二度寝で番茶 (双葉文庫) | |
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双葉社 |
☆☆☆☆☆
今年また、新しい作者に出会えた。
既に知る人ぞと知るという方なのか解りませんが、私にとっては嬉しい出会い。
木皿泉さんは、夫婦で共同執筆の脚本家。
夫・和泉努、妻・妻鹿年季子さんのお二人で、
2003年に「すいか」で向田邦子賞を受賞されているらしい。
エッセイといいながら、二人の対話の形で進められる。
他愛のない題材ながら、そこには物事へのこだわり、生きるとはなんぞやまで、
二人の会話のやりとりの中で、軽妙な言葉で語られる。
羨ましいぐらいのパートナー、社会派の漫才師のごとく二人の会話は活きている。
例えば“笑い”についてでは、
かっぱ(妻):テレビも寄席みたいになればいいと思いますね。
大福(夫): 寄席は、何でもありですからね。退屈なものもあったり。
かっぱ: でも、通ううちにそーゆー退屈なのが好きになったりしてね。
大福: テレビは粒ぞろいのスターばかりだから、価値観が平板になってしまう。
かっぱ: 下らないのも流すべきですね。おっ、コイツいけるんじゃないかって、
見てる人に見つけてもらう。
大福: 笑うものぐらい、自分で決めたいです。
いいね、二人で追い打ちかけるように
こんな会話ができる仲間が常に傍にいるなんて、羨ましい限り・・・・。
“老いのの実感”では、
大福: ゴボウとか高野豆腐のおいしさがわかるようになりました。
かっぱ: その程度ですか。
(略)
大福: それから、運命というものを重く感じるようになりました。
かっぱ: えっ、今まで軽かったんですか?
ほんと、重いのか軽いのか解らないはなしが続く・・・・・。
落語でもそうですが、会話って終わるか終わらないうちに相手が話し出すんですよね。
そんな、リズム感のイキイキ会話が続く。
実は、木皿泉さんを知りたくて、
今日、KAWADE夢ムック 文藝別冊「木皿泉~物語る夫婦の脚本と小説」を買ってきて
過去の作品はと最後の作品一覧をみると、なんと一番最初に「新・やっぱり猫が好き」
うれしいな、あの小林聡美さんつながり・・・・好きなものがどんどん集まってくる。
「読書ログ」との出会いによって、好きなものが拡がるような、深みに落ちていくような、
この半年でおます・・・・・・・・。