ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

わたしの嫌いな桃源郷~初谷むい

2023-04-08 08:08:08 | 本の少し
 ☆☆☆
 
1996年生まれの若手歌人の歌集。
 
すこしだけ開いてる窓から吹き込んだ雨が濡らしている扇風機
海へ行く道を勘だけで当てている海じゃなくても良かったけれど
本当に言葉っぽいのはどちらかというと夢。 だからはんこを押してください
眠れずに見ていた扇風機が止まりぼくは簡単に途方に暮れる
あやとりをしたいけれども糸がないことばの代わりに糸をください
贈り物を夢の中では買っていて、それをいま持っている 両手で
本当のことを言わなかった朝 昼 梅ソーダ飲みながら考えた
いま地震が来たらひとりで死んでしまう土曜日地震は来ませんでした
感情の誤読も愛になりとして。なにもかもを、なにもかもを許した
電話をすれば出るだろうけど 電話をすればあなたの声がするだろうけど
知らない町でパン屋を探すなきゃないでよかったけれどパン屋はあった
その顔じゃまぶしいのかわたしを好きなのかわからない夜の自販機の前
けっきょく電話は書けなかった。愛は滅びずに朽ちていくだけ
これが最終問題です。最後の最後の最後に残るものはなーんだ?
 
 
 

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