キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

スノードロップは咲いているけれど

2012-02-29 15:05:51 | 季節
           

           今日は4年に1回の2月29日。なんだか大変な大雪になりました。朝

           散歩に出かけたなっちゃんが、背中に雪を乗せて帰って来ました。

           川崎であまりないことです。今年はほんとに寒い!今月の2日は

           「グラウンドホッグ・デイ」でしたが、今年はきっと早く目覚め過ぎた

           グラウンドホッグが、また巣穴に戻ってウトウトしているのでしょう。    
                     
           

           春を告げるスノードロップはもう咲いているのに。日本語では

           待雪草と言うこの花、かわいらしく、いかにも雪のしずくのよう

           と思っていたら、ドロップはイヤードロップのことで、正しくは

           「雪の耳飾り」という意味だそうですが、それもすてきですね。

           マルシャークの『森は生きている』の中で、意地悪な継母から

           大晦日にスノードロップを摘んでくるようにと、雪の中に追い

           出された少女が、森で12の月の精に月を早めてもらって、スノ

           ードロップを摘んで帰ると言う場面があります。雪が消えたころ

           に咲く、まさに春の使いのような花です。聖燭祭というグラウ

           ンドホッグ・デイと同じ2月2日は、聖母マリアさまの日で、ス

           ノードロップはマリアさまの花でもあるんですって。スノードロ

           ップは他にも色々な伝説を持つ花です。「逆境の中の希望」

           なんていう頼もしい花言葉もあります。

                

           もう一つ雪のつく名前の花に雪柳があります。これも早春の花。

           これは見たまんま、白い小花がたくさん群れて咲いて、まるで

           雪のようだからついた名前でしょうね。花言葉は「愛嬌」。もうす

           ぐお雛祭りだけれど、桃の花が咲くのはまだちょっと先のよう。  
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小さな継母ちゃん-鍵の花 花の名前あれこれ

2012-02-28 17:04:45 | 季節の花々
Viola tricolor
Theodor Storm
Husum Druck
            
          

         いかな日にみねに灰の煙の立ち初めたか

         火の山の物語と……また幾夜さかは 果して夢に

         その夜習つたエリーザベトの物語を織つた

                    立原道造『はじめてのものに』より

         この美しい詩に出てくるエリーザベトと言うのは、ドイツの作家テオド

         ア・シュトルムの美しくも悲しい小説『みずうみ』のヒロインです。

         そのシュトルムに『三色すみれviola tricolor』という短編があります。

         子どものいる年の離れた男性の後妻となった若い女性の苦しみと、

         その後の幸せが静かな文章で綴られた美しいお話です。それが何故

         『三色すみれ』と言う題名かというと、ドイツ語で三色すみれのことを

         Stiefmuetterchen(小さな継母ちゃん)と言うからなんです。英語で

         言えばlittle stepmotherでしょうか。何故この花をそう呼ぶのか、ド

         イツ人にも分からないようです。継母って、グリム童話なんかでは

         継子いじめをする意地悪なものと相場が決まっていますが、この小

         さな継母ちゃんは、なついてくれない継子に小さな胸を痛めます。

         このお話を読んでから三色すみれを眺めると、以前より一層可憐に

         見えます。

            

         もう一つ、ドイツ語で変わった名前がついているのが桜草です。日本で

         は、桜に似ているので桜草、英語やゲルマン系の言語以外のヨーロッパ

         の言葉では、プリムローズとかプリムラとか、春一番に咲く花という

         意味の名前ですが、ドイツ語では『鍵の花』(Schluesselblume)と言

         います。アルプスの少女ハイジの中でHimmelschluesselbluemchen

         (天国の小さな鍵の花)なんていう呼び方もされているようです。これ

         も昔話が元になった名前です。

         ある女の子が病気のお母さんに桜草を見せてあげようとしました。でも

         摘むと花がかわいそうなので、根元から掘りおこそうとしたとき、妖精

         が現れて「あなた、お城の鍵を見つけたわ、その桜草をお城の鍵穴にさ

         してごらんなさい」と言いました。女の子が桜草を鍵穴に差し込むと、お

         城の扉が開き、中のお宝を家へ持って帰りました。そうして薬や十分な

         食べ物を買うことができたので、お母さんはたちまち元気になりました。

         こんな話を知って眺めると、桜草もまたとてもいとおしく見えます。

         Every child has a beautiful name.

         Every Flower has a beautiful name,too.

         ですね。
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ミモザ-サンシュユ-フクジュソウ 早春の黄色

2012-02-25 15:10:54 | 季節の花々
            

            今年はちょっと遅いけれど、早春の花ミモザが咲き始めました。

            南仏の花のイメージですが、この頃はこの辺りでもよく見かけます。

            ミモザって本当はオジギソウのことで、この黄色いのはフサアカシ

            ヤなのだそうですね。でも今では、ミモザと言ったらだれもがこの

            黄色い花を思い浮かべるでしょう。こういうのって物の名前によ

            くありますね。いったん取り違えて広まると、そのままになって

            しまっているのが。月見草と待宵草がそうです。本当の月見草は

            白いかわいい花ですが、今では黄色い待宵草のことをみんな月

            見草と呼んでいます。「富士には月見草がよく似合う、、、」という

            太宰治の月見草も文中に「黄金色」とあるので待宵草。昔から混同

            されていたようです。

            

            夕食にミモザサラダを作りました。黄身をそぼろにして乗せると、

            ほんとにミモザの花が咲いたよう。

                 逢ふたびのミモザの花の遠げむり    後藤比奈夫

            

            ミモザの場合とは違うけれど、私が勘違いしていたのがこの山茱

            萸(サンシュユ)です。中国名を音読みしたもので、訓読みでは

            ヤマグミと読めます。

                庭のさんしゅうの木 なる鈴かけて ヨーホイ

                鈴のなるときゃ でておじゃれヨー...

            ご存じ稗搗き節の出だしの部分ですが、「庭のさんしゅう」は

            ずっとこの山茱萸だと思っていました。でも本当は山椒の木の

            ことなんですね。椎葉村の辺りの方言では山椒をサンシュウと

            言うのでしょう。まあ、別にどうでも良いと言えば、どうでも良

            いことですが。でもとにかく、この山茱萸、春の先触れの鮮やか

            な黄色です。

                  枯色に山茱萸の黄の新しや       高木晴子

            

            この黄金色の花は、その名もめでたい福寿草。お正月の花と思わ

            れがちですが、野の福寿草は今頃が盛りのようです。まぶしいよう

            な濃い黄色の花が群れてさいているのがとてもかわいい。

                  福寿草家族のごとくかたまれり     福田蓼汀
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サマセット・モームを読まないのはもったいない

2012-02-23 14:37:00 | 
サミング・アップ (岩波文庫)
W.Somerset Maugham,行方 昭夫
岩波書店


         高校の頃、英語のリーダーの副読本で、英米の作家や随筆家の短い

         文章をたくさん読まされました。これで英語を読む力がとてもつきま

         した。ジェローム・K・ジェロームやプリーストリーや、中でもモ-ム

         の『サミング・アップ』(その当時出ていた訳書では『要約すると』と

         いうタイトルだった)からの抜粋が多かったような気がします。しかも

         とても楽しんで読んだような。それ以降、モームはかなりたくさん読

         みました。

         
アシェンデン―英国情報部員のファイル (岩波文庫)
W.Somerset Maugham,中島 賢二,岡田 久雄
岩波書店


         特にこの『アシェンデン』はとても軽い短編集で、ユーモアと皮肉が効

         いていて、どんな時でも楽しめます。一次大戦時英国のスパイとして活

         動した作家(モームの実際の体験)の目を通した、様々な国籍の人々の

         様々なエピソードです。「面白すぎるのが欠点」というほどの面白さで

         すが、文章はしっかりしているし、深い文化と歴史的素養に裏打ちされ

         ているので、安っぽくなく、エンターテインメント性と同時に深い人生

         観も感じられる希有な読み物かもしれません。そんなモームなのに、

         割り合と読まれないのはどうしたわけでしょう?ファッションと同じで

         文学にも流行りすたりがあって、また昔に戻ることもあり、そのうちま

         た案外人気が出てくるかもしれませんが。

昔も今も (ちくま文庫)
天野 隆司
筑摩書房


          たいてい読んでいるモームのうちで、この『昔も今もThen and Now』だ

          けはどう言う訳か、読まずにやり過ごしていたのですが、今回初めて

          読んでみると、やはり感心するほど面白い。先入観で現代物かと思っ

          ていたら、りっぱな歴史小説でした。主人公はマキアヴェリ、相手役

          はチェーザレ・ボルジア、面白くないわけがありません。錯綜した政

          治状況の中で対峙する二人の大人物の丁々発止のやりとり。それに

          からまる一癖も二癖もある人々や美女。他の作家では残忍冷酷な、し

          かしヒロイックで格好よいチェーザレや権謀術策の冷徹な人物として

          描かれるマキアヴェリがなんとも人間臭く多少皮肉っぽく描かれてい

          る所が、やはりモームのモームたる所以、モームを読む醍醐味でしょう。
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冬体型の夏ちゃん

2012-02-21 09:50:06 | ペット
            

          夏にもらったので、なっちゃんと名付けたこのおじょうさん(おばさん?)

          やって来たときは、8キロほどでとてもスレンダーだったのに、おやおや

          このモコモコかげんは何でしょう?

            

          貫禄充分な中年女性になって来ました。そんなによく食べるわけでもない

          のですが、何しろ散歩以外は全く動きませんからね。誰かさんと同じです。

          でもね、これが暖かくなってくると心なしかほっそりしてくるんです。寒さに

          対抗するために脂肪を蓄えるのでしょうか。今年の冬はとりわけ寒いので。

            

               だけどさすがに今日あたりは空気が少し暖かく、

               玄関先の花かんざしとポリアンサや、

            

               色とりどりのチューリップに春の香りが。

               なっちゃんがほっそりしてくる季節も遠くないかも。
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雨水の日に

2012-02-19 17:15:07 | 季節
                

          今日は二十四節季の雨水、そろそろ水も温み、雪が雨に変わる頃。

          でも今年はまだまだ寒く、梅も蕾のまま。せめて家の中だけでもと

          お花屋さんで花桃を買ってきて飾りました。

             

          ネット・オークションで落札したとんぼ玉が送られてきました。

          大きさも色も様々で、にぎやかです。これ全部で400円!

             

          そのうちのいくつかを使って可愛いネックレスを造りました。

          南米のカーニバルみたいにカラフル。着けてみると、胸元にだ

          け春がきたよう

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九谷焼美術館

2012-02-18 16:06:00 | アート
          

          2月10日、石川県加賀市にある九谷焼美術館へ行きました。

          

          この日も雪、美術館の庭も雪景色です。

          

          九谷焼というのは、べっとりとした黄色や緑の彩色で、どぎつい

          という先入観があったのですが、ここで展示されている品々を

          見ていると、それが思い込みであるような気がしてきました。

          軽やかな色彩もあれば、深い味わいの紫や緑もあり、絵柄も古

          風だったり、モダンだったり、思わず見とれる名品が多くありま

          した。あっさりした白磁や青磁もいいけれど、華やかな彩色の

          陶器も、またいいものです。

          

          二階の喫茶室で、いかにも加賀らしいきれいな和菓子と抹茶を

          いただいて、和みました。まさに「和」ですね。

               白き皿に絵の具を溶けば春浅し       夏目漱石

          まだまだ寒い今日この頃ですが、こんな句を思い出しました。漱石の

          溶いた絵の具は、九谷焼のような鮮やかな緑だったかもしれません。
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郡上八幡、春間近

2012-02-17 15:32:03 | 旅行
          

         2月12日、大雪の合掌造り集落五箇山を出て、東海北陸自動車道を南下、

         郡上八幡は打って変わった冬晴れで、散策には絶好の日和でした。

          

         この町で一番有名なのはもちろん夏の郡上おどりですが、山内一豊の妻

         千代が上の写真の郡上八幡城主遠藤盛数の娘だったこと、

          

         有名な連歌師宗祇が庵を結んだ場所に「宗祇水」という日本名水百選

         の一つがあることなど、歴史エピソードが豊富です。

          

         でもこの時期この町を歩いて一番楽しいのは、街中の民家と言わず商家

         と言わず、あちこちに雛人形が飾られていること。これは居酒屋さんの店

         先です。お雛様が枝豆を食べ、三人官女がビールジョッキを傾けています。

          

         これは和装のお店、

          

         これはペンキやさん。その他、本屋さんや酒屋さんや、立派な八段飾り

         を飾っている民家や、手作りの素朴なものや、町中に雛飾りがあふれて

         いて、心華やぐ散策でした。こじんまりしたすてきな町です。

           
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雪の金沢城

2012-02-16 15:40:46 | 旅行
         

         金沢城は16世紀半ばに築城され、前田家歴代の居城となった名城です。

         雷の多い土地柄もあって、火事で5、6回焼失し、天守閣は最初のもの

         が焼け落ちて以来造られなかったそうです。

         

         明治になってからも火災にあい、元の建物は一部の門と石垣以外ほとん

         ど残っていないようですが、近年市民パワーでどんどん復元されています。

         

         新しく復元されたお城って、あまりにピカピカで味気ないような気がし

         ますが、このお城は、雪の助けもあったのでしょうか、前田家の往時

         の威光を忍ばせる広々と伸びやかな優美さで、見応えがありました。

              

         石川門を入ったところにある休憩所の前のかわいい雪だるま。頭に前田

         家の家紋がついていました。この頃はどこの観光地でもそうですが、ボ

         ランティアの案内のおじさんが、とても詳しくお城の説明をしてくれます。

         

         金沢名物の雪つりなどもされていて、人々に愛され手入れされている

         感じが伝わってくるお城です。歴史に伝わる利家とまつの人柄が良い

         影響を与えているのでしょうか。
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ハッピー・バレンタイン

2012-02-15 15:17:32 | 行事
                

           昨日はバレンタイン・デーでした。この日はアメリカなんかでは、

           男性が女性にお花を贈ることが多いそうですね。でも日本では

           圧到的にチョコレート。テレビなんかでもワーワー言うし、スー

           パーやデパートでも、山盛りのチョコレートが売られています。

           

           夕方、以前娘がお手伝いしていて、いまはもう結婚してやめてい

           らっしゃる洋菓子店のオーナーだったお嬢さんが、すてきな手作り

           バレンタイン・チョコをわざわざ届けてくれました。感謝感激です。

           さすがプロ、見た目にもきれいで、美味しくて。
           
           

           なっちゃんの頭のてっぺんにチョコのシールを張って、バレンタ

           イン・ドッグのできあがり。
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