サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

登記ねっとでの所有権移転登記

2020-11-08 17:21:11 | 不動産賃貸業

所有権移転登記費用は馬鹿になりません。

登録免許税のほか、司法書士に支払う費用など、500万円くらいの築古戸建物件で10万円~15万円ほどかかってしまいます。家賃の2~3か月分くらいです。

登録免許税は仕方ないとしても、その他の手数料などをなるべくかけないようにしたかったので、今回は、自分で登記・供託オンライン申請システム(いわゆる登記ねっと)を活用して所有権移転登記を行いました。

 

登記・供託オンライン申請システム:https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/index.html

その際に、わかりづらかった点や手間取ったことなどをまとめておきます。なお、売り主は法人、買主(私)は個人です。

  1. ICカードの利用
    ICカードは利用できるのに、登記原因証明情報を添付し署名付与をする時だけ、公的個人認証サービスの署名用パスワードを入力しても、エラーとなってしまう。
    原因は、公的個人認証サービス 利用者クライアントソフトのバージョンが古かったこと、そしてICカードライブラリを登録するための事前作業をしていなかったことでした。
    前者は、公的個人認証サービスポータルサイト から最新版をインストールして解決。
    後者は、申請用総合ソフトの「ツール」>「オプション」>「ICカード切替」タブを選択して表示される画面から、使用するICカードライブラリで「公的個人認証サービス(個人番号カード)」を選択し、そのICカードを登録して解決。
    詳しくは、こちらに説明があります。 
    https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/security/ic_syoumei.html

  2. 申請用総合ソフトのアカウント作成
    今回の登記では、私と妻でそれぞれ物件を購入したため、申請用総合ソフトのアカウントも私と妻のそれぞれで作成し、登記申請書もそれぞれで作りました。しかし、たとえば私のアカウントで申請用総合ソフトにログインすると、妻の登記申請書も見えてしまい、そのまま妻の書類の編集や申請ができてしまいました。おそらく、私も妻も同じアカウントでパソコンにログインしているからだと思います。
    当初はあまり気にせずに、そのまま、妻の分の申請までしてしまったのですが、後になって不安になったので法務局の職員にその点について聞いたところ、場合によっては妻の分については却下されるかも、ということで、審査結果待ちになりました。→ 後日、電話で確認したところ、届いた申請書や内容について特に問題ない、という回答でしたが、今後はこうならないように気を付けないと。


  3. 申請用総合ソフトの登記申請書(権利に関する登記)(3)所有権の移転(売買)【署名要】

    申請用総合ソフトにて「申請書作成」をクリックして、所有権移転登記の登記申請書を作成します。



    登記申請書(権利に関する登記)(3)所有権の移転(売買)【署名要】を選択すると、次の画面が表示されます。






    以下、作成するうえでわかりづらかった点などをメモとして記載します。具体的な作成方法などは、申請用総合ソフトのマニュアルなどを参考にしてください。

    1. 申請人が法人の場合
      申請人が法人の場合、会社名だけでなく代表者名も必要。例えば、「代表取締役 山田太郎」のように。

    2. 登記識別情報通知希望の有無
      登記識別情報通知とは、売買の時以外は決してめくってはいけない、と言われる書類です。通常は、司法書士がめくっていますね。この書類を、登記所で受け取るか、郵送で受け取るか、オンラインでの通知とするか、希望しない、から選択します。「希望しない」を選択することってあるのか疑問ですし、オンラインでの通知の場合、今後物件売却時に何か困ったことが起きないか不安だったので、私は郵送で受け取る、を選択しました。ちなみに、司法書士の先生と話をする機会があり、ここの選択について聞いたら、やはり、登記所でうけとるか、郵送で受け取るか、のどちらかで、他はどうなるのか試したことがない、ということでした。
      郵送で受け取る場合にその送料はどうすればよいか、を法務局に確認したところ、定形外郵便+一般書留(435円)+本人限定(105円) で登記識別情報通知書を送るため、その送料を切手同封で送ってほしい、ということでした。重さによって定形外郵便の料金が変わるため、少し多めに入れておいて、残った切手は通知書送付時に同封して返還する、ということでした。そこで、重さが50g、100g、150g のいずれでも対応できるよう、660円+20円+70円 の切手を同封しました。(実際には、その金額ぴったりの切手が無かったりするので、実際の切手の枚数は6枚くらいになったと思います。)後日受け取った郵便物には680円の切手が貼ってあり、余った70円も同封されていました。

    3. 法人の添付書類の省略
      登記事項証明書の添付を省略したい場合、会社法人等番号入力(12桁)を入力すればよいようですが、すでに売主の業者さんが登記事項証明書を持ってこられたので、今回は登記事項証明書を送ることにしました。また、2020年3月30日より、会社法人等番号があれば印鑑証明書も省略できるようになったようです。(※1)
      (※1)https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080210&Mode=2
      後日、法務局に電話で確認したところ、会社法人等番号があれば法人の印鑑証明書および登記事項証明書は不要であるとの回答をはっきりともらいました。(2021/9/22 追記)
    4. 個人の住民票の省略
      個人の住民票添付を省略したい場合、住民票コード情報入力欄に入力(11桁)する。登記ねっとが提供している所有権移転登記申請手順書.pdf には、「買主の住民票写しが必要ですが、当該(法務太郎)は電子証明書を提供していますので、それをもって、住民証明情報の提供を省略することができます。」と記載があります。この”電子証明書を提供している”とは、マイナンバーカードで署名をしていることだと思い、これで住民票の提出が不要になると思っていました。しかし、法務局から、住民票コードの記載がないので、住民票を送るか、住民票コードの入力をするように、とのことでした。ただ、住民票コードを知るためには市役所で住民票コード付きの住民票を取得しなくてはいけません。今回は、たまたま手元にあった住民票を送付することにしました。

    5. 登識提供様式の作成
      この画面は以下のようなものです。



      このケースでは、土地や建物の情報を不動産番号で入力した場合で、直接所在や地番を入力している場合には、その情報が表示されます。閉鎖や閉鎖年月日は、特に記載しませんでした(グレーなので、そもそも入力できないのかも)。そして、甲/乙ですが、これは登記簿の権利部(甲区)(所有権に関する事項)か、権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)か、を選択します。今回、所有権移転登記なので、甲区を選択。そして、受付/順位は、受付年月日・受付番号を入力するのか、順位番号を入力するのか、の選択です。登記識別情報通知を見ると、【受付年月日・受付番号(又は順位番号)】の項目があり、ここでは受付年月日・受付番号しか記載がないため、この選択では受付年月日・受付番号を選択し、その右に、登記識別情報通知に記載の受付年月日と受付番号を入力。受付番号は、ハイフンで区切られた3つの数字を入力するようになっていましたが、登記識別情報通知には5桁の受付番号の記載があり、ハイフンはありません。登記ねっとのヘルプデスクに電話で確認したところ、その場合には、最初の欄に5桁の番号を入力し、残りの欄は何も入力しない、と言われました。ハイフンで区切られた他の数字を入力するのは、登記識別情報通知にもハイフンで区切られた番号が書かれている場合なのかもしれません。最後に、慌てたのは、登記識別情報を入力する欄が見当たらない!ことでした。しかし、それは、表示領域が狭かったためで、右にスクロールすると、現れました!(ちょっと紛らわしい…)この時点で、初めて登記識別情報を隠している紙を慎重にはがして入力します。

    6. 課税価格
      登録免許税を計算するための評価額を入力する箇所です。

      課税価格:3639000円

      課税価格の内訳等には、土地・建物のそれぞれの評価額と、1000円未満切捨て後の金額を記載しておきました。
      土地(5-5):2379000円(評価額:2379277円)
      家屋(5-5):1260000円(評価額:1260454円)

      登録免許税 金60800円

      登録免許税は、実際に収める額を入力し、その下の登録免許税の内訳等には、以下のように記載しました。
      土地(5-5)【税率1.5%】35685円
      家屋(5-5)【税率2.0%】25200円
      合計 60885円

      課税価格の内訳に記載した、土地と家屋の評価額の1000円未満を切り捨て税率をかけた額をそれぞれ計算します。さらに、それら2つを合計した金額が、「合計」です。登録免許税は、この「合計」に対して100円未満を切り捨てた後の数字です。

      なお、実際には、固定資産税公課証明書を添付書類として郵送するので、内訳の情報についてはあまり神経質になることは無いように思います。私は、金額不足と法務局から電話で連絡があったため、不足分の収入印紙を決められた台紙に貼って提出しました。台紙とは、申請用総合ソフトの「アクション」> 登録免許税納付用紙の印刷(不動産)を選択して印刷することで入手できます。

    7. 委任状
      買主が売主に所有権移転登記の手続きを委任するための委任状ですが、委任条項には、登記の申請に関する権限に加えて、提供する登記識別情報の暗号化および復号化の権限が記載されていることが必要。そして、この委任状に捺印した売主の印鑑に対する印鑑証明、そしてもし売主が法人であれば、その法人の会社登記謄本も添付する必要有り。ただ、以下の添付情報に書いたとおり、省略できる場合があります。
      また、申請用総合ソフトの登記申請書には「委任状の作成」というボタンがあり、ここから委任状を作成することも可能ですが、その場合、作成者だけでなく委任者も電子署名をすることが必要となるらしいので、やめました。
      委任状のひな形を最後につけておきます。

    8. 添付情報
      添付情報は以下になりました。

      ・登記識別情報
      ・登記原因証明情報(送付)
      ・代理権限証明情報(送付)※ 委任状のこと。
      ・印鑑証明書(送付)→ 法人の場合、会社法人等番号入力で送付不要。その場合は、印鑑証明書(会社法人等番号 XXXX-XX-XXXXX)(省略)と記載。
      ・資格証明情報(送付)→ 法人の場合、登記事項証明書だが会社法人等番号入力で送付不要(※2)。その場合は、資格証明情報の代わりとして、会社法人等番号 と記載。
      ・住所証明情報(送付)→ 自然人の場合は住民票(印鑑証明書で代用可能)。住民票コード入力で送付不要。法人の場合は、登記事項証明書だが、会社法人等番号入力で送付不要。送付不要の場合は住所証明情報(省略)と記載。

      注意点:登記事項証明書は作成後3か月以内。住民票はその縛りはありません(今回、4か月前の作成日の住民票を使っています。ただ、あまりにも古いとダメかも。。)し、返却してもらうこともできます(原本還付の手続き)。したがって、何件も物件を買う場合でも、住民票を使いまわすことができます。ただ、住民票コードがあればそもそも住民票は要らないので、住民票コード入力のほうが手間が省けますね。

      また、添付情報には特に書きませんが、登録免許税の計算で利用される、以下の書類も添付必須です。
      ・固定資産税公課証明書

      (※2)不動産登記等の申請をする場合に,申請人が法人であるときは,現在,当該法人の「代表者の資格を証する情報」(以下「資格証明情報」という。)を提供していただく必要がありますが,平成27年11月2日以後受付分の申請については,当該法人の資格証明情報の提供に代え,原則として,申請情報に会社法人等番号を記録又は記載していただくことになります。(引用:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00232.html)

 

ちなみに、私は初めての登記ねっとの利用であったこともあり、いくつか間違いなどを法務局より指摘されました(当然ながら、ここでの記載内容はその指摘をすべて反映したものです。)修正の必要があれば、申請用総合ソフトを起動後に最初に表示される「処理状況表示」画面の「補正」にて、その旨が表示されるのですが、いたって、その内容はシンプルでした。

文面は、こんな感じです。

つまり、この「補正のお知らせ」では詳細は何も書かれておらず、電話の内容をきちんと理解して対処することが必要でした。(法務局によって運用が異なるのかもしれませんが。)

 

【参考】委任状の作成例

私は、(買主の住所・氏名) に、次の権限を委任します。

1 下記の物件について申請情報として記録した事項の登記(以下「本件登記」という。)を申請する一切の権限
2 本件登記に関し、申請情報とともに提供した添付情報の原本還付請求およびその原本を受領する件
3 本件登記の申請の取下げ、登録免許税または手数料の還付請求および再使用証明の手続きの件
4 本件登記に係る登記識別情報の暗号化および復号化の件
5 登記識別情報および登記完了証の受領の件
6 復代理人を選任する件

令和X年X月X日

                                (売主の住所・氏名) (実印)

登記の目的
原   因
権 利 者  (買主の住所・氏名)
義 務 者  (売主の住所・氏名)

不動産の表示
(土地の表示)
(建物の表示)

 

結論:

仲介業者が嫌がると難しいですが、今後、何度も不動産の売買をするのであれば、やはり自分でできたほうが節約できます。最初はちょっと戸惑いますが、2回目以降はスムーズにできるでしょう。また、将来、自分の子供に所有権を引き渡したい時なども自分でできると便利です。最近は法務局も、行政サービスの一環として昔と違って手厚くサポートしてくれるようになっているようです(司法書士の先生曰く)。

 

 

 

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1 コメント

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Unknown (lawtaka)
2020-11-08 20:55:10
素晴らしい実践的な情報ありがとうございます。
私も物件取得時にはぜひチャレンジしたいです。
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