時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

マリウポリの惨劇:朝日新聞では警察官のことを武装勢力と呼ぶらしい。

2014-05-14 01:12:51 | リビア・ウクライナ・南米・中東
先日、朝日新聞の報道を批判したばかりですが・・・



-----------------------------------------------------------
ウクライナのアバコフ内相は9日、
同国東部ドネツク州マリウポリの市街地で
親ロシア派の武装勢力と軍の戦闘が起き、
武装勢力側約20人、軍側1人が死亡したと明らかにした。


同内相によると、約60人の武装勢力が警察署を襲い、
阻止しようとした軍側と全面的な戦闘になった。

武装勢力は4人が拘束されたものの、多くは戦闘後住宅地に隠れたとしている。


マリウポリはアゾフ海に面し、人口約46万。
地元報道によると、戦闘が起きたのは午前10時半ごろで、
警察署がある中心部に銃撃音が響き渡った。

同州では5日、軍が強制排除作戦を展開するスラビャンスクでの戦闘で
民間人1人が犠牲になり、軍側4人、親ロシア派にも30人の死者が出たばかり。
(ドネツク=喜田尚)

http://www.asahi.com/articles/ASG597HL7G59UHBI02V.html
------------------------------------------------------------

5月10日の朝日新聞の記事です。赤字で強調しましたが、
この記事は、あくまでも暫定政権の言い分をそっくり伝えたものにすぎません。

つまり、現場には行っていません。

では、当日、あの場所で何が起きたのでしょうか?





目撃者がYouTubeに映像をアップしていました。


この動画で軍に撃たれている人たちは、覆面もせず、
防弾用チョッキも着ず、ライフルさえ持っていない一般市民です。

よく見ると、拳銃らしきもので応戦している男性が1名、
発見できますが、初めに撃たれた男性は、確実に無抵抗だった。
彼らは市民であり、テロリストでも武装勢力でもありません。

武装していないのですから。

http://www.youtube.com/watch?v=678n97eBQoI
http://youtu.be/9r2mA1nXmYQ


上記の動画は、さらに詳しく、衝突の内容を物語っています。

頭から穴があいて血が流れている死体が倒れていたり、
スーツ服の男性が足を撃たれてもがいている様子を映した映像ですので、
閲覧には気を付けてください


この事件は、ロシアではウクライナ軍が重火器と戦車で
地方の警察署を襲撃し、市民に発砲した事件として伝えられています。

犠牲者は少なくとも死者が2人、けが人が25人らしいですが、
確かな数はハッキリとしていません。いずれにしても、何の防具も
武具も所持していない住民に向かって銃撃を開始、殺されたことは確かです。


5月9日は対ナチス戦勝記念日で、多くの住民が行事に参加していました。
その最中、警察署で銃声を聞きつけ、近辺の市民がかけつけて、
軍に抗議をしたところ・・・バンッ!!!というわけです。


ちなみに、警察署に立てこもっていたのは警察官で、
彼らは軍に従うことを拒否したために、攻撃を受けたのでした。






撃たれたのは警官と市民だったのです。


喜田記者は、彼らを武装勢力と表現した。素晴らしい。
軍に逆らうものはすべて親ロシア派なんでしょう。


日本のメディアは、よく記者クラブ制度を批判されていますが、
海外に飛んでも政治家の言い分をただ垂れ流して検証もしないのですね。


前から疑問に思っていたのですが、
朝日新聞のエリート特派員は、いったいどこで取材をしていたのでしょうか?
事件当日、何をしていたのでしょうか?

現場に行く勇気すらないくせに、暫定政権に逆らう者を暴徒と表現する。
それも安全な所で政府の言い分を書き写す。これでもプロの記者ですか。


http://www.asahi.com/articles/ASG5B4VKXG5BUHBI00T.html

その後、若干の訂正がありましたが、いずれにせよ
警察官が署内に立てこもって抵抗したところ、
重火器と戦車の砲撃をもって文字通り粉砕された事件であるのに、
「親ロシア派に占拠された警察署にむけた制圧作戦」なんだそうです。


一応、「だが、情報は入り乱れる。」と確かな情報ではないとも書いていますが、
証拠ならYouTubeにいくらでもあることを彼らは知らないのでしょうか?


まさか、知っていて無視していることはないでしょう。
日本政府の見解と矛盾する内容を流さないように情報操作をしてはいないはず。

仮にも、プロの記者ですし、それを抜きにしても、
人間らしい感情があるのならば、するはずがない。





同じメディアでも、こちらのほうがまだ誠実な報道をしています。
英語の字幕がついていますので、高校生でも読めるはずです。

http://rt.com/news/157996-civilians-block-apc-mariupol/

なお、この事件では民衆が進軍を妨害しようと
戦車に群がっている映像もあります。これを見ても、
朝日新聞の記者は親ロシア派の行動だと言い張るんでしょうね。


この地方の全体の雰囲気としてキエフを支持していないのは、
こんなにもハッキリしていることなのに、それでもなお、
悪が反政府側にあると決めつけてデタラメを書く朝日新聞。

http://www.asyura2.com/13/warb12/msg/844.html

この記事だけを読めば、読者はマリウポリでは親ロシア派が
暴れていて地獄のような光景になっていると思うでしょう。

実際は、軍隊が住民を攻撃しているのに。

先日、書いたNHKの報道に対して批判した記事でも指摘しましたが、
今の日本のメディアはどうしてもウクライナの軍隊が
国民を殺しているのを知らせたくないようです



もちろん、現地の自警団が外部から来る人間を軒並み
危険視しているのは確かです。実際、ドネツク人民共和国も
外部から来た記者や不審人物を拘束しては解放する行動を繰り返しています。


けれども、いまだにドネツクの自警団が
キエフに押し掛けて地元の住民を殺したことは一度もありません。

なぜ、こんなにも簡単な事実を隠すのでしょう。
代わりに不正確な情報を流し、安倍政権に有利な報道をするのでしょう。


石田博士記者と喜田尚記者は、一体、何を見ているのでしょうか