サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

太陽光発電の実績(~2020年と今後の見込み)

2021-01-25 20:24:52 | 太陽光発電

太陽光発電の実績のアップデートです。

所有している太陽光発電設備は以下の通りです。

  1. 熊本県球磨郡(2013.11.1~、システム容量 49KW、傾斜角10度、南向き)  2,000万円(税込)売電単価40円(税抜)
  2. 山梨県北杜市小淵沢(2016.1.19~、システム容量49.5KW、傾斜角20度、南南東向き)  2,470万円(税込)売電単価40円(税抜)*2基
  Ep
(※3)

2014

2015 2016 2017 2018 2019 2020 平均
熊本県
球磨郡
56.6

59.3
(※1)

56.5 57.3 61.4 59.8 57.3 59.7 58.8

山梨県
北杜市

65.3

 

  75.1
(※2)
82.1 80.4 79.1 78.1 79.9
(※2)

(※1) 熊本県球磨郡では、発電開始日2013/11/1
(※2) 山梨県北杜市は、発電開始日2016/1/19。平均は2017-2020から算出
(※3) 見込については、業者によって損失係数の見積もりが変わるため、NEDOのデータをもとに
Ep = 月平均日射量 * システム容量 * 日数 * 0.85 (損失係数) として算出した値としています。

ちなみに、北杜市は全国トップレベルの日射量です。(以下、NEDOの日射量データベースより。北杜市は中央の黄色エリア内。)

 

見込値(Ep)

これまでの平均日射量は、球磨郡では見込値に対して+3.9%の上振れ、北杜市では見込値に対して+22.3%の上振れでした。

 

太陽光発電システムの実質利回り

発電量の平均値から見積もった年平均利回りは以下の通り。 (消費税10%で試算)

  1. 熊本県球磨郡
    (売電料金 - メンテナンス費用 - 固定資産税) / 購入価格 = (58.8MWh*44 - 11,000*12 -  112,700)/  2,000万円 = 11.7%
    (アプラスで融資を受けていたため、保険にも自動的に加入済み)
  2. 山梨県北杜市
    (売電料金 - メンテナンス費用 - 固定資産税 - 保険) / 購入価格 = (79.9MWh*44 - 11,000*12 -  188,000 - 45,000)/  2,470万円 = 12.8%

上記はいわゆる実質利回りと呼ばれているもので、投資判断で使われる内部収益率とは異なりますが、イメージはつかみやすいですね。

非常に荒っぽい議論にはなりますが、20年後に発電システムの価値がない、と仮定すると、100% / 20年 = 5%  となります。したがって、毎年5%の価値が棄損していくと考えると、先ほどの利回りから5%を差し引いた結果、それぞれの利回りは 6.7%および7.8%となります。

また、上記2か所の発電システムは同規模ですが、金額としては北杜市のほうが1割ほど高額であり、さらに償却資産税や保険の費用も高額でした。それにもかかわらず、北杜市の年平均利回りが高いのは、月平均日射量が北杜市のほうが高いことに加え、実際にはその平均日射量からの上振れも北杜市が高かったことが主な原因です。

なお、気になる点としては、北杜市の年間発電量が年々減少していることです。これについては、後日、詳述したいと思います。

 

太陽光発電システムの収支

太陽光発電システムは20年間の売電単価が保証された、先が読みやすい投資です。

不動産のように、入退去や家賃減額のリスクもなく、収益性に影響を与えるほどの気候変動もほとんどありません。

比較的大きなリスクとしては設備機器の不具合ぐらいだと思います。

以下では、売電買取期間終了までの間にどれほどのキャッシュが得られるか、これまでの実績も含めざっくりと試算してみます。

 

20年間の収支(熊本県球磨郡):

  • 売電金額:4,913万円
    • 実績)2013/11 - 2020/12 : 1,808万円
    • 見込)2021/1 - 2033/10 :  55MWh(※) * 44円/kWh * 12.83年 = 3,105万円
  • 経費:532万円
    • 固定資産税:168万円(土地の固定資産税:11万円、設備の償却資産税:157万円)
    • メンテナンス費用:264万円(月額11,000円)
    • パネル撤去費用:100万円
  • 購入額:2,000万円(土地代込み)

(※)今後の年間平均発電量はこれまでの平均の95%と仮定

表面利回りは、4,913/2,000/20年= 13.3% 
経費を引いた実質利回りは、(4913 - 532)/2,000/20年 = 10.9% です。

ただ、不動産は最後に土地・建物を売却することができますが、太陽光の場合は土地しか残りません。
仮に、購入時と同じ金額で土地が売却できたとしても、たかが知れています。そのため、購入額2000万円は20年後には価値がなくなるため、上記利回りから5%(=100%/20年)を差し引いて考えなくてはいけません。

すると、さほど高い利回りではないことがわかります。

19年間の収支(山梨県北杜市):(連系開始から実際に発電を行うまでにタイムラグがあったため、買取期間は19年弱になっています。)

  • 売電金額:6,212万円
    • 実績)2016/1 - 2020/12 : 1,724万円
    • 見込)2021/1 - 2034/8 :  75MWh(※) * 44円/kWh * 13.6年 = 4,488万円
  • 経費:634万円
    • 固定資産税:197万円(土地の固定資産税:34万円、設備の償却資産税:163万円)
    • メンテナンス費用:251万円(月額11,000円)
    • 火災保険:86万円
    • パネル撤去費用:100万円
  • 購入額:2,470万円(土地代込み)

(※)年間平均発電量はこれまでの平均の95%と仮定

表面利回りは、6,212/2,470/19年= 13.2% 
経費を引いた実質利回りは、(6,212 - 634)/2,470/19年 = 11.9% です。

これも同様に上記利回りから5.3%(=100%/19年)を差し引いて考えなくてはいけません。

結局、太陽光発電の最終的な実質利回りとしては税引前で5~7%ぐらいであることがわかります。

ただ、戸建投資などの不動産投資にあるような入退去の不安・手間はありませんし、入退去に伴う原状回復費、空室期間の無収入といったこともなく、常に安定してこの利回りでの収入が得られるのは大きいと思います。

また、不具合が発生しやすい機器としてはパワコンだそうです。製品保証は10年なので、仮に10年後に9台のパワコンすべてが故障し新品に交換することになった場合、300万ほど費用が掛かります。ただ、それでも、実質利回りは、(6,212 - 634 - 300)/2,470/19年 = 11.2% です。ただ、これは最悪のケースであり、通常は故障個所の部品交換などで対応可能だそうで、その場合はパワコン1台当たり5~6万円程度とのことでした。

太陽光発電はミドルリスク・ミドルリターンの投資だと思います。

 

まとめ

  • 最終的な実質利回りは税引前で5~7%ぐらい。
  • 太陽光発電システムの実質利回りから5%くらい差し引いて、本当の意味での実質的な利回りを考えるべき。
  • 不動産投資に比べて運営の手間はかからず安心して運用できるのも大きなメリット

 

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リフォーム費用の融資を0.8%の金利で

2021-01-17 14:43:46 | 不動産賃貸業

先日、私が住んでいる宇治市から、借入金の利子を補助(実際には全額)する旨の通知を受け取りました。

借入金は300万円であり、また期間は9月から12月の3か月間だけなので、金額としては1万円弱ですが、やはりありがたいです。

支払った利子を自治体が負担してくれる、というとてもありがたい制度を知ったのは昨年でした。

特にコロナの影響というわけでもなく、以前から中小企業を宇治市が支援する制度「宇治市中小企業低融資制度」というものがあったようなのですが、全く知りませんでした。
(Ref. https://www.city.uji.kyoto.jp/site/ujinext/6493.html)

 

この制度を使って融資を受けたい旨、金融機関に申し込みを行います。融資条件としては金利は1.3%、期間は「運転資金」であれば5年以内、「設備資金」であれば7年以内であり、融資限度額は「運転資金」は2,000万円、「設備資金」なら3,000万円です。

私の場合は、「運転資金」として300万円、融資期間5年で借入ました。せっかくなので、妻も同条件で借入を申込み、どちらも審査を通って、昨年9月に融資を受けました。

 

この制度のすごいところは、最初の2年間は、支払った利息を全額宇治市が補てんしてくれる点です。また、保証審査では、その審査の手数料として信用保証料を支払いますが、それも宇治市が半分負担してくれます。私の場合は、49,500円かかりましたが、その半分である24,750円を宇治市が負担してくれました。

そもそも、この制度を知ったきっかけは、京都中央信用金庫(以下、中信)の担当者からの提案でした。不動産投資用の築古戸建購入時に中信から融資450万円を借りていたので、中信さんとは以前から付き合いがあり、その関係で、実はこんな制度があるんですが、利用してみませんか、と提案されたのです。

ただ、条件としては「運転資金」としての借り入れで融資期間5年、融資額は300万円くらいで、ということでした。

私としては、これからも築古戸建を買い進めていくつもりなのでできれば「設備資金」としての融資で不動産を購入したかったのですが、どうも不動産賃貸業という業態が合わないのか、それは難しいということになりました。そのため、とりあえず「運転資金」として借り入れて、賃借人入退去時の原状回復もしくは小規模なリフォーム費用に充てようと思っています。

 

さて、ここから、タイトルの金利 0.8% の話になるのですが、もともと金利1.3%で、しかも無担保。なかなか、こんなよい条件はないのですが、おまけに2年間は金利負担なし。保証料は半分宇治市が負担。さらに、金融機関への融資手数料も無料です。さらに、繰り上げ返済も可能なようなので、2年後に返済してしまうと、金利は全く支払わなくて済みます。

厳密には、金銭消費貸借契約書の印紙代などで6千円ほどかかるのですが、通常は、これは金利計算には含めないので、以下の計算では無視します。

今回の条件を整理すると、

借入金300万円、金利1.3%、融資期間5年の元金均等払い、2年間は無利子。初回に、保証料として24,750円の支払い。この場合に5年間で支払う金額(保証料と3年目以降の利子)は 61,523 円となります。

借入金300万円、融資期間5年の元金均等払い、保証料はなしとした場合に、金利0.8%の場合、5年間で支払う利子総額は61,400円となります。 

したがって、今回の融資は実質的には 0.8% で借り入れたことになると思います。

 

もし、2年後に繰り上げ返済をするとした場合には、保証料24,750円の支払いのみです。

借入金300万円、融資期間5年の元金均等払い、保証料はなしとした場合に、金利0.5%の場合、2年間で支払う利子総額は24,303円となりますから、繰り上げ返済をするのであれば、実質的には0.5%で借り入れたことになります。したがって、2年後に繰り上げ返済をして、再度、同じ手順で申請をして融資をしてもらうのが得策ではありますが、そこまでするかどうかはまだわかりません。

私と妻で併せて600万円を無担保かつ0.8%で借り入れができたのは大きいです。しばらくはリフォーム費用に困らなくて済みそうです。

もし、融資を考えている方は、こういった自治体が支援している制度を活用することができないか、一度調べてみることをお勧めします。

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不動産投資シミュレーション(戸建の場合のモデルパラメータによる影響)

2021-01-09 11:53:33 | 不動産賃貸業

前回は、戸建ての場合のシミュレーションを行いましたが、今回は、木造アパートの場合との比較およびモデルパラメータの影響について調べました。

ちなみに、金額イメージとしてはアパートは5,000万円、戸建ては500万円ぐらいを想定しています。

木造アパートと戸建の標準モデルの結果を以下に示します。

【木造アパートの場合】

【戸建の場合】

利回りの範囲が異なりますが、どちらも10%の場合を見比べると、自己資本によらず、木造アパートのほうがIRRが大きくなっています。一方、最終収益/自己資本はほとんど差がないことがわかります。また、DCRも木造アパートのほうが高い値を示しています。

つまり、同じ利回りかつ同じ自己資本率ならば、戸建よりも木造アパートのほうがリスクが低く、収益性も高いと言えます。

この最大の理由は、木造アパートのほうが建物比が高いため減価償却できる金額(の割合)が増えることで節税ができ、ローン期間も長く組めるため、返済の負担も少ない結果、リスクが低いということになります。

ただ、これはあくまでも同じ利回りかつ同じ自己資本率ならば、という条件の場合であり、実際には自分が目標としている収益性やDCRが実現できる物件が見つかれば、どちらでも構わないのですが、現状では戸建のほうが見つかりやすいのではと感じています。

 

次に、戸建ての場合のモデルパラメータの影響を見てみます。

(1)修繕積立金の効果

このモデルでは、修繕費用として毎年計上しています。その費用の内訳は、

  • 火災保険や固定資産税として物件価格の0.4%
  • 空室による機会損失・入退去に伴う原状回復費用として物件価格*表面利回り*0.1 (これは5年に一度空室が発生し、空室期間3か月、原状回復費用家賃3か月分と仮定)
  • 大規模修繕費用として、物件価格の0.5%

ここでは、最後の大規模修繕費用として 0.5%の部分を 0%, 1% の2通りでシミュレーションを行いました。

具体的な金額で言うと、0%は大規模修繕の積み立てなし、標準モデル(0.5%)では年間2.5万円、1%では年間5万円を積み立てることになります。
年間だと大した金額ではないですが、例えば10年間では標準モデル(0.5%)は25万円、1%では50万円を外壁修繕等にあてることができます。

結果は次の通りです。

大規模修繕費用の積み立てなし:

大規模修繕費用は標準モデルの倍:

投資として検討可能な条件である自己資本比率50%、利回り14%でIRRを比較すると、標準モデルに対して±0.5%であることがわかります。

 

(2)築年数の効果

木造アパートの場合、築年数の違いによって耐用年数が変わることの影響が多少ありましたが、この築古戸建の場合、築22年以上であれば耐用年数は4年と変わりませんので、この効果はほぼないため省略します。

 

(3)建物比率の効果

築古戸建の場合、物件価格に対する建物の金額の割合(建物比率)は、建物の耐用年数を相当過ぎていることもあり、あまり大きく取れません。

ここでは、参考までに10%-50%の範囲で調べてみました。

実際には、20-40%程度の範囲になると思われるため、 標準モデルに対して±0.5% の影響と考えられます。

 

(4)売却時の利回り増加分

次に、売却時の利回り増加分(購入時と売却時の表面利回りの差)の効果を調べました。

標準モデルでは売却時利回り増加分は1.5%です。したがって、この表の増加分1.5%は標準モデルと同じです。

例えば、標準モデルの場合、14%の利回りで購入した物件は、15年後には1.5%増加して、15.5%の利回りとなる金額で売却されたと仮定しています。具体的には、500万円の物件の場合、当初の家賃58,333円が15年後には52,400円となるため、15年後の売却価格は 52,400円*12か月/15.5% = 406万円での売却となります。きちんとメンテナンスも行って客付けができているのであれば、利回り15.5%での売却ですので、無理な金額ではないと思われます。


売却時利回り増加分が0.5%の場合、14%の利回りで購入した物件は、15年後には14.5%の利回りとなるわけでこれは15.5%とくらべて売却時の価格が高いことになります。よって、収益性も1.5%にくらべて0.5%のほうが高くなっています。逆に、売却時利回り増加分が2.5%の場合には収益性は低くなります。

では、築古戸建の場合、売却時の価格はどうなるのか。通常の木造アパートやRCなど、あるいはもっと築浅の戸建であれば、築年数と利回りには高い相関があると思いますが、築年数が50年も経っていると、利回りと高い相関を示すパラメータは築年数よりも内装や管理状態などのほうがかなり強いことが想像されるため、15年後の売却時の利回り増加分を考えることにどれほど意味があるのか、ということもあるのですが、かといって、購入時と同じ利回りで売却できると仮定するのもちょっと虫がいい話にもなるので、ここでは1つのパラメータとしています。

ここでは、売却時の利回り増加分として0.5%-2.5%が想定される範囲として、 標準モデルに対して±0.3% の影響と考えられます。
なお、先ほど、標準モデルの場合の売却額は406万円だということを示しましたが、売却時の利回り増加分として0.5%-2.5%であれば、売却額の範囲としては
380万円-430万円ぐらいの範囲になります。

 

(5)家賃の効果

家賃が一定とした場合の収益性も調べました。

家賃が一定というのは極端に思われるかもしれませんが、戸建ての場合は入居者がファミリーであることが大半であり、一度生活スタイルが根付くと長期間そこで生活することとなるため、入退去がかなり少なく、それが築古戸建ての大きなメリットでもあります。


利回り14%の標準モデルと比較として、自己資本が100%, 50%, 30% の場合、IRRはそれぞれ 0.7%, 0.9%, 1.1% ほど増加します。このシミュレーションでは、家賃は一定ですが、5年に一度入退去が発生し、それによる原状回復費用も含めています。しかし、本当に入退去もないのであれば、そういった費用も不要となるため、IRRはもっと向上することが期待されます。

 

(6)所得税・住民税の影響

最後に、税金の影響を評価してみました。

標準モデルでは、所得税・住民税は合計で33%としていましたが、これを20%とした場合の結果が上記です。

例えば、標準モデルの自己資本50%、利回り14%では、IRRは7.8%でしたから、税率20%の場合は税率33%の時と比べて1.3%ほどの違いでした。木造アパートの場合には、その差は0.5%程度だったことを考えると、課税所得が少ない人には戸建て投資は木造アパートよりも適していると言えそうです。

 

 

まとめると

  • 税率>家賃の変動、建物比率、修繕積立金>売却時の利回り、築年数 の順で収益性に与える影響が大きい。
  • 同じ利回りかつ同じ自己資本率ならば、戸建よりも木造アパートのほうがリスクが低く、収益性も高い。
  • 税率の影響は木造アパートより築古戸建のほうが大きいので、築古戸建への投資は課税所得が少ない人には向いている。
  • 自己資本率40%かつ利回り14%ぐらいの物件であれば、IRR 8% を獲得できそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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