サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

ステンレスシンクの研磨

2021-12-31 16:49:06 | 不動産賃貸業

年末近くに、賃貸物件のキッチンシンク研磨を行ってきました。

 

実はこの物件は、先日、火災保険を適用した物件です。

すでに、階段蹴込修理が終わり、ハウスクリーニングを実施、あとはクロス張替の予定で進めています。

ちなみに、このハウスクリーニングを業界では”洗い"と呼ぶようです。

私は、不動産賃貸業を始めた最初の物件で、不動産屋さんが「あとは”アライ"にきれいにしてもらって、賃貸募集を始めますので。」と言われ、(新井さんですか…)と勘違いしたことを思い出します。

 

さて、キッチンシンクの研磨ですが、よくYoutubeでも動画が上がっていますね。私は全くの素人で過去に研磨なんて包丁を研ぐくらいのことしかやったことはなく、すごく参考にさせていただいているのですが、その完成度というかゴールのクオリティはまちまちなので、私なりに整理してみます。

まず研磨対象のシンクには、大別すると、鏡面加工となっているものとマット調になっているものの2種類があります。(以下はサンプル画像です)

 

なんとなくの想像ですが、飲食店や昔のキッチンは全体が鏡面加工、住宅のキッチンはあえて傷が目立たないようにマット調となっている傾向が多いように思います。

今回、使用するのは以下の通り:

  • 耐水ペーパー研磨シート(#600, #2000)
  • スポンジ研磨剤(#800-1000, #1200-1500)
  • ピカール

グラインダーなどの機器は使わずすべて手作業です。また、素手で作業をすると、削れたステンレスで手が真っ黒になりますので、ゴム手袋を使ったほうが便利です。

 

手作業で行う以上、研磨をしても近づいてよく見ると細かい傷が残ってしまいます。それは鏡面加工タイプのキッチンでもマット調タイプも同じです。一見きれいに見えても、よ~く見ると細かな傷が多数ついているのがわかります。

左は鏡面加工の自宅のシンクです。

耐水ペーパー研磨剤#2000までを使って研磨し、最後にピカールで仕上げています。

上も下も全く同じシンクですが、下はキッチンの照明をつけて、あえて傷がわかるようにして撮影しています。

このように、どうしても細かな傷が残ってしまうんですよね。おそらく、グラインダーなどを使うともっときれいにできると思うのですが、手作業ではこれが限界なのでは、と思います。

これは自宅のキッチンシンクなのでいいのですが、賃貸物件ではこのレベルではちょっときついので、よほどのことがない限り鏡面加工のシンクの研磨はやりません。

一方、マット調も細かな傷は残るのですが、何年も使っていくとこの程度の細かな傷は仕方がないかな、と思えるようなレベルの傷として見られる程度になります。

今回のキッチンは左にある通り、マット調であり、今回のこの写真のような目立つ傷があるのであれば、研磨をやったほうが印象がよくなると判断しました。

なお、キッチンシンク自体は設置してから2年足らずなので、傷がない箇所はまだまだきれいです。そのため、傷のある部分だけを研磨することにしました。研磨した部分としなかった部分(ほぼ新品)の違いも比較できますので。

全体の作業は、番手の小さい(荒い)研磨剤から徐々に番手を上げていき、最後はピカールで仕上げる、という流れです。

ステンレス研磨作業のイメージは、円を描くように研磨して全体の凸凹を同程度にして、傷を目立たなくします。この時、力を入れないことです。力を必要以上に入れるとその部分だけ深く研磨されてしまい、その凹凸を消すことが大変です。

もし、傷が深くてなかなか研磨できないのであれば、力を入れるのではなく、番手を小さくして研磨したほうが無難です。

左の写真は#600の耐水ペーパー(6cm四方ぐらいの大きさ)2枚を使って研磨した結果です。

耐水ペーパーは、使っていくうちに研磨力が落ちていきます。なので、特に最初のうちは本当に軽くなでるぐらいの力で滑らすように研磨します。引っかかりがなくなってきたら中断し、2枚目の耐水ペーパーで同様に研磨しました。次に、研磨力がやや低下した2枚の耐水ペーパーを使ってさらに研磨を続けます。全体で30分~40分ほどかかりました。

#600の後は目が細かい研磨剤で磨いていき、#600研磨シートでついた傷を徐々に消していく作業になります。#600を使っても消えないような深い傷は、番手を上げていっても消えることはないので、しっかりと時間をかけて#600の耐水ペーパー研磨シートで研磨して、全体の凹凸を均一にすることが最終的な仕上がりをきれいにします。

当初の傷はほぼ目立たなくなりましたが、よく見ると、細かな線が多数残っているような状態です。

これは、#800-#1000 のスポンジ研磨剤、その後、#1200-1500のスポンジ研磨剤で研磨した結果です。もちろん、同じ荒さの耐水ペーパー研磨シートを使用してもよいと思います。(今回は、最初に耐水ペーパー研磨シートで研磨しましたが、これも#600ぐらいのスポンジ研磨剤があればそれでもいいと思います。)

黄色いマスキングテープは傷の有無の大まかな境界です。今回、傷がないきれいな個所は研磨したくないため、境をつけました。

先ほどと比べてやや光沢が出ているのがわかります。

さらに、最後に#2000の耐水ペーパーで研磨した結果です。

より一層、光沢がでて、シンク底面に反射した混合水栓などもよくわかるようになってきました。

 

 

最後に、ピカールで研磨しました。

さらに、混合水栓が反射してはっきりと見えるようになりました。

最初に傷が多数入った状態よりもよくはなりましたが、近づいてよく見ると細かな傷が多数残っています。

写真を拡大してもその傷がはっきりと見えないのですが、印象としては、最初にはっきりと見えていた傷がなくなったものの、もう5-6年も使ってきたシンクのようになっています。特に、研磨をしていない部分と比較してみるとその違いがよくわかるのですが、残念ながら写真ではうまくその部分を伝えきれていないです。

 

簡単にきれいになります、という記事が多いのですが、あまりに過度な期待は禁物です。

特に、新しいシンクでこれをやってしまうと、やらないほうがよかった、と後悔することにもなりかねません。

このままではちょっと賃貸には出せない、かといって、プロに任せると高くつくので、まずは自己責任で自分でトライしてみて、ダメなら最悪プロに依頼する、という気持ちで取り組むのが無難だと思います。

 

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賃借人による破損・汚損への火災保険適用

2021-12-15 18:13:49 | 不動産賃貸業

先日、賃借人による故意の破損・汚損の一部を火災保険で対応することができました。

 

この賃貸物件は自主管理ではなく管理会社を介して管理していたため、管理会社に翌月末までに退去する旨の連絡がありました。

ただ、その期日が近づいてきても、具体的な退去日の連絡がなく、またこれまでも家賃の件などで連絡を取ろうとしても一向に電話に出てもらえず、信頼関係の構築が難しい賃借人でした。

結局、月末の直前になって、ようやく解約通知書が届きました。その賃借人の現住所欄には東京の住所が書かれていて、退去の立ち合いもせずに、すでに東京へ引っ越してしまったとのことでした。鍵の返却もされていないため、管理会社が弁護士に相談した結果、賃貸借契約の解約とみなしてよいか、残置物はこちらで処分してよいか、その処分費用は負担することでよいか、という覚書を東京の住所宛に郵送しました。

文書案は管理会社にて作成いただいたのですが、もし返信が無く、その後の処理が滞ることを懸念して、私から「もしⅹ月x日までに回答がない場合には、上記内容を承諾したものとする」といった文言も加えておいたほうが安心ではないか、という意見を出しました。しかし、書類の無効性の観点からその文言はないほうがよい、という弁護士のアドバイスがあったそうです。ただ、返送期限としては2週間とした内容となっています。

なるほど。そういう考えもあるのですね。

案の定、賃借人からは2週間たっても覚書が返送されませんでした。

一応先ほどの覚書は送付済みであり、万が一裁判になっても問題ないという弁護士のアドバイスから、まずは室内に立ち入り管理会社に状況を確認してもらいました。

  

結構ちらかした状態で退去されてしまったんですね。ゴミもそのまま。リフォームしたてのきれいな部屋だったんですが、残念です。

今後、かかる費用としては

鍵交換、畳表替え、残置物撤去、ハウスクリーニング、破損・汚損

このうち、鍵交換、畳表替えは無条件で家賃保証会社負担です。残置物撤去・ハウスクリーニング・破損および汚損については、家賃保証会社に請求できるのは最大家賃3か月分という契約です。しかも、破損・汚損は賃借人自らがそのことを認めることが条件です。すでに、残置物撤去とハウスクリーニングで合計20万円となり、家賃3か月分を超えてしまってしまうため、いずれにしても破損・汚損は大家にて負担しなくてはなりません。

原則では、借家人賠償責任特約にて、日常生活で生じるレベルを超えた破損・汚損については賃借人に請求できるのですが、すでに賃借人は東京に引越し、携帯へも連絡つかず。また、緊急連絡先へも同様に連絡がつかないという状況であるため、現時点では、大家負担とならざるを得ません。

そこで、ふと思いついたのは、火災保険での破損・汚損に対する補償

この破損等リスクについて、火災保険の契約をするときに保険代理店にもう少し詳しくその内容を聞いたことがあります。

= 保険代理店からの説明 =

「破損の補償内容は 「偶然なかつ外来の事故による破損」です。この補償はあくまで建物のみにかかる補償となっております。例えば、門や外壁や玄関のガラスなどが破損や汚損していた場合に補償されます。
借家人賠償は賃貸借人が借りている部屋に対して補償されるものであって部屋の造作も含め事故により損害を与えてしまった場合に補償されるものなので保険も目的が違うことから重複することはありません。万一、入居者の方が建物に損害を与えてしまった場合は個人賠償の域となります。」

======================

部屋に対しては借家人賠償、建物は個人賠償との説明ですが、これは物件のイメージとしてはアパートやマンションなどの共有部分がある物件を想定している感じです。今回は、戸建なので、賃借人は建物自体も借りている、と解釈するのが自然だと思うので、借家人賠償ですべて対応することになりそうです。

そのため、管理会社に、賃借人が契約している借家人賠償責任保険で今回の破損・汚損について対応できないか聞いたところ、これは賃借人と保証会社との間で契約された保険なので賃借人が保証会社に連絡するなどして動いてもらわないと難しい、とのこと。確かにそうですね。。。(しかし、こういった状況でりようできないと、何のために借家人賠償責任保険に加入してもらっていたのか、という気もしてしまいます。。。)

 

そこで、先ほどの火災保険の代理店に今回の件について、火災保険の破損・汚損の補償対象とならないか、可能性はかなり低いものの相談してみました。

「この破損・汚損に対する補償は「偶然なかつ外来の事故」であり、その原因が賃借人という場合はグレーなので、保険会社と話し合います。そのため、状況を知りたいので、破損・汚損箇所の写真、修繕見積書を送付してほしい」とのこと。全く、ダメということでもないらしい。

そこで破損・汚損箇所の写真を代理店に送りました。以下は、送付した写真の一部です。

後で説明しますが、⇒ の内容は最終的な保険会社の判断結果、さらに➡は実際の対処です。


階段蹴込
⇒割れ損が確認できるため容認
➡蹴込板の交換


 トイレドアの落書き
⇒機能の損失はないため否認
➡洗剤などで除去


 1階壁クロスの落書き
⇒機能の損失はないため否認
➡壁クロス張替


 キッチンドアの油性ペン落書き
⇒機能の損失はないため否認
➡洗剤などで除去


 DKのCFの1㎝四方の黄色いシミ
⇒機能の損失はないため否認
➡CF張替


 1階の天井クロスの剥がれ(2-3cm)
⇒クロスが破れていて事故性が疑われるため容認
➡天井全体のクロス張替


 トイレのCF
⇒単なる汚損の程度を逸脱しているので容認
➡CF張替


 2階壁クロスの液体跡
⇒単なる汚損の程度を逸脱しているので容認
➡クロス張替

これらは全体の一部。最初の写真は階段の蹴込板が割れてしまっています。また、建具・設備・クロス・CFなどに落書きや汚れがあります。特に、トイレのCFはひどくべたついた状態で、和室壁のクロスには液体が垂れた跡が広い範囲にわたってついてしまっています。

こうやって改めてよく見ると、経年劣化や過失というレベルではなく、重過失、故意の破損・汚損というレベルだと感じます。

【リフォーム会社の修繕見積】

まず、管理会社(リフォーム会社)に修繕費用を見積もってもらったところ、クロス張替え、CF張替え、建具修繕等でおよそ15万円となりました。

【保険会社の認定結果】

先ほどの修繕費用見積書を保険代理店を経由して保険会社に提出しました。

最初の認定結果としては、階段蹴込部分はOKだが、それ以外は対象外という結果となりました。

判断のポイントとしては、日常生活上の汚れや機能上問題が無い場合は否認、保険の事故性(偶発かつ外来)があれば容認ということらしいです。

しかし、クロスの汚損やトイレCFの激しいべたつき等の状況を説明し、単なる日常生活の汚れの域を超えていることを保険代理店を通してアピールした結果、全部ではないものの、クロスやCFの一部については認定をもらうことができました。

この最終的な結果に対する理由を上記写真にコメントとして付けておきました。

結果として、認定金額は全体で6.5万円となりました。

しかし、この破損・汚損では免責金額として5千円を設定しています。それぞれの破損・汚損の認定箇所(合計4か所)は、同日に起こったわけではないと想像されるため、それぞれを1事故としてカウントするとのこと。1事故それぞれに対して免責5千円なので、結局、支払われる保険金の額としては

認定金額(6.5万円) -免責金 +臨時費用(10%) = 5万円 となりました。

15万円に対して5万円は保険から支払われることになっため、残る10万円は大家負担となります。ただ、その後、建具の落書きは私自身でなんとか落とすことができたため、負担額はもう少し減らすことができそうですが、それでも7-8万円はかかるでしょうね。

結構いろいろと交渉した割には支払金額は少なかったかなという印象ですが、そもそも保険で支払われるかどうかも怪しかったため、5万円でももえらえることになったのはありがたいです。

今回のケースは、今後の賃借人の退去時の参考にしたいと思います。

 

【まとめ】

借家人賠償責任特約にて対応することが原則ではあるものの、入居者による事故の場合(通常の汚損をこえた事故性のある破損・汚損)は、火災保険の破損・汚損でも対応可能

 

 

 

 

 

 

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