佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

合唱の力

2009-07-16 | 佐世保・長崎
先週土曜日、佐世保合唱団創立55周年記念の演奏会を終え、今日が初めての練習日。

みんな未だ興奮冷めやらずといった感じで、顔が輝いていました。
大きな舞台を無事に終えたという開放感、
あのアルカスの大ホールで歌ったという達成感、
誰もがお褒めの言葉を頂いた嬉しさなどでしょうか。

いつもは体操から始まって発声練習と続くのですが、
今日は一人一人が自分自身の感想を述べ、
また自分の家族や友人などからもらった言葉を伝え合いました。

自身の技術的なものは全く満足していないけれど、
「精一杯歌った」「今までで一番よく歌えた」「楽しんで歌えた」などの感想が多く出され、
中には「歌っているうちに感動して鳥肌がたった」人もいました。

そしてお客様からの反応は…
ほとんどの方が第3ステージの「蔵王」を絶賛。「迫力があった」「感動した」と。

何しろ第3ステージは、OB・OGの皆さんとの合同演奏で人数が倍加した上、
先輩方はあちこちで合唱指導をなさっているような実力者揃い。
私たち現役だけの合唱と違って、ボリュームも奥行きもある質の高い演奏になったと思います。

55周年という歴史の豊かさを感じました。

また、第3ステージだけでなく、第2部の和楽器とのコラボが印象的だったという感想や、第1部の「花のこもりうた」がとてもよかったという声もありました。


そして、ある団員は「個人的なことですが…」と前置きして、こういう話をしてくれました。

私の両親も聴きに来てくれました。
92歳の父と83歳の母を、姪が連れて来てくれました。
母は少し認知症なのですが…
歌ってる私を見て、母は一生懸命手を振っていました。
私も手を振って返したかったのですが…笑顔で応えました。
母はすぐ忘れるかもしれませんが、
いい親孝行ができたと思っています。

また、その姪の息子は農業をやっていて、歌のことはよくわからないのですが、
「はじめは高齢者の姿も目についてちゃんと歌えるのかなと思ったけど、
 歌が始まってびっくりしたよ。特に男性の力強い歌声に元気をもらった。
 なんだか励まされているような気がした、明日から農業を頑張ろうと思ったよ」と、
そう言ってました。


私は、ちょうど彼女の隣で歌っていたので、彼女が歌いながら何度も頷くように
首を振っていることに気付いていました。
その意味が今日やっとわかり、あらたな感動を覚えました。

また、若い青年のお話も心に残りました。
合唱と農業って何の関係もないのに・・
今回歌った歌には農に関わるものも、労働の喜びを歌うものなども何にもないのに、
その青年の心には響いたんですね。

いま彼は農業に関して何か壁にぶつかっていたのかもしれない。
悩みを抱えていたのかもしれない。
それが、混声合唱の迫力ある歌声に出会って、
特に男性の力強く温かい歌声に彼の心の耳が反応したのでしょうか?
しかも中には後期高齢者と思しき人々の姿も見えるのに、その凛とした歌う姿に
何か背中を押されるような感じがしたのでしょうか?
かってにそんなことを想像しました。

私の友人は、第2ステージの「浜千鳥」をきいて子供のころを思い出した、
懐かしくて一緒に歌いたくなった、と言いました。

また、別の友人は「花の子もりうた」をきいて涙が出そうになったと言ってくれました。
おそらく、峯陽作詞、小林秀雄作曲のこの子もり歌の経緯を事前に私が告げていたからでしょう。

知らない方がほとんどでしょうが、聴いてみたら、
多くのお母さんたち、特に長崎に住む女性の心に響く歌だと思います。

歌詞だけでもご紹介したく・・



   花の子もりうた


おやすみなさい 花の子どもたち
橋を渡って夕闇が ひろまっているから
石畳の坂道を 夜が濡らしているから
おやすみなさい つぼみのままで

  やがて夜が明けて
  海に陽が昇り 花たちの歌がさざめくまで
  愛する人の夢を見て おやすみなさい


     ユキヤナギの花のけなげさは 帰らぬ人を待つ身の切なさです
     ボケの花は優しくて 働き者の母さんみたいです
     アジサイの花は ただ一度だけの愛を秘めた心です

     サルスベリの花は焼け土に 明日を見つめ根を張る確かさです
     キンモクセイはふるさとに 思い焦がれる哀しいたよりです
     ロウバイの花は 殉教に生きた乙女たちの祈りです


おやすみなさい 花の子どもたち
山の上では星たちが ときめいているから
天主堂も船たちも 夜に埋もれているから
おやすみなさい つぼみを抱いて

  やがて夜が明けて
  海に陽が昇り 花たちの歌がさざめくまで
  愛する人の夢を見て おやすみなさい

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