サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

資産が底をつくのはいつか

2024-02-25 11:26:57 | 資産運用

ちょっと時間があったので、資産推移について考えてみました。

【問題】

年利 p で資産運用ができるとします。一方、資産額に関わらず、毎年 a を消費するとします。

この場合、資産 F の推移について求めなさい。また、t=0の時の資産Fは S (>0) とします。

 

【解答】

年利 p で資産運用できるため、毎年 p x F だけ運用による収入がある一方、毎年 a を支出します。

したがって、毎年の資産変動額 dF/dt は以下になります。

dF/dt = p x F - a

上記より、

dF/( p x F - a ) = dt

よって、

∫dF/( p x F - a )  = 1/p x ∫dF/( F - a/p )  = ∫ dt

1/p x ln | F - a/p | = t + C  (C: 積分定数)

ゆえに F = a/p ± e ^ (p x (t + C))

t=0 の時の F は S であるため、上式より

S = a/p ± e ^ (p x C)

これをもとのFの式に代入して積分定数Cを消去すると以下になります。

 F = a/p + (S - a/p) x e ^ (p x t)  ・・・①

これが資産Fの推移の式になります。

 

以下では、S と a/p の大小関係で2通りを考えます。

S > a/p の時

これは、S x p > a  なので、t = 0  の時、毎年消費する資産よりも資産運用で増加する資産が大きい場合です。

よって、当然ながら資産は t >0 で増え続けます。

①をみても、S > a/p なので、t が増えるほど F も増えることがわかります。

 

S < a/p の時

これは、S x p < a  なので、t = 0  の時、毎年消費する資産のほうが資産運用で増加する資産よりも大きい場合です。

そのため、資産は t > 0 で減少し続けます。

①をみても、S < a/p なので、t が増えると F は減少することがわかります。

 

①をグラフで書くとわかりやすいです。

【問題2】

S の値によっては、資産が0となる場合がある。その時の t  の値を求めよ。

【解答】

S > a/p の場合は、資産は増え続けるため、F が 0 となることはない。

S < a/p の場合は、資産は減少するため、ある時刻 t において F = 0 となる。

この時刻を t とすると、① より

a/p + (S - a/p) x e ^ (p x t)  = 0 ・・・②

上記を t  に対して解く

e ^ (p x t) = -a/p / (S-a/p) = a / (a - p x S)

よって資産が底をつくのは

t = 1/p x ln( a / (a - p x S)) ・・・③

となる。

 

実際に値を代入してみます。

年利 6% で運用できるとし、毎年1000万円消費するとします。なお、以下の資産の単位はすべて万円とします。

この時、p = 0.06, a = 1000 より、a/p = 16,666 

つまり、資金1.7億円を元手に年利6% で運用できることが保証されていれば、毎年1000万円使っても資産は増えていく、ということになります。

 

では、仮に資金1億円だった場合、S = 10,000 < a/p = 16,666 ですから、いつかは資産がなくなります。

それは何年後かというと、③より

t = 1/p x ln ( a/(a-pxS)) = 1/0.06 x ln(1000/(1000 - 0.06 x 10,000)) = 16.666 x ln (1000/400) = 16.666 x 0.916 = 15.3

つまり、年利6%で運用できたとしても毎年1,000万円消費すると15.3年後には資産がゼロになることになります。

 

最後に、年利6%で運用できるとし、毎年300万円で何とか50年間生活したい、という場合に必要な資金はいくらか、を考えます。

p = 0.06,  a = 300,  t = 50  なので a/p = 300/0.06 = 5000   つまり 5000万円あれば資産は増え続けるため、50年以上の生活が可能です。

次に、S < a/p の場合を考えます。この場合 ②より、S について解くと

S = a/p - a/p x e^(- p x t) = a/p x (1 - e^(-p x t))

p = 0.06,  a = 300,  t = 50 なので、S = 300/0.06 x (1-e^(-0.06 x 50)) = 5000 x (1-e^-3) = 5000 x (1- 1/20.085) = 5000 x 0.95021 = 4,751

つまり 4,751万円が必要ということになります。

若いうちにアーリーリタイヤをしようと思うと、4,700万円ぐらいは必要ということですね。
ただ、5,000万円あれば資産は減らないため、4,700万円ではなく5,000万円ぐらい貯めてからアーリーリタイヤをしたほうがリスクは低い。
収入は資産運用のみで50年間生活する場合、開始時の資産は a/p が必要と考えたほうがよさそうです。
つまり、資産を切り崩さず、運用で得られる資産だけを使って生活ができるかどうか、という点で考えるべき、ということです。

 

コメント
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