佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

安全な「しきい値」はない

2011-12-26 | さよなら原発

しきい値=一般に境界線、境目のことを指し、ある値以上で効果が現れ、それ以下では効果が現れないことをいう。いわゆるボーダーライン。

原発問題について議論する時しばしばこの「しきい値」を耳にする。

具体的な数値をネット上で見つけた。
東京大学放射線取扱者講習会テキスト(RIコース用) (2007年版) に示されたものだという。
http://d.hatena.ne.jp/Becker/20110319

一部を抜粋させて頂くと・・・

例えば部分被曝の場合、
   3000 mSvで脱毛、5000 mSvで白内障、20000 mSvで皮膚がんへ移行

全身被曝の場合、
   1000 mSvで発がん率2倍、1500 mSvで一部の人が死亡、15000 mSvで全員死亡
      
胎児への影響
   (受精9日-8週)150 mSvで奇形、(受精8-25週)200-400 mSvで精神発達遅滞

 

などと書かれていて、確かに放射線を取り扱う専門家には必要な「しきい値」だろう。

しかし、実際私たちが見聞きするのは、

「どこそこで通常以上の放射線が計測されたが、〇〇シーベルト以下のなので人体に影響はない」とか、

「この野菜に含まれているセシウムは、〇〇ベクレルで安全だ」とか、

原発推進派や政府などの安全宣言の目安のように使われてきたケースが多い。

 

 

これに対して、長崎大学客員教授の高橋眞司氏は、

安全な「しきい値」はない、核兵器と原発は究極の暴力と断罪している。

放射線の内部被爆は、たとえ低線量出会っても生命と健康に深刻な影響を及ぼすとして、その事実を解明する重要な発見ペトカウ効果」についてのわかりやすい解説を、長崎新聞に寄稿されていた。

ペトカウ効果とは「核分裂生成物の吸入または摂取による長期にわたる低レベル放射線は、人の免疫機構に不可欠な白血球の細胞膜を破壊する」というもの。

ペトカウとはカナダ人医師、エイブラム・ペトカウさんの名前。

ペトカウさんは1970年代はじめ、モデル細胞膜に様々なレベルの放射線を照射する実験を繰り返していた。

その細胞膜は、エックス線を毎分260ミリシーベルトで2時間15分間照射して破壊された。

ところが、塩化ナトリウム22の水溶液の中にモデル細胞膜を置いて実験すると、毎分0.01ミリシーベルトで11時間半照射して破壊された。

前者の総線量は合計35,000ミリシーベルト=35シーベルトで、後者のそれはわずか7ミリシーベルト、つまり5000分の1しか浴びていないのに破壊された。

実験は何回やっても同じ結果だったという。

つまり液体の中ではたとえ微弱の放射線であっても長時間照射すると細胞は破壊される。

しかも、人の体内に入った放射線は、ずっとそこに留まって周りの細胞を照射し続けることが2009年証明された。

長崎大原研病理の七篠和子助教授が撮影に成功したアルファ線は、1945年に死亡した被爆者の腎臓から出ていた。

これらの発見や成功によって、もはや私たち素人でも、放射線の危険性は理解できる。

そこに「しきい値」など有り得ない、その存在そのものがいかに危険かということが理解できる。

だからこそペトカウ効果は、ほぼ半世紀にわたって無視されてきたらしい。

 

しかし今、フクシマを経験した日本は、いえ世界中が、

この恐ろしい発見=ペトカウ効果を直視して、一刻も早く核と縁を切りたいものだ…とつくづく思う。
   


 

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