【近江八幡市名物】
食生活の変化で伸び悩む「こんにゃく」業界の中で、近江八幡市の伝統色「赤こんにゃく」が奮闘し、売上を伸ばしている。
地域色を売り物に、インターネットなどで全国に販売を拡大するとともに市内観光とも連動し、市民だけでなく、県内外からも「赤こんにゃく」を求める声が増えている。
日本こんにゃく協会によると、2008年11月~09年10月の全国のこんにゃく消費量は1世帯当たり5.3キロ。10年前と比べて1キロ以上減少した。協会は核家族化や、外食頻度が増えた食生活の変化が原因と見ている。
赤こんにゃくを製造・販売する店も市内で3店にまで減ったが、店主たちは「近年の年間売上は10年前に比べて1.5倍に伸びた」と説明する。
乃利松食品吉井商店は東京の百貨店への営業などに力を入れ、約10年前にホームページを立ち上げた。HPの売上は総売上の5~8%程度だが、ネット販売をきっかけに取引関係になる業者も多く、年間1500キロの赤こんにゃくを注文する食品加工場もあるという。
同店の吉井代表は「HPでの注文は新しい食材を探す料理人や従来の客層に無い若い人が多い」と話す。
同店は観光客向け販売にも熱心だ。バスガイドに「名物」と宣伝してもらい、土産店に試食品を配り歩いた。県外発送は、現在10年前の2倍となる一ヶ月1000~1500丁に増えた。
オサ平商店の梅村社長によると、赤こんにゃくは20年ほど前から雑誌や新聞で取り上げられるようになったという。郷土食ブームの中で「ほかに無いものが求められている」とみる。1日に2000個を製造し、全国の料亭や問屋などからの注文販売が多くを占める。
近江八幡市では食卓を彩るなしせみの食材である。祝い事はねじりや長方形、仏事には三角に切った煮物が定番である。小学校の給食にも出ている。
赤こんにゃくを推薦ている作家・姫野カオルコさん(滋賀県出身)によると、東京の友人に赤こんにゃくを食べさせたくて滋賀から買って帰り、ピリ辛炒めをした。厚さ5ミリのマッチ箱みたいに切って作ったら「毒々しいじゃん」と言って誰も箸をつけなかった。「ビクビクしないで」と勧めても、辛い舌のように見えたのか?なぜ赤いというだけでそんなに驚くの?舌触りが滑らかでステーキにすると美味しいのに・・・・・。
『歴史』
近江八幡市市史編纂室によると、江戸時代中期の史料に「八幡こんにゃく」という記述があり、歴史は古い。コンニャク芋の粉に三二酸化鉄を混ぜ、茹で上げた真っ赤な色が特徴。赤い理由は織田信長の派手好きに起因するという言い伝えや、地域の祭りにちなんだという説などあり、定かでない。
■先日、NHKと民放の番組でこの赤こんにゃくが紹介されていました。今頃は注文が殺到しているかも知れません。