今年2月に大阪市のある区分マンションを売却したため、、その購入から売却までをまとめてみました。その間、わずか1年でした・・・
【購入】
2013年9月 大阪市の区分マンション物件紹介(マンションR)
価格1,600万円、表面利回り8.62%、管理費9,940円、修繕積立金:6,910円
2013年9月 価格交渉後、購入額1,570万円で確定
最初に紹介された金融機関の金利がやや高く、他の金融機関を探してもらう。
その後、仲介業者より、M銀行のアパートローンであればかなり金利が安いということで、M銀行の融資審査を依頼。
2013年12月 M銀行の融資審査 ⇒ 1,200万円なら融資可能
2014年1月 M銀行での最終的な融資申込
2014年1月31日 物件の決済日
ところが・・・翌月
2014年2月 マンションRの管理組合より、修繕積立金の資産状況が少ないため、大規模修繕工事が実施できない状況。
大規模修繕にはマンション全体で2,000万円ほど必要だが、現在600万円足りない。そこで、修繕積立金の増額を行い、2年後をめどに大規模修繕を実施したいとのこと。具体的には、修繕積立金を現状よりも1万円ほど高く、合計で2.7万円としたいとのこと。
マンション購入時の重要事項説明書には、修繕積立金の値上げ予定はない、との記載(2013年8月時点)があったのに、購入して翌月にはこんなことになるなんて。
もしそうなると、IRR(内部収益率)は5年で0.33%、10年で2.07%という悲惨な数字。こんな金額なら絶対に購入していない!!
仲介業者に伝えると、「私も驚いています。すぐに損が出ない形で売却しますか。」とのこと。
今回は自分が十分に修繕積立金の資金総額や値上げ予定について確認できていなかったし、損が出ない形で売却できるなら、と仲介業者に、「では売却をお願いしたいが、いくらくらいで売却するんですか。」と聞くと、「まずは2,000万円からで出しますよ。」「そんなに高く売れんですか。」「相場からしたらそれくらいですから」と聞いて安心してしまいました。
2014年4月 仲介業者から連絡あり。「1,650万位で購入の申し込みがありましたが、どうされます?」「それで損がでないことになるんでしょうか。銀行からの繰上返済手数料や清算金、さらに仲介手数料などを考えると、それでは損になりませんか。」「損になるかどうかは、ご自分で試算してもらえますか。」とのこと。この時点でムッときましたね。損が出ない形で売却すると言っていたわけだし、そもそも2,000万円くらいで売却と言っていたのはどうなってしまったのか。
正確に計算するとやはり完全に赤字。
- 購入時の諸費用:125万円
- 不動産取得税:25万円
- ローン解約:13万円(繰上返済手数料5,400円と清算金126,102円)
- 売却時の仲介手数料:60万円
合計で、223万円。
つまり、購入額よりも223万円高い価格で売却できなければ、損が出る計算。
購入額は 1,570万円なので、1,570+223 = 1,793万円。およそ1,800万円。
すぐに、仲介業者に連絡して、売却は一度白紙に戻してほしい、と伝えました。
そもそも売却に際しても、そのための媒介契約をきちんと結ぶはずですが、そういった手続きを踏まず口頭だけで売却を依頼してしまったこと、金額をいいように下げられてしまったことなど、私自身もっとチェックすべきでしたが業者を信用してしまったのがまずかったです。
そこで・・・この物件の相場を確かめるために、売却査定サービスを利用することにしました。
【売却のための査定】
売却無料査定サービスに申し込んだところ、3社から回答をもらった。
今回の物件:57.80㎡ 7階 南東 1570万円(購入額)
売却事例:
①平成26年1月:60.19㎡ 4階 南東 1810万円
②平成25年4月:60.88㎡ 3階 南東 1850万円
C社:査定価格1620万円~1850万円
M社:査定価格2000万円
⇒1800万円ならすぐに買手を見つけられる。最初は、2080万円くらいで売却を開始してはどうか、と提案。関西では、仲介手数料くらいは値引きしてもらうのがほぼ常識となっているため、それを見込んで2000万円で売却したい場合には、2080万円くらいのほうがいい、とのこと。これは、逆に、物件購入では仲介手数料分くらいは値引き交渉しないともったいない、ということを初めて知った。
S社:査定価格2500万円
⇒過去のマンションの取引事例には触れず、この近辺のマンションの相場からこの程度で売り出してはどうか、ということ。
この中で最大手の不動産会社はS社であり、主に自宅用物件の売買が中心なので、その視点からの相場観も含まれてしまっているのかもしれません。
さらにS社から詳しく話を聞いてみるため、直接S社を訪問しました。
・日本では投資物件の買手の多くは利回り重視であり、彼らに対してこの物件では2000万円を超える金額は難しい。
・中国や香港の顧客も多く、彼らは利回りではなく立地重視である。
・S社では、海外の顧客も多く、まずは彼らに打診してみたい。
ということでした。ちょっと意外な回答でしたね。でも、少し納得もしました。
もし、2000万円なら、表面利回りはおよそ6.9%にしかなりませんが、確かに私が区分マンションの投資物件を探しているときでもこんな利回りでも買手がいるのは、その時につきあいのあった不動産仲介業者からも聞いていたので、まんざら無理な金額でもないかもしれない。
ということで、このS社に2-3カ月だけ専属専任媒介でお願いすることにしました。
次に、どうやって売却額を設定するか・・・・を検討しました。
【売却額の設定】
今後、修繕積立金が増額されるものの、今の賃借人が退去するまでは今の家賃が引き続き入ってくる。賃借人が退去した後で、リフォームを少し行って、住居用として市場に出したほうが投資用よりも高く売却できる可能性が高い。
今すぐに売却することで得られる収益と、上記の場合の収益が同程度となるのは、今いくらで売却する場合なのかを計算で求めることにしました。
その金額よりも高く売れるのであれば、いま売却する。
その金額では売れないのであれば、現在の賃借人が退去するまでは売却せずに保留とする。
当然ながら、この計算を行うにはいくつかの仮定が必要です。
以下の仮定を置きます。
①賃借人は4年後で退去する。
(現在は2年目であり、ファミリータイプ物件の平均入居期間は6-7年といわれているため。)
②修繕費用は5万円/年間(機器修理など)
③現在売却した場合は、得られた資金は年5%で運用できる
④住居用として売却する場合、過去の売却事例および7階であることから、1800万円で売却できる。
⑤リフォーム費用は100万円と見込む。
こういった仮定をもとに、
・不動産取得税
・固定資産税
・売却時の仲介手数料
・ローン繰り上げ返済手数料および清算金支払い
・短期譲渡税
・家賃収入
・管理費および修繕積立金
などをすべて考慮した場合の最終的な収益は、およそ140万円でした。
4年後に同じ収益を上げるために必要な売却額は、1840万円でした。
1840万円ですぐに売却した場合の手残りは560万円(うち儲けは60万円)ほどです。
1570万円で購入した物件を1840万円で売却しても儲けが60万円しかないのは、売り買いそれぞれで仲介手数料を支払ったり、購入売却時の諸経費、さらに短期譲渡税(税率39%)もかかることから、それほど手元には残らないんですよね…
いずれにしても、1840万円が節目となる金額とわかりました。
【売却活動】
現在、賃借人から11.5万円ほどの家賃をいただいていることもあり、早々売り急ぐ必要も無いため、最も査定額が高かったS社に専属専任で売却をお願いすることにしました。
2014年5月 1970万円で売出し…様子見
多少の問合せはあるものの具体的な話にはなりませんでした。そこで、多少の値引きは受け入れるものの、損益分岐点よりも多少なりとも高値で売ることのできる金額に変更して、さらに様子見としました。
7月 1920万円に減額…様子見
相変わらず、ほとんど引き合い無し。また、このころに、修繕積立金の値上げが実施されたため、少しでも維持コストを抑えるため、賃貸管理を自主管理に変更して、賃貸管理業者への支払い5,000円/月を節約しました。賃借人ともメールでのやり取りもするようになり、良好な関係を築けそうと判断。数年以内に大規模修繕で外観などもきれいになるでしょうし、譲渡税率が39%と高い税率である5年間は現状のままでもよいかなと思い始めました。
購入時の自己資金は515万円。管理費・修繕積立金は2.7万円、家賃が11.5万円、ローンの支払いは4.1万円。
従って、実質的な収入は4.7万円。年間では4.7*12=56.4万円。よって、利回りは 56.4 ÷ 515 = 11% となります。まぁ、区分マンションとしては悪くはない数字です。
そこで、売る気があまりなくなってきたことで、あえて売却金額を上げることにしました。
11月 1980万円に増額…様子見
すると、12月中旬頃に中国人の方が買い付けを入れたとの連絡があり、20万円の値引きで1960万円で売却の契約を結ぶこととなりました。
1570万円で購入したため、その差はおよそ400万円です。短期譲渡税や仲介手数料等を引き、1年間の家賃収入を加えると、手残りはおよそ200万円くらいになります。
今回購入された中国人は、区分マンションを初めて購入されるそうで、今後も日本の区分マンションをいくつも購入していきたいそうです。不動産業者が最初に言っていたように、立地を特に重視していてその物件の利回りについてはさほど気にしていないということでした。区分マンションの買い付けのために日本に来て、数日のうちによさそうな物件を見つけ契約をして、また中国に帰るということで、わずか数日で買付から契約となりました。
5年間くらいは現状維持でもいいかなと思っていた矢先でしたが、1960万円で売却ができたので、私としては一応満足でした。(^^;
先ほど、純粋な儲けは200万円くらいと書きましたが、参考までに以下に明細を示しておきます。(単位:万円)
■収入
- 譲渡価額: 1960
- 家賃(12か月分): 138(=11.5*12)
合計:2098
■支出
取得費一覧
- 購入代金:1570
- 仲介手数料(購入時):56
- 不動産取得税:23
- 売買契約書印紙代:1
- 移転登記費用・手数料:32
- ローン手数料(仲介業者):21
- ローン手数料(金融機関):12
- ローン契約書印紙代:2
取得費合計: 1717
譲渡費用一覧
- 仲介手数料(売却時):70
- ローン契約違約金(5年固定金利のため):10
- 売買契約書印紙代:1
- 抵当権解除費用・手数料:10
譲渡費用合計:91
その他経費
- 固定資産税:11
- 火災・地震保険(1年分):<1
- 管理費・修繕積立金(年途中から増額):27
- 管理費(賃貸管理会社):2
- ローン金利:18
その他合計:56
■短期譲渡所得税
短期譲渡所得金額 = 譲渡価額 - (取得費+譲渡費用) = 1960 - (1717+91) = 152
税率は39%なので、短期譲渡所得税は 152 * 0.39 = 59
以上から、最終的な利益としては、
収入 - 取得費合計 - 譲渡費用合計 - その他合計 - 短期譲渡所得税 = 175
です。
なお、購入代金を除く取得費は購入した年に経費として全額計上できますが、そうすると、短期譲渡所得を計算するときの取得費には計上できなくなってしまいます。そのため、税率が高い短期譲渡所得金額の取得費にそれらを経費として計上したほうが有利です。ちょっとした節税ですね。
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