キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

はちと神さま

2011-09-30 09:32:02 | 季節の花々
           
               はちはお花のなかに
               お花はお庭のなかに
               お庭は土べいのなかに
               土べいは町のなかに
               町は日本のなかに
               日本は世界のなかに
               世界は神さまのなかに

               そうして そうして 神さまは
               小ちゃなはちのなかに
                           「はちと神さま」 金子みすゞ

           

               だれにもいわずにおきましょう。
          
               朝のお庭のすみっこで、
               花がほろりとないたこと。

               もしもうわさがひろがって、
               はちのお耳にはいったら、

               わるいことでもしたように、
               みつをかえしにゆくでしょう。
                            「つゆ」   金子みすゞ

           

               電気がてんでに
               ひかってて、
               てんでにかげを
               こさえてて、
               町はきれいな
               縞になる。

               縞の明るい所には、
               ゆかたの人が
               三五人。
               縞の小暗い所には、
               秋がこっそり
               かくれてる。
                             「秋」   金子みすゞ

            小さい秋があちこちで見つかる季節になってきました。
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彼岸花-曼珠沙華-リコリス

2011-09-29 09:51:53 | 季節の花々
            

        彼岸花(曼珠沙華)は赤い花だけかと思っていたら、様々な色の花があります。

            

          厳密にはこれらはリコリスという種類の花で、そのうちの赤い花を

          特に彼岸花、あるいは曼珠沙華というのでしょう。リコリスという

          のはギリシャ神話の海の女神に由来する名前だそうです。

            

        彼岸花といえばやはり、道端や田の畦や墓地に咲くちょっと毒々しい

        この赤い花。北原白秋に「曼珠沙華(ひがんばな)」という詩があります。

             GONSHAN.(ゴンシャン)GONSHAN. 何処へゆく
              赤い御墓の曼珠沙華(ひがんばな)、
              曼珠沙華、
              けふも手折りに来たわいな。

              GONSHAN. GONSHAN. 何本か。
              地には七本、血のやうに、
              血のやうに、
              ちやうど、あの児の年の数。

             GONSHAN. GONSHAN.気をつけな。
              ひとつ摘んでも、日は真昼、
              日は真昼、
              ひとつあとからまたひらく。

             GONSHAN. GONSHAN. なし泣くろ。
              何時まで取っても、曼珠沙華、
              曼珠沙華、
              恐しや赤しや、まだ七つ。

          字面を見ただけでもおどろおどろしい詩ですね。ゴンシャンという

          のは九州柳川地方の方言で、良家の娘という意味だそうです。あ

          の真っ赤な色が血を連想させ、その上に蜘蛛の様な花の形が一

          層まがまがしさを感じさせるのでしょうか。せっかくきれいに咲い

          ているのになんだか気の毒な気もしますが、まあその辺のかわい

          い花よりインパクトがあるのは確かです。

          ところが、仏教では曼珠沙華は「天上の花」という意味で、慶事

          の先触れとして、天から降ってくるといわれるめでたい花だそう

          です。人間の見方、感じ方っていろいろです。時代と場所が変わ

          ると、同じ花が吉と凶の正反対のイメージで捉えられたのですね。
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諏訪の湖

2011-09-27 09:57:30 | 旅行
           

           数年前のちょうど今ごろ、母、夫、妹、私の四人で訪れた諏訪湖

           の風景です。一時はとても汚れていたという湖ですが、きれいな

           青い色を湛えて、良い景色でした。

           

           サービスエリアに咲いていた夏の名残の白い百日草がきれいでした。

           

              さすらひの湖の夕風松虫草          岡本紗矢

           これはそのときの印象を、上の松虫草に託して詠んだ妹のすてき

           な句です。秋の季語にもなっている松虫草は英名をpincushion

           flowerと言います。なるほど針山に似ています。でも花言葉は

           「不幸な恋」とか「悲しみの花嫁」ともの悲しい。淡い紫色が西

           洋では喪の色だからでしょうか。けれど、その連想がこの句に

           一層興趣を添えている気がします。
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Try to Remember

2011-09-25 15:12:37 | 季節の花々
<STAR BOX>ブラザーズ・フォア
Sony Music Direct
Sony Music Direct


          

           Try to remember the kind of September
            When life was slow and oh, so mellow.

           Try to remember the kind of September
            When grass was green and grain was yellow.

           思い出してごらん、人生がゆったりと、甘く美しかった頃を
           思い出してごらん、草は緑に、穀物は金色に輝いていたころを

         古い歌ですが、九月になると思い出す歌です。歌詞はほかの季節に九月

         を思い出す歌ですが。九月というのは、日本の感覚とはちょっと違って、

         まだ若い未熟なころ、つまり青春という意味のようです。美しい歌です。

         ブラザーズ・フォーやジュリー・アンドリュースや、だれで聴いても胸に

         じんときます。でも長く生きてきましたが、この歌のように、slowでmellow

         な九月なんて 、私の青春にあったかしらなんて思います。「青春時代の

         真ん中は胸にトゲさすことばかり」っていう歌もありましたね。私の人生、

         ありがたいことに、むしろ今の方がmellowかもしれません。年を重ねて、

         何もかもあまり鋭敏に感じなくなったこともあるのでしょうか。

          
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2011-09-25 06:33:57 | 季節の花々
            

           暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったもので(なかなかの常套句)、

           めっきり涼しくなりました。去年見た箱根仙石原のススキ、今

           年もきっとこんな風でしょうね。ここのところよく読んでいる与謝

           蕪村にこんな句があります。

               山は暮れて野は黄昏の薄哉          蕪村

           山はもう暮れて鬱蒼と黒ずんでいるけれど、薄はまだ金色に光っ

           ている。景色が目の前に浮かぶ蕪村の句の一つです。

            

               しら菊や庭に余りて畠まで          蕪村

           こんな分かりやすい秋の句もありました。なっちゃんと散歩に

           行くと見かける光景です。江戸の昔は今よりもっと菊が植えら

           いたのでしょうね。 

               さびしさのうれしくもあり秋の暮        蕪村
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野分

2011-09-22 10:19:09 | 天災
              

         「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。立蔀・透垣

         などのみだれたるに、前栽どもいと心くるしげなり。、、、」


       「枕草子」の「野分のまたの日こそ」の最初の部分です。前日の台風で垣根

       は乱れ、木は倒れ、庭の草花はなぎ倒されて大変な荒れようなのに、「野

       分の吹いたあくる日は実にしみじみと興味深い」なんて言ってる。でも、

       今朝のうちの裏庭のこの光景を見たら、清少納言さんも「いと見苦し」とお

       っしゃったでしょうね。台風が来るのが分かっているのに、二階の簾をか

       けたままにしておいたら、ばらばらにちぎれて、お隣の庭にまで飛び散り

       ました。今年はどんどん台風が襲ってきます。我が家のあたりは、昨日ちょ

       っと停電くらいで、たいしたことはなかったのですが、大きな被害が出て

       いるところは大変です。

                

       「野分」こと台風は、神代の昔から毎年毎年秋になるとやってくる厄介者で

       す。大変な被害が出る一方で、昔の人はその荒れる様や、後の乱れた様

       子に風流を感じたようです。俳句の秋の季語にもなっていますね。芭蕉に

       も蕪村にもたくさんの「野分」の句があります。そのうちの一句、

              うつくしや野分の後のとうがらし      与謝蕪村

       雨風に洗われた真っ赤なとうがらしがきれいだったのでしょうね。それにし

       ても、とうがらしとは、意表を突きますね、蕪村さん。
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草と土と梨の芯

2011-09-21 16:04:39 | アート
             

             人の知ってる草の名は、わたしはちっとも知らないの。

             人の知らない草の名を、わたしはいくつも知ってるの。

             それは私がつけたのよ、すてきな草にはすてきな名を。

             人の知ってる草の名も、どうせだれかがつけたのよ。

             ほんとの名前を知ってるのは、空のお日さまばかりなの。

             だからわたしはよんでるの、わたしばかりでよんでるの。 
             
                            金子みすゞ  「草の名」

             

             母さん知らぬ草の子を、

             なん千万の草の子を、

             土はひとりで育てます。

             草があおあおしげったら、

             土はかくれてしまうのに。

                            金子みすゞ  「土と草」

          

          名もないもの、見えないもの、小さなもの、だれも見向きもしないもの、

          そんなものにだって、尊い命があるんだよと、金子みすゞの詩を読む

          度に思い出します。自分を犠牲にして草を育てても、だれもほめてく

          れない土にまで、愛情を注ぐみすゞさんです。だって、捨てられるだ

          けの「なしのしん」の行く末まで心配しているみすゞさんですから。

                   

            なしのしんはすてるもの、だからしんまで食べる子、けちんぼよ。

            なしのしんはすてるもの、だけどそこらへほうる子、ずるい子よ。

            なしのしんはすてるもの、だからごみばこへ入れる子、おりこうよ。

            そこらへすてたなしのしん、ありがやんやら、ひいてゆく。

            「ずるいこ子ちゃん、ありがとよ。」

            ごみばこへいれたなしのしん、ごみ取りじいさん、取りに来て、

            だまってごろごろひいてゆく。

                           金子みすゞ    「なしのしん」
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2011-09-20 10:51:00 | グルメ
            

            田舎から届いた二十世紀梨。秋の香りです。

            二十世紀梨といえば、鳥取県が本場ですが、

            奈良の大阿太高原辺りも知る人ぞ知る名産地。

            

           二十世紀は他の豊水なんかに比べると、ちょっと酸味が強く

           甘みが少ないのですが、瑞々しく歯触りが良くて、いかにも

           伝統の和梨という感じ。昔から食べ慣れているので、未だに

           この季節になると、無性にに二十世紀梨が食べたくなります。

            

           この川崎のあたりも、江戸時代から梨が作られていたようで、

           多摩川梨と呼ばれるおいしい豊水や幸水がとれます。これら

           は洋梨に近い、甘さと柔らかさがあります。

           正岡子規は梨が好物だったとか、梨の句がたくさんあります。

           ここ川崎でもこんな句を詠んだそうです。

              行く秋に梨ならべたる在所哉       子規

           今も道路沿いに梨の販売スタンドが見られます。昔から秋の

           風物詩だったんですね。

           
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朝の散歩

2011-09-19 09:33:09 | 季節の花々
           

         久しぶりに、なっちゃんと朝のお散歩に行くと、まだ6時だというのに

         もう太陽がカンカン照り、雲ひとつない青空が広がっていました。

         九月ももう後半、しかも沖縄辺りには台風が停滞しているというのに。

           

               なっちゃんと私の長い影。

           

         畑には採り入れしなかった元緑で今は真っ赤なピーマンやナスがそ

         のまま、くたびれ顔でぶら下がっていました。この畑のおじさん、作

         るのは熱心なんだけど、採り入れがね。いつも不思議に思うのです

         が、「たいしたお金にもならないし」ってことでしょうか。

          

          ここのところ暑いせいか食欲がもう一息で、ちょっとスリムになっ

          たなっちゃんです。うらやましい。

          

                柿も色づき始めています。

          

            物思う秋、なっちゃんも座り込んで、しばし黙想?
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秋の夕べ

2011-09-18 08:59:50 | 旅行
           
          
          異常に暑い日々が続いていますが、「秋の日はつるべ落とし」、

          日暮れがとても早くなりました。「枕草子」にも「秋は夕暮れ、、、」

          とあるように、秋には夕暮れがよく似合います。「秋の夕暮れ」で
 
          終わる「三夕」の歌のように、和歌にも俳句にも歌われていますね。
             
               此の道や行く人なしに秋の暮      芭蕉

               門を出れば我も行く人秋の暮      蕪村

          春にはない物悲しさが付きまといます。秋の風が身にしみ始めるか

          らでしょうか。でも、こう暑いとね!

           

            大津皇子の眠る二上山を遥かに臨む大和平野の夕暮れ。

           

            数年前イギリス旅行で見たテムズ川の9月の美しい夕景です。

           

        これは湖水地方ウィンダミア湖の夕景。洋の東西を問わず夕暮れは美しい。
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