佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

佐世保水道施設見学

2009-08-07 | 石木ダム

8月3日と4日の二日間、水源連(水源開発問題全国連絡会)の共同代表遠藤保男氏と
弁護士の西島和(いずみ)氏が佐世保を訪れました。
石木ダムの必要性の是非を検証するために、利水目的の観点から、
佐世保市の水事情の実態を把握しようと、水道施設の視察にみえたのです。

佐世保市水道局は、石木ダム説明会の当日で多忙だったはずなのに
多くの職員の方々が(3日は10名くらい、4日は4、5名ほど)同行、
遠藤氏希望の施設すべてを案内し、私たち素人の質問にも丁寧に応えてくれました。
感謝!

二日間で4つのダムと、3つの浄水場、4つの取水場などを視察。

初日はマスコミのカメラも同行しました。




まず向かったのは山の田貯水池と山の田浄水場です。



この浄水施設は明治・大正時代に造られた大変古い歴史あるものです。
ろ過池に付随する建物はみな黒く煤けていますが、重厚な感じさえします。
重要文化財にしようとの声も上がっているとか…。
しかし、そうなると、いろんな制約を受けるので、できれば勘弁してほしい
というのが水道局職員の本音のようです。

またここは、佐世保で唯一の緩速ろ過方式の施設です。
他の浄水場の場合は、みんな急速ろ過方式です。

どこがどう違うのか…。

急速ろ過の場合、水の濁質をPAC(ポリ塩化アルミニウム)などを使って凝集させ、
濁りの塊を作り沈殿させています。


(広田浄水場にて)
この濁りの塊、間近で見るとかなり気持ち悪いです。
しかし、この方法だと、一日に120m~240mの速さで濾過できるとのこと。

緩速ろ過の場合は薬品は使わず、砂層に一日4~5mのゆっくりした速さで水を通し、
砂層に増殖した微生物群により、水中の浮遊物質や溶解物質を取り除くのだそうです。

そして、ろ過に使った砂は洗って乾かし、また使います。
これが、その砂! 

(山の田浄水場)
自然界の砂と微生物を使ってゆっくりろ過…そして砂はリサイクル…いいですねー。
こっちの水はあーまいぞ♪  そんな声が聞こえてきそうです。



二日間を通して最も驚いたのが、岡本水源地です。



この水源は湧水です。
山の上といってもいいような高台に有り、深い緑色の水を満々と溜めています。
明治32年に造られたもので、現在日量最大1000m3を取水し、山の田浄水場へ送られています。

昔は湧水があちこちにあったと聞きます。
また、今現在も探せばあるのではないかという人々もいます。
もしそうなら、そういう水を大切に溜めて使う工夫をしたいものです。

大野水源地だけでなく、転石ダム、相当ダム、川谷ダム、下の原ダム、
いずれも満水に近い状況でした。

水道局の説明によると、佐世保市ではダムを温存するのだそうです。
渇水に備えてダムを常に満水に近い状態に保っておき、
できるだけ河川水を優先的に浄水場送っているようです。

佐世保のダムはどれも小さなかわいいダムですが、
その中で一番大きいのは下の原ダム。日量14,800m3可能です。
が、それは嵩上げしたおかげで、有効貯水容量が1.7倍にもなったからです。

他のダムも嵩上げやしゅんせつで貯水容量が増やせるといいのですが…。
水道局の話では、構造的にも地質的にも難しいが、
仮に技術的にクリアできても、ダムへの流入量が少ないから、その見込はないと言われました。

最後に訪れた広田浄水場。
こちらは昭和44年完成の、佐世保市では最も新しい近代的な設備も備えた施設です。
沈澱池やろ過池などを見学した後、
この浄水場の建物の中にあるオペレーター室に案内されました。
そこにはいろんな計器やコンピューターが並んでいて、初めて見る私はオー!という感じでした。





日照りが続くとこの数値の変動を見ながら、こまめな操作がなされるのでしょう。
それぞれの数値の意味や、今どういう状況なのかなど、質問したかったけど、
もうお昼を過ぎていたので遠慮しました。

暑い真夏の二日間、仕事の時間を割いて、親切に対応して頂いた水道局員の方々には
本当に感謝の気持ちいっぱいです。ありがとうございました。

また、少雨の時期はいつも空を見上げて仕事するというご苦労もよくわかりました。


それでも、私はダムはいらないと言いたいです。

今回の視察で、佐世保市水道局の言う「不安定水源」の意味がわかりました。

いままで私たちは不安定水源=暫定水利権を持つ水源と解釈していたのですが、
遠藤氏は今回の視察で判明したことの一つとして
「不安定水源28,500m3は、川棚川暫定豊水5,000m3以外は慣行水利権であり、
水利権上の問題はない。佐世保市は水質悪化を理由として不安定扱いしている」
と記しています。

つまり、相浦川の三本木取水場と四条橋取水場などの水は水質に問題があり、
安定的にとれないということらしいのですが、
さて本当にそうなのか、遠藤氏が東京の朝霞浄水場原水と比較した一覧表によると、
アンモニア性窒素などほぼすべての項目で相浦川の原水のほうが上質でした。

問題は臭気(カビ臭)だけだそうで、こちらは、粉末活性炭処理やオゾン・生物活性炭処理施設
の導入などにより改善されるようです。

もしそれが実現できれば、佐世保市の水は、「安定」だの「不安定」だのの枕詞をとって、
100,000m3近くの水源を確保することになり、
それは私たちが無駄な使い方さえしなければ、十分な量だと言えるでしょう。

だからダムは要らないのです。

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