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俳優・勝地涼くんのこと。

『新・愛の嵐』(2)-8(注・ネタバレしてます)

2008-08-03 03:15:23 | 新・愛の嵐
〈第18回〉

・先頭に立って土砂を掻き出す大活躍の結果、倒れてしまう猛。やっぱり絶食後にこれは無理があったか。
意識のない猛にすがって泣くひかるの姿を追う中で、一コマお花のカットが挟まれますが、これは猛に抱きついて泣くことのできるひかるを、うらやましく思う心情を描写したものでしょう。

・猛を肩に担いで軽々運ぶ伝衛門。さすがは旦那様、格好いいです。

・眠る猛を振り返りつつ部屋を出ていくお花。
猛のハンストを止めさせられなかった自分の猛に対する無力を思い知るほどに、かえって彼への叶わぬ想いが強まっているようです。

・小作人の大事にもかかわらず悠然と本を読んでいた心構えのなってなさを責められた文彦は、猛を逆恨みする。
この一連のシーンは、頬の引き攣らせ方や目線の動きなどで、見事に甘ったれたお坊ちゃんを表現してみせた藤間くんの演技力が光っています。

・猛の部屋を見舞うのを止められて、「お母様こそ不謹慎なこと考えてらっしゃるんじゃありません?」と言い通すひかる。
友春と崇子、二つのレイプ事件を通して大分大人びた口をきくように。しかしその言葉の内容と対照的に表情はすねた子供然としている。
おませだけどまだ幼い年相応の潔癖な少女の顔をしてます。

・「猛猛!何かっていうと猛だ!」 繰り返しながら斧を振るう文彦。
薪割りの作業に怒りをぶつけてるのかと思えば、薪割り用の台?を無駄に斬りつけている。ちょっと鬼気迫るものが。

・猛の部屋を覗いて、お花が意識のない猛の手を握るのを見てほくそえむ文彦。「思いがけずいいものを見た」という感じ。
本来何をするつもりで猛の部屋へ行ったんだろう。先の薪割りシーンがあるので、つい「闇討ち?」とか思ってしまう。

・絹が倒れたのは自分が悪いのだというひかるに、「自分の思いに回りを巻き込んで傷つけてはいけない」と諭す伝衛門。
身分違いという観点から咎めないのは、先の和尚の言葉が身にしみているからでしょう。
猛とひかるの関係をどうすべきかについての考えも少しずつ変わってきてるのでは。

・文彦がどれだけ献身的に自分の世話をしてくれたか嬉しそうに語る絹。それを受けて伝衛門が文彦に目をやると、意外にも文彦は決まり悪げに視線をそらす。
てっきり親に取り入るためにことさら絹の世話をしたのであって、ここで如才なく親思いの息子ぶりを伝衛門にアピールするかと思ってたんですが。
父の迫力に押されてそうした目論見が後ろめたくなったのか、逆に心から母を思っての行動だったがために、日頃の自分とのキャラの違いに自分で照れくさくなったのか。

・「お母様はあなたがたを生んで本当によかったと思ってます」と絹は子供たちに言い、二人もそれに頷く。
このとき文彦の左目にかすかに涙が光っている。やはりさすがの文彦も母への情だけは本物ということでしょうね。
第三部を見ても情けない男なりに両親や奥さんを愛してましたし。

・「あとはわしが見る」という伝衛門に猛をまかせて部屋に下がるお花が、後ろ髪を引かれるように猛を振り返る。
先から何かとお花のアップが多いのは、今後の展開に向けて彼女の猛への想いをしっかり見せておくためでしょう。

・猛の額の手拭いを外して手を当てる伝衛門。その手つきも眼差しも実の息子に対するかのよう。
ここで幼年期の物語の回想が入る。息子とも思うものの息子ではない猛の処遇をどうするか、手元に置きたいがそれが猛のためになるのかを真剣に思い悩んでいるのがわかります。

・事故のさいの活躍を誉められた猛は、「考えるより先に体が動いてしまうんですね。俺頭悪いから」とはにかんだ、でもどこか得意気な笑顔を見せる。
このへんの行動力は頭でっかちに文学を振り回したがる文彦と好対照(もっとも小学校の成績は猛の方が良かった)。
猛が本当に自分の(死んだ二人目の)息子だったらよかったのに、と伝衛門は思ったでしょうね。

・何でもいいから現場に出たい、白部村の役に立ちたいと繰り返す猛。つくづく文彦より猛の方が後継ぎの器ですねえ。
猛がひかるの婿として三枝家を継ぎ、文彦は財産を貰って東京で文学するのが一番丸く収まると思いますが。

・将来文彦の補佐役となるために、あらゆる事を経験してほしいという伝衛門の言葉に、「旦那さま・・・」と呟く猛。
その目の黒曜石のような澄んだ輝きに、思わず圧倒された。旦那さまへの一途な敬愛の念。
この人のために尽くすという強い意思を感じさせます。

・現場の仕事のため朝早く夜遅い生活に対応するには、いつもの部屋より番小屋の方がよかろうと言う伝衛門を、猛はちょっとためらった様子で見やる。母屋から追い出されるような気分になったのでしょう。
実際伝衛門が何となし済まなそうな顔をしているので、猛とひかるの仲を案ずるあまり倒れた絹を思いやってか、二人に距離を置かせようという意図はあったんでしょうね。
結局、和尚の問いかけ(猛をどうするつもりか)に対して、「文彦の片腕、しかし婿ではない」という位置に置くことを決めた様子。しかしあの文彦を補佐するってすごく嫌な役回りだ・・・。

・夜、ひかるの部屋の前で一人「お嬢さま・・・」と呟く猛。
母屋を出るにあたって、ひかるのことは忘れて仕事に専念しよう、伝衛門の信頼に答えようと腹をくくったので、最後の別れに来たという感じなんでしょう。
でも一人言でさえ「お嬢さま」なんですね。

・上述のひかるへの別れの直後、猛はお花から手製の手拭いを渡される。
でも猛は「ありがとう」と淡々と言うだけ。彼女の気持ちはさっぱり通じてないですね。

・猛が番小屋に引っ越しただけのことで、文彦を「お兄さまがだらしないから!」と罵倒するひかる。あとで猛にとばっちり行くからやめてー。

・仕事で疲れ番小屋の床に仰向けに寝転がり、ひかるとの思い出を反芻する猛に、「今ひかるの事を考えておったな」と思い切り図星を指す和尚。
猛も「はい」とあっさり答える。和尚には本当素直ですね。

・和尚が出て行ったあと再び床に寝転がる猛の、天井を見つめる横顔が何とも言えず切なく、不思議な色気さえ感じさせる。
猛は16歳設定にもかかわらず多分に男の色気を漂わせるキャラクターですが、この場面での色気はむしろ少年の澄んだ色気。
男の色気と少年の色気の双方を兼ね備えているというのはある意味最強では。

 

(つづく)

 

 

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