軽く握ってみる
いつもは離れている
違うこともできる
右手は軽く左手に憧れる
ないものねだりのぜいたく
文字やひとの顔を渦巻きにする
権利を生まれもってあたえられているのに
露の滴る草の間からのぞいた
小さな星のような白い花が
太陽を想うように
右手は左手を想った
斜めに切ったマカロニのような針が
皮膚と血管を破り
赤黒い液体をゴクゴク吸い上げる
注射針はいつも左腕を好むから
親指を中にぎゅっと握る手を
右手はぐったり憐れんでいる
恍惚かもしれない
受話器を耳にあてる
右手は耳の位置を見失っていて
すぐに左手へ交代を申し出る
そのかわりに
右手は白い紙と鉛筆を引き寄せる
ほつれ髪ひとすじ
はじめに素質というくぼみがあり
それに沿って
ふたすじの川が流れるように
異なる形を練りあげてきた
同じ向きに揃っていないから
右手と左手は淡くあわさる
愛や祈りの暗がりの隠れ家を
そっと包んで
いつもは離れている
違うこともできる
右手は軽く左手に憧れる
ないものねだりのぜいたく
文字やひとの顔を渦巻きにする
権利を生まれもってあたえられているのに
露の滴る草の間からのぞいた
小さな星のような白い花が
太陽を想うように
右手は左手を想った
斜めに切ったマカロニのような針が
皮膚と血管を破り
赤黒い液体をゴクゴク吸い上げる
注射針はいつも左腕を好むから
親指を中にぎゅっと握る手を
右手はぐったり憐れんでいる
恍惚かもしれない
受話器を耳にあてる
右手は耳の位置を見失っていて
すぐに左手へ交代を申し出る
そのかわりに
右手は白い紙と鉛筆を引き寄せる
ほつれ髪ひとすじ
はじめに素質というくぼみがあり
それに沿って
ふたすじの川が流れるように
異なる形を練りあげてきた
同じ向きに揃っていないから
右手と左手は淡くあわさる
愛や祈りの暗がりの隠れ家を
そっと包んで
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