はちはお花のなかに
お花はお庭のなかに
お庭は土べいのなかに
土べいは町のなかに
町は日本のなかに
日本は世界のなかに
世界は神さまのなかに
そうして そうして 神さまは
小ちゃなはちのなかに
「はちと神さま」 金子みすゞ
だれにもいわずにおきましょう。
朝のお庭のすみっこで、
花がほろりとないたこと。
もしもうわさがひろがって、
はちのお耳にはいったら、
わるいことでもしたように、
みつをかえしにゆくでしょう。
「つゆ」 金子みすゞ
電気がてんでに
ひかってて、
てんでにかげを
こさえてて、
町はきれいな
縞になる。
縞の明るい所には、
ゆかたの人が
三五人。
縞の小暗い所には、
秋がこっそり
かくれてる。
「秋」 金子みすゞ
小さい秋があちこちで見つかる季節になってきました。