昨日の新聞にこんな見出しがありました。
厚労省元局長 村木さん賠償金寄付へ
「南高愛隣会」活動に理解
「南高愛隣会」?
あの、雲仙市の「南高愛隣会」?
長崎新聞年間企画の累犯者取材班が度々お世話になったという、あの南高愛隣会?
そこと、厚労省の文書偽造事件で冤罪を着せられた村木厚子さん、どんな関係があるの?
と、興味津々で読んでみると、
村木さんが不当逮捕や起訴に対し国から受け取った損害賠償金(約3770万円)の中から、
弁護費用を除く全て(約3000万円)を南高愛隣会に寄付するというのです。
実は、同会理事長の田島さんは、村木さんが障害者施策を担当していた頃から十数年来の知人で、
村木さんから「賠償金を自分で受け取るつもりはなく、役立ててほしい」と持ちかけられたそうです。
そこで、田島さんは「共生社会を創る愛の基金」を創設し、
障害者が取り調べを受ける際の権利を守り、社会復帰を進める活動の支援に充てる計画です。
村木さんは裁判の支援者に宛てたメールで、
「障害者の方々が社会に復帰し自立することを助ける活動を支援する基金を造って頂くことになりました。
皆様のご理解をいただくことができれば幸いです」
と伝えたそうです。
もちろん、この基金の支援を受けられる方たちにとってはたいへん嬉しいニュースだと思いますが、
長崎新聞「累犯障害者」取材班の皆さんも、どんなに喜んでいらっしゃることだろう…
と、かってに想像しています。
一年以上、累犯障害者の事例を追いかけ、当事者やその家族に寄り添ってこられた記者さんたち。
その記事を読んで、累犯障害者の実態と社会の現実を知り、
時に胸を痛めたり、時に考え込んだりしてきた私たち読者にとっても、とても嬉しいことです。
もう一つ嬉しいニュースがあります。
15日、長崎地裁五島支部の公判で、
知的障害のある累犯者に、検察側が異例の執行猶予判決を求めたのです。
それも、南高愛隣会が受け入れを確約した、そのサポート計画が評価されたからです。
被告男性は昨年11月、1万7千円の窃盗の罪で逮捕され、
過去も盗みを繰り返しており、実刑判決を受けたこともありましたが、
福祉の支援が必要と判断した弁護人が県地域生活定着支援センターに連絡し、
愛隣会の支援に繋がったのだそうです。
その井上弁護士は、
「地元紙の報道で愛隣会の取り組みを知った。
更生に向けた環境が整ってきたと考えていたが、検察側の求刑は驚きだった」と語りました。
嬉しいだろうなぁ、記者の皆さん。
読者の私も、本当に嬉しいです。
愛隣会は全国的な組織のようですが、この動きが他県にも広がることを願います。