時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮・総連からみた集団的自衛権

2014-05-26 22:47:57 | 北朝鮮
池上彰氏をはじめとした善良なジャーナリストが、
現在、中国や北朝鮮の脅威を煽ってくれているおかげで、
少しずつ集団的自衛権に対する国民の理解が得られているようで何よりです。


では、同権利の容認は北朝鮮の側からどのように映るのかを考えてみましょう。


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集団的自衛権の行使容認をめぐる動きが加速化している。

米国は自らのアジア太平洋戦略を実現すべく、日本の取組みを支持した。

それを追い風に、日本は
「集団的自衛権の行使は国際社会の平和と安定に貢献する」などと詭弁を並べたてている。

最近、朝日新聞のインタビューを受けた自民党の幹部は、
現行の憲法の前文に「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」とあることから
「集団的自衛権の行使は憲法の精神に合致している」と言い放った。


しかし、これらの詭弁は絶対に通用しない。アジアの国々にとって、
日本の集団的自衛権の行使容認は自国への直接的な脅威として映らざるを得ない。


かつて日本が「自存自衛とアジア解放のため」
と称して遂行した侵略戦争で、
言葉に言い表せないほどの甚大な被害を受けたからだ。


労働新聞(23日付)は論評で、集団的自衛権行使の目的について
米国が挑発する第2の朝鮮戦争に『自衛隊』武力をつぎ込むこと」であると指摘。

南朝鮮・慶南地域の市民社会団体は19日に開いた記者会見で、
「集団的自衛権を行使する第一の候補地は朝鮮半島である」と警鐘を鳴らした。

一方、中国・清華大学の閻学通氏は先月、時事通信のインタビューに対し、
「中国は安倍首相に『誰と戦争をしたいのか』と問わざるを得ない。
現在の状況から(相手は)中国だろう」と語った。


日本が「名誉ある地位」を得たければ、憲法をしっかりと守り、
「戦争をしない」というメッセージを言葉だけでなく行動で示すのが筋である。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/05/20140523riyo/
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まず、一貫して見られるのが米国への批判です。

北朝鮮にとって最大の敵国は米国ですから、これは当然でしょう。
とはいえ、日本ではなぜか北朝鮮が日本も敵国扱いしているように
報道していますから、この点を知るだけでも意味があると思います。


次に、日本の集団的自衛権と第二次世界大戦を関連付けて解釈しています
「かつて日本が「自存自衛とアジア解放のため」と称して遂行した侵略戦争で、
 言葉に言い表せないほどの甚大な被害を受けた」という言葉からも明らかでしょう。


実は歴史問題と日本の軍事問題は密接につながっているんですよね。
この点も、私たちは押さえておくべきことだと思います。


いずれにせよ、集団的自衛権の行使を容認しようとする動きは、
他国にとって日本が危険な国になりつつあるとメッセージを送っている
ようなもので、あまり褒められたものではないでしょう。


・追記
それにしても、総連の機関紙である朝鮮新報のほうが、
その辺のメディアよりも参考になる意見を書いているのは
一体全体、なんなんでしょうね?

日本が「名誉ある地位」を得たければ、憲法をしっかりと守り、
「戦争をしない」というメッセージを言葉だけでなく行動で示すのが筋である。

このことは、少なくとも左翼を自認する人たちは
肝に銘じるべき言葉だと思うのですが…悲しいかな、
所詮は総連、北朝鮮、まともな意見は言えないと決めつけて、
同国を悪魔化する工作を嬉々として行っているのが現状です。

北朝鮮のアパート崩壊事件の責任者、5人粛清 処刑も(略

2014-05-26 22:43:00 | 北朝鮮
いつも拝読している翻訳サイト、「マスコミに乗らない海外記事」様より。


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言っていけないことと思うが、個人的には羨ましくも思えるニュースを見た。


アパート崩壊 北、軍幹部ら5人粛清 処刑も
事故の責任を問われたのは、建設を実質的に指揮する
人民軍七総局長で、解任と同時に強制収容所に送られた。
また、設計・施工を担当した技術者四人が事故発生後まもなく銃殺刑に処せられたという。



あの国の体制、とんでもないと思う。しかしあの国で原発事故が起きていたら、

建設を実質的に指揮する自民党幹部は
全員責任を問われ、解任と同時に刑務所に送られた。
また、設計・施工を担当した技術者・学者のトップ四人は
事故発生後まもなく銃殺刑に処せられた。

だろうと思うと、はたしてどちらの国が、
国民の為に良い国なのか、良くわからなくなる気がする。

薬物なぞ全く飲んでいないが、頭がくらくらしてきた。
そういう妄想をするだけで投獄されそうな雰囲気の、この属国。

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-76a3.html
(小文字部分はおそらく、東京新聞の記事の引用文)
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独裁国家のほうが民主的に見える不思議。
冗談はともかく、キム・ジョンウン政権になってから、
汚職に対する処罰は厳しくなったという実感はあります。


日本の専門家()は、キム・ジョンウンの指導力を軽視していますが、
ここ数年の彼の活動は、確かに結果を出しており、ある意味、
親父のジョンイルよりも優れているんじゃないかと思うぐらい。


本記事では詳しく取り上げませんが、ノルマを達成すれば、
それ以上の生産物は個人が好きに売買して良いという制度を
設けたことは画期的でした。つまり、今の北朝鮮は、
集団農場で強制労働という古いイメージとは全然違うもので、
これは北朝鮮の専門家なら誰もが言及すべきことだと思います。


個人的には世界がこの国を野蛮な国だとせせら笑っている間に、
またしてもこの国に出し抜かれて意表を突かれる気がします。


自国の利益を考えても、誤ったイメージを刷り込んでも
百害あって一利なしだと思うのですが・・・・


まぁ、この話はこの辺で終わりにして、本題に入りますが、
この粛清を伝えた東京新聞の記事、私は誤報だと思っています。

根拠は色々あるのですが、最も気になったのは、
この情報の出所が「関係者」であること。


先日、記事で紹介したキム・ジョンウン氏の元恋人が
粛清されたという誤報
を今再び引用しましょう。


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中国に滞在中の北朝鮮関係者は、RFAのインタビューに対し、
銀河水管弦楽団、旺載山音楽団の音楽家9人が機関銃の乱射や
火炎放射器によって処刑されたと証言した。

それによると、銀河水管弦楽団のトップ歌手である
キム・ギョンホ、ムン・ギョンジンの両氏やサクソフォン奏者ら
計9人が射撃場に連行され、簡単な手続きだけで、
上訴期間を与えられずに即決処刑されたという。

同関係者は「連行された音楽家の中には、妊婦がいたが、
構うことなく処刑した。機関銃の乱射後は、原形をとどめない
遺体を火炎放射器で灰にした。人権じゅうりんの極致だった」と話した。
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これ、全部、作り話だったんですよ?
ずいぶん、手が凝ってますよね。



日本の北朝鮮に関する情報源のほとんどは、
朝鮮日報や総合ニュースなどの韓国メディアです。

韓国メディアが北朝鮮の関連ニュースで誤報を流したのは
これだけではありません。参考にするには、かなり勇気が要ります。


手抜き工事をした人間を強制収容所に送った・処罰したというニュースも、
同じく、「関係者の話」という体裁をとって書かれています。


しかし、冷静に考えれば、そんな重要な情報が簡単に外部に漏れるでしょうか?
仮にも情報管理については、徹底している国なんですよ?

私が北朝鮮の高官なら、事件の関係者が
余計なことを喋らないように見張りの一人でもつけますよ。


そもそも、逮捕された人間の誰がどのような罪状で
どのような目にあったのか、その詳細まで把握しているなんて、
この関係者、どんだけ情報通なんだよと私は思うのですが……


私の友(!?)、朝日新聞には次のような記事があります。


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金正恩体制になって2年。北朝鮮市民たちは統制の強化を肌で感じている。
北朝鮮関係筋は「社会の雰囲気が随分変わった。暗く、張り詰めた空気だ」と語る。


毎週土曜日にある「生活総和」と呼ばれる学習会。
住民が労働党の指示などを学び、日々の生活を「反省」する。
金正日時代の末期、金さえ払えば欠席できたが、今は許されない。
仕事で出席できなければ、翌週の水曜日に代わりの学習会が用意される。


市民らに対する監視は盗聴マイクや有線・携帯電話の盗聴に加え、
最近は屋外でも集音マイクが使われる。市民はどんなに親しい間柄でも、
3人以上になれば込み入った話はしない。

http://www.asahi.com/articles/ASG1T53DGG1TUHBI00Z.html
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どんなに親しい間柄でも3人以上になれば込み入った話をしないのに、
外部の記者にベラベラしゃべるでしょうか?普通。



ちなみに、この朝日の記事も機動特派員が書いたものらしいですが、
この機動特派員は、市民すら監視されているのであろう北朝鮮で、
どうやって国内事情に詳しい人物を探してコンタクトを取ったのでしょうか?


外交官などの海外にいる北朝鮮の人間だって、
国内がこれだけ厳しく情報統制されているのなら、
余計な事を喋られないよう、監視されているのではないでしょうか?


一体、いつ、どこで、誰と会って得た情報なのでしょうか?

そして、これだけ内部に詳しい特派員が
なぜ、玄松月氏の粛清が誤報であると気付けなかったのでしょうか?

(ちなみにこの誤報を流したのは朝日と産経)



他にも、張成沢氏の処刑については、「近親者二万人(!)が処罰された」という
記事があると思えば、その妻である金慶喜氏が夫の逮捕後も処罰されなかったり、
あるいは自殺したと書かれたり、その1ヶ月後にはアルコール中毒で危篤状態
だったりと、いったいどれが本当なんだよと本気で問いただしたくなるくらい
滅茶苦茶な情報が飛び交っていて、未だに確かな事がわからない状態です。


大体、張成沢氏はキム・ジョンウンの叔父なんだから、
その親戚(自分の身内)を無意味に殺すわけがないのですが、
どうも「キム・ジョンウンならあるいは」という思い込みがあるらしい。


私は、この「関係者によれば」というフレーズは、
「全米が泣いた」と同じくらい胡散臭いと思います。



朝日に限らず、ほぼ全てのメディアでは北朝鮮は市民が監視されている
恐ろしい秘密主義国家だと喧伝しているのに、関係者によって、
なぜか重大な秘密が面白いくらい、外部に漏れているんですよね。


日本ですら秘密保護法が検討される前から公務員や軍部の関係者には
機密事項をばらしたら罰せられる法律があるのに、この関係者たちは
処罰されなかったのでしょうか?彼らのその後が心配です(棒読み)


結論を述べると、この事故の責任者は確かに責任をとらされたと思いますが、
その実態は、おそらく左遷だろうと睨んでいます。


いわゆる関係者()じゃなくて、きちんとした専門家である鄭昌鉉氏によると、
北朝鮮では、汚職で捕まった人間は、まず左遷して党の再指導を受けて、
復職するようです。よく考えてみれば、ただでさえ少ない人材を、
簡単に殺してしまうなんてナンセンスじゃないですか。


同氏は次のようにも言っています。


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12月8日、党政治局拡大会議以降、北朝鮮は再び平常を取り戻した。
国内外メディアは北朝鮮の特定人士を張成沢の側近だとし、
続々と逮捕されるだろうと報道しており、一部人士がすでに亡命したとしている。

しかし、取りあげられた人士の大多数が、
13日に死亡した金国泰・党検閲委員長の葬儀委員会の名簿に載っており
健在が確認された。
2004年、張成沢と関連幹部が「分派行為」として
2年間の「革命化課程」を経て、「張成沢ライン」は事実上解体された。

判決文で明示された党の行政部と
参加機関の「へつらう者、追従分子」はすでに逮捕されただろう。
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もちろん、上の文章も誤報の可能性はなきにしもあらずですが、
少なくとも二〇〇〇〇人以上処刑だとか、子供まで殺されたとか、
犬に食わされたとか、荒唐無稽な内容に対していぶかしく思わない
メディアが伝えるニュースよりは幾分ましであるはずです。

(ちなみに、張成沢氏が犬に喰わされたというデマは
 一部のネトウヨですら疑問視していました。
 それを普通に載せてしまうあたり、情報機関の無恥さが
 (あえて無知ではなく無恥と書こう)垣間見られる次第です)