詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

暮れる

2015年01月11日 | 
雲は竜の腹となって
街の上をのたうちまわる
苦しみは赤く
壁面やガラスにあたって飛び散る
体をこすりつけるようにして地上に迫ると
たくさんの人の顔がそこに明滅しているのが見える

裸の木々をなぎ倒し
のんびりしている川に息を吹きかけ
小さな花を一輪そっとつかんだ

窓辺に座る白い猫は
関わりたくないと澄まし顔
竜を映す額縁におさまって
自らも光のひとすじになっていることにも気付かずに

もう長くは生きられまい
誰かの声に
竜は異を唱えようとするかのように
もう一度強く赤く光って力尽き
急速に青ざめ始める

長い尾が地面をたたくと
黄色い砂埃がもうもうと立ち込めた
最後に大きく目を見開いたので
電線や鉄塔がくっきりと立ちあがり
茨のように青い額を刺す

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