佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

さよなら 三兄弟

2011-06-17 | 雑感

お兄ちゃんも死んでしまった。

12時半ごろ家を出る時は、まだ生きていたのに、

3時半ごろ戻ってみたら、もういなかった。

水槽はきれいに洗われて、お兄ちゃんは植木鉢のお墓に埋められていた。

 

3週間前の土曜日、

ほたる祭りの夜店で出会った金魚たち。

不器用な私が、どういうわけか3匹も掬いあげてしまった。

初めての経験に、舞い上がり、思考力を失った。

「どうする?持って帰る?」と訊かれた、その意味さえわからなかった。

 

家に帰り着いて初めて、我が家には金魚鉢も何もないことに気付いた。

翌日、汲み置いた水道水を入れたバケツに放すと元気よく泳ぎ出した。

かに見えたけれど、

それは、水温も水質も違う環境に驚いてパニックを起こしていたのだ、と後で知った。

水を変える時は、3分の1とか半分とかずつ変えなきゃいけないらしい。

 

ネットで少し金魚の買い方を勉強して、

所用で出かけた帰りに、小さめの盥と、エサと、水を浄化する石を買ってもどると、

すでにりっぱな水槽がリビングに置かれ、金魚3兄弟はそこで泳いでいた。

 

底には涼しげな小石が敷き詰められ、水草が揺れ、

その草の間をす~いすいと気持ちよさそうに泳いでいる。

エアーポンプからはブクブクと酸素も送られている。

 

良かったねー、素敵な新居をプレゼントしてもらって!

「いいでしょー!」といった顔つきで近づいてきたのは、一番チビで赤い金魚。

赤ちゃんだ。

赤ちゃんより大きくて真っ黒で、形がかっこいいのは、黒ちゃん。

一番大きくて黒いのは、お兄ちゃんと名付けた。

 

我が家に来て10日を過ぎた頃、金魚3兄弟は寄り添うようにして過ごすようになった。

水の底でひっそり、動かずに、かたまっていた。

 

あまりにも動かないので心配になって、またまたネットで調べる。

冬場は水温が低いとそういうこともあるらしいが。

やっぱり病気なのかな~

塩水浴させてみようかな・・

水を変えてみようかな・・

どちらにしても、新しい水を汲み置いて・・

 

あれこれ考えているうちに、今回も、夫がさっさと薬を買ってきた。

見かけによらず、繊細で情の深い夫は、動物や植物にとても優しい。

彼に言わせると、私が冷たい薄情人間ということらしい。

 

水槽の水を替えたり、薬浴させたり、餌を替えたり、塩水浴も試したり、

いろいろやってみたけれど、

13日午後、赤ちゃんが力尽き、その夜、黒ちゃんも・・・

 

水草を取り除いた広い水槽で、お兄ちゃんは少し元気そうに泳ぎ始めました。

弟や妹たちの分も生き抜くぞ!と言うように。

 

「夜店で買った金魚はすぐに病気になって死んじゃうのよね~

 でも、そこでしぶとく生き残った金魚は、その後ずーっと長生きするものよ」

友人の言葉を思い出し、お兄ちゃんもそのタイプかも・・・と、期待。

 

でも、二日後には再び水底でじーっとするようになって、

黒い肌に浮き出た白い斑点はますますくっきり大きくなって・・・

 

昨日は水面で口をぱくぱくさせて苦しそう。

母のことを思い出してしまった。

 

今朝は、また水底でじっとして。

その目は、絵のようにまん丸で、いつもと同じ丸。

起きていても眠っていても同じ丸。

苦しいのか、楽になってきたのか、何も教えない。

でも、なぜか今朝は、その目が大きく見えた。

何か言いたそうな目に見えた。

 

そして、午後、お兄ちゃんは死んでしまった。

妹や弟たちのところへ旅立った。

 

ごめんね。

あなたたちの育て方も知らずに、

衝動買いのように連れてきてしまった愚かな私を許してください。

あなたたちの命をおもちゃのように弄んでしまったこと、許してください。

 

あなたたちと過ごしたのはわずか3週間足らず。

 

福島で自殺した酪農家の方は、

手塩にかけて育てた牛を30頭も処分しなければならなかった…

 

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