ぽれぽれ百綴り

犬好きおばさんのんびり雑記。

ひとりでおつかい~どの口が言う?後編~

2011-07-08 08:14:38 | Singapore/たび・現実逃避
昨日からの続きです。
 
できることはすべてやりました。
まるで「ひとりでおつかい」にわが子を送り出す母のようだった私の気持ちも、
数々の特訓と対策を経て、オリンピック選手を強化訓練で育てあげた鬼監督のそれになってきました。
 
さあ、母よ、
自信を持って!
今こそ、大舞台へ、魑魅魍魎の待つかの国へ、いざ旅立たん!
(しつこいようですが、私、あの国、好きなんですよ。)
あなたならできる!
と、思いたい。
 
しかし、そこまでやっても、わが母は、
楽しかった上海・カンボジア・シンガポールの旅も終わりに近づき、
ひとり帰るその日を迎えると、
不安で落ち着きがなくなり、食欲もいまひとつになってしまったのでした。
 
ところが、です!
その夜、シンガポールの空港にて、奇跡は起こりました。
信じられないほどラッキーなことに、
彼女が乗るチャイナイースタンのシンガポール→上海の便には、
沖縄ツーリスト率いるツアー団体が同乗したのです!
勇気をふりしぼってひとりでチェックインするため、長い列に並んだ母の小さく見える背中。
それを相方と私は、緊張の面持ちで後ろで見守っておりました。
すると、総勢20人を超える中高年のご一行が、私たちの前をぞろぞろと横切っていくではありませんか。
緊張感のカケラもなくきゃいきゃいと楽しそうに、日本語を話しているではありませんか。
そのままグループチェックインカウンターに向かうではありませんか。
先頭にはツアーコンダクターとおぼしき赤いアロハシャツを着た若い日本人女性
その彼女に駆け寄って、話しかけて判明しました。
あまりの喜びでうちふるえる私、
「だっ、大丈夫ですか?」と、彼女に心配されてしまいました。
沖縄ツーリスト、天の使いに間違いありません。
うれしそうにはしゃぐ中高年たちの、その背脂の乗り切った丸い背中に、真っ白な羽が見えました。
私の帰国時にはほぼ人民一色、日本人ゼロだったのに、なんと強運な母!
天は迷える子羊を見捨てはしなかったのです。
だからといって、母よ、上海の空港で迷ってはなりません。
 
ご一行は上海(浦東)から沖縄へのトランスファーになるようですが、
トランスファーという点では上海では母と同じ行動になるはず。
こんなににぎやかで目立つご一行だもの、母だって見失いっこありません。
なんとかチェックインを済ませて、不安で今にも泣きだしそうになっている母を、
私は精一杯の言葉で励ましました。
「万一の時にはあの赤いアロハさんに泣きついたらええ!
みるみる明るい表情になる母。
アロハさんもいくら業務外とはいえ、異国で困り果てているいたいけな高齢者をむげにはしないでしょう。
まかせたよ、アロハさん!!
沖縄ツーリスト、恩に着るから!! 
恩を返す機会は一生涯ないと思うけど!
アロハさんには何も頼んだりしていませんが、
(私自身、ひとり旅の空港で見ず知らずの方に帰国までの同行を頼まれ、大変重荷だった経験があるので)
万一の時に頼れるアテがあるというのは、勇気千倍、心強い限りです。
 
 
そうして、一夜明けて、そろそろ母が日本に到着する頃。
関空に着いたら電話をくれる約束になっているのに、とっくにその時間は過ぎているのに、電話がない。
やきもきしてこちらからかけてみたら…無事、日本へたどり着いていました!
上海発の便が40分遅れだったとか。
トランスファーについてたずねると、アロハさんに頼ることもなかったようで、
あんなん、なんでもないわ!あんたら、私をばかにしすぎやわ!
と、強気に戻ってぶいぶい言っておりました
本当に日本国内弁慶なんだから。
私とふたりのときだって、出入国審査にびびって手間取ったくせに。
知らない団体についてあらぬ方向に向かったりしたくせに。
帰国直前なんて、不安で半泣きになって、別れの言葉もアワワワ状態だったくせに。
きっと上海でだって、アロハさんご一行におどおどついていったに違いないくせに。
ほ~んと、どの口が言うかなあ?
 
    【チャイナイースタン、関空に無事到着】
これは私の帰国時のものですが、
母の気持ちになってしみじみと安堵の気持ちに浸っていただくのも一興かと。


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