佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

海苔

2009-10-19 | 有明海・諫早干拓
今朝の新聞に「ノリの養殖始まる」という見出しが出ていました。

昨日18日から長崎・佐賀・熊本各県の有明海でノリの種付けが始まり(福岡は今日から)、
佐賀県有明海水産振興センターによると、
今年の水温は例年に比べて低く、種付けには最適で、
このまま赤潮をもたらすプランクトンが増えなければ、まずまずの豊作が期待できるとのこと。
嬉しくなりました。

格別海苔が大好物というわけではありません。
以前の私だったら素通りする記事だったでしょう。

たまたま昨日、海苔の養殖をやっているSさんから、こんなメールを頂いていたのです。

 「本日17日平成21年度海苔養殖のための海苔網を海に張りこみました。
  網には海苔の種の入っているカキ殻を専用の袋に入れたものを取り付けており、
  明日の朝から少しずつ海苔網に付着させます。
  この作業は約3日間位で適正な数の種を付着させて終わる予定です。」

経験のない私にはよくわかりませんが、頭の中に状況をイメージし、
何やらわくわくした気分になっていました。

海苔の種? はて、どんな種だろう?
海苔網ってどんな網?

と思っていたら、今朝の新聞に、その網を張る写真が出ていたのです。

なるほど、これかぁ、これが海苔網ね。
で、どうやってこれにカキ殻を付着させるんだろう?

そう思っていたら、またメールが届きました。

 今、こちらは満潮時で作業が潮待ち時間なのでメールしました。
 種付けは今日で2日目、例年2日~3日で種が海苔網に付着するのですが、
 なにぶん顕微鏡での確認作業になるのでそれまでは気が抜けない状態です。

えーっ!顕微鏡で?
ますます、○△□×???

海苔って海藻でしょ?
ってことは植物・・・だから「種」があるのはわかる。
え?種がある?実がなるの?そんなはずはないだろう…等々、全く未知の世界。
Sさんに訊いたら、笑われてしまうでしょう。


Sさんは、有明海沿岸に住む漁民で、以前は、魚を獲る漁船漁業もやっていましたが、
諫早湾の締め切り後は不漁となり、今は海苔だけで生計をたてています。

海苔の養殖という仕事を通して見えてきた社会の変化、国の政策の過ちなどに言及し、
自然との共生を強く訴えています。

ご本人の了解を得て、メールの一部をご紹介します。

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 日常の何気ない生活の中でいかに自然とゆったりと共生していくかが
 これからの時代の課題だと思います。

 人間が生きるためには「食」は欠かすことが出来ません。
 いかに自然に近い食物を食するかということも自然との共生の一つではないかと思います。

 ずっと以前は、海苔は価値あるものとして進物用に使わていました。
 お正月までは板海苔の100枚束がお歳暮用にそこそこ直売できていた時期もありました。
 しかし最近では、板海苔をわざわざ焼いて食べるという時間の余裕もない時代になってしまい、
 板海苔での販売は少なくなっています。
 
 焼き海苔、味付け海苔などがポピュラーなものになっており、
 直売のほうもその様なのりを用意しなければならなくなっています。
 ただ、海苔は加工の仕方で味が変わってくるので自分自身は味付けのほうは余り好みません。

 また、焼き海苔のほうも通常、市販されているものは
 焼く前に海苔に含まれる水分を抜いてから(火入れという)焼くために
 風味やうまみが抜けてしまうのが欠点です。

 佐賀の海苔は非常にやわらかいのが特徴ですが、
 島原の海苔は冬の季節風の中で鍛えられて育ちますので、
 ちょっと歯ごたえがあり海草らしい違ったおいしさが味わえます。
 
 板海苔は少し面倒ですがてんぷらで食べてもおいしいです。
 あと、生のりを使った自家製の佃煮。
 これは誰に食べてもらっても花丸クラスのおいしさとか・・・
 市販のものは一度板海苔にしたものを溶かして作ってあるものがほとんどで、
 板のりにするときに真水にさらされるのでうまみが抜けてしまいます。
 また、市販のものは保存料を使ってあるので避けたがよいと思います。

 日本の経済発展を支えてきたものには、低コストでの大量生産、大量販売があります。
 加工食品もこの流れの中で保存料などを添加して見栄えがよく日持ちが出来、
 安く販売できるようなものが多く出回っているのが現実です。
 このことを黙認し奨励してきたのが、国民を守るべき立場の国であるという現実は
 否めないところです。

 これまで国の政策で公害、薬害、公共事業などで数知れぬほど被害者がでました。
 政権交代でやっとこれまでの過ちの見直しが進んできました。

 国直轄のダム事業も中止ではないけど凍結ということで見直しが始まっています。
 石木ダムについても地域住民の皆さんが自然との共生を訴え続ければ、
 必ずや国の施策も変わるものと思います。

 自然をいじったらもうそこは自然ではありません。
 もう諫早の二の舞はごめんです。

 人間はこの地球の大自然の中に生かされている一生物に過ぎないのに、
 なぜ自分の生かされている大自然を壊そうとするのでしょうか・・・

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全く同感です。
「生かされている」ということを忘れてしまった生き物なのでしょうね。
「生きている」、「自分の力で生きている」と思いこんでしまった愚かな生き物、
それが人間なのでしょうか・・・。

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