佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

2009-04-10 | 石木ダム
佐世保で初めての「アースデイ」(地球環境のことを考える日)が4月19日、佐世保中央公園で
開催されます。
このブログをご覧になった佐世保市民の方、あるいは佐世保の近くにお住まいの方、
お時間があったら是非、足をお運びください。

私たち「水問題を考える市民の会」も、遅ればせながら参加したいと手をあげ、
いま大急ぎで準備を進めています。
資料や写真のパネル展示、クイズやアンケートなどを作成中。

その資料を集める過程で、私はいろんなことを知りました。
これまで私たちが考えてきた「水問題」は、主に身近な「佐世保市の水問題」だったのですが、
世界の、地球の水問題がどんなに深刻であるかということをようやく実感しました。
TVや新聞などで時々見聞きしていたのに、しっかりキャッチしてはいなかったのです。
私だけでなく多くの日本人が、世界の水事情との密接なつながりに気づいていないのではないか、
だから他人事のように無関心でいられた…?と思うのです。

例えば、こういうことご存知ですか?


この星にある水のすべてを1リットルのペットボトルに詰めたとしたら、
その中で私たち人間が使える水は、ほんの数滴。3ccほど。

なのに、私たちは水をどんどん使ってる。
いま私たちが世界中で使っている水の量は、1960年当時の2倍、1950年当時の3倍。

地下水位はどんどん低下。
このままいけば、あと30年で枯渇するだろうとの予測も・・・

いま、80カ国(世界人口の40%)の人々が水不足に悩み、
26カ国(2億3000万)の人々が極端な水不足に苦しんでいる。

水不足の国のこどもたちは、1日の大半の時間を水汲み作業で消費する。
何時間もかけて遠くの水場まで往復しなければならないから。
「水ひっ迫国」の子どもたちは汚れた水を飲み、伝染病や下痢などで亡くなっている。
それは…8秒間に1人!

この子たちは、1日にコップ1杯もきれいな水が飲めないのに、
私たち日本人は日常生活で平均200リットル~300リットルほどのきれいな水を使っている。
飲んだり、食べたり、洗濯、お風呂、トイレなどなど。

ところが、私たちは実は、見えないところで、もっと多くの水を消費していた。
たとえば、米1kg収穫するのには5,100リットルの水を要し、
大豆なら3,400リットル、小麦なら4,500リットル。
豚肉1kgには11,000リットル、牛肉はなんと100,000リットル!
(牛を育てるには水や餌が必要で、その餌を作るにも水が使われているからなんですね)

農作物だけではない。
1kgの紙を生産するには700kgの水が、1トンの鉄鋼を生産するには280トンの水がいるそうな!

その上、水をこれだけ消費している私たち人間自身が、水を生み出す森林を破壊し続けててきた。
毎年、日本の半分の面積の森林がなくなり、そのまた半分の面積が砂漠化している。
アマゾンのあの熱帯雨林もあと50年ほどでなくなるかも…と。

私たち人間は天然のダムである森を破壊して、コンクリートの巨大ダムを造り続けてきたけれど
…それはもうやめようよ。

川の流れを止めることは絶対良くないと思う。
森や田畑を水底に沈めてしまうし、
産卵のために川を下るアユや遡上するサケの回遊を不可能にしてしまう。
水が澱み、たくさんの魚や水生昆虫が住めなくなり、水辺の植物も消滅していった。
上流から堆積した土砂がヘドロ化して悪臭を放ったり、
水底に沈んだ樹木が腐ってメタンガスを発生したり・・・

世界中にダムは48,000ほどあり、
そのダム建設のために、多くの森や畑が水底に沈み、8,000万人の人々が住む家を追われた。

欧米は「ダムの時代は終わった」として、いまは川の再自然化に努めている。

日本も少しずつ変化してきましたね。
2001年、田中元長野県知事が「脱ダム宣言」、
2008年、蒲島熊本県知事が川辺川ダムの中止を決意、
2009年3月、滋賀・大阪・京都・三重の4府県の知事が反対していた大戸川ダム凍結決定、
この傾向が広がることを願っています。

しかし、足もとの長崎では、県知事、県議会、佐世保市長、佐世保市議会、川棚町長、川棚町議会、すべてが石木ダム建設に突進しています。
今年度から付け替え道路建設がいよいよ始まりそう・・・。

この流れを止めるには、世論の風が必要です。
ダムは必要ないという市民の意思を示すこと。
その意思を持つのは、現実を知ることから。
自然破壊がもたらすものの結果を。
ダムに代わる方法があることを。

佐世保市水道局は石木ダムさえできれば水不足は解消できると言って、
これまで有効な水対策はとってこなかった。

例えば、1日に約1万トン出ている無効水量(=漏水などで無駄になった水)を改善していたら、
年間で1か月半の水が確保できるのに…。
その1日の無効水量を一人の市民が生活用水として使うならば52000日分に相当するのに…。

本当のことを知ると、そこから新しい視点が生まれる。
お隣の町の自然を壊し、そこに住む人々に迷惑をかけなくてもいいような方法はないか?
私たち自身に何ができるか?と。

そういうことを考え合うきっかけにしたい・・・その思いで、いまアースデイに向かっています。


地上に降った雨が大地に吸い込まれ、地下水となって地中をめぐり、濾過され、
美味しい湧水となって地表に現れ、川となり、海へそそぐ。
海の水は蒸発し、雲となり、また雨を降らせる。

そんなふうに何万年も何億年も続いてきた水の循環が、これからもずっとずっと続きますように…



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