貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

伊賀市蓑虫庵その2 山吹やではなく古池や!!!

2023-12-08 11:06:40 | 日記
令和5年12月8日(金)
「蓑虫庵」に2基の芭蕉句碑がある。
 すぐ出合うのが、古池塚。
<古池塚芭蕉句碑>
                              
「古池や 
   蛙飛ひこむ           
     水の音」 
 円窓は正風開眼を表し、
下部に蛙の浮き彫りがある。
 句碑は、深川の草庵に建てられ
ていたものを、
昭和初期当時の庵所有者
菊本直次郎により移建。
 句は、
貞亨3年(1686)芭蕉43歳3月下旬、
深川芭蕉庵での作。
 季語は「蛙」で春。
 支考の『葛の松原』によれば、
芭蕉はまず「蛙飛こむ水の音」が
浮かび、上五を得なかったところ、
其角が
「山吹や」と提案したが採らず、
「古池や」に定めたという。 
 当時「蛙」に「山吹」は月並な
付合用語(連想語)に過ぎず、
また蛙は『古今和歌集』の仮名序に
「花に鳴く鶯、
 水に住む蛙の声を聞けば」
とあるように、
古来、蛙といえば「鳴く蛙」を
詠むのが伝統であった。
 芭蕉はその伝統を打ち破り、
池に「飛ぶ蛙」を詠んだところに、
斬新で独創的な新境地を開く。
 蛙の飛び込む音によって、
静寂の世界に動きが与えられ、
またもとの静寂にかえるという
微妙な境地をとらえた即興句で、
閑寂・幽玄な古池の詩情を
とらえる。

 句意は、
「静かな春の日、
水を湛えた古池がひっそりと
静まりかえっている。
 すると、
ポチャンと蛙の飛び込む音がした。
 一瞬あたりの静寂は破れ、
またもとの静寂にかえる。」