キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

オーパルひとりぼっち―Only Opal

2016-07-18 10:47:50 | 絵本
オーパルひとりぼっち
ジェイン ボルタン,バーバラ クーニー,Opal Whiteley,Jane Boulton,Barbara Cooney,八木田 宣子
ほるぷ出版

          友人に借りたこの絵本は、その静かでのどかなバーバラ・クーニーの絵と

          は裏腹に、なかなか衝撃的な絵本でした。オーパル・ウィットリーという原

          作者の女性は孤児で、彼女が五歳の時に近所の人がくれた封筒の裏に

          書いていた日記が絵本の元になっているというのです。たった五歳です

          よ。しかもその日記は継姉がずたずたに破ってしまっていたのを、九ヶ月

          かけて、ジグソーパズルを解くように復元したというのです。継母の厳し

          いしうちに耐えながら、動物や植物を友として生きていく森での生活の描

          写は、美しい詩のようです。       

Only Opal
Opal Whiteley,Jane Boulton
Puffin

          バーバラ・クーニーの絵があまりにも静かで美しく悲しく、最後のページまで

          笑顔をみせない幼い少女の表情が切なくて、思わずホロリとさせられます。

          副題がThe Diary of a Young Girlとあるように、字を覚えたての五歳の

          書いた文章なので、不規則変化動詞の過去形が分からずsaidをdid say

          とするなど、随所に稚拙さが感じられ、それによってまたほろっとさせら

          れるのですが、、、。
The Diary of Opal Whiteley
Nan Gurley
September Productions Inc

          大人になって久しく、汚れてしまった私の心に、疑いが湧いてくるのです。

          「これは、本当にこんな境遇にあった五歳の女の子が書いたものかしら?」

          お話の一部など、継子いじめのグリム童話そっくりです。ネットでググッて

          みると、どうも孤児ではなかったらしい、貧しく、しつけの厳しい一家では

          あったものの、その家の本当の子供だったようなのです。オーパルは空

          想癖、放浪癖のある子どもだったらしく、のちにはアスペルガー症候群の

          疑いも持たれています。
Opal: The Journal of an Understanding Heart
Opal Whiteley
Crown

          とはいえ、その幼い文章の詩のような美しさには、紛れも無く真実の響きが

          あり、バーバーラ・クーニーの絵とあいまって、心を動かされずにはいられま

          せん。事実かフィクションかなんて、ある意味どうでもいいことなんでしょうね。

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