キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

時代小説の楽しさ

2020-05-11 11:13:47 | 
            

            今年も母の日に息子のところから、カーネーションの鉢植えが

            届きました。縁が白く中が赤い可愛い花がたくさんついていま

            す。孫娘が選んでくれたようです。ありがとう。

        

            数日来玄関に飾っていたガーベラの茎がぐんにゃりしてきたので

            首のところでちょん切って、小さなコップにさしました。こうす

            るとまだしばらく持ちそうです。色鮮やか。

        

        

        コロナ自粛の中、時代小説、特に江戸ものにはまっています。辻堂魁の

        風の市兵衛シリーズ、上田秀人の百万石の留守居役シリーズを読み漁り、

        私にはよくわからぬ、武士の堅苦しくも、男尊女卑の世界に、ちょっと

        ばかり嫌気がさし、女流作家の江戸食べ物小説に移りました。高田郁の

        みをつくし料理帖、坂井希久子の居酒屋ぜんやシリーズ、中島久枝のお

        宿如月庵シリーズ、どれも、けなげで逞しい女たちが奮闘するお話です。

        中に出てくる料理の数々が、ほんとにおいしそう。参考になります。江

        戸時代のことゆえ、肉類は鶏、鴨以外は使われていませんが。旬の野菜

        と魚を丁寧に丁寧に調理した、素朴だけれど身も心も休まるような料理

        がたくさん出てきます。いくつかまねして作ってみました。片栗粉をま

        ぶして湯を通した水晶豆腐。油で揚げて皮をむきつゆに浸した翡翠茄子。

        里芋とイカの煮物、キュウリもみ、若竹煮、鰹の漬けetc.冷凍、冷蔵技

        術のなかった時代だけに、素材の新鮮さが命。自然の恵みをそのままい

        ただける感じがして、ある意味とてもぜいたくな食生活にも感じられま

        す。今日はとても暑くなりそう。つめたい料理がいいですね。夏野菜の

        冬瓜のアサリあんかけでも作ってみましょう。
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美しい絵本たち

2020-02-17 16:47:16 | 
          

          素敵な絵本を手に入れました。世界中を航海してきた大型船を

          波止場に案内するちいさなタグボートのお話。いつか広い世界

          を見てみたい。でもそれはタグボートにはできません。憧れを

          胸に、今日も仕事に励むけなげなタグボートのお話です。

       

        詩人ブロツキーの詩はもちろんですが、オレイニコフというロシア

        の画家の絵が圧巻!絵本の「絵」というだけでなく、これはもう最

        上質の絵画です。

       
       
       でも、考えてみたら、これまで読んだ絵本の絵もどれもそれぞれに素

       晴らしいことに気づきました。これは1990年ごろのアメリカで出版さ

       れたサトウカエデをテーマにした言わば科学絵本ですが、赤と黄色の

       カエデの葉の美しい事!

       

       「赤ちゃんが逃げ出した日」という面白い影絵絵本の一節です。藤代清治

       も真青の豊かなイマジネーション。

       

       これはステラというお転婆な女の子とシャイな弟サムを主人公にした

       カナダのマリー・ルイーズ・ゲイという作家の絵本の一節です。ふん

       わりしたメルヘンチックなタッチが何とも愛おしい。

       

       これはアルカディオ・ロバトという作家の「そらをとんだくじら」の

       表紙です。小さな魔女が世界で一番の宝物を捜しに出かけてクジラと

       出会い、友情こそが一番の宝物だと気付くお話。色を抑えた彩色の妙
  
       で、いつの間にかおとぎの国に引き込まれます。

         

       

       

       そのほかにも、色々なタッチのいろいろな雰囲気の絵に出あえます。

       

       レオ・レオニの有名な「あおくんときいろちゃんlittle blue and little yellow」

       何とも愉快な色絵本。青が黄色と混ざると緑になるというだけのお話ですが。

       

       

       これは一番最近読んだ「しごとをとりかえただんなさん」という絵本です。

       家の中の仕事の方が楽だと、奥さんと仕事をとりかえただんなさん。とこ

       ろが、楽どころか、あっちでこっちで大失敗。家事の大変さを思い知ると

       いう、ちょっとばかり今の社会を風刺したようなお話ですが、これ、ノル

       ウエーの昔話。昔のヨーロッパ風の絵がお話の面白さを一層引き立たてて

       います。

       まだまだ素敵な絵の絵本がたくさんあります。今回は洋物ばかりでしたが。

       幸せな豊かな世界です。
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1月の絵本

2017-01-23 16:50:35 | 
              小学校での毎月の読み聞かせを、今年はこの本から始めようと思います。

              「ビーバの真珠」という本です。原作はヘルメ・ハイネというドイツ人の絵本

              作家のDie Perle(The Pearl)です。

                      

Die Perle
Helme Heine
Beltz Gmbh, Julius


              「ビーバは大きな真珠貝を見つけました。きれいな真珠が入っているに違い

              ありません。ビーバは貝を抱いてお昼寝し、夢を見ました。ビーバが森の友

              だちに真珠を見せると、みんなは自分の真珠を見つけようと、湖で探し始め

              ました。競争で探して、誰かが先に見つけないかと、夜も寝ないでたき火を

              して見張りました。焚火が森の木に燃え移り、何もかも燃やしてしまいまし

              た。ビーバの真珠も。その時ビーバは目が覚めました。持っていた真珠の

              貝を湖の向こうに投げ捨てました。だって、お友だちと仲良く遊べないなら、

              真珠なんてなんいなるでしょう?」

              

              柔らかい絵の風合いに心和む絵本です。動物たちがみんなかわいい。ビー

              バは宝石ではなく友情を取りました。おともだちと仲たがいをして、自分の欲

              を満たしても、何の楽しいことがあるでしょう?ふと、自国だけの利益を考え

              るアメリカの新大統領を思い浮かべました。ヘルメ・ハイネは今ニュージーラ

              ンドで暮らしているようですが、どう思っているでしょうね?
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希望は羽あるもの-私の好きなエミリ・ディキンスンの詩

2016-07-10 14:14:48 | 
              
              
私の好きなエミリ・ディキンスンの詩
新倉 俊一
金星堂

        「一輪のバラの花で人の心が買えるなら If I chould bribe them by a Rose」

        という暗示に満ちたエミリ・デキンスンの詩についてのエッセイから、上の魅力的

        な小エッセイ集は始まっています。この「一輪のバラ」とは彼女の詩そのものをさ

        すこと、詩を創造することが、彼女の生きた十九世紀のアメリカの家父長的で、抑

        圧的宗教性の中でどれほどの困難を伴うことであったか、またその中で創造され

        た彼女の詩がどれほどに素晴らしく意味深いものであるかを解き明かすエッセイ

        に思えます。それにしても、多少外国語をかじった私などには、外国語の,特に詩

        を邦訳する難しさをこの最初の短い一行ですでに思わずにはいられません。bribe

        themは「人の心が買えるなら」と訳されていますが、bribeは「わいろを贈って何か

        を得る、買収する」という意味です。このニュアンスを伝えるのは至難の業です。

        

        この本はエミリ・ディキンスンの様々な詩についての二十数編のエッセイから

        構成されています。どれも彼女の代表的な詩についての考察ですが、時々浅

        くデキンスンの詩に触れる程度の読み手であるアマチュアの私には、ちょっと

        専門的に過ぎるものが多いようですが、ある意味専門書であるこういう本の

        性質上、仕方のないことかもしれません。でも、その中でも五番目の「希望は

        羽あるもの"Hope" is the thing with feathers-」が気に入りました。一番読み

        やすく、具体的だからかもしれません。書き手の若いころ、また高校教師時代

        の印象深い経験と絡めて、読み物として最も面白くまとまっていると感じました。

        とまあ、ぐだぐだ書きましたが、この中のエッセイはどれも、なかなかに手ごわ

        く、難解なエミリ・ディキンスンの詩のとてもよい入門書になっていると思います。

エミリー
バーバラ クーニー,Michael Bedard,Barbara Cooney,掛川 恭子
ほるぷ出版

エミリ・ディキンスン家のネズミ
クレア・A・ニヴォラ,長田 弘
みすず書房

         上のエッセイ集でもなお手に余るけれど、ディキンスンの詩を味わってみたい人

         には、こんな絵本や児童書も手掛かりになると思います。「エミリー」はお向か

         いの家に住んでいた少女の目から描いたエミリ・ディキンソンの姿、「エミリ・

         ディキンスン家のネズミ」はディキンスン家に住み着いているネズミの視点で

         描かれたエミリ・ディキンスン家、どちらももちろんフィクションですが、彼女の

         詩がふんだんに入っていて、何よりもバーバラ・クーニー、とクレア・ニヴォラ

         の絵がたまらなくチャーミングで、読み終わると、エミリ・ディキンスンの親友に

         なったような気持ちになります。

まぶしい庭へ
ターシャ・テューダー
KADOKAWA/メディアファクトリー

      ターシャ・テューダーがイラストを描いた、こんな美しいディキンスンの詩集も出ています。  
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土屋先生の奥様

2015-10-15 14:46:37 | 
            

            ハナミズキの赤い実と葉が晴天の秋空に映えてきれいです。朝晩

            はめっきり寒くなってきました。「めっきり」って目に見えてはっきり

            という意味ですが、「めっきり暖かく」とか「めっきり暑く」とかは言い

            ませんね。寒いとか、衰えるとか、否定的な時に使うようです。おも

            しろい言葉ですね。             

妻と罰 (文春文庫)
土屋賢二
文藝春秋

            灯火親しむには良い季節ですが、あんまり大した本は読んでいません。

            相変わらず肩の凝らない(本当はめちゃくちゃ凝っていて、スポーツ

            の秋にするべきなのですが、なにせインドア派で‥‥と言い訳しつつ)

            コージーミステリーがほとんどですが、”哲学者”土屋賢二先生のエッ

            セイも読み漁っています。「読み漁る」とは「ゴミ箱を漁る」など連想

            される、読んでいる本に対して失礼な言葉ですが、「買った上で、読

            まないでもらいたい」とおっしゃる土屋先生の本を、面白くて手放せず

            むさぼり読んでいる訳で、お許し願えるでしょう。もっとも、図書館で

            借りて読んでいるので、買ってはいないのですが。

ワラをつかむ男
土屋賢二
文藝春秋

            土屋先生は東京大学卒業、御茶の水女子大元教授という大哲学者なの

            で、元来は高邁な哲学の探求者でいらっしゃるのでしょうが、エッセイは

            抱腹絶倒、詭弁、屁理屈、曲論正論、なんでもありで、楽しく読めます。

            どのエッセイ集にも土屋先生の奥様が再三再四登場しますが、この

            方がご傲慢不遜、残虐非道、理屈が通じず、夫を虐げる。ソクラテスの

            妻や、夫の作曲した楽譜を髪の毛のカーラー代わりにしたハイドンの妻

            の上を行く悪恐妻として登場するのです。

ツチヤの口車 (文春文庫)
土屋 賢二
文藝春秋

            本当にこんな奥様でしょうか?もし私が奥様で、本当にこんな性格の

            女性なら、自分がそんな女であるはずでないと考えるでしょうから、世

            間に対して自分の悪口を言いふらす夫を殺して、自分も自殺するかも

            しれません。実際、解説を読むと、書かれているのとは正反対のすてき

            な奥様のようです。それか、奥様は絶対に自分の本を読まないという自

            信が土屋先生にあるか。

ツチヤの貧格 (文春文庫)
土屋賢二
文藝春秋

            思うに、土屋先生は、女性から理不尽な扱いを受けてきたと思い込ん

            いらっしゃるような。それが女子大の教授になって助長された?それを

            女性の代表としての奥様におっかぶせていらっしゃるのでは。まあ、私

            も、夫に八つ当たりしている、理不尽に怒っている、分かっているけど

            自分の非は認めないなんてことは多々ありますが。それはまあ、お互い

            様ですしね。          
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コージー・ミステリーはいかが?

2015-08-29 10:24:42 | 
アガサ・レーズンの困った料理―英国ちいさな村の謎〈1〉 (コージーブックス)
M.C. Beaton,羽田 詩津子
原書房

           世の中には無数の本があります。和洋の古典、哲学書、ドキュメンタリー、

           実用書、辞書類、そして小説。その小説だって、大衆文学と純文学とか、

           いろんなふうにジャンル分けされますが、そのうちの1つに推理小説とい

           うのがあります。そしてそれも、本格物とかハードボイルドとかサスペン

           とかいろいろに分けられ、その端っこにコージー・ミステリーなんていう

           のがあります。「お気楽ミステリー」とも言えるでしょうか。主人公はたい

           ていすてきな女性で、男に苦労しながらも、カフェかレストランを経営し

           て、元気に生きている。結末はハッピーエンドと決まっているので、深遠

           な思想も人生について考えさせられるような深さも一切なし。途中に出

           てくる美味しそうな食べ物やお菓子を想像しながら、お気楽に暇つぶし

           ができます。レシピ付きというのも結構あります。
           
アガサ・レーズンの完璧な裏庭 (コージーブックス)
M.C. Beaton,羽田 詩津子
原書房

          M.C.ビートンの「アガサ・レーズン・シリーズ」もその仲間ですが、ヒロイン

          がかなり風変わり。ロンドンのスラム街に生まれ、刻苦勉励、悪戦苦闘

          して広告会社を立ち上げ、辣腕をふるいます。やがて長年憧れていたコッ

          ツウォルズに家を買い、悠々自適の田園生活を送ろうとするのですが、

          口が悪く、押しが強く、わがまま、時にかなり下品。土地の人々の間に

          溶けこむのは容易ではありません。でも広告業界で長年培った行動力

          を発揮して徐々に馴染んできます。

            

          数年前訪れたコッツウォルズ地方のはちみつ色の家並みです。イギリス

          の都会の人も、やはり晩年はこういう美しいのんびりしたところに住みた

          いと思うのでしょうね。日本なら、さしずめ軽井沢とか那須とか?ヒロイ

          ンのアガサは怖いもの知らずのおばちゃんですが、貴族や上流階級の

          人たちの前に出ると、自分が労働者階級の出だということを意識して、

          妙に自信がなくなるという場面が頻繁に出てきます。イギリスには、未

          だにそういう階級意識が厳然としてあることも教えられます。

アガサ・レーズンと貴族館の死 (コージーブックス)
M.C. Beaton,羽田 詩津子
原書房

         ともあれ、羽田詩津子さんの上手な訳のお陰げでもありますが、アガサが時々

         切れた時の口きたない啖呵が楽しく、気分が沈んだ時に読むとスカッとします。
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高慢と偏見、 そして殺人

2015-07-09 15:22:57 | 
高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1)
Jane Austen,中野 康司
筑摩書房

          「独身の男性で財産にもめぐまれているというのであれば、どうしても妻がな

          ければならぬ、というのは、世のすべてがみとめる真理である」(阿部知二訳)

          これは夏目漱石も絶賛したというジェーン・オースティンの『高慢と偏見』の冒

          頭部分です。サマセット・モームの世界の十大小説にも入っています。(もっと

          もモームの選択は彼が英国人ということもあり、欧米に偏っています)ところが

          不思議なんです。身も蓋もない言い方をすれば、冒頭の文章が暗示するように、

          中流階級の五人姉妹が、いかにして独身の金持ち男性を勝ち取ったかというだ

          けの話なのですが、これが、読みだすと止められない。同じく十大小説に選ばれ

          ている『嵐が丘』のように劇的でもないし、自然描写が美しい訳でも、叙情的な訳

          でも、哲学的に深い訳でも、激動の時代を映している訳でもないのに、読み出し

          たら止められないし、何度も読み返したくなります。「ジェーン・オースティンは写

          実の泰斗なり。平凡にして活躍せる文字を草して技神に入る、、、」という夏目漱

          石の言葉でその素晴らしさがわかるでしょうか。

高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
羽田 詩津子
早川書房

          それだけの小説なので、いわゆるスピンオフの作品がたくさんあります。

          最近出た英国推理小説界の巨匠P.D.ジェイムズの最後の作品『高慢と偏見、

          そして殺人』は極めて質のよい『高慢と偏見』の後日譚というか、推理小説バー

          ジョンです。原作ほどの機知とウィットはないものの、プロットがしっかりして

          いるし、登場人物を違う側面から、ちょっと毒を持って描いていたりして、なか

          なか読ませます。P.D.ジェイムズというペンネームで女性であることを隠してい

          たかに見える作者ですが、同性のオースティンの『高慢と偏見』を愛し、深く読

          み込んでいたか、よくかわります。

Darcy's Story
Hugh Thomson
Copperfield Books

The Darcys of Pemberley: The Continuing Story of Jane Austen's Pride and Prejudice (English Edition)
Micah Hansen,Sharon Johnson
Heather Ridge Arts

Darcy and Elizabeth: Behind Pemberley's Walls: A Pride and Prejudice Short Story (English Edition)
Mary Lydon Simonsen
Quail Creek Publishing, LLC

Mr. Darcy and Mr. Collins's Widow: An Elizabeth and Darcy Story (English Edition)
Timothy Underwood
Timothy Underwood

Return to Longbourn: The Next Chapter in the Continuing Story of Jane Austen's Pride and Prejudice (The Darcys of Pemberley Book 2) (English Edition)
Micah Hansen,Sharon Johnson
Heather Ridge Arts

           その他にも、こんなに様々な後日譚やら何やらが書かれています。ヒロイン

           のエリザベスと、彼女と結婚したプライドの高い大金持ちダーシーにまつわ

           る逸話がほとんどです。

           18世紀の英国の片田舎に住み、数篇の作品を残して、まずまずの世間の注目

           の下に42歳でなくなった女性の、ある意味地味なラブストーリーが、今こ

           れほど世界中の人々の愛読書になっているとは、なにか面白いものです。

ジェイン・オースティンの読書会
Karen Joy Fowler,矢倉 尚子
白水社

ジェイン・オースティンの読書会 コレクターズ・エディション [DVD]
エミリー・ブラント,マリア・ベロ,エイミー・ブレネマン
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

           数年前に映画にもなった『ジェイン・オースティンの読書会』は、『高慢と偏見』

           はもちろん、彼女の作品の読書会を通して様々な人間模様を描く、なかなか含蓄

           の深い小説です。ジェーン・オースティンの描く人物の中に、様々な人格が内在

           していて、自分とひき比べ、共感を呼ぶのでしょうか。
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名コンビ

2015-04-12 21:26:33 | 
Room on the Broom
Josie Lawrence
Macmillan Audio Books


           世の中にはタッグを組むと最強の名コンビというのが、どんな分野にもあり

           ます。作詞作曲だったら松本隆と筒美淳平、古いところで西条八十と中山

           晋平、日本の絵本の世界だったら、「いやいやえん」なんかの中川李枝子と

           大村百合子。外国絵本の世界にも名コンビはたくさんいますが、私の一番

           のお気に入りは、ジュリア・ドナルドソン・アクセル・シェフラー・コンビです。

もりでいちばんつよいのは? (児童図書館・絵本の部屋)
アクセル シェフラー,Julia Donaldson,Axel Scheffeler,久山 太市
評論社

           その中でも、最もチャーミングなのはこの「もりでいちばんつよいのは?」

           でしょう。原題はGruffaloと言います。「グラファロ」、森に住む恐ろしくも

           ユーモラスな怪物の名前です。一番小さくて弱い動物が、知恵で強いものを

           出し抜くというのは、童話によくあるパターンです。このお話でも、ネズミが

           結局森で一番強い動物になります。グラファロという恐ろしい怪物を自分の
      
           空想で作り上げ、みんなを怖がらせるという方法で。ところが、ここからが

           このお話のひねりです。その空想の怪物が実在したのです!そして、もう一

           ひねり、賢いネズミはグラファロも怖がらせ、森で一番強い動物になります。

カタツムリと鯨 (児童図書館・絵本の部屋)
アクセル シェフラー,Julia Donaldson,Axel Scheffler,柳瀬 尚紀
評論社

          ドナルドソンの文章は、いつでも韻を踏んでいます。とても調子がいいんです。

            How long I sail!
            said the tiny snail.

          韻を踏んでいる言葉って、リズムがあります。「乗る」っていうんですか。私、

          好きなんですよね。日本語のラップも好き。ああいうの作れる若者って、あこ

          がれます。自分では作れないのですが。とにかく、ドナルドソンの言葉にはリ

          ズムがあります。
ぼくのママはどこ? (児童図書館・絵本の部屋)
アクセル シェフラー,Julia Donaldson,Axel Scheffler,久山 太市
評論社

          そこに、シェフラーのくっきりした、鮮やかな絵がつくので、最強です。

          赤は赤、緑は緑、茶色は茶色、それぞれの色がしっかり主張していて、

          それでいて争わなくて、仲良くしっくり納まっている。心地よい絵本です。
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ジャガイモ

2014-12-04 16:25:38 | 
             

             馬鈴薯の皮剥く明日も次の世も    岡本紗矢句集「向日葵の午後」より

            ジャガイモは秋の季語ですが、一年中食べていますね。冬に食べるのが

            一番美味しいような気がしますが。夫が農業見習いに行っているお家

            で採れた掘りたてのジャガイモをたくさんいただきます。これからの季

            節、マッシュポテトにしたり、グラタンにしたり、おでんの具になったり

            大活躍です。ただ大量に食べると、皮むきが大変。
           
大どろぼうホッツェンプロッツ (新・世界の子どもの本―ドイツの新しい童話 (1))
トリップ,中村 浩三
偕成社

            人間って、明日も、次の世代も、延々じゃがいもの皮を剥いては、料理

            してという営みを繰り返すんだなあという、ちょっと面白いこの句を読ん

            で、ドイツのプロイスラーの「大どろぼうホッツェンプロッツ」の一場面を

            思い出しました。悪い魔法使いツワッケルマンに捕まったゼッペル少年は

            ジャガイモ料理を食べたい魔法使いのために、大量のじゃがいもの皮

            を剥く破目になります。日本人よりもっとじゃがいもを食べるドイツ人の

            書いた童話らしい一コマです。

           

            今日の夕ごはんは和風のおでんになりました。ジャガイモも大活躍です。
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向日葵の午後

2014-08-30 15:32:06 | 
              

             妹が句集を出しました。感じの良い装幀の句集です。公に出した句集ですが、

             不思議なものですね、亡き父母にまつわる句やふるさとの句は、普通の文芸

             作品を味わうように冷静で客観的な楽しみ方ができません。共感のあまり、

             胸がつまるような気がするのです。

             

               飛び立たぬしづけさにあり著莪の花     冒頭のページにある句です。

             ふるさとの家の裏山に毎年春になると、無数の著莪の花が咲きました。仄暗

             い杉木立の下に、ひっそり、瞬きもしない白い星のように。この句を読むと、

             その昔、著莪の花を見ていた自分がまざまざと蘇ります。

                通草の実記憶の中に恥いくつ

                停まるたび花菜風入る吉野線

             これは、私よ、私のその昔のふるさとに対する思いよ、と叫びたくなるような

             句が並びます。もちろんそれは、妹の作句の力量があればこそで、私が言葉

             を尽くしてもこのように端的に表すことはできません。そのような心持ちを素敵

             な言葉で表してくれたことに、嬉しさと、ある意味羨ましさを感じます。

             

             けれども、そのような身びいきめいたほめ言葉だけで、この句集は語り尽くせま

             せん。外国の文化文学に精通しているだけに、グローバルな視点もあり、歴史

             的な視点もあります。悪く言えば種種雑多と言えなくもない題材を、絶妙のバラ

             ンス感覚でまとめています。瞬間を巧みに切り取り、言葉をそいでそいで十七

             文字に巧みに収めています。生死を真摯に見つめる冷静さと、対象に対する温

             かい眼差しが同居して、ユニークな作風を作り出しているように思えます。

             とここまで、書いてきて、ちょっとほめすぎか?なんておもいますが、ほんと

             に良い句集です。

                 故郷去るおんぶばったに見送られ

                 どことなく鹿に似る犬秋うらら

                 合唱のやうに集まり姫女苑

                 パティシエの赤きバンダナ降誕祭

                   以上 岡本紗矢句集『向日葵の午後』より

             まだまだ素敵な句がありますが、又次の機会にご紹介。
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