時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

「たちかぜ」判決1カ月 秘密法の「原型」は 自衛隊の「防衛秘密」にあり

2014-05-25 21:29:21 | 日本政治
海上自衛隊護衛艦「たちかぜ」の乗組員がいじめを苦に自殺した裁判で、
自衛隊の証拠隠し・隠匿が明らかになったわけですが、その後の取材で
秘密保護法の原型が自衛隊の「防衛秘密」にあると指摘されていました。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-23/2014052314_02_1.html


「自衛隊の情報を公開することは、国の危機につながる」という
お得意の脅し戦法で、いじめの実態をひた隠しにしていたわけですが、
公開された情報を読むと、どれも秘密にするほどの内容ではなかったそうな。


こういう姑息な工作は自衛隊のお家芸ですね。

そもそも、「たちかぜ」という名の護衛艦、これは戦前の大日本帝国の
護衛艦「太刀風」にあやかったものでしょう。要するに軍艦です。

ひらがなにしたからって、非軍事的な船にはならないのですが、
コロっと騙される人間がちらほらいるんですよね。

最近、軍艦を女の子にしたアプリゲームや、
女子高生が戦車の試合をするアニメーションが人気ですが、
あくまでフィクションとして楽しんでいる人はともかく、
自衛隊や旧日本軍にまで親しみを感じている人間もいると、
これも一種のプロパガンダなのかなと思わなくもない。

まぁ、こういう工作に引っかかる連中は、
前々から極右の甘言に惑わされていたと思いますけれど。


さて、秘密保護法に話を変えると、
私は一切合切、秘密にするなとは言いませんが、
①何を秘密にするのか、②誰が秘密にするのか
の二点はきちんと民主的な手順を踏むべきだと思います。


秘密保護法の致命的な問題点は、
①組織のトップが特定の情報を恣意的にに極秘扱いにできること、
②それを知ろうとするだけで重罰が科されることにあります。

結果的に、国の行く末を決める重要な情報は、国民には知らされないまま、
数人のトップの秘密会議だけで政治が行われていくことになります。


もっとも、それは今に始まったことではありませんが、
少なくとも形式的には、それはNGとされてきたわけです。


訓練された日本凶徒を除いて、一応、この国の人間は、
自国が民主主義国家であることを望んでいるはずです。

この手の寡頭制を認めるシステムには断固反対すべきだと
私は思いますが……まぁ、メディアはやっぱり可決される直前に
騒ぐだけでしたね。今では中国を悪魔化して軍拡の口実を作る
ことに精を出しています。口だけの民主主義。残念なことです。

安保法制懇の議事録が全面非公開に

2014-05-25 20:42:23 | 軍拡
当サイトでは、以前、安倍政権の御用学者の集団、安保法制懇について取り上げました。
この20人にも満たない人間たちの「提言」が日本の将来に大きな決定権を持っている。


菅官房長官によれば、ドネツク・ルガンスクの住民投票は非民主的らしいのですが、
民主主義国である日本の中枢でこういう秘密会議が行われていることを知ると、
「かえって民主主義じゃないほうが良いのでは?」とすら思ってしまう次第です。



さて、この御用学者たちが繰り広げた茶番ですが、
議事録の公開が禁止されているようですね。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-25/2014052501_01_1.html

首相に近い元官僚や学者らを集めた「お友達懇談会」に
安全保障政策の大転換を提言させながら、
議論の実態を国民に明かさないのは、
政府の説明責任の点でも重大な問題

と赤旗は主張していますが、その通りですね。



日本の国防に関係する重大な討論なのですから、
その内容は全面的に公開し、国民が知ることができるようにすべきでした。

こうやって情報を隠すと、かえって信用を失うと思うのですがね…
知られたらまずい発言でもしていたのでしょうか?


私に言わせれば、北朝鮮よりも自国の政府のほうが秘密主義で脅威を感じます。
しかもそういう組織を自国のメディアや少なからぬ市民が支持しており、
異をとなえると非国民扱いされる。これは恐ろしいことです。

殺人国家イギリス

2014-05-25 00:52:26 | リビア・ウクライナ・南米・中東

http://rt.com/news/158008-uk-soldier-dead-insurgent-photos/

死んだタリバン兵の側で親指を立てて写真を撮るイギリス兵。

日本では、アメリカの批判は大いに行われているのですが、
イギリスを侵略国家と非難するのは稀有ではないでしょうか?


しかし、21世紀の大きな戦争・衝突を振り返ってみると、
アフガン戦争、イラク戦争、リビア空爆、シリア危機、そしてウクライナ。

全部のケースにアメリカとイギリスが絡んでいる。


実際、英国はアメリカと同様に現在もアフガニスタンに兵士を送り、
「対テロ作戦」(?)を実行しています。



http://www.theguardian.com/world/2013/feb/13/nato-air-strike-civilians-afghanistan

では、その対テロ作戦とはどういったものなのでしょうか?

結論から述べると、これはNATOがタリバンだと思った人間、
あるいは集落に攻撃を加え、女子供も容赦なく殺す。それだけです。


上の写真は、2013年2月にNATO軍の空爆によって負傷した子供が映っています。
この子は幸か不幸か助かりましたが、5人の子供がこの空爆で亡くなりました。


こういう事件は、2001年以来、一貫して起きており、
試しに「UK Afghanistan kill children」で検索をかければ、
いくつかのニュースの記事が読めるはずです。


アフガニスタンだけでなく隣国のパキスタンにも
「タリバンが潜伏している」という理由で空爆を行い、
一般市民が殺されているのが、この地域のありのままの姿です


ttp://thewe.cc/weplanet/asia/afghanistan/afghanistan_continues.html
こちらのサイトには虐殺の写真が多くあります。
かなりショッキングな写真ばかりですので、閲覧には気を付けてください。

私はこの写真を見て、ベトナム戦争の再来を感じました。

ベトナム戦争の折にも、「ベトナムを共産主義者から救う戦いだ」と
綺麗な言葉を並べたてながら、兵士が戦いに赴いたのです。

そこでは、ゲリラが潜伏している「かもしれない」村を焼き払い、
女も子供もすべて撃ち殺すことでゲリラの戦意を失わせてようとし、
あるいは戦績の証拠としてゲリラの耳を切り落としました。

兵士によっては、勲章代りに首にぶら下げていたのです。


私はディテールが似ていると言っているのではありません。
アフガニスタンでも敵の耳を切り落としているかは知りません。

けれども、「タリバンというテロリスト、ゲリラから守るため」と
言う大義のもとに、外国軍が民衆を殺しまわっているのは同じです。


タリバンは「反政府勢力」と必ず日本では紹介されますが、
もともとアフガニスタンを治めていたのはタリバンです。



最近の正義論では「どちらも悪い」「復讐の連鎖」といった
フレーズが必ずと言っていいほど見当たりますが、
どちらとも悪いにせよ、どちらかがより悪なのです。

タリバンがアメリカやイギリスに潜入して民衆を殺しましたか?
ニューヨークやロンドンに住む女性や子供を空爆で傷つけましたか?


現在、アフガニスタンでは、タリバンが潜伏している村や町を
空爆し、住民が多く傷つき、また亡くなっています。


これを欧米の代表的な人権団体、ヒューマン・ライツ・ウォッチングは
人間の盾と表現しました。彼らにとっては、タリバンが住民を盾にして
攻撃をさせないよう画策しているらしいのです。何という詭弁でしょう。


こういう連中が叫ぶ人権がどれだけ怪しいのかは言うまでもありません。
アムネスティしかりヒューマン・ライツしかり、
批判の中心となる国は現在あるいは将来、NATOが攻撃をしかける国なのです。





掃討作戦に参戦したイギリスのヘンリー王子は、
自身の任務をTVゲームに例えたことで一部では有名ですが、
タリバンはこの発言に対して「王子は心の病気だ」と非難しました。


タリバンとヘンリー王子のコメント、
どちらがより人間的なのか…その検討は皆様にお任せします。



「命を守るために命を奪う。そういう任務なのだと思う」

このサル顔の志願兵は立派なことを述べていますが、
誰も彼に「アフガンに来てください」と頼んだわけではありません。
(ちなみに、彼もタリバン兵を殺害したとのことだが、
 どうやってタリバン兵と断定したかの根拠は説明していない)

そして、命を守るために命を奪っているのはタリバンもまた同じです。
王子はこう言うべきだったと思います。



「現地の村や町を爆撃しているNATOの兵士の命を守るために、
 自分たちがタリバンだと勝手に決め付けた市民の命を、
 たとえ相手が女や子ども、老人であろうと奪うのが任務」だと。




http://japanese.ruvr.ru/news/2014_05_22/272672433/

カナダ訪問中の英国のチャールズ皇太子(写真左)は、
プーチン大統領をヒトラーにたとえ批判しましたが、
これは逆さまの論理です

実際には、ネオナチが要職を務めるウクライナ暫定政権を
イギリスが支援しているのですから。


この手の厚顔無恥な振る舞いをイギリス王室が行ったというのは
非常に意味があること、考えるべきことだと思います。




欧米、日本を問わず、いわゆる左翼はイギリスの作家であり、
『動物農場』、『1984年』などのソ連邦を徹底的に否定した作品を
生み出したことで有名なジョージ・オーウェルを誰もが賞賛していますが、
彼は生前、ソ連邦に対してと同程度の非難を王室に向けたことはありませんでした。


彼が現在、生きていたとしても、ウクライナの情勢については、
断固、ロシアを否定するものだったでしょう。
(彼の本質は、ソ連の否定ですから)


私はその手の自国の政治制度に存在する致命的な欠陥を
責めることすらできない人間がなぜこうも評価されているのか
まったく理解できないのですが、それはパレスチナ出身の文学者
であり、思想家でもあった故エドワード・サイード氏も同様だったそうです。


イスラエルはイギリスの姦計によって生まれたようなものですから、
彼がイギリスを批判するのも、そしてイギリスを徹底的に否定することが
できなかったオーウェルを非難するのも当然と言えばそうかもしれません。


オーウェリアン(オーウェルの信奉者である知識人の通称)が
何を考えているのかはわかりませんが、次のことは確実に言えます。


アフガニスタンにせよ、ウクライナにせよ、
その軍事・政治・経済的侵略はイギリス王室が承認しているのだと。