サイエンス好きな男の日記

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不動産投資シミュレーション(戸建の場合のモデルパラメータによる影響)

2021-01-09 11:53:33 | 不動産賃貸業

前回は、戸建ての場合のシミュレーションを行いましたが、今回は、木造アパートの場合との比較およびモデルパラメータの影響について調べました。

ちなみに、金額イメージとしてはアパートは5,000万円、戸建ては500万円ぐらいを想定しています。

木造アパートと戸建の標準モデルの結果を以下に示します。

【木造アパートの場合】

【戸建の場合】

利回りの範囲が異なりますが、どちらも10%の場合を見比べると、自己資本によらず、木造アパートのほうがIRRが大きくなっています。一方、最終収益/自己資本はほとんど差がないことがわかります。また、DCRも木造アパートのほうが高い値を示しています。

つまり、同じ利回りかつ同じ自己資本率ならば、戸建よりも木造アパートのほうがリスクが低く、収益性も高いと言えます。

この最大の理由は、木造アパートのほうが建物比が高いため減価償却できる金額(の割合)が増えることで節税ができ、ローン期間も長く組めるため、返済の負担も少ない結果、リスクが低いということになります。

ただ、これはあくまでも同じ利回りかつ同じ自己資本率ならば、という条件の場合であり、実際には自分が目標としている収益性やDCRが実現できる物件が見つかれば、どちらでも構わないのですが、現状では戸建のほうが見つかりやすいのではと感じています。

 

次に、戸建ての場合のモデルパラメータの影響を見てみます。

(1)修繕積立金の効果

このモデルでは、修繕費用として毎年計上しています。その費用の内訳は、

  • 火災保険や固定資産税として物件価格の0.4%
  • 空室による機会損失・入退去に伴う原状回復費用として物件価格*表面利回り*0.1 (これは5年に一度空室が発生し、空室期間3か月、原状回復費用家賃3か月分と仮定)
  • 大規模修繕費用として、物件価格の0.5%

ここでは、最後の大規模修繕費用として 0.5%の部分を 0%, 1% の2通りでシミュレーションを行いました。

具体的な金額で言うと、0%は大規模修繕の積み立てなし、標準モデル(0.5%)では年間2.5万円、1%では年間5万円を積み立てることになります。
年間だと大した金額ではないですが、例えば10年間では標準モデル(0.5%)は25万円、1%では50万円を外壁修繕等にあてることができます。

結果は次の通りです。

大規模修繕費用の積み立てなし:

大規模修繕費用は標準モデルの倍:

投資として検討可能な条件である自己資本比率50%、利回り14%でIRRを比較すると、標準モデルに対して±0.5%であることがわかります。

 

(2)築年数の効果

木造アパートの場合、築年数の違いによって耐用年数が変わることの影響が多少ありましたが、この築古戸建の場合、築22年以上であれば耐用年数は4年と変わりませんので、この効果はほぼないため省略します。

 

(3)建物比率の効果

築古戸建の場合、物件価格に対する建物の金額の割合(建物比率)は、建物の耐用年数を相当過ぎていることもあり、あまり大きく取れません。

ここでは、参考までに10%-50%の範囲で調べてみました。

実際には、20-40%程度の範囲になると思われるため、 標準モデルに対して±0.5% の影響と考えられます。

 

(4)売却時の利回り増加分

次に、売却時の利回り増加分(購入時と売却時の表面利回りの差)の効果を調べました。

標準モデルでは売却時利回り増加分は1.5%です。したがって、この表の増加分1.5%は標準モデルと同じです。

例えば、標準モデルの場合、14%の利回りで購入した物件は、15年後には1.5%増加して、15.5%の利回りとなる金額で売却されたと仮定しています。具体的には、500万円の物件の場合、当初の家賃58,333円が15年後には52,400円となるため、15年後の売却価格は 52,400円*12か月/15.5% = 406万円での売却となります。きちんとメンテナンスも行って客付けができているのであれば、利回り15.5%での売却ですので、無理な金額ではないと思われます。


売却時利回り増加分が0.5%の場合、14%の利回りで購入した物件は、15年後には14.5%の利回りとなるわけでこれは15.5%とくらべて売却時の価格が高いことになります。よって、収益性も1.5%にくらべて0.5%のほうが高くなっています。逆に、売却時利回り増加分が2.5%の場合には収益性は低くなります。

では、築古戸建の場合、売却時の価格はどうなるのか。通常の木造アパートやRCなど、あるいはもっと築浅の戸建であれば、築年数と利回りには高い相関があると思いますが、築年数が50年も経っていると、利回りと高い相関を示すパラメータは築年数よりも内装や管理状態などのほうがかなり強いことが想像されるため、15年後の売却時の利回り増加分を考えることにどれほど意味があるのか、ということもあるのですが、かといって、購入時と同じ利回りで売却できると仮定するのもちょっと虫がいい話にもなるので、ここでは1つのパラメータとしています。

ここでは、売却時の利回り増加分として0.5%-2.5%が想定される範囲として、 標準モデルに対して±0.3% の影響と考えられます。
なお、先ほど、標準モデルの場合の売却額は406万円だということを示しましたが、売却時の利回り増加分として0.5%-2.5%であれば、売却額の範囲としては
380万円-430万円ぐらいの範囲になります。

 

(5)家賃の効果

家賃が一定とした場合の収益性も調べました。

家賃が一定というのは極端に思われるかもしれませんが、戸建ての場合は入居者がファミリーであることが大半であり、一度生活スタイルが根付くと長期間そこで生活することとなるため、入退去がかなり少なく、それが築古戸建ての大きなメリットでもあります。


利回り14%の標準モデルと比較として、自己資本が100%, 50%, 30% の場合、IRRはそれぞれ 0.7%, 0.9%, 1.1% ほど増加します。このシミュレーションでは、家賃は一定ですが、5年に一度入退去が発生し、それによる原状回復費用も含めています。しかし、本当に入退去もないのであれば、そういった費用も不要となるため、IRRはもっと向上することが期待されます。

 

(6)所得税・住民税の影響

最後に、税金の影響を評価してみました。

標準モデルでは、所得税・住民税は合計で33%としていましたが、これを20%とした場合の結果が上記です。

例えば、標準モデルの自己資本50%、利回り14%では、IRRは7.8%でしたから、税率20%の場合は税率33%の時と比べて1.3%ほどの違いでした。木造アパートの場合には、その差は0.5%程度だったことを考えると、課税所得が少ない人には戸建て投資は木造アパートよりも適していると言えそうです。

 

 

まとめると

  • 税率>家賃の変動、建物比率、修繕積立金>売却時の利回り、築年数 の順で収益性に与える影響が大きい。
  • 同じ利回りかつ同じ自己資本率ならば、戸建よりも木造アパートのほうがリスクが低く、収益性も高い。
  • 税率の影響は木造アパートより築古戸建のほうが大きいので、築古戸建への投資は課税所得が少ない人には向いている。
  • 自己資本率40%かつ利回り14%ぐらいの物件であれば、IRR 8% を獲得できそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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