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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『機動戦士ガンダム00』(1)ー12(注・ネタバレしてます)

2025-02-22 22:48:55 | ガンダム00

ハレルヤ

アレルヤ・ハプティズムの中のもう一つの人格。穏やかなアレルヤとは対照的に粗野で暴力的な言動が目立つ。脳量子波を操れるのはアレルヤではなく彼の方である。

ハレルヤはアレルヤが超兵機関で受けた(脳量子波を使えるようにするための)人体改造実験の結果として生まれた―つまりは脳への物理的干渉によって生み出された人格という位置づけのようだが、彼の言動など見るといわゆる解離性同一症(多重人格)に近いものを感じる。
多重人格は主に幼少期に受けた身体的精神的虐待から自身の精神を守るために、被虐待児童が自分の代わりに苦痛を受け止めてくれる別人格を生み出してしまうものと言われている。直接脳をいじくられたために別人格が誕生したというより、実験による心身の苦痛が耐え難かったアレルヤが無意識に自己防衛のためハレルヤの存在を生み出したという方がより実態に即しているように思えるのだ。
というのもハレルヤが現れるのはもっぱら戦闘時で、アレルヤの弱腰を罵りながらも彼に代わって気の優しいアレルヤでは厳しい局面や辛い役回りを引き受けてくれているように見えるからだ。
それは最初に本格的にハレルヤが行動を起こした事件とおぼしき、被験者数名で超兵機関を脱走したものの船が故障し酸素も食料も不足する中で起きた仲間うちでの殺し合いの際にも見て取れる。アレルヤ(の身体)が生き残るには他の子供たちの犠牲が必須と言えたが、優しいアレルヤに仲間を殺すことなどできない。だからハレルヤが代わってそれを行った。
以来生き伸びるための辛い選択・行動はもっぱらハレルヤが表に出て担ってきた。それはアレルヤの本意ではないが(むしろ彼はハレルヤの冷酷な決断、生き残るためとはいえ必要以上に残酷な戦い方を選ぶ傾向を嘆いていた)、ハレルヤがいなければアレルヤはとっくに死んでいただろう。ハレルヤが戦闘時以外はほとんど現れることがない、平時にアレルヤの身体で遊び歩いたりしてる様子がないのも、彼が〈アレルヤを守るために生まれた人格〉である証左のように思える。

ただ一般的な多重人格のイメージと違って、ハレルヤが身体を動かしている時でもアレルヤも意識を保っているし、ハレルヤのやったことを記憶している(ただハレルヤが勘づいていたソーマ・ピーリスの正体―彼女がマリー・パーファシーであることをアレルヤは知らなかった。少なくともハレルヤの方はアレルヤに隠し事をしようとすれば可能だということだ)。
辛い役回りをハレルヤが代わりに担ってはいるが、彼が行った殺戮・暴力行為の一切をアレルヤはつぶさに見ているわけで、その意味ではハレルヤがいるからといって精神的苦痛を免れているわけではない。むしろハレルヤの残虐行為のためにより心を傷つけられることが多く、長らくアレルヤはハレルヤの存在を持て余し気味だった。
変化が訪れたのはファーストシーズンの終盤、ロックオンの弔い合戦ともいうべき最終決戦の時だ。身体の主導権を握っていたハレルヤにアレルヤが「ぼくも、生きる」と戦う意志を告げた。そしてハレルヤは前髪を掻きあげ、アレルヤの時は髪で隠れている金色の右目、ハレルヤの時は隠れているグレーの左目の双方を露わにする。
事実上二人が共闘した最初の場面であり、両者の意識が共に前面に出ていながら動きがかみ合わなくなる場面がなく、ハレルヤ言うところの「反射と思考の融合」が完璧に成されていた。全くタイプが異なるようでも、彼らが二人で一人、同じ人間なのだと感じさせる場面である。
この戦いで頭の右側面に傷を負ったアレルヤはハレルヤの人格をしばらく喪失してしまうが、その間はガンダムに乗っても動きが今一つ精細を欠いているのをアレルヤも自覚せざるを得なかった。
その後ダブルオーライザーのトランザムテストで撒き散らされた加速粒子をきっかけにハレルヤが4年ぶりに目覚めることとなるが、ハレルヤ不在の時間は彼がまぎれもなく自分の半身であったことをアレルヤに思い知らせることとなった。
そして刹那が純粋種のイノベイターとして完全覚醒したことによって作動したダブルオーライザーのトランザムバーストによりハレルヤが本格復活してからは、アレルヤ・ハレルヤはファーストシーズン最終戦を思わせる、いやそれ以上のコンビネーションを見せつけることとなる。

ところでふと思いついたのだが、アレルヤの色違いの目は生まれつきなのだろうか。普通は途中で目の色が変わることはないだろうが、アレルヤの場合、彼の人格が表に出ている時はグレーの左目、ハレルヤが出ている時は金色の右目が露出していて、人格と目の色が結びついてるかのようである。ならば超兵機関での人体実験をきっかけとしてハレルヤの人格が生まれた時に、彼が司る(?)右目の色が変わったということはないだろうか。
純粋種のイノベイターもイノベイドも脳量子波を使う時に目の虹彩が金色に輝いている。ハレルヤの場合は虹彩が輝くのではなく、いわゆる黒目部分の色が金色なのであって、脳量子波をことさら使う場合でなくても、ハレルヤが表に出ていない時でさえ髪の毛に隠れてるだけで常時、右目は金色のはずという点は違っている。
この違いはGNドライヴによって覚醒を促されたイノベイター、ヴェーダが生み出したイノベイドという〈イオリア計画の産物〉であるか、別系統の研究(たぶん)によって脳量子波を引き出された超兵であるかの差なのかもしれない。
ともあれ、〈金色の目〉が脳量子波を使えることの証と見なすなら、脳量子波に目覚めた―脳量子波を使えるハレルヤという人格が生まれた時点をもってアレルヤの右目が金色に変わったという可能性もあるのかも?と思ったりするのである。


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