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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『吉祥天女』(1)-2(注・ややネタバレしてます)

2008-09-26 02:52:29 | 吉祥天女
勝地くん以外のキャストについて。

まずはヒロイン小夜子を演じた鈴木杏ちゃん。おそらく小夜子役が杏ちゃんと発表されたとき、原作を知るほとんど全ての人が「えっ!?」と思ったのでは。
当時杏ちゃんもインタビューで話してましたが、これまで杏ちゃんは明るく元気な役のイメージが強かったのに対して、叶小夜子は高校生離れした妖しいまでの美貌と手管で男を操り破滅に追い込むという役どころ。
(当時世界的に活躍していたモデルの故・山口小夜子さんのイメージで描いたキャラクターという噂を見かけましたが、確かに小夜子の外見は切れ長の目が特徴的なクールビューティ小夜子さんを思わせます)

それをいかに少女の頃から演技力を高く評価されている杏ちゃんとはいえ、ビジュアル的に幼すぎ&可愛すぎなのを演技力で妖艶な美女然と見せられるものなのか。正直不安を覚えたものでした。
それだけに映画本編を見て杏ちゃんが随所で漂わせる妖しい色香には驚かされました。
映画の小夜子は原作の小夜子より(脚本レベルで)メンタル的にやや幼いので外見の幼さはあまり気にならず、むしろ冷静さ・妖しい美しさの中に時折少女の顔をちらつかせる映画の小夜子のキャラクターに外見・演技の両面で杏ちゃんはよくはまっていました。


第二のヒロイン由似子を演じた本仮屋ユイカちゃん。原作の由似子のどん臭さ、頼りなさは大分薄められ、能楽クラブの部長という設定のせいもあり、古風で凛とした雰囲気が強まっています。
ユイカちゃんは突出した美少女というわけではないんですが、その凛とした清楚な顔立ちと雰囲気のせいで時々はっとするほど美しい表情を見せてくれます。
目鼻立ちのはっきりした小夜子=杏ちゃんと並ぶ場面でも、派手さはないものの透明な輝きを放っていて、(普通の少女代表のような由似子でありながら)小夜子に見劣りしない。
彼女の少女らしい清涼感が、美しい映像表現とともに基本線はドロドロした物語の(いい意味で)毒消しになっていたと思います。


原作の暁は不細工ではないながらも涼に比べると男っぷりでは幾分落ちる(暁が涼にライバル意識を持ってるのはそのせいもあると思う)印象ですが、映画版の暁はモデル体型の美男子。
実際暁を演じた深水元基さんはモデルさんでもあるそうで。暁には格好良すぎかな?とも思いましたが、映画の暁は設定自体原作ほど卑小さがなく数割増し格好良くなっていたので(一種華々しいラストシーンなどピカレスク・ヒーローとでも言いたい感じ)、むしろ適役でした。
勝地くんがインタビューで「(暁と涼の関係には)ホモセクシュアルの空気が漂うほど」と話してましたが、確かに二人の密着度は原作よりずっと高く、時にエロティックでさえある。深水さんの男前なビジュアルと雰囲気が、映画独特の暁の立ち位置と涼との関係性を造るのに大きく貢献したんじゃないでしょうか。
ちなみにこちらによると深水さんは撮影当時26歳だったんですね。でも学生服がお似合いでした(笑)。


最後に特筆したいのは小夜子の祖母・あき役の江波杏子さんと小川雪政役の津田寛治さん。お二人とも決して登場時間は多くないし、劇的な場面があるでもないのに強く印象に残っています。
ごく自然な演技とたたずまいにもかかわらず、いやむしろそれゆえに本当にあき、雪政という人物がそこにいるかのような実体感があった。彼らの背景や人柄を示すようなエピソードはほとんどなかったというのに。
名優というのはこういう人たちのことなんだなあ、としみじみ思ってしまいました。


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