時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

日本の情報力 北朝鮮編

2014-05-02 19:00:05 | 北朝鮮
ロシアの日本研究者が1985年以来最大の貿易赤字をもたらした
アベノミクスを好意的に評価しているように、海外研究というのは、
専門の政治・経済学者でさえ、なかなか実態が把握できていないようです。


そうであるならば、韓国や中国のメディア、あるいは米国が
自国にとって都合の悪い政府転覆のために運営している人権団体支援機関
を経由してしか情報が掴めない北朝鮮の情報は、なおさら不正確だと言えましょう。


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北朝鮮の金正恩第1書記のスイス留学時の「後見人」だとされた
「リ・スヨン」という人物が、外相に抜擢されたことが明らかになった。


だが、奇妙なことに毎日新聞は2013年12月、
「リ・スヨン」氏が処刑されていたと断定的に報じていた。



ここ数年、毎日新聞は北朝鮮関連で大きな誤報を繰り返している。

今回も誤報の可能性が指摘されているが、毎日新聞では、
外相と処刑されていた人物が同一人物かは確認できていないとして、
「今後も確認作業を続けます」としている。


~中略~



見出しは「正日氏金庫番も処刑」。
記事は張成沢氏の失脚に関連した内容で、リ氏について

「張氏に近く、かつて金正日総書記の金庫番を担当していた
 リ・スヨン朝鮮労働党副部長が処刑されていたことが10日、
 指導部に近い複数の関係者の話で分かった

処刑を断定的に伝えている


リ氏については、

「1988年に駐スイス大使に任命され、
 金第1書記のスイス留学中に生活の後見役を務めた人物」
 と紹介しており、処刑の背景についても、

「張氏とともに海外との資金取引を仕切ってきた経緯があり、
 秘密資金の扱いをめぐる金第1書記側との対立などが背景になっている可能性もある」

などと解説する念の入れようだ。

http://www.j-cast.com/2014/04/14202118.html
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ありもしない処刑をセンセーショナルに報じたという
本来ならば、大事になる事件なのですが、
こと北朝鮮になると、たいして騒がれもしないようです。

これがベンチャーが経営する芸能ニュースサイトではなく、
日本を代表する新聞で堂々と掲載されたものだというのがポイントでしょう。


よく「関係者の話によると」と書いて、情報の出所をぼかす行為が
批判されていますが、北朝鮮の場合、怪しい情報(=マイナスな情報)
のほとんどは、この誰が喋ったのかわからない話から来ています。


逆に、朝鮮新報や労働新聞などの文字通りの関係者が発信する情報は、
無視されているか、あるいは独裁を印象付けることが出来る文章に飛びついて
バッシングのネタにするかのどちらかです。

北朝鮮をどう思うかは人の勝手ですが、仮にも情報に身を置く人間なら、
いい加減な情報に対して、「それは間違いだ」と否定する義務があるはずです。



第一、向こうの声明を読めば、北朝鮮が最も警戒しているのはアメリカであり、
核の実験も、アメリカにむけて行ったとハッキリわかるのに、
なぜか日本が攻撃されることになっています。

実像をつかむためにも、正確な情報を伝えるのが、
メディアや知識人の役割なのに、あえてその逆をする。


こういう人々が、日本の政治や経済に対しては
正確な情報を確実に伝えると思えるでしょうか?

中道という言葉の欺瞞性について

2014-05-02 00:38:55 | 反共左翼
よそのブログのコメント欄に書いたものを修正して貼り付けます。

中道という一見、客観的で中立性を保持しているような立場は、
その実、自らの右傾化を誤魔化しているものにすぎないと私は思います。

それを、端的に述べたつもりです。


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そもそも、在日コリアンの方にとって最も重大な関心事であるだろう
北朝鮮問題に関して言えば、右も左も大差ない主張をしているのが現状であり、
この件に関しては中立的な意見は存在しないはずです。

私自身は、

①「北朝鮮の脅威」を口実に日本の軍拡が推進されていること、

②北朝鮮の民衆の生命と人権を守るといいながら、いわゆる人権団体が
 朝鮮学校を経済的に圧迫しようと(その帰結としての廃校を)画策していること、

③第一、「人権」や「民主化」といった言葉で相手を攻撃する運動は、
 過去のアメリカ・アフリカ大陸の人間に対して行った
 ヨーロッパ人のキリスト教化運動と同質のものであり、

④実際に、人権蹂躙をネタに米・英・仏といった
 元(私に言わせれば現役の)帝国主義国が中東やアフリカ諸国に軍事介入し、
 「民主化」(事実上の保護国化、傀儡政権の誕生)させていること、

⑤「悪の枢軸」と名指しされたいずれの国家もアメリカの脅威と制裁を受けており、
  最悪の場合、文字通り国を滅ぼされている(リビアとイラク)こと


などから、日米のような大国の横暴に手を貸すかのような行為、
すなわち、悪の枢軸国と呼ばれる国家が確かに悪であると保証する研究や運動、
ここで言うならば、北朝鮮バッシングには否定的な立場にいます。

日本の知識人たちは、右も左も…というよりは右と左が協力して
北朝鮮および総連や朝鮮学校を徹底的に攻撃しているような気がしてなりません。


今日のヘイト・スピーチの背景には、
「北朝鮮が地獄そのものだ」と吹聴して回った知識人の行動があるはずなのですが、
これに対して反省する気配があるどころか、こういう争いの発端を招いた人物が
ヘイト・スピーチに反対する中心になって運動が展開されているわけです。


そういうこともあり、「右も左もない」といった言葉は、右も左も右傾化している今、
「より左に位置する」という決意表明として使われない限り、
自己正当化の役割を果たしていないんじゃないかと思うわけです。

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