時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

人権団体アムネスティ・インターナショナルの正体

2014-05-11 00:18:34 | リビア・ウクライナ・南米・中東
ウクライナ問題に対する朝日新聞の批判をしたついでに、国際的な人権団体、
アムネスティ・インターナショナルについてもコメントしようと思います。


「ロシアの声」からの記事。長文ですが、読む価値はあるはずです。

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現在のウクライナ暫定政権の政策に異を唱える者らに対する
政治的弾圧は停止されなければならない。

ロシアは、この状況では、5月25日の大統領選挙が
ウクライナ市民の自由な意思の表れとは捉えがたいとの見方を強調している。


ウクライナではテロが横行している。

2月22日の軍事クーデターで政権を乗っ取った現キエフ当局指導者らは、
あまりに多くの違法的手段を用いて舵を取っている。

キエフ当局は最も基本的な市民の権利を蹂躙している。
言論の自由を禁じ、平和的な集会参加者らに対し軍隊を派遣し
民族抵抗運動の活動家らを誘拐している。


すでに今の時点でウクライナでは数十人の政治犯が捕まっており
状況は日に日に深刻化している。ロシア外務省の
アレクサンドル・ルカシェヴィチ報道官はこの点に注視し、次のように語っている。



「マスコミの報道は『魔女狩り』が開始され、
 異分子の大量追跡、政治的追放、現キエフ当局に同意しない
 勇敢な人たち全員に対する弾圧が開始された証拠を提示している。

 さらに非常に大きな憂慮を誘うのは、
 ウクライナに不法移民の収容先と偽って、
 一時的な拘束を行うための巨大な隔離施設が作られようとしている

 というデーターだ。


 これだけの数の不法移民はウクライナにはいない。

 作られようとしている施設はナチスの強制収容所を想起させるものだ。
 このため、いやおうなしに、キエフ当局は南部東部にいる
 反体制派の市民をそこに収容しようとしているのではないか
という疑念がわく。」



驚くべきことに、こうした事実のすべては
西側の関心の外に置かれている。




欧州安全保障協力機構と国際赤十字委員会に
ロシア側から粘り強く働きかけて、かろうじて、
ドネツク州の民族抵抗運動のリーダーで拘束を受けている
パーヴェル・グバレフ氏のようすを国際査察団が視察に訪れた。


その結果、査察団によって、グバレフ氏は
氏の健康にとっては
最悪の条件下で拘束されており、
拷問をうけ、現在、期限なしの
ハンガーストライキを行っている

事実が確認された。



だが、偽りの動機で逮捕された活動家を解放する要求も、
現体制に反対する外の活動家に対する政治弾圧を非難する声も
西側の人権擁護家からは出されなかった。


CIS諸国研究所のイーゴリ・シーシキン副所長は、
これによって西側諸国はウクライナの国家転覆を支持し、
これに資金まで提供したことが裏付けられるとして次のように語っている。


国際人権擁護団体の圧倒的多数が米国の統制下におかれていることは知っている。
 米国の言うとおり、みながあらゆることに直視をさけている。

 
 今、ウクライナで言論の自由が損なわれ、
 ジャーナリストが追跡され、
 ウクライナから追放されている事実を騒ぎ立てている
 国際人権保護団体があるだろうか?

 
 仮にこうした事態が他の国で起きた場合、
 アムネスティー・インターナショナルやフリーダム・ハウスなどの組織が憤慨するだろう。

 ところがウクライナについてはこうした団体は気づいていない。


いわゆる大統領の座を狙った競争が、
大統領選立候補者が殴られ、
そのうち数人が国の保安を奪われ、
大統領選に参加する党の事務所が強奪され、放火されている

ときに、いったいどんなふうにおこなわれているか。


こうしたすべてに国際人権保護団体は
まったく目を向けようとしていない。

(http://japanese.ruvr.ru/2014_04_29/271802996/)

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暫定政権が現時点で政治犯を数十人拘束し、拷問も行っている。

この点について、ホームページを閲覧してみたところ、
アムネスティは確かに取り扱っていませんでした。


代わりに、次のような記事が掲載されていました。

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記者や公共機関の職員らがウクライナ東部で
武装した独立派グループにより違法に拘束され、交渉材料に使われている。
拷問や虐待を受ける可能性がある。独立派は、記者らを即刻釈放すべきだ。


ウクライナの英字新聞、キエフ・ポストによると、
親ロシアの武装グループが占拠するドネツク州で先週以降、
少なくとも16人が拉致された。そのうち外国人記者3人は釈放されたが、
まだ他の記者と職員が拘束されているか、行方不明のままだ。
また2人が22日、遺体で発見された。遺体には拷問の跡があった。


24日午後、スラビャンスクの「暫定市長」と自称するポノマリョフ氏が
記者会見し、ウクライナ政府が自分の同志を拘束し拷問していると非難した。
そして、「拘束している人たちは交渉の切り札であり釈放するつもりはない」と述べた。

記者への脅迫、拉致、拘束は表現の自由に対する重大な侵害であり、
即刻中止するべきだ。いかなる勢力も、記者の拘束は違法であり、
その安全を保証した上で、即時かつ無条件に釈放しなければならない。

http://www.amnesty.or.jp/news/2014/0428_4567.html
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ところが、この記事の続きを読んでいくと、
実は、拉致の実行犯が何者なのかハッキリしていない
ことがわかります。




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ウクライナ東部ではこの2週間、拉致が相次いで起こっている。

親ロシアの武装グループが、
いくつかの都市で警察署と公官庁を占拠してから、拉致が増えた。


メディア報道によれば、スラビャンスク在住のデイネガさんは
今月13日、正体不明のグループに拉致された

その3日後、ウクライナのレフター記者が市内で報道中に、拘束された。


4月18日には、スラビャンスクのシュテパ市長が
自称市長のポノマリョフ氏に面会に行ったまま、行方不明となっている。
同市のプロコソフ警察署長も4月19日以降、行方不明だ。

また4月21日、新たに外国人記者3人が、
市内で検問にあたっていた武装グループに拘束された。
後に釈放されたが、所持品は没収されたという。


4月22日、拷問を受けた形跡のある2遺体がスラビャンスクで発見された。


http://www.amnesty.or.jp/news/2014/0428_4567.html

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つまり、下手人がはっきりしているのは、所持品が没収された
3人の外国人記者の件だけ
であり、他は、そもそも拉致なのかも
はっきりしない事件であると同じ記事に書かれているのです。



にも関わらず、すべての事件を独立派によるものだと断定し、
「武装した独立派グループにより違法に拘束され、交渉材料に使われている。
 拷問や虐待を受ける可能性がある。」とまで書くのは何故でしょうか?


そして、実際に拷問や虐待を受けたとハッキリしている
パーヴェル・グバレフ氏の件に口を閉ざしているのは何故でしょうか?



加えて言えば、ポノマリョフ氏が言及している拘束は、欧州安保協力機構
(OSCE)の職員の拘束(後に無傷で釈放された)に対するものです。

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スラヴャンスクで4月に人民義勇軍によって拘束された
欧州安保協力機構(OSCE)の監視員が3日、解放された。

スラヴャンスクの住民によって選出された
「人民市長」のポノマリョフ氏が、インターファクス通信に伝えた。


ポノマリョフ氏はインターファクス通信に電話で、
「我々はOSCEの監視員たちを解放した。
対立する側の監視ポストの一つに彼らを引き渡した」と語った。

ポノマリョフ氏によると、監視ポストまで武装した義勇軍が
OSCEの監視員に付き添ったという。ポノマリョフ氏は、
「我々は監視員の安全を保証するために、私たちにできることをすべて行った」
と指摘した。
欧州評議会側は、OSCEの軍事監視員が解放されたことを確認した。

(http://japanese.ruvr.ru/news/2014_05_04/271970705/)

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つまり、ポノマリョフ氏が言及しているのは、OSCEの件であって、
アムネスティが正体不明と表現せざるを得なかった事件ではありません。



巧妙に、2つの無関係の事件をつなぎあわせて、
あたかも、独立派の犯行であるかのように演出する。


記事ではスラビャンスク市の事件しか扱っていないにも関わらず、
「ウクライナ東部」全体で見られる現象であるかのように誇張する。

これは意図的な誤報を流していると批判されても弁解できない行為です。

こういうことを人権を語る団体が行ってもよいのでしょうか?




以上、アムネスティの露骨なプロパガンダについて指摘しました。
この団体のおかしな点は、まだまだたくさんあるのですが、長くなりますので、
今回はここで筆を置くことにします。乞うご期待。