位置は
毎日新聞と産経新聞くらいの違いはあるのだろう、政治番組を見ていると分かる。

そのプライムニュースが8日(金)は(トランプに忍びよる影、大統領弾劾の可能性は)というもので、
この日は飲み会があったので予約録画して、翌日見たがコメンテーターが木村太郎氏だったので、少し見て止めた。
午後から囲碁対局だった事もあるが、木村太郎氏は唯一トランプ当選を予想したという事で、よく報道番組に出演しているが、
その親トランプ発言に違和感を覚えるので、この人の出演番組は見ない。
報道番組には外務省OBの岡本行夫氏、田中均氏、歴代駐米大使、笹川平和財団渡部恒雄氏などが出演しているが、
トランプ政治に対する評価が木村太郎氏とは大きく違う。
この番組でも冒頭に(ロシア疑惑そのものの真偽が怪しい)との、いつものトランプ寄りの発言だったので、録画を削除して見るのを止めた。
トランプの元顧問弁護士マイケル・コーエンの議会証言に対してもその信憑性に否定的だった。

NHK BS16:00からのワールドニュースのPBSニュースとABCニュースでのアメリカ政治報道とは違う。
どちらもニュースと言っても、30分の討論番組でアメリカのジャーナリズムというものがよく分かり、
特に月曜日のABCニュースのジョージ・ステファノプロスがMCのディベートが、その切り口の鋭さが興味深く必ず見ている。

モラー特別検察官のロシア疑惑調査報告書が今月中には提出されるらしいが、その報告書の司法省での扱い、
民主党が過半数を握る下院での弾劾訴追決議までいくか、全ては報告書の内容次第だろう。
共和党が過半数を握る上院での2/3以上というのは、ハードルがかなり高いが、出席数の2/3以上らしいので、
報告書の内容次第では一部共和党議員が欠席すれば、弾劾が成立する可能性もある。
期待しているニクソンのように自ら辞任する事はないだろうなぁ。
大統領の立場を捨てたら、ニューヨーク連邦検察から脱税容疑などで起訴されるだろうから。

来月からの日米通商交渉はどうなるか、相変わらずトランプは根拠のない言い分をツィートしているが、
それがシンゾー&ドナルド関係で乗り越えられるのか、毅然とした交渉をしてほしいものだ。
その前に米中交渉の決着があるが、米朝交渉で席を蹴ったのは安易な妥協より良かったが、
米中交渉が決裂したら株価急落は避けられないだろう。
通商摩擦による中国経済の減速は明らかだし、中国関連の日本企業の業績への影響も明らかだ。

私の履歴書 /五百旗頭 真

2019年03月03日 | 雑記


日経新聞朝刊に連載の(私の履歴書)が好きで毎朝愛読しており、各界で活躍された方々の半生を綴ったこのエッセイは興味深いものだ。
過去に連載された中でも、ボクサーから独学で建築家になり、世界的な評価を得た安藤忠雄氏のその半生には感銘を受けた。
安藤忠雄氏とは別の意味で感銘を受けたのが、先月連載されていた政治学者五百旗頭氏の(私の履歴書)だ。
氏については防衛大学校校長としての印象があったが、私の履歴書では(政治外交史家)となっていた。
その印象から同じ学窓の京都大学中西輝政名誉教授と同じような政治的立ち位置かと思っていたが、
政治討論番組BSフジ(プライムニュース)での発言を聞くと中西氏との違いを感じたが、そう思う部分が私の履歴書の中にあった。

28日まで連載されていたものを改めて日経電子版で読み返し、その半生で交わってきた恩師猪木正道氏や高坂正堯氏、
ハーバード大学教授で駐日大使だったライシャワー氏、歴代総理との逸話が尊敬と感謝の視点から語られているのが印象的で、
そのお人柄が分かるような話だった。
小選挙区制の政治改革を実現し退陣した細川首相の退陣を爽やかとし、小渕首相のクリントン大統領、金大中大統領との間で築いた外交関係を評価し、
沖縄サミット前に急逝された事を日本とアジア太平洋にとって大きな損失だと述べている。
平成の元号紹介の官房長官としての印象から、軽量首相と思っていたがその業績について意外な高評価だった。
防衛大学校校長への就任を要請された小泉首相へは、外交政策は賛同出来ないものがあり躊躇するが、
説得され就任後にイラク自衛隊派遣や靖国参拝を批判し、右翼から防大校長罷免運動を起こされるが、
日米関係強化と陸上自衛隊の早期撤退を評価し、首相退任後に家族全員と防大生10人を三崎港の旅館で
マグロ1匹の料理を小泉ファミリーで慰労されるなど、度量が大きく情愛ある人だと述べている。
その他にも福田康夫首相や民主党の北沢防衛大臣などがリスペクトを持って述べられているが、森、麻生両首相についての記述はない。

また防大校長時代に田野神空幕長の日本が戦争したのはルーズベルトや蒋介石の陰謀だという論文を、
新聞のコラムで厳しく批判したら、右翼から官舎や西宮の留守宅も襲撃されたと言う。
防大校長が右翼から襲撃されるという事からも、氏の政治的スタンスが分かるし、中西輝政氏の田野神論文評価と比べると
同じ京大猪木正道門下生でもその政治学者としての立ち位置は違うようだ。

ライシャワー教授との交遊や家族でのロンドン大学留学生活話など、毎日興味深く読ませてもらったが、
一番印象に残ったのは、京大高坂正堯教授から一ヵ月のアメリカ出張を言われ、国立公文書館で国務省の対日占領政策の文書を
調べて見つけた統合参謀本部が終戦の翌日に作成した日本分割占領案の話だ。
スターリンが北海道北半分をソ連軍の占領下に置きたいと要求した案は、米国の主導権を重視するトルーマン大統領に否認されたが、
この分割案を新聞に掲載され、日米関係史研究の学会からパッシングを受ける事になるが、ワシントンから3000ページの原文書を取り寄せ、
それを基に学会報告を行い反対学者からも認めてもらえた。
最後は長年連れ添った奥様が膵臓ガンで亡くなる時の話だったが、末期ガンでの最期の様子は心に沁みるものだった。



(私の履歴書)を読んでる途中で、氏の著書を読んでみたいと思い、図書館の蔵書を作者名で検索して28冊の蔵書の中からトップ写真を借りて読んだ。
高坂正堯教授は学者らしくない洒脱な人柄と京都弁での軽妙な語り口が印象に残っており、昔は藤本義一が司会する(11PM)や、
島田紳助と田原総一朗司会の(サンデープロジェクト)などに出演していた。
民主党前原誠司氏のゼミの教授としても知られているが、その政治的立ち位置は現実主義の保守リベラル・護憲派だったと思う。
なかなか読み応えのある本だったが、長くなるので書かないが、次は政治学者としての著作(宰相吉田茂)を読んでみたい。
現在図書館には8冊が予約され、手元には原田マハ(暗幕のゲルニカ)、北欧ミステリーのオーサ・ランソン(赤い夏の日)、(黒い氷)がある。
オーラン・ハッサンの2冊は2週間前に読んだ(オーロラの向こう側)の女性弁護士レベッカ・マーティンソンのシリーズだ。
ピカソのゲルニカはマドリードの美術館で観たが、作品の時代背景なども知っていたが正直なところあまり心動かされなかった。

1930年代のパリ、マドリードでのピカソの話と2003年のニューヨークの話が平行して進む構成のようだが、どんな小説になっているのだろう。
次の予約本が届く前に、3冊を2週間で読まないといけないが、完全リタイアの身なのでその時間は充分にある。