ぽれぽれ百綴り

犬好きおばさんのんびり雑記。

検査結果とこれから

2016-04-10 09:21:45 | いぬ・シロさん
検査結果について。

いちばん驚いたのは、

鼻腔内に腫瘍がなかったこと。

腫瘍はCT画像にも写ってなく、
細胞診検査でも、異常なしでした。

2月の大量・長時間・何度にもわたる鼻血はなんだったんだろう?
10時間とか20時間とか、恐ろしいほど鼻血が、
それも右側からだけ出続けたのに、
あれはなんだったんだろう?
それでかかりつけのドクターに鼻腔内腫瘍をいちばんに疑われたのに。
そのドクターには打つ手がないから、
腫瘍科のある別のクリニックで検査から始めたのに。

鼻腔内腫瘍は進行が早く、
私が調べたかぎりでは、
こんなに残酷ながんがあるのか、
と、涙がでてくるほどのものでした。

がんは鼻から骨を溶かして進行するため、
腫瘍が大きくなるにつれ、
元のお顔がわからないくらいに崩れます。
骨を溶かすってたとえかと思ったのですが、
鼻のあたりから目の周りまでぐるりと骨がなくなるのです。
私が見た画像では、犬であることすらわからないほどのかわいそうな子も。
また、その腫れ具合によって、
目が押しつぶされたり、押し出されたり、
嗅覚はもちろん、視力や聴力も奪われることも。
鼻腔内や喉に向けて腫瘍が大きくなると、
呼吸ができなくなり、いずれ窒息死。
先に脳に進行すると、神経症状があわられ、
けいれん・発作に苦しみ、死にいたります。

このがんは犬のすべてのがんのうち、発生率1%という珍しさ。
外科手術で取り除くことはできなくて、
抗がん剤は外科手術との組み合わせでしか効果がないとか。
放射線治療も位置的に難しいことも。
初期ならそれでも効果が得られることもあるのですが、
このがんはなかなか気づいてあげられず、
診断されたときには、
かなり進行していることが多いそうです。

望みが少ないのに辛い辛い治療を選ぶのか、
どこかのタイミングで安楽死を選ぶのか、
飼い主さんたちは苦悩することになります。

シロさんに鼻腔内腫瘍がないのは本当によかった。

でも、腫瘍は他にありました。

シロさんにあったのは、

副腎腫瘍。
左右のうちより大きい右は悪性にほぼ間違いなく、
すでに外科手術で取り除けるサイズではない。
左は悪性か不明でまだ心配するサイズではないとか。

下垂体の腫瘍。
これはグレー、
年齢とともに誰しも大きくなるものなので、良性か悪性かまだ判断できず。
仮に悪性としても副腎に比べると優先順位は低そう。
ただ、副腎腫瘍は下垂体の悪性腫瘍が原因であることも多いとか。
では、下垂体腫瘍は悪性なのか?

下垂体の病理検査は難しく、
副腎も切らないと病理検査はできない。
シロさんはおばあさんだから、
切ることが負担になり、命にかかわる。
悪性かもしれないけど、病理検査は無理。
検査しないリスクは受け入れるしかない。

ここまでは「おおまかな診断」として検査当日に説明を受けました。

すべて最終ステージではなさそうだったので、
鼻腔内腫瘍がなかったことの喜びの方が勝りました。
ホッとして気が抜けて泣けてきたくらい。

そんな状態だったので、
ドクターが最後に腰椎のいくつかの形と色が
普通でないことを指摘なさっていたのに、
「犬にも骨粗しょう症ってあるんですかね?」
と、気楽な反応を返していました。


「検査結果をさらに分析して、詳細と治療の方針については後日に」
その言葉でその日はすべて終わりました。


水曜日、
担当ドクターから電話がありました。

聞きたくない結果でした。


シロさんにとって、いちばんの懸念は、

多発性骨髄腫の疑いでした。

シロさんの腰椎のいくつかの変形。
中身がスカスカであること。
これが多発性骨髄腫である可能性がとても高いと。

多飲多尿に鼻血、貧血が多発性骨髄腫の特徴。
発症するのは高齢犬が多い。
すべてシロさんにあてはまってます。
CT検査前に採取した血液からもその疑いはあると。
犬の多発性骨髄腫も珍しく、発生率1%未満だとか。
それでシロさんは鼻腔内腫瘍をまず疑われたのか。

疑いを確定にするための検査は4つ。
4つの項目のうち、3つがクロなら確定。
年齢的にシロさんはCT検査ともうひとつで確定できる、と。
・CT検査
・血液検査(多発性骨髄腫を確定させる特別な検査)
・尿検査
・病理検査

進行をあらわすステージについては病理検査が必要で、
骨髄腫の場合、実際に組織を取って行うのは困難であり、
かつ、ステージの違いで治療法が変わることはないので、
行う意味はあまりないそうです。

治療には抗がん剤投与が効果的です。
75%もの犬に有効というのは、他のがんにはない良い数字。
ゆるやかに作用し、
根治できなくても1年から2年延命できるケースが多いらしい。
痛みも抑えられる。
またステロイド剤を同時に投与するとより効果的。
ステロイド剤投与は腎臓への負担を考え、ひと月しかできない。


高齢のシロさんの場合、
ストロイド剤と同時に副作用が緩やかな抗がん剤を
ごく少量投与するところからスタートすると。
それでも副作用はある。
嘔吐や下痢、食欲不振…。
今のシロさんにそれに耐えうる体力が残されているのか?
耐えてまでの延命が、シロさんにとってしあわせなのか。
でも投与することで上手くすれば、
シロさんは苦しまず日々を過ごし、
老衰で穏やかに旅立てるかもしれない。
それこそが私の望み。

多発性骨髄腫は進行は遅めですが、痛い。
痛さに耐え続けなければなりません。
もろくなった骨は骨折しやすく、
また免疫力が低下してきて、
いずれ感染症などで死にいたることが多い。
シロさんの場合は、他の腫瘍も進行するでしょう。
抗がん剤治療を行っても、免疫力は徐々に低下していくのですが、
行わないよりそのスピードは緩やか。



シロさんは金曜になっても、
何ひとつ口にできないまま。
急激にやせ、さらに弱ってきました。

母は「もう何もしたくない」と言います。
点滴を打ってもらうことを提案するも、
「どのみちもう命は尽きようとしているから」と拒否。
「今、一時的に救ってもまた繰り返されるなら、逆に苦しめるだけ」って。

でも今のままだとシロさんの苦しみは死ぬまで続く。
すでにシロさんは腰椎の痛さに襲われているらしい。
神経症状で下半身にはしびれがきているとか。

確かにシロさんは何もないところで急にこけたり、
下半身がヨロヨロすることがここ最近、増えてきました。
だけどそれは加齢のせいだと思い込んでいました。
ハスキー犬や大型mix犬の平均寿命を、
何年も超えて生きてるおばあさんだから。

辛い病気にかかっているのに誰にも気づいてもらえず、
シロさんはひとり静かにずっと耐えていたんだ。
いつから痛かったんだろう?
気づいてあげられなくて、ごめん。

犬は群れ社会の動物だから、
痛くても苦しくても平静を装うものらしいです。
弱みをみせると、群れの中で順位が下がるから。

それでも私が気づくべきだったと思います。
時々しか会えないからこそ、気づける変化もある。
そこで病気を疑うだけの知識を備えておくべきでした。

「点滴に鎮痛剤を入れて打ってもらおう。
どのみち死んでしまうのでも、ずっと痛いままじゃあ、辛すぎる。
私だったらそんなの絶対いやや。
放っておかれるくらいなら、もう殺してほしい」
その言葉でやっと母を動かすことができました。
ここはペットタクシーも来ないような田舎、
母が車を運転し、
私が後部座席でシロさんを支え続ける、
その二人三脚でないと、
シロさんを通院させられないのです。

金曜日にクリニックで点滴を受け、
そこに鎮痛剤としてステロイド剤を入れてもらいました。
抗がん剤ほどじゃないけど、
多発性骨髄腫の進行を妨げる働きもするそうです。
「食べられないのは検査疲れや麻酔薬の後遺症ではなくて、
たまたま多発性骨髄腫が進行して痛みがひどいからでしょう」
ドクターはおっしゃいました。

「何もしたくない。するべきじゃない。それがシロのため」
そう主張する母は駐車場で待機。
一緒にドクターのお話を聞いて欲しいのですが、
連れてきてくれただけでも感謝しないと。

「この子の年齢を考えると、
ずっと食べてなくてこの体力はすごいことですよ」
ドクターが驚くようなことをおっしゃいました。
私にはよれよれで瀕死に見えるシロさんですが、
プロの目からすると違っていたもよう。

「ステロイドで痛みが取れて食べられるようになったら、
さらに体力も戻るでしょうから、
多発性骨髄腫の診断確定さえしておけば、
いつでも抗がん剤治療をスタートできます」

それには血液検査が必要。
母を説得はできなかったけど、
説得できたら始められるように、検査をお願いしました。

抗がん剤治療を始めることを母に納得してもらえるのか。
それよりまず、治療がシロさんのためになるのかどうか。
悩みは尽きません。
でもシロさんの時間はどんどんなくなる。
それも痛いまま、苦しいまま、なんていやだ。
走りながら考えよう。
まずは痛みを抑えてあげたくて、
ステロイド剤の投与は続けることにしました。

今までシロさんをいちばん大事にしていたのは母です。
その母が彼女の早い死を望むくらいネガティヴ思考になっているのは、
寝不足の影響も大きい。
夜中に何度も彼女の様子を見に行かなくてはならないので、
ぐっすり眠ることができないのです。
疲れ果ててしまった母は、もう解放されたいのです。

私が連日、シロさんの元へ通っていても、
日帰りではあまり母の助けにはなってなかったということ。


(ずっと何も食べられず弱々しくなってきたシロさん。
なかなか立ち上がれないのも、
それなのに一度立ち上がると
後ろ足を震わせながらも長いことそのままままなのも、
多発性骨髄腫がもたらす痛みと神経症状のせいでした。
悲観的な母は「もうこのまま逝ってしまう」と首輪を外しました。)

この先しばらくは毎週何泊か実家で過ごし、
夜も私がお世話することを考えました。
神戸に帰ってからシロクマ相方にその考えを相談しました。
彼は快く私の考えを受け入れてくれました。
心から感謝。
最初から何日も留守にするのは彼の負担が大きい。
まずは2泊3日でスタートして、
シロさんと母、それからシロクマ相方、
両方の様子を見ながら、日数は調整しようと思います。

今日は冬もの衣料をたくさん手洗いしました。
これが渇けば実家へ帰ります。

お泊り介護、本日よりスタート。


シロさん、どうか明日は元気で。

ご覧いただきありがとうございました。