【鴨鍋】
「鴨鍋」は、鴨肉を白菜、ネギ、豆腐などの野菜と一緒に煮込んで作る鍋料理。
猟師などは自分で調達したマガモの肉を使うが、一般的に市販されている鴨肉は殆ど飼育されたアヒルあるいはマガモとアヒルを交配させた合鴨である。鴨肉からは良質の出汁が出てコクがあるが、昆布などで軽く出汁をとっても美味しい。
宮内庁の鴨の猟場として有名な千葉県市川市の新浜にある鴨料理専門店では、陶製の浅い鍋でまず鴨肉を焼き(鴨肉自体から脂がでるため油を引く必要は無い)、野菜と共に割り下で食べるというすき焼き風の鴨鍋が有名である。最後は雑炊も良いが、蕎麦を入れ〆るのが常識。
古くは、豊臣秀吉が大坂で鴨の飼育を奨励したという記録や、平安時代から飼育されていたという説もある。その名残んら、関西地方では「すき焼き」が夏のスタミナ料理とされていた-説がある。大阪で根付いた合鴨産業は明治末期に始まった。大阪、神戸には「河内鴨」を使った鍋を提供する飲食店があり、鴨の造りから鍋までフルコ-スで味わえる。
鴨肉は一見脂が多く感じられるが、牛肉などと違いコレステロ-ルが少なく、不飽和脂肪酸やビタミンなどを多く含まれており、健康上の懸念は比較的少ない。さらに「合鴨」には、牛、豚肉に比べてミネラルやビタミン類が豊富に含まれ、鉄分は豚肉の2倍、レチノ-ルも牛、豚肉の3~5倍の数値といわれる。
【みぞれ鍋】
「みぞれ鍋」は、大量の大根おろしを用い、火が通って半透明になった姿が「みぞれ」に似ていることからそう呼ばれる鍋料理。
通常の卸し金よりは、鬼おろしと呼ばれる竹製の卸器を使って粗くおろしたほうが早く、かつ食感が良いとされる。土鍋に卸大根を入れ、少量の塩を加えて火にかける。沸いてきたら一口大に切った豆腐を入れ、温まったところでポン酢などで食べる。大根卸の中で豆腐を煮るとなぜかスが入らないという。